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機動6課副部隊長の憂鬱な日々

作者:hyuki
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第8話:機動6課へ

情報部を離れた翌日,俺は機動6課の隊舎に向かっていた。
まだ,6課の正式発足までは間があるが本局の遺失物管理部に
席を置く場所もないということだったので,ここで仕事をすることにした。

隊舎に到着すると,俺は自分の執務室の隣にあるはやての執務室に向かった。
ブザーのボタンを押すと中から”どうぞー”という声が聞こえたので
ドアをあけて入るとはやてがデスクの整理をしていた。

「おー,ゲオルグくんか。そういえばゲオルグくんも今日からここやったね」

「ああ。も,ってことははやてもか?」

「うん。そやから今こうして荷物の整理をしてんのよ」

「そっか。で?用ってなに?」

俺は,6課についたら自分の部屋に来るようにとはやてから連絡を受けていた。

「そうそう。新人フォワードの候補者リストなんやけど見といてくれた?」

「見たよ。しかし,よくこんな人材見つけてきたな」

リストには10人ばかりの候補者が載っていたが,
どれも,将来有望な人間ばかりだった。

「そら,私の人徳っちゅうやつやな。褒めてもええで」

「うん,さすがははやてだな。俺ではこうはいかないよ」

俺がそう言うと,なぜかはやては口をポカンとあけて呆けていた。

「おーい。はやてさーん。お元気ですかー」

俺がはやての目の前で手を振りながらそういうと,はやては急に
我に返ったようだった。

「どうしたのさ。ぼーっとして。」

「いや,びっくりしたんよ。まさかゲオルグくんが素直に私を褒めると
 思ってへんかったから」
 
はやてはそう言うと心なしか顔を赤くして,自分の頬をかいた。

(意味わかんねぇ・・・,自分で褒めろって言ったくせに・・・)

「で?マルのついてる2人がはやてのオススメってこと?」

「うん。オススメっちゅうか,私自身はこの子らを引き抜きたいなぁ,
 っていう感じやけど。どう思う?」
 
「いいんじゃないの。2人とも伸びしろありそうだし。
 うまく鍛えれば,いい陸戦屋になると思うよ」
 
「うっしゃ。ほんならあとはなのはちゃんにお任せやな」

「なのはに?」

「うん。だって,もしうちの隊に来てくれたらなのはちゃんが
 2人の直接の上司で教官になるんやからね」
 
「なるほどね,納得。って,新人て4人じゃなかったっけ?」

「あとの2人はフェイトちゃんの保護児童をな」

「はぁ?フェイトもなかなか大胆なことするなぁ」

「そやね。やけど2人ともなかなかやりおるで。
 1人は10歳で陸戦Bランクやし,もう一人もなかなか優秀な召喚師や」

「ふーん,その二人のデータは?送ってくれたリストにはないよな?」

「あ。ゴメン,送るん忘れてたわ。後で送っとく。」

「頼むよ。じゃあ,用事は以上?」

「うん」

「じゃあ,俺は部屋にいるからなんかあったら呼んでよ」

俺はそう言うと,はやての部屋を出ようとしたが,ドアのスイッチに
手をかけたところで,はやてに呼び止められた。

「ゲオルグくん,待った!言うの忘れてたけど,明日さっきの2人の
 Bランク試験を見に行くから,そのつもりにしといてな」
 
「え?俺も行くの?俺関係ないじゃん」

俺が振り返ってそう言うとはやては右手の人差し指を立てて,
ちっちっちとやりながらニッコリと笑っていた。

「2人とも直接ではないけどゲオルグくんの部下やし,ゲオルグくんにも
 新人の訓練に付き合ってもらうんやから,行かなあかんよぉ」

「いやいや,なのはが教導官なんだから俺はいらんでしょ」

「ん?なのはちゃんだけで4人も面倒見ろって?
 そらいくらなんでも酷っちゅうもんやで。どう思う?なのはちゃん」
 
「ひどいよー,ゲオルグくん。教導のお手伝いくらいしてくれても
 罰は当たらないとおもうの」

俺がさっき開けようとしたドアの方を見ると,航空隊の制服を着た
サイドポニーの女性が立っていた。

「よ,なのは。久しぶり。なのはもこっちに来てたんだな」

「お久しぶり,ゲオルグくん。私もはやてちゃんとお話があったからね」

「ふーん。じゃ,俺はこれで」

俺がはやての部屋から出ようとすると,なのはに腕をつかまれた。

「だめだよ,ゲオルグくん。明日のBランク試験のお話なんだから,
 ちゃんと聞いといてくれないと!」

「ちゃんと見に行くから,それでいいだろ?って,引っ張るなよ。
 おい,なのは!・・・俺はこれから残った仕事を片付けたいんだよ。
 おーい,なのはさーん。聞いてますかー?」
 
結局その日は,夕方まで開放してもらえなかった。


夜になって,寮の自室に帰った俺は,はやてからのデータを眺めていた。

(スバル・ナカジマ二士にティアナ・ランスター二士か。
 2人ともオリジナルデバイス持ちだったよな。
 陸士訓練校上がりじゃ珍しいな。
 で,こっちの2人がフェイトの保護児童か。
 エリオ・モンディアル三士とキャロ・ル・ルシエ三士ね。
 この歳でこれだけの実力があるとは,末恐ろしいね)
 
一通り渡されたデータを眺め終わると,俺はレーベンに話しかけた。

[レーベン]

[《なんですか,マスター》]

[この4人の情報を集めといて,明日の朝チェックするから]

[《はやてさんからのデータだけでは不足ですか?》]

[まあね。通り一遍の戦力確認の為だけなら十分だけど,
身上調査には不足でしょ]

[《了解しました。しかし,なんだかんだ言ってマスターもマメですね》]

[こりゃ,情報部の頃からの癖みたいなもんだよ。やらないと気持ち悪いだけ。
んじゃ,お休み]

[《ゆっくりお休み下さい,マスター》]
 
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