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超地球救済戦記!断罪王Ω〈オメガ〉~戦争もやめねぇ!環境破壊もやめねぇ!バカで愚かな人類は身長170センチ以下の無職童貞ニートの俺が全員滅亡させる‼~

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第百十話 20××年 5月7日 その3

第百十話 20××年 5月7日 その3

アカリさんの命令でヤヨイちゃんを捕まえに来たナガツキちゃんが俺の両親を人質に取った。
それを見て激怒したヤヨイちゃんとナガツキちゃんの戦いが今、始まろうとしていた。
俺の実家の中で。
「どんな手段を使ったところで私は『ブレイズ』には入りません」
「あっそ、それなら!」
断罪刀『長月』を手に持ったナガツキちゃんがヤヨイちゃんに正面から接近する。
断罪刀『弥生』を手に持ったヤヨイちゃんは身をかがめて、ナガツキちゃんの両すねに鋭い蹴りを入れる。
ヤヨイちゃんは姿勢を崩したナガツキちゃんの背後に回り、ナガツキちゃんのうなじに断罪刀『弥生』の剣先を突きつける。
「私の勝ちですね。死にたくなかったら今すぐ、友助さんの実家から出てってください」
「なるほどね...断罪刀でしか倒せない『怪異』ならともかく...対人戦ならわざわざ、断罪刀同士の切り合いにこだわる必要がないものね...」
「人の話聞いてます?言うことを聞かないのであれば...」
「だったらとっと殺しなさいよ、友助の前で!」
「見苦しいですよ、負け犬の遠吠えは」
「できないわよねぇ!好きな男の前で人殺しなんて!血塗れになったあんたを見た友助があんたのことをどう思うのかわかってたから、あんたは私にとどめを刺せなかった!」
「ヤ、ヤヨイちゃん!」
「友助さん...安心してください、最初から、ナガツキちゃんを殺すつもりはありませんから」
ヤヨイちゃんがナガツキちゃんのうなじに突き付けていた断罪刀『弥生』でナガツキちゃんの右肩を切りつける。
ナガツキちゃんの右肩から噴き出た鮮血が俺の実家の床を汚す。
「ゔあああああああああああああああああッ!」
右肩に走る激痛にナガツキちゃんが右手に持っていた断罪刀『長月』を血塗れの床に落っことす。
「次、左いきますね」
断罪刀『弥生』がナガツキちゃんの左肩に向かって振り下ろされる。
左肩への攻撃を察知したナガツキちゃんが全速力で移動を開始、俺の実家の窓ガラスに体当たりをする。
窓ガラスを突き破ってベランダに出たナガツキちゃんは左手で空気中から死神の大鎌を彷彿とさせる武器を出現させて、左手に握った。
「断罪刀『水無月』...!」
「どう、驚いたでしょ?」
ナガツキちゃんが断罪刀『水無月』を俺の実家にいるヤヨイちゃんに向かって横に振る。
「友助さん!家の外に逃げて!」
断罪刀『水無月』から放たれた衝撃波が俺の実家に直撃。
俺に実家が爆炎に包まれる。
「ダメもとでやってみたけど、この調子なら案外いけそうね」
ヤヨイちゃんの警告を聞いた俺と母さんと父さんは急いでナガツキちゃんが体当たりして破壊した窓ガラスからべランダに脱出。
爆炎に包まれる俺の実家から、逃げ遅れた『ブレイズ』の軍人たちの悲鳴が聞こえてくる。
「あれ...ヤヨイちゃんは?」
ヤヨイちゃんはいつの間にか、ナガツキちゃんの背後に移動していた。
「『人間の身体能力の限界を超えた高速移動』、それが断罪刀『弥生』の能力...そうでしょう、ヤヨイちゃん?」
「正解ですね...」
ヤヨイちゃんはナガツキちゃんの右側に移動する。
「右手が使えないからって、なめんじゃないわよ!」
ナガツキちゃんが左手に持った断罪刀『水無月』でヤヨイちゃんの断罪刀『弥生』を受けとめる。
「あなたの右手が負傷していなければ、今のカウンターで『水無月』の衝撃波を放てたはず」
「そうよ!右手が使えて、私の反応が遅れてなかったらあんた今頃、死んでたんだから!」
「それはつまり私の判断は間違っていなかったということです、さらに、こうして断罪刀『弥生』で『水無月』を押さえておけば、あなたは『水無月』を横に振るうことができない、つまり、『水無月』から衝撃波を放つことができない」
「全部、あんたの想定通りだったってて言いたいわけ?」
「賭けでした、私が右側から接近した際に『水無月』の衝撃波を打たれていたら、私はあなたの言っていた通り、死んでいました」
「でも、まだ!」
ナガツキちゃんが右足でヤヨイちゃんの腹部を蹴って、ヤヨイちゃんから離れる。
そして、ナガツキちゃんが左手に持った断罪刀『水無月』を横に振るう。
『水無月』から放たれた衝撃波が腹部にダメージを負ってベランダでうずくまるヤヨイちゃんに接近する。
ナガツキちゃんはヤヨイちゃんに衝撃波を回避されることを想定して、左手に持った断罪刀『水無月』を何度も横に振るう。
断罪刀『水無月』から連続して放たれた衝撃波がヤヨイちゃんを襲う。
「ヤヨイちゃん!」
俺は走って、うずくまっているヤヨイちゃんを正面から抱きしめる。
「なにやってんだ友助!」
「そうよ、友助!いますぐ引き返しなさい!」
父さん、母さん、ごめん、でも、こうすれば、俺はヤヨイちゃんの盾になれる。
「友助さん!どうしてこんなことを!」
「か、体が勝手に...!」
俺とヤヨイちゃんに断罪刀『水無月』の衝撃波が直撃する瞬間、周囲が光に包まれる。
道路側から放たれた無数の光線と衝撃波が断罪刀『水無月』の強力な衝撃波を相殺する。
「これは断罪刀『皐月』と『如月』の攻撃...もしかして...」
足音がこちらに近づいてくる。
「ギリギリ間に合いましたね、サツキさん」
「ええ。久しぶりね、ヤヨイに友助」
「へ~あなたが高村友助?つーかヤヨイちゃん男の趣味悪くない?」
目を開けると、俺とヤヨイちゃんの前に、サツキちゃんと髪の長い巨乳の女の子を右肩に背負った背の低い女の子がいた。
「サツキちゃんにキサラギちゃんにミナヅキちゃん...どうしてここに?」
3人のうち2人は手に刀を持っている。
ということは3人ともヤヨイちゃんと同じ断罪刀の使い手なのか?
「あんたたち3人がここにいるってことは...カンナのやつしくじったのね...」
「サ、サツキちゃん、ケガはもう大丈夫なのかい?」
「ええ、あの時はありがとね、友助」
「でも、サツキちゃんたち、どうしてここに?」
「ヤヨイさん、それはあとで説明します、友助さんはミナヅキを肩に担いでに僕たちから離れてください」
「は、はぁ...」
「げ~っ!なんでこんなダサいおっさんに担がれないといけないわけ~」
「文句を言うなミナヅキ、友助、ミナヅキを頼んだわよ」
「お、おう」
俺は右肩にミナヅキちゃんを背負って、父さんと母さんのいる場所まで避難する。
さっきまでうずくまっていたヤヨイちゃんが立ち上がる。
「お、お父さんはどうなったの...?」
「ヤヨイ...杉本さんは自爆して、カンナを『ブレイズ』の追っ手ごと道連れにした」
「ヤヨイさん、すみません、僕たちが無力なせいで...」
「そんなことないです、サツキちゃんとキサラギちゃんがお互いの断罪刀の力を合わせて『水無月』の衝撃波を無力化してくれたから、私と友助さんは死なずに済んだんです」
「ヤヨイさん...」
「どうしたの、ナガツキ、もう『水無月』の衝撃波は撃ってこないの?」
「そりゃあ、あんた達が仲睦まじく友情ごっこしている間に『水無月』の衝撃波を打てたら、あんた達なんて今ごろ、全員死んでるでしょうね」
「それができないということは、つまり...」
「サツキさん!ヤヨイさん!ナガツキさんの体が!」
「もともと断罪刀『長月』と適合していたナガツキちゃんと断罪刀『水無月』との適合率の低下は時間の問題だった...」
「断罪刀との適合率が低下した実験体はいずれ『怪物』に進化する...」
「やっぱり、無理があったようね...今さらこんなこと言うのはアレなんだけどさ...私が私でなくなる前に...」
「はい、わかってます」
ヤヨイちゃんが断罪刀との適合率低下によって『怪物』になりかけていたナガツキちゃんの首を断罪刀『弥生』で切り裂く。
俺が見ているこの光景は、ここにいる4人の断罪刀の使い手達に待ち受ける末路なのかもしれない。

次回予告 第百十一話 20××年 5月7日 その4 
 

 
後書き
次回もお楽しみに 
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