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レーヴァティン

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第二百六十三話 全ての話を整えその十三

「この世に出る時にな」
「自殺してしまったであります」
「そうであったが」
 それでもというのだ。
「才能は発揮されていてな」
「認められていたであります」
「そうだった、あくまで向き不向きだ」
 有能か無能かという問題はというのだ。
「それで何とでもなる」
「誰でも才能はあるであります」
「何かにな、しかしな」
「ベリヤはでありますな」
「例えある分野で才能を発揮してもな」
 現に秘密警察の人間としては能力を発揮した、それまでのソ連の秘密警察の歴代長官達よりもだ。その仕事を的確に把握し精力的に働いていた。
「しかしな」
「行動が外道に過ぎるであります」
「多少どころではない」
「職権を濫用し女性に関係を迫り」
 ここでここにいる全ての者が嫌悪を露わにした、特に女性達が。
「断わるとであります」
「収容所に送りもした」
「親族を逮捕してから迫ったり」
「拉致もしてな」
「その後で家族ごと収容所送りもしたであります」
「時には自ら激しく殴って殺した」
「まさにであります」
 峰夫も嫌悪を露わにして語った。
「外道であります」
「外道の中でもかなり悪質だな」
「そうだったであります」
「だからだな」
「あの様な輩を用いると」
「害が酷い」
「国を腐らせるか」
「腐った国だからこそだ」
 そうであるからだというのだ。
「用いる」
「そうであります」
「腐らせるつもりも腐らせているつもりもない」
 英雄は忌々し気に言い切った。
「ならばな」
「ベリヤの様な輩でありますな」
「見付け次第だ」
 まさにと言うのだった。
「殺す」
「そうするでありますな」
「その時になると必死に泣き叫んで命乞いをするに決まっているが」
 現にベリヤはそうした、捕らえられ即刻裁判にかけられて死刑判決を受けてからそうして何とか助かろうとした。
「しかしな」
「容赦しないでありますな」
「俺は外道には容赦しない」
 英雄は自分の考えを一言で述べた。 
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