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レーヴァティン

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第二百七十二話 戦に向けてその十二

「死ぬことを恐れてなかったのは」
「だから暗殺するって手紙が来てもな」
「平気だったんだよ」
 その手紙をこんなものが来たと平気な顔で周りに見せていたという。
「恐れることなくね」
「そこは薩摩隼人ね」
 双葉はどうかという顔で言った。
「だから身の安全もね」
「軽いものだったんだな」
「西郷さんも死ぬ時はあっさりしていたし」
 西南戦争で負傷しこれまでと悟って仲間に首を差し出してその生涯を終えた。
「あそこの人達はね」
「もう生きるか死ぬかの武士道でな」
「それでね」
 そうした生き方を送っていてだ。
「死ぬこともよ」
「怖がってなかったな」
「二人共実戦戦ではなかったけれど」
 言うなれば総大将と軍師であった、薩摩の志士達の。
「けれどね」
「自分達が死ぬこともな」
「恐れてなくて警護にもね」
 これにもというのだ。
「それが出ていたのでしょうね」
「馬車一台で行き来だったからな」
「もう襲われたら」
 その時はというのだ。
「ああしてね」
「暗殺されて当然だな」
「けれど確かにね」  
 双葉はあらためて言った。
「あの人も最悪事態を想定して」
「そこから成功するってな」
「そう考えてね」
 そうしてというのだ。
「成功させていったのよ」
「どんな難局もな」
「名軍師だったけれど」
 西郷を補佐してそれに徹していた、西郷も彼の言葉を必ず聞いたという。
「それはどうしてか」
「それが出来たからだな」
「そうよ」
 その為にというのだ。
「抜群の切れ者でね」
「時として冷徹だったな」
「けれど絶対によ」
「ことを成功させてたな」
「そうなる様にね」
 それこそまず失敗しそうな状況でもだ。
「ことを進めていけたのよ」
「だから大久保さんは凄いな」
「そうよね」
「ああ、西郷さんがいてな」
「大久保さんがいてね」
「幕末薩摩はやっていけてな」
「維新の日本もよ」
 ひいては国家もというのだ、藩だけではなく。
「基盤を固められたのよ」
「あの二人がいてな」
「西郷さんがいて」 
 そうしてというのだ。
「大久保さんもいてよ」
「あの二人がいたってな」
「やっぱり凄かったわ」
「大久保さんの上に立てるのは西郷さんだけでな」
「そして大久保さんがついていくのもよ」
「西郷さんだけだったな」
「勿論西郷さんもね」
 大久保の絶対の盟友であった彼もというのだ。
「最悪の事態はね」
「考えられたな」
「それでどうするか考えられるけれど」
「あの人はまた違うか」
「左様ですね」
 夕子が言ってきた。 
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