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仏舎利は本当か

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第二章

「本物はです」
「幾つあるか」
「まあそう言っているだけで」
「本物はだね」
「果たして幾つあるか」
 こう言うのだった。
「それが現実です」
「そうなんだね」
「しかし」
 ここでだ、僧侶は。
 少し真面目な顔になってだ、オズバーンに話した。
「そこに信仰があれば」
「いいんだ」
「釈尊を敬いそのみ教えを信じる」
「それがだね」
「あれば」
 そうであればというのだ。
「いいのです」
「そうなんだ」
「ですからトリノのです」
「聖骸衣もです」
 これもというのだ。
「信仰があり」
「教えをだね」
「敬えば」
 そうすればというのだ。
「いいのです」
「そうなんだね」
「はい、例え本物でなくとも」
「そこに信仰があればだね」
「いいかと、では」
「うん、信仰はね」
 オズバーンは笑顔で応えた。
「持って行くよ、僕もね」
「はい、ですから」
「仏舎利もだね」
「信じ」
 そしてというのだ。
「また聖骸衣も」
「信じることだね」
「大事なのは本物かでなく」
「そこに信仰があるか」
「そう考えますが」
「それも考えだね、いいこと聞いたよ」
 オズバーンはまた笑顔で応えた。
「では僕はボストンに戻ってもね」
「このことをですか」
「頭に入れて信仰をしていくよ」 
 こう僧侶に話した、そしてだった。
 彼は実際にアメリカに戻ると素直に信じる様になった、実は以前からそうだったが前異常にそうした。聖骸衣もそれでいいと答えた。そこに信仰があるのならと。


仏舎利は本当か   完


                 2022・10・24  
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