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夫が不倫とか

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第一章

                夫が不倫とか
 その電話を聞いてだ、谷田悠はまず我が耳を疑った、そのうえではじめて聞く声の相手にいぶかしむ声で尋ねた。
「主人がですか」
「はい、貴女のご主人がです」
 若い女の声であった。
「浮気されていますとです」
「そうですか」
「そのことを申し上げておきます」
「わかりました」
 一応聞きはした、だが。
 家のリビングにいる勤めている会社では課長をしている夫の昭夫を見た、夫は小さい目におちょぼ口にだった。
 黒く短い明らかに風呂の時洗いやすく拭きやすいことだけを考えた髪で一七五程の背で相当な太鼓腹をしている、ジャージ姿で寝そべってポテトチップスをしながらテレビを観ている。
 その夫を見てからだ、彼女は携帯で自分の姉の聡子に話した。
「うちの人が浮気してるって今電話があったの」
「昭夫さんが?」
「そうなの」
「絶対にないでしょ」
 姉は電話の向こうの妹に言った、二人はそっくりの外見で太い短い眉におかめ顔である。髪型も同じ感じで黒髪を伸ばしている。背は共に一六〇位でそろそろ肉がついてきた感じであることもそっくりである。
「あの人は」
「そうよね」
「というかいつも定時に帰ってきてるでしょ」
「あの人の会社残業に五月蠅いしね」
「それでお休みの時はでしょ」
「今みたいにお家でごろごろしてるわ」
「それで浮気なんてね」
 それこそというのだ。
「ないわよ」
「そうよね」
「ええ、何かの間違いよ」
 聡子は断言した。
「それはね」
「やっぱりそうよね」
「試しに昭夫さんに若い女の人から電話があったってね」
「言えばいいの」
「それで少しでもどきりとした感じがあったらね」
「浮気してるの」
「けれど何でもない感じだったら」
 それならというのだ。
「ないわよ」
「そうなのね」
「だから聞いてみたら?」
「それじゃあね」
「ええ、そうしてみるわ」
 姉の言葉に頷いてだった。
 悠は電話の後で夫に実際に聞いてみた。 
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