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お見合いの場で部下と

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第三章

「流石に上司と部下じゃね」
「結婚して会社にいるとだな」
「不都合だから」 
 それでというのだ。
「どうしようかってなってるけれど」
「うちは今人手不足だ」
 父が笑って話した。
「だからな」
「それじゃあ」
「二人で来るか」
「そうしていいの」
「そちらの会社の都合がよかったわな」
「それじゃあ」
「スーパー銭湯も大変だがな」
 それでもというのだ。
「宜しくな」
「ええ、じゃあね」
「これからお願いします」
 金剛も言ってきた。
「何かと」
「ああ、娘を頼むな」
「はい、ですが」 
 ここで金剛はこんなことも言った。
「まさか上司とお見合いして」
「結婚するなんてか」
「思いませんでした」
「それも人生だ、こんなこともあるものだ」
 美桜の父は義理の息子になる彼に笑って話した。
「何がどうなるかわからないものだ」
「そうなんですね」
「ああ、それそのどうなるかわからない中で楽しく幸せにだ」
 その様にというのだ。
「生きてくものだ、じゃあこれからはな」
「二人でやっていきます」
「それじゃあな」 
 こうしてだった。
 美桜は金剛と夫婦になった、そして一緒にスーパー銭湯で働いた。前の会社では上司と部下だったが結婚してからは同じ社員とももなった。夫婦だけでなく。それでだった。
 金剛は美桜に笑って話した。結婚しているのでもう敬語ではなくなっていた。
「会社の関係は絶対じゃないね」
「そうね、そんなのはすぐにね」
「きっかけがあれば変わるね」
「そんなものね、お見合いの時はこだわったけれど」
 お互いにとだ、美桜は言った。
「そうしたものはね」
「簡単に変わるね」
「いともね」
 こう話したのだった、二人で一緒にいる時に。そうして夫婦で幸せに暮らしていくのだった。


お見合いの場で部下と   完


                    2022・11・23 
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