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お互い新監督

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第四章

 カープの戦力をチェックしていた、彼女は兄を見るとすぐに言った。
「新井さんも色々考えているから」
「だからか」
「そう、来年のカープ強いわよ」
「新監督になって生まれ変わってか」
「そうなってね」
 それでというのだ。
「本当によ」
「来年はカープ優勝か」
「日本一よ、見ていなさいね」
「それを言ったら阪神だってな」
 兄は強い目で話す妹に負けじと返した。
「新監督だからな」
「二期目でもね」
「だからな」
「新監督同士でなのね」
「勝負だ、いいな」
「望むところよ、どっちが勝つかね」
「勝負だ、恨みっこなしでな」
 そのうえでというのだ。
「戦うぞ」
「それじゃあね」
「今はエールを送るからな」
 スポーツマンシップを出して述べた。
「お互い頑張ろうな」
「ええ、シーズンオフもね」
「練習して力を蓄えて」
「勝負だ」
「ペナントはね」
 二人で激突する様に言い合った、火花は散った。しかし悪い雰囲気ではなかった。そこには正々堂々としたものがあった。
 そしてだ、二人共それぞれの部屋に入った。そこで予習復習とそれぞれが愛するチームのことについての研究を行ったのだった。愛情があるからこそ。


お互い新監督   完


                      2022・10・30 
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