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超地球救済戦記!断罪王Ω〈オメガ〉~戦争もやめねぇ!環境破壊もやめねぇ!バカで愚かな人類は身長170センチ以下の無職童貞ニートの俺が全員滅亡させる‼~

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第百三話  20××年5月5日 その3

第百三話  20××年5月5日 その3

ミナヅキが両手で持った死神の大鎌を彷彿させる断罪刀『水無月』から、ありとあらゆる物質を粉々に破壊する威力をもった衝撃波が放たれる。
全部で12本ある『断罪刀』の中でも『水無月』程、物量戦に適した『断罪刀』は存在しない。
しかし、それは、周りの人々や建物に与える被害もまた尋常ではないということだ。
私は、その断罪刀『水無月』から放たれた衝撃波を身をかがめて回避する。
私に向かって放たれた断罪刀『水無月』の衝撃波はそのまま、背後のビルに直撃、爆炎を上げる。
「さすがにわかってるわね」
「ええ、もし私が空中に逃げて、二発目の衝撃波を撃たれていたら、私は死んでいた」
「そう、空中では身動きはとれないもんね、でも!」
断罪刀『水無月』から二発目の衝撃波が放たれる。
私は再び身をかがめて衝撃波を回避。
そして今度は身をかがめた私に向かって三度目の衝撃波が接近してくる。
ミナヅキは私がどういうふうに衝撃波を避けるのか完全に予測している。
敵がどう避けるのかわかってさえいれば、予想したポイントにいち早く『水無月』の衝撃波を放つだけ。
どうする、私?
ダメだ、避けれない。
「だったら!」
私は空気中から断罪刀『長月』を抜刀して、『水無月』の衝撃波を一刀両断する。
二方向に裂かれた衝撃波が背後の炎上中のビルに直撃、爆炎はさっきより勢いを上げる。
「あなた、爆炎を確認した杉本さんがここに増援を呼んでくれると思ってるの?」
「増援が来る前にあなたは死ぬわ」
「違うわね、杉本さんはおそらく、ここにはもう増援は呼ばないわよ」
「どういうこと...!」
「断罪刀で人間を殺した時点であなたは私と同じ犯罪者で裏切り者ってわけ、人間を殺した犯罪者のあなたに『実験体部隊』の増援を送ったら、『実験体部隊』は犯罪者に味方したことになる、だから杉本にしてみれば、私たち二人とも犯罪者で裏切り者なのよ」
「でも!あなたを殺せば!私の罪は帳消しになるわ!そして私の優良性も上層部にアピールできる!」
「それは違うな」
ミナヅキの背後には杉本がいた。
「杉本さん!来てくれたの!」
「ああ、『実験体9号』の言う通りだ『実験体6号』」
「実験体6号...ってわたしのこと?なんでどうして!わたしは杉本さんのためにナガツキと戦ってるのよ!」
「わからないふりをするのはやめろ、『実験体9号』の言っていることは正しい」
「正しくないわ!だって、杉本さんは私を助けに来てくれた、そうでしょう?」
「違う、断罪刀を所持した『実験体9号』に対して断罪刀を持たない、ほぼ戦闘能力ゼロの俺は増援の内には入らない。俺はただ、『実験体6号』に罪を犯させた責任を取りに来ただけだ」
「わかりやすく言えば、杉本さんは自分のために間違って人を殺してしまったミナヅキ対する罪滅ぼしのためにここにきたのよ、よかったわねミナヅキ」
「じゃあ...カンナちゃんと付き合ってるっていうのも本当なの?」
「ああ、そうだ」
「二人で杉本さんに片思いしているわたしのことバカにしてたの?」
「ああ、そうだ」
「私は、命がけで戦ってるのに、杉本さんはもう、私のこと名前で呼んでくれないの?」
「ああ、そうだ」
私はミナヅキと杉本が会話をしている隙に、ミナヅキの背後に接近する。
後ろに振り向いたミナヅキが断罪刀『水無月』の衝撃波を私に向かって放つ。
私は空中にジャンプして、そのまま杉本に襲いかかる。
ミナヅキが私に向かって断罪刀『水無月』の衝撃波を放とうとするが、ミナヅキは私のいる方向に杉本がいるのを確認して攻撃をためらう。
「あなた杉本さんを人質に取る気?」
私は杉本の背後に回って、断罪刀『長月』の剣先を杉本の首に突きつける。
「攻撃を辞めて、断罪刀『水無月』を渡しなさい、でないとこのまま『長月』を杉本さんの首に刺すわよ」
「ひ、卑怯よ...!」
「なんでも粉々にできる衝撃波を出せる断罪刀で攻撃してくる、あなたのほうがよっぽど卑怯よ!」
「それって、ただの嫉妬でしょ!早く、杉本さんを解放しなさい」
「『実験体6号』...『実験体9号』に断罪刀を絶対に渡すな、命令だ!」
「嫌よ!私は『実験体6号』じゃない!私はミナヅキよ!それに、『水無月』をナガツキに渡しても私は裏切り者として廃棄される!渡さなくても裏切り者の私は仲間に追われ、いずれ殺される!つまり、私は死ぬしかない...そうでしょう?」
ミナヅキが泣きながら笑っている。
極限まで精神を追い詰められたミナヅキが屋上の地面に向かって断罪刀『水無月』の衝撃波を放つ。
「しまった!足場が!」
断罪刀『水無月』の衝撃波により足場を壊された私とミナヅキと杉本の3人の体が地面に向かって落下する。
ミナヅキは落下中のビルの瓦礫をつたって、落下中の杉本の全身を両手でつかむのに成功する。
しかし、ミナヅキは両手で落下中の杉本の全身をつかむために、両手に持っていた断罪刀『水無月』を手放すしかなかった。
私はミナヅキが杉本を助けるために手放した断罪刀『水無月』を手に取る。
そして、アカリさんに事前に手渡されていた、持ち運べる簡易パラシュートを展開する。杉本を両手に持ったミナヅキが地面に向かって落下する。
地面に着地したミナヅキの両足から、パキポキと両足の骨が折れる音がする。
着地に成功したミナヅキは両足に走る激痛に耐え切れず、両手に持っていた杉本を思わず、地面に向かって落としてしまう。
ミナヅキは断罪刀『水無月』を私に奪われ、『組織』から逃げる足を失ってまで、杉本の命を救ったのだ。
崩壊したビルの瓦礫の山に放りだされた杉本が両足を骨折して地面にうずくまっているミナヅキを抱きしめる。
「バカ野郎!どうして...『水無月』を手放した!このまま組織に戻れば、お前は廃棄確定なんだぞ!俺を見捨てて水無月を持って、ナガツキみたいに、どこかへ逃げることだってできたはずだ!」
「だって、前に言ったでしょ...杉本さんのためなら死ねるって...」
「帰るぞ、ミナヅキ...」
名前で呼んでもらえたミナヅキが顔に満面の笑みを浮かべて返事をする。
「はい」
杉本が歩けなくなったミナヅキを背負ってどこかへと歩き出す。
断罪刀『水無月』で人間を殺し、私に断罪刀『水無月』を奪われたミナヅキはおそらく100パーセント『組織』で廃棄されるだろう。
そして、それを実行するのは杉本だ。
簡易パラシュートで瓦礫の山に無事着地に成功した私は右手に断罪刀『長月』、左手に『水無月』を持って杉本とミナヅキから離れる。
「そこまでよ」
私の前に、断罪刀『神無月』の持ち主であるカンナヅキが現れる。
「なるほど、加担する犯罪者(ミナヅキ)が確保され戦闘不能になった時点で、やっと上層部から『実験体部隊』の増援要請が出されたわけね」
「あなたバカなの?あなたの確保及び、殺害命令はあなたが私たちを裏切った時からすでに出ているわ」
「一難去ってまた一難とはまさにこのことね、それじゃ、始めましょうか、杉本の本命さん」

次回予告 第百四話 20××年 5月5日 その4

 
 

 
後書き
次回もお楽しみに! 
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