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ドラゴンボールZ~孫悟空の娘~

作者:setuna
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第89話 

 
前書き
悟飯のお祖父ちゃんとお祖母ちゃんへの相談コーナー。 

 
悟飯は目の前の父と姉に似た男女に混乱していた。

「えっと…あなた達は父さんを知ってるんですか?」

「バーダック?」

「時々見る未来で…お前達の姿を見ていた。俺とこいつはカカロットの親だ。一応な…ギネ、こいつはカカロットのガキだ。こいつが勘違いしてた奴がこいつの姉だ…顔はお前に似たようだな」

「え!?カカロットの!?あ、あんた本当にカカロットの息子なのかい!?」

「え、ええ…」

父と姉に似た顔立ちの父方の祖父母。

確かにラディッツが言っていたように父や姉にそっくりだ。

しかし、本当にこの2人はラディッツと同じサイヤ人なのだろうか。

ギネは下手すれば姉より穏やかでバーダックも荒々しさは感じるが雰囲気は…近いイメージで言うと自分が学生だった頃のベジータか、初めて超サイヤ人に変身した父に近い。

「いやー、あたし達もお祖父ちゃんお祖母ちゃんになったんだねバーダック!悟飯だっけ?あんたに顔がそっくりじゃないか!あたしに似た孫もいるんだって?見てみたいねぇ…」

「興味ねえな」

「何だい?フリーザが惑星ベジータを消そうとした時、カカロットを守るために地球に飛ばした癖にさ。この天の邪鬼」

「お前の甘ったるい病気が移っただけだ。ただの気紛れだ……で?カカロットのガキ…てめえの親父は強えか?」

「も、勿論です!父さんは宇宙で一番強いんです!」

実力ならば悟林もベジータも負けてはいないが、悟空には何があっても何とかしてくれそうな安心感があった。

それを聞いたバーダックは地獄の鬼から奪ったのだろう酒を一口呷った。

「そうかよ、飛ばす直前まで泣き喚いていた下級戦士のガキがそこまで強くなったか」

口調はぶっきらぼうだが、その声にはどこか温かみがあった。

ラディッツから聞いたのとは違うが、悟空は両親に守られて地球に飛ばされたのだ。

「(何でこの2人の子供なのに伯父さんはあんなだったんだろう?)」

宇宙の神秘を感じた悟飯であった。

しかし、バーダックも今ではサイヤ人にしては穏やかだが、ギネと交際し、結婚するまではサイヤ人らしい人物だったのでラディッツがそんな性格でも全然不思議ではないのだが。

バーダックの変化はギネによるところが大きい。

ベジータがブルマ達との交流で穏やかになったように。

「それで?あんた何であたしを見て謝ってたのさ?」

「う…じ、実は…」

祖父母に今までの経緯を話すとギネは反応に困り、バーダックは酒を再び呷ると口を開いた。

「情けねえ野郎だ。」

「う…やっぱり…そう、ですよね…」

情けない奴扱いはされてきたが、悟空と同じ顔と声で言われるのは流石に堪えた。

「サイヤ人どころか男以前の話だ。いくら力がかけ離れてるからって双子の姉貴に言われ放題で悔しくねえのかてめえは?」

「そ、それは…悔しいです…」

「何で立ち向かおうとしねえ?話を聞く限りてめえの姉貴はサイヤ人に近え考え方だ。この甘ったるい病気持ちに似てんなら少なくても根性さえ見せりゃあ馬鹿にはしねえよ。昔のギネみてえに間抜けな顔しやがって」

「何だってーーーっ!?」

馬鹿にされたギネは怒ってバーダックの頭を叩くが、バーダックには大したダメージにはならない。

「根性…」

何度やられても立ち上がり、ぶつかっていく。

力の大会の前に言われたことがある。

自分に必要なのは幼い時にあった根性だと。

「まあ、後はてめえらガキ共の問題だ。てめえが認められるような根性見せられず見下されたまま終わるか見直されるかはどのみちてめえがやらなきゃ何にもならねえ。カカロットはどうもガキに甘えみてえだ。ギネの血が濃いみてえだな。」

「良いじゃないか優しい子に育ったんだから!」

「優しいサイヤ人なんか惑星ベジータじゃ笑い者だぞ」

こうして喧嘩する祖父母。

会う機会などないと思っていたが、こうして会えたことを考えるとこの事件も害悪だけではなかったらしい。

「いやー、それにしてもカカロットは娘もいるんだろ?会ってみたいねぇ」

「無理に決まってんだろ馬鹿。こいつはお前に似てドジだからさっさと死んだんだろうがまともなサイヤ人なら、強え敵と殺り合ってマシな死に方してるだろうぜ」

「馬鹿とかドジって言うなあっ!!」

「おーい、悟飯ちゃん。ちゃんと結界何とかしてる?」

地上の敵を一掃し、残りをピッコロとヤムチャ達に任せてデンデと共に戻ってきた悟林。

突然の悟林の登場にフリーズする一同。

悟林はバーダックとギネに驚くものの、サボっている愚弟に拳骨を入れた。

「痛あっ!な、何するんですか姉さん…痛たたたっ!?」

愚弟にアイアンクローを噛ます悟林。

「お前ね、結界任せるって言ったのに何で壊してないの?サボってお喋りとは良い御身分だねぇ」

「え、えっと…その…途中でお祖父さんとお祖母さんが出てきたもんで…」

「へえ、随分下手くそな嘘だね悟飯ちゃん」

冷たい笑みを浮かべながらそのまま力を入れようとする。

バーダックは妻に似た孫娘のサイヤ人らしい部分を見て違和感を感じる。

「(どうも、ギネに似てるせいか違和感しかねえ)」

「ねえ、あんた!あんた本当にカカロットの娘なのかい!?」

「え?カカロットって…もしかして本当にお祖父ちゃんとお祖母ちゃんなの!?」

「そうだよ、うわあ…本当にあたしとそっくりだ!」

「へえ、悟飯ちゃんの即席の嘘じゃなかったんだ。初めまして、お祖父ちゃん、お祖母ちゃん」

悟飯を放り投げて祖父母に挨拶する悟林。

「てめえがカカロットの娘か…ギネよりはサイヤ人らしいじゃねえか」

「それはどうも、お祖父ちゃんって本当にお父さんそっくりだ。あ、そう言えばお祖父ちゃん達で思い出したけどさっき現世にいた伯父さんも消し飛ばしちゃったなぁ。ごめんね?」

「ええー!?ラディッツが!?そんなぁ…折角現世で暴れられるってはしゃいでたのに、出てって数秒で自分の姪に殺されてあの世送りに…」

地獄に落ちて悟空とピッコロへの恨み言ばかり言って何時まで経っても生き返らせてくれる気配がないベジータに文句を言いながら捻くれていたラディッツだった。

同じく地獄に落ちたナッパや他のサイヤ人からは弱虫根性なし、良い年齢で尻尾を鍛えてない腑抜け野郎とかボロクソに言われ放題でどうしようもなくなっていた。

そして地獄から出られると分かった時は意気揚々と出てったのだが、まさか自分の姪に殺されて出オチを噛ますとは。

「はっ、気にすんじゃねえよ。同族殺しなんてサイヤ人じゃ珍しくもねえ。親が子を殺し、子が親を殺す…血縁同士で殺し合うなんてサイヤ人じゃ良くあることだぜ。てめえにあっさりと殺されるラディッツの野郎がわりいのさ」

「そう言ってくれると助かるよ!ありがとうお祖父ちゃん!!もしかしたらいくら伯父さんなんかでも殺したら怒られるかなって思っちゃった」

「ね、姉さん!お祖父さん!確かに伯父さんは最低で卑怯者で姑息でどうしようもない奴だったけど言い過ぎですよ!」

確かにラディッツは悟空の兄とは思えないくらいに最低で小者で卑怯者、戦士の風上にも置けない屑だったがそこまでボロクソに言わなくてもと悟飯は思った。

「本音は?」

「少しスッとしました…って何言わせるんですか!?」

「正直でよろしい」

「あははは!仲良いじゃないかあんた達!」

ギネが姉弟の姿に微笑ましさを覚えたのか笑いだした。

「そりゃあ手が掛かる問題児だけど弟だからね、ちゃんとそれなりに扱ってるよお祖母ちゃん」

「問題児って何ですか!?」

「修行サボる、すぐに気を抜く、肝心な時にヘマをやる。親としても問題ありだったり、感情で突っ走ってやられる。これを問題児と言わないで何て言うのかな悟飯ちゃん?」

「うぐぐぐ…」

身に覚えがありすぎる悟飯は悔しそうにしながらも悟林を睨むしかない。

「まあ、勉強しか取り柄がないから仕方ないよね?お前は結界壊しに集中しなさい」

悔しげにしている悟飯だが、何かが吹っ切れたのか結界に向かっていき、息を深く吸い込んで叫んだ。

「“姉さんの馬鹿野郎”ーーーっ!!!」

「は、はあ!?何いきなり文句言ってんのお前!?ん?」

悟林が悟飯の胸倉を掴んだ次の瞬間、結界が砕けた。

「…この結界は悪口で壊れるんですよ」

「へえ、でも何で私への悪口なのかを聞きたいなぁ、悟飯ちゃん」

「だって僕が言えることと言えば姉さんへの文句ですし」

「へえ~?」

「なあにが問題児ですか!姉さんだって自分の都合で生き返らなかったりやりたい放題だったりで父さん達が気にせず言わないだけで姉さんだって充分問題児ですよ!この自分勝手!」

「はあ!?お前なんかにそう言われる筋合いないっての!この弱虫!!仕事優先ですぐ行けるはずのパンちゃんへのお迎えにさえ行かない時点でお前も充分自分勝手でしょうが!」

「僕は仕事してるんです!無神経な姉さんみたいにやりたい放題出来るわけないじゃないですか!」

「私だって仕事してるっての!と言うより父さんが修行の時、そしてお前がアルバイトもせずに勉強ばっかりの生活をしていた時や学者として大成するまでお前の分まで家にお金入れてたのは私だよ!!この甘ったれの愚弟!!」

実を言うと悟空が修行で不在な時は悟林が畑の世話をしているだけでなく、更に街で賞金首を締め上げて金を手に入れてたりしていたので勉強ばかりしていた悟飯が知らないだけで結構な額が実家に入れられている。

「まあ、それに関しては返す言葉もないですけど…それでも姉さんは自分の都合で僕達を振り回してるじゃないですか!時々理不尽なことを言ってる自覚あります!?」

「理不尽じゃないっ!私は出来ないことは言わない主義だよ!ちょーっとやるにはキツすぎるだけ!!実際に父さんやベジータさんはやれてるじゃないの!!お前が軟弱すぎるだけだよ馬ー鹿っ!!」

「脳みそが筋肉な姉さんに言われたくありませんね!!少しは脳みその筋肉を減らしたらどうです?あ、すみません、姉さんには無理でしょうね。ぐはっ!?」

「良い度胸だねぇ!根性なしの泣き虫が!お望み通りあの世に送ってやるよ!!勉強ならそこでやりなさい!!」

「僕は事実しか言ってませんよ脳筋姉さん!!事実を言われて八つ当たりは止めてくれませんか!?」

2人が喧嘩する横で結界が割れ、大きな穴が出来上がっていた。

「仲良いねぇ」

「下らねえガキの喧嘩だ。行くぞギネ、鬼共から何か食い物を奪って飯だ」

呆れた顔でバーダックはこの場を後にして近くの鬼を脅しに向かうのであった。

一方地獄ではファイナルフラッシュがジャネンバに直撃し、煙が晴れるとそこには体の所々が吹き飛んでおり、虫の息のジャネンバが転がっていた。

「よし、やったな」

「これでこの騒ぎも終わったね。さあ、帰ろう…ん?」

閻魔界に戻ろうとした時、ジャネンバに異変が起きる。

体が大きく痙攣し、ジャネンバの巨体が縮んでいく。

「な、何だ…この気は…!」

「どんどん気が膨れ上がっていく…」

変化が終わるとジャネンバは大きく縮み、体格は人間サイズとなったが、その気は先程とは比べ物にならず、無邪気さも完全に無くなっていた。

「「何て奴だ…」」

あまりにも邪悪で強大な気。

セルマックスすら超える気にトランクスと悟天は寒気を感じながらも構えるのであった。 
 

 
後書き
バーダックはちゃんと超のようにラディッツのことはそれなりに想ってますが、それはそれ、これはこれ。 
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