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チートゲーマーへの反抗〜虹と明星〜

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R7話 Death game【物語】が動き出す

 
前書き
解放結社タイフォン———COVの新しい株の名前となっていて驚きです。 

 




「俺の名はコルボ———あの堅物の別人格だ。」
「!?」


突如現れた男———しかし。


「とりゃ!」
「いっ!————」パタリ
「!?!?」


厨二病患者ダダ漏れの男は短い金属でコツンと頭を叩かれ、そのまま気を失ってしまう———犯人はスタイルの良いギャルっぽい金髪JK。

冷静を心がける菜々も、次々起こる意味不明な事態に困惑を隠せない。


「あ、あなたは…情報処理学科二年 宮下愛さん?———ということは…そこの人は『軍事学科』一年 宮下陽人(はると)さん?」
「うん———ところでその子、学校の近くで捨てられてて、どっちの家も飼えなくてさ……」
「!———校則では学校での動物放し飼いは禁止されていますが……」


菜々は少し微笑みを見せながら、璃奈の元へと屈んで尋ねる。

「その子……名前はなんていうんですか?」
「「……!!」」


その言葉———ポジティブな返答であることは言うまでもない。それを聞いて2人は安心したように表情が緩む。

そんな時……


「うっ…痛———」
「お、『はる』起きた?」
「姉ちゃん——今日は強く叩きすぎだって。」
「あはは…りなりー、どんくらいだった?」
「いつもより——20%強かった。」


起き上がった中背の青年……先ほど菜々が言った通り、彼こそ宮下陽人———愛の年後の弟。

陽人に早速、事態に困惑している菜々が尋ねる。


「陽人さん、今のは一体……?」
「あぁ…コルボの事は気にするな。たまに人格が切り替わるだけだからな———ところで生徒会長、アンタに知らせなきゃならないことがある。」
「?」


突如真剣な面持ちになる陽人。


「防衛学科———日本政府の外部組織だ…その政府からとあるお達しが入った。」
「お達し…ですか?」
「ああ。この学校にもスクールアイドルってやつが存在してる——それに限らず、このお台場はスクールアイドルイベントが数多く開催される地域だ。そしてどういう訳かそのイベントにトラブルが多発している…怪我人も無視できない以上、これからはスクールアイドル関連のイベントは俺たちが警備する。」
「そう…ですか。」
「一応この事、生徒会長の耳にも入れておこうと思って。」
「スクールアイドル同好会の方にはこのこと…」
「じきに伝えるつもりだが———この件は情報規制がかけられていることも多い。もしよければ、アンタが伝えてもいいんだ。」
「—————」


しばらくの静粛の後……菜々は誰にも判別できないように、小さく返事した。




————※————



大都市 東京———その秘所に巣食う廃ビル。以前侑たちの前に姿を現した、解放結社タイフォンのアジトである。

その中で2人……メンバーの,シンは退屈そうに小汚いソファに寝転がる。


「あーあ、つまんね。そろそろ暴れてぇのによ〜!」
「落ち着きなシン。もうすぐ淳一から指令が降るはずさ……ゼロワンとの戦闘をね。」
「アイツとの戦いは震えたぜ。もう一回勝負してぇな〜」
「私も……あんなボウヤに負けたままも恥ずかしいしね。」
「ん…?」


相方である女戦士 アキの「ボウヤ」という言葉に疑問を抱くシン。早速それを訪ねる。


「ボウヤ?アイツは女だろ?」
「あらそう?でも自分のことボクって呼んでたわよ?それに戦い方も女にしては少しモーションが大きかった気がするわ。」
「男の娘……?それとも男が女装してんのか———ま、どっちでもいいや。」


チリリン!チリリン!


アラートのような音がその建物に響く———緊急連絡、もといリーダーである羽田淳一 仮面ライダーグレイブからの連絡だ。


「ほら来たわ……いくわよシン!」
「おうよ!」


2人はその連絡通話を———開始する。




————※————




コツコツコツ……


菜々は先ほどの一仕事を終え、校舎を渡り歩く———ふと1つの念からポケットに入れていた紙切れを取り出す……伊口イフトの連絡先だ。


「(弟……ですか。)」


弟の名は那由多———限りない存在を現した言葉……長生き、永久の繁栄を願った名前。どういうわけか、せつ菜…刹那という言葉と対照的である。

永遠の一瞬……刹那な永遠か。

自分がそれを意識して「せつな」と名付けたかどうかは、当事者たる菜々すらわかっていない———本人はアニメキャラから取ったと思い込んでいた。


「(もし生きているなら……高校一年生ですか——でもあの人が妙に胡散臭いですね。)」


イフトの胡散臭さは否めない———人柄に関わらず…だ。そもそも最悪を想像すれば、「弟を誘拐した」連中とも解釈できなくもない。それ抜きにしても「自分の知らぬ過去」などと謳う者に信用など置けるはずもない。


「(早々には決められません……)」


再び紙切れをポケットにしまう菜々———すると聞き覚えのある曲がピアノ調で流れてくる。


「(これは……!)」


その音源を求めて、菜々は音楽室へと向かう———と、そこには……


〜〜〜♪


「なんでその曲を——」
「……?うわっ!せ、生徒会長!!」


菜々がふと呟いたことで驚くのは、高咲侑。弾いていた曲はCHASE!———せつ菜のシングルだ。内心複雑な気持ちな菜々であるが、音楽室の無断使用は見逃せない。


「高咲侑さん、音楽室の使用許可は取ったんですか?」
「いや〜あの〜ごめんなさい!ちょっと弾いてみたくて———」
「はぁ……」


反省の弁を述べながらもテンション高めな侑にため息をつく菜々。それも束の間、侑は目を輝かせながら菜々に詰め寄る。


「ところでさっきせつ菜ちゃんの曲知ってる感じだったよね?いいよね『CHASE!』動画とか見てたの!?もしかして会長せつ菜ちゃんのファン!?そうならそうと…ect」


どんどん距離を詰めながら菜々に近づく侑……鼻と鼻があとほんの数ミリでくっつくほどにまで近づいたところで流石の菜々も恥ずかしさを隠せなくなる。


「ち、近いです…!」
「あ、ごめんごめん……」
「———そういえば前会った時、優木さんに会いたがっていましたね。」
「うん!大好きなんだ!———あんなココロにずしっとくる歌……初めてだったからさ。」
「————!」
「私、夢中になれるモノなんてなかったけど———スクールアイドルに出会って……いま、毎日がすっごく楽しい!!」



紛れもない。彼女の大好きのきっかけになったのは紛れもない自分……優木せつ菜なのだ。何か気の迷いが菜々の心を抉る。そんなことをつゆ知らない侑は希望に溢れた話を続ける。


「かすみちゃんが誘ってくれたから、歩夢と一緒に同好会にも入って……」
「同好会?」
「うん…あっ、勝手に部活始めたわけじゃなくて」^^;
「特に問題ありませんよ——スクールアイドル同好会は一度廃部になりましたが、再度立ち上げてはいけないという校則はありませんから。部員が5人以上集まったらすぐに申請しに来てください。」
「そうなんだ———」
「———優木さんが聞いたら、喜ぶでしょうね。」
「だといいけどなぁ……!」


期待の言葉が胸を抉る。ある人は「期待やポジティブな感情が対象者の心を傷つける」と述べる。まさしく菜々は侑の何気ない期待の一言で、心をぶっ裂かれている。

だが———


「何で辞めちゃったのかな……」
「……」
「こんなこと思っても仕方ない———けど思っちゃうんだ。あのライブが……終わりじゃなくて、始まりだったら……ものすごい大きなトキメキの始まりだったらって……」
「何で幕引きに水を刺すようなことを言うんですか……」
「え…?」
「いい幕引きだったじゃないですか———あそこで優木せつ菜というアイドルは、幕を閉じるべきだった……あのまま続けていれば同好会は



『白けることするなよなぁ……』



突如、2人の背後から聞こえる声……若々しくイケてる声でありながら、威圧感のある声だ。

当然侑と菜々は後ろを振り返る———立っているのは、黒いスーツを着た背高の美男……肉体美とそれに負けないような美しい黒髪と黒眼を持った。

そして……侑には、どこかで聞き覚えのある声だろう。が、未だに勘付いていない。


「まさか……俺の教えを捨てるとはな。」
「あ、あなたは…?」
「全く———社会のレールってのは、これほどまでに人を毒するとは。」


「俺」は———そして得体の知れぬ威圧感をその場に振り撒く。


「「ッッッッッ!!!!」」ゾクゾクゾク!!
「———これくらいの威圧で倒れないのは当たり前か……」
「あ、あなたは…!」
「遅い。」
「!!!」


侑は完全に気付いてしまう———目の前にいる男が一体誰か。


「エグ…ゼイド!!」
「そんな邪険にするな———俺はちょっとコイツに用事があるだけだ。」
「生徒会長に…?どういうつもりですか!?」
「コイツを自分の道に戻してやろうと思ってな……スクール


バン!!!!


音楽室のドアが乱暴に開かれる————


「侑ちゃん!!」
「あ、歩夢!!」
「ん…?」

現れた歩夢……鋭くも、ハイライトの消えた昏い目線は俺へと向けられる。

「(お前———あんな呪い効かなかったか。)」
「(お前って……ちょっとは自分のキャラを守ったらどうだ?)」
「(ふふっ…前言いましたよ?侑ちゃんを傷つけるなら———呪い殺すって。)」
「物騒なこと言ってんじゃねーよ。」
「「………?」」


歩夢はテレパシーのようなソレで、俺を牽制する———俺はそれツッコミ返す。このやりとりは外界には聞こえない。故に侑と菜々には俺と歩夢が距離をとって向かい合っているだけだ。

普通の少女であるはずの歩夢にこんな力があること自体、不思議に思うべきなのだろうが。


「さてお前らに用はないが……俺にゲームを仕掛けようってなら、乗ってやるよ。」
「くっ————」
「さ、どうする?侑。」


当然戦うべきじゃない———しかし、ここで逃すと……生徒会長が酷い目に遭うかもしれない。だから見逃すという選択肢はまずない。かといって、ここで俺と戦うことになれば当然この部屋はおろか、学校が無茶苦茶になる可能性がある。

どちらにしても失うモノが多すぎる———そんな心はお見通しだ。


「じゃあ、選択しやすくしてやるよ。」
「?」


【ステージセレクト!】


装着したベルト…ゲーマドライバーを起点に、小広い音楽室が古びた廃工場へと姿を変える。まるでゲームのような転移システム。

非現実的なソレにその場にいた侑たちは驚きを隠せない。


「「「!!!」」」
「なーに。場所はほとんど変わってねぇ——説明するとちょっと難しくなるが……これなら思う存分戦えるってわけだ。」
「……!」


一体何を考えているか見当もつかない。しかし今それは問題じゃない———肝心なのは「そういう状況」になったことだ。


「歩夢!生徒会長を…!」
「う、うん…」


歩夢は菜々を連れてゲームエリアの外に出ようとする……が、しばらく離れたところで菜々の足取りが重たくなる。


「生徒会長?」
「いえ、結構です。前に一度…『観ましたから』。」
「……!?」


〜〜〜〜〜



侑は歩夢と菜々が離れたことを確認すると、改めて俺の方を睨む———頭2つ以上背の高い男を。


「今度は倒す……!」
「お、いい目になったじゃねぇか———」


【JUMP!】

【Authorize!】


「変身!」


【ライジングホッパー!】


侑はすぐさまゼロワンへと変身を遂げる。俺は余裕の態度を崩さず、ゼロワンに面と向かう。


「1つ言い忘れたな……」
「何?」
「俺の名は伊口才———またの名を仮面ライダーエグゼイド。」


【マイティアクションX!】


ピンクのガシャットを起動する……するとタイトルロゴが背面に現れ、コイン状のエナジーアイテムが振りまかれる。


「大変身!」


【ガシャット!】

【ガチャーン! レベルアップ!】

【マイティジャンプ!マイティキック!マイティマイティアクションX!!】


逆立った髪の毛のような頭部が特徴の…仮面ライダーエグゼイド アクションゲーマー。皆が知る姿は同じだろうが……強さは別格とだけ言っておくべきか。

早速、お気に入り武器であるガシャコンキースラッシャーを召喚する———それに呼応するようにゼロワンもアタッシュカリバーを召喚する。

———武器を手に取った瞬間、侑は俺の不意をつくようにリズムよく飛び出す。無論、俺はサッとかわす。


「おっと……前よりスピードが速くなったか。」
「そうかもね———けど、こんなもんじゃないよ!!」


ゼロワンはお得意の黄色いエフェクトを伴った高速移動で、俺を撹乱しようとする———が、俺は左拳で左方にストレートパンチを放つ……命中。


「うわっ!」
「高速移動は確かに自分より同格以下には通用するだろうが…格上には見切られるのがオチだ。それにスピードはその分受けるダメージを倍増させる——そういうのはもうちょっと小物に使うんだな。」
「何か腹立つなぁ……!」
「煽りプレイもゲームの醍醐味だろ?」
「ゲーム…?」


俺が放った言葉に———ゼロワンは怒りをあらわにする。


「ふざけないでよ……命の懸かった戦いを——「ゲーム」なんて軽々しく言わないでよ!!」
「別に軽々しくねぇよ。命の懸かった最高にスリリングなデスゲーム……心が躍るだろ?」
「黙ってよ!!」


ゼロワンはハイスピードでパンチを繰り出すが、俺はそれを大きくバックジャンプして避ける。


「よっと……」
「くっ————」
「いずれにしても…お前が仕掛けた戦いだ。敗者にふさわしいエンディングを迎えさせてやるよ。」


命懸けのデスゲーム————そんな最中……


〜〜〜〜


「みゃー!」
「どうしたのはんぺん!?」
「猫は危機察知が優れた生き物———何か起こってるのかも。」
「まさか……怪人か!?」



邂逅も近い………











 
 

 
後書き
初期フォームだと…舐めたプレイしあがって!


※じきにライダーのスペック集を公開しようと思います。

 
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