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星河の覇皇

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第八十二部第五章 撤退する者達の焦りその三

「それで、です」
「勝てましたか」
「オムダーマン軍そしてアッディーン大統領に」
「そう言われますか」
「はい、ですが」 
 それでもとだ、フラームはさらに話した。
「互角ではです、そして総合戦力で劣っているなら」
「それならばですか」
「勝てない」
「そう言われますか」
「閣下は」
「そうです、あまりにもです」
 アッディーン、彼はというのだ。
「強過ぎます」136
「だからですか」
「閣下としてはですか」
「敵わないと」
「そう言われますか」
「互角の戦力であの方と戦えるのは」
 それこそというのだ。
「閣下だけですから」
「ではですね」
「今は耐える」
「防衛ラインで」
「そしてですね」
「その後で、ですね」
「閣下が戻られてから」
「今なら」 
 今のティムール軍の状況ならというのだ。
「覆すことが出来ます」
「そうですね、閣下なら」
「あの方ならば」
「この状況ならば」
「まだ覆してくれます」
「必ず」
「そうしてくれますので」 
 フラームもこのことを信じて言うのだった。
「ここはです」
「守るべきですね」
「何としても」
「ではですね」
「ここは守りましょう」
「それに専念しましょう」
 軍団司令達もそれぞれ言った。
「今は将兵の士気も高いです」
「敗れましたが」
「それでもです」
「士気は健在です」
「流石はこれまでの戦いを生き抜いた精鋭達です」
 かなりの敗北を喫したが戦意は衰えていない、それ位でどうにかなる様なヤワな者達ではないというのだ。
「ならです」
「まだ戦えます」
「今は戦いましょう
「それならば」
「そして勝って」
「そのうえで」
 まさにというのだ。
「この戦局を覆しましょう」
「確かに苦しいですが」
「苦しくて放棄するか」
「そんなことでは勝てる戦争も勝てません」
「その様なことでは」
「ムハンマドも」
 イスラム教での絶対の存在であるこの預言者もというのだ。
「苦しい時がありました」
「ヒジュラの時といい」
「それからの多くの戦いでもでした」
「とかく苦難が多かったです」
「何度も命を落としそうになりました」
 このことは歴史にある、戦場に身を置いていたこの預言者は幾度も死に掛けそうしてその中で戦ってきたのだ。 
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