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星河の覇皇

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第八十二部第二章 国債その二十二

「目覚められるとな」
「このことについてですね」
「間違いなくな」
「ご存知になって」
「無念に思われる」
「そうならない筈がないですね」
「ご自身が率いておられれば」
 その時はというのだ。
「こうはならなかった」
「そう思われて」
「そして私はな」
 フラームは自分のことについても話した。
「敗れてしまった」
「それは私もです」
 フラームも無念の顔で述べた。
「残念ですが」
「お前もそう言うか」
「我々の采配の失態がです」
 まさにそれがというのだ。
「この事態を招いたのですから」
「失態か」
「アッディーン大統領に敗れた」
 このこと自体がというのだ。
「そうですね」
「そうだな、我々は敗れた」
「まさにそのこと自体が」
「失態だ、そして」
 フラームは苦い顔でこうも言った。
「この挽回はな」
「難しいですね」
「戦線を崩壊させてしまった」
 オムダーマン軍に敗れてというのだ。
「そうなってしまった」
「左様ですね」
「そうだ、だが」
「それでもですね」
「大きな疑問がある」
 フラームはアブーにこうも言った。
「一つな」
「何故かですね」
「我々は奇襲を受け続けた」
「魚雷のそれを」
「あれは何だ」 
 フラームはアブーに対して問うた。
「一体」
「それがわかりませんね」
「後方や側方から攻撃を受けてな」
「その都度でしたね」
「我々は大きな打撃を受けた」
「それがです」
「アッディーン大統領との会戦に敗れてな」
「そして」
 そのうえでというのだ。
「その日のうちにでしたね」
「全戦線で攻撃を受けて」 
「そのうえで、でした」
「この通りだ」
「戦線は崩壊して」
「軍全体が大きなダメージを受けた」
「予備戦力も含めてです」
 そうしてというのだ。
「全体の三割を失いました」
「全滅と言っていい」
「只でさえ我が軍は兵力は少なかったですが」
 国力の関係でだ、ティムール軍はオムダーマン軍より数が少ない。百の割合ではオムダーマンが六十五でありティムールが三十五といった具合だ。
 そのティムール軍がというのだ。
「三割を失うと」
「深刻だな」
「オムダーマン軍との戦力差は三倍近くです」
「そこまでに至っているな」
「はい、そうなりました」
「深刻だ」
 フラームはこのことを話した。 
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