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イチゴノキ

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第二章

 少女はピーボワンそれに彼の従者と共に火を囲んだ、その燃え盛る火を前にして少女は座ると笑顔で語った。
「私はセガンというの」
「わしはピーボワンだ」
「ピーボワン様の従者です」
 従者はこう語った。
「コヨーテの姿なのでコヨーテとでもお呼び下さい」
「そうなのね」
「はい、その様にでも」
「わかったわ、それでピーボワンさんは何が出来るのかしら」
 セガンはここでピーボワンに尋ねた。
「一体」
「わしは冬の精霊だからな」
 ピーボワンはこのことから答えた。
「雪と氷、それに寒さは自在だ」
「そうなのね」
「若い頃は強かった」 
 老人はこうも言った。
「ほんの一息で川は凍り流れは止まり」
「そうなったのね」
「葉は枯れ落ち花はしおれた」
 老人は弱い声で話した。
「世を雪と氷で覆ったものだ」
「そうなのね」
「そうだ、今は年老いて何も出来なくなったが」 
 こう言うのだった。
「そうだった」
「わかったわ、では私が出来ることを話すわ」
 セガンは彼の話を聞いて述べた。
「これからは」
「そうしてくれるか」
「ええ、私は夏の精霊よ」
「そうだったのか」
「私が息をすると花が開き」
 セガンは微笑んで自分が出来ることを話していった
「凍った川は溶けて葉は緑になってお花が咲くわ」
「そうなのだな」
「ええ、そうよ」
「わしと正反対だな」
「そう思うのね」
「うむ、わしは年老いていてあんたは若いな、だからな」
 ここでこうも言ったピーボワンだった。
「羨ましくもある」
「それは」 
 従者が弱い声で話す主に言った。
「あまりです」
「言わないことか」
「はい」 
 こう言うのだった。
「あまり」
「貴方は今は寝ることよ」 
 ここでセガンはピーボワンに話した。
「そうしたらいいわ」
「寝ればいいのか」
「ええ、もうね」
 それこそと言うのだった。
「従者さんと共にね」
「寝ればどうなるのだ」
「貴方は起きた時にはまた若くなっていて」
 そうなっていてというのだ。
「そしてね」
「元気になっているか」
「餓えもね」
 これもというのだ。
「なくなっているわ」
「そうなのか」
「だからね」
 それでとだ、彼はさらに話した。
「今から私が火を木に変えるわ」
「そうするのか」
「そしてその木の実を食べて」
 そうしてというのだ。 
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