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心を開いた烏

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第二章

 同居をはじめた、最初は籠の中に入れてだった。
 いつも優しく声をかけ餌をふんだんに与えた、そして。
 数日経ってだ、両親と話してだった。
「そうか、もうな」
「籠の出入り口をいつも開けて」
「家の中を飛べる様にか」
「するのね」
「トイレは籠の中でするみたいだしね」
 マナリンはこのことも見極めて話した。
「そうしよう、狭い籠の中だけだと」
「やっぱり嫌だな」
「ストレスも溜まるわね」
「だからそうしよう」
 こう言ってだった。
 籠の中から何時でも出られる様にした、するとだった。
 ロキは家の中を飛び回る様になった、そしてまた慣れるとだ。
 家の外にも行ける様に家の窓を開けた、そうしていってだった。
 彼との生活を続けていった、優しい声もかけ続けご飯もいつも用意していつも家族として接しているとだった。
 家に来た理事にだ、マナリンは笑顔で話せた。
「時間はかかりましたが」
「貴方とすっかり仲良くなったね」
「はい、今ではです」
 マナリンはソファーに向かい合って座っている理事にその間にあるテーブルの横を歩いているロキを見つつ話した。
「この通りです」
「すっかりだね」
「家族になって」
 そうしてというのだ。
「仲良くしています」
「それは何よりだよ」
「ただ烏は頭がいいので」
 マナリンは理事に苦笑いでこうも話した。
「悪戯もです」
「するんだ」
「よく、ですがそれは遊びで」
「家族の間のだね」
「それにも応えて」
 そうしてというのだ。
「仲良くしています」
「それもよしだね」
「はい、これからも仲良くします」
「カア」
 ロキを見つつ笑顔で話した、そしてロキもだった。
 自分もそうするという風にマナリンを見て鳴いた、その彼を見てマナリンも理事も笑った。そこにこれ以上はないまでに確かな絆を見たからこそ。
 マナリンはロキと親しく暮らした、それはまさに家族同士のものだった。家族に先立たれた烏は新たな家族とそうしていった。


心を開いた烏   完


               2022・10・27 
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