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綾小路くんがハーレムを構築する話

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春休み最後は全員集合するようだ。

 
前書き
ようこそ実力至上主義の教室へハーレム、綾小路清隆、坂柳有栖、一之瀬帆,波堀北鈴音,櫛田桔梗,椎名ひより,神室真澄,軽井沢恵 

 
4月初旬。

PM20:00

綾小路「……もうすぐ休みも終わりだな。」

夕食を済ませた俺はひよりから借りた本を読みながら物思いに考えていた。

何故そう考えてるかと言うと……春休みも明日で最終日を迎えるからだ。

流石の俺でも休みが終わりに近づくと残念に思ってくる。世の学生たち皆に通じる事だと思うが。

綾小路「……明日はゆっくりしよう。」


この数日間は有栖たちとした約束を果たす為に費やした事もあって、一人になれる時間は全く無かった。


元より俺の春休みは休みという休みが殆ど無かったと言っても過言では無いが……。


まぁとにかく、明日は絶対に俺は部屋から出ない。一日中惰眠を貪ることに費やす。うん、今そう決めた。


幸い明日は誰とも約束はしていないし、予定も無い。それに春休み最終日に俺なんかを誘う奴は居ないだろう……


さぁ、そうと決まれば……風呂にでも入って疲れを癒し…



~♪~♪~♪~♪~♪



綾小路「!」


俺が明日の予定を決めて風呂に入ろうと立ち上がった瞬間に電話が鳴った。


俺とした事がマナーモードにするのを忘れていたようだ。突然大きな音がテーブルから響くから結構驚いた。


……一体誰からだ?画面を裏側にしてスマホを置いていたから誰から連絡が来てるのか確認出来ない。


いや、確認したくないのが本音だ……確認するのが恐い…。ここは相手が諦めるまで待つか?


いや、出るしかないか……電話の相手を後で確認して自分から掛け直す方が、後々面倒だ。


綾小路「……もしもし?」

???『あら?漸く出て頂けましたね♪こんばんは、清隆くん//////♪』

この如何にもおしとやかで礼儀正しい口調は……

綾小路「何の用だ……有栖?」

坂柳『貴方の声が聴きたくて電話を掛けさせて頂いた次第です//////♪』

綾小路「茶化すのはよしてくれ…」

電話の相手は有栖だった。

まさかの有栖からの電話……何だか面と向かって話すより緊張するのは何故だろうか?

と言うより、今までの電話の相手で一番厄介なのでは……

坂柳『茶化してなんかいませんよ、清隆くん♪私はいつだって本当の事しか言いませんよ?特に貴方の前では♪』

綾小路「あのな……」

坂柳『こうして貴方にお電話する日が来るなんて……とても緊張しますわ//////♪』

綾小路「……何で有栖が緊張するんだ?」

電話を掛けてきた有栖が緊張するのはよく解らないんだが……

俺が緊張するのは分かるんだが…

坂柳『貴方という人は……相変わらず乙女心を理解していないようですね、清隆くん?』

綾小路「ん?」

坂柳『まぁ、それはいいです。ところで清隆くん♪明日何かご予定はありますか?』


急に俺の明日の予定を聞いてくる有栖……何だかとても嫌な予感がするんだが…俺のここまでの経験上その予感は的中する気がして止まない。


適当に用事があるって言うか?しかし、あれこれ詳細を聞かれたら困る。誰かに誘われた時の断る対処をを全く考えていない。


それに仮に用事があると嘘を言ったところで電話の相手は有栖だ。すんなり引き下がる訳がない。


もう覚悟を決めよう……うん。


綾小路「あー……いや、特に予定は…無いな。」

坂柳『そうですか!それは良かったです♪では清隆くんも参加すると皆さんに伝えておきますね♪それではごきげんよ…』

綾小路「いや、待て待て有栖。」

坂柳『おや?どうかされましたか、清隆くん?もしかして……私が電話を切るのが名残惜しいのですか?嬉しいです//////♪」

電話越しの有栖は明らかに俺で遊んでいる。

俺が電話を引き止めるのは当たり前だろ……
何しろ俺の知らないところで勝手に話しを進められてるのだから。

綾小路「そうじゃない。皆さんに伝えるってどういう事だ?ちゃんと説明してくれ。」

坂柳『ふふ♪焦ってますね、清隆くん。焦らすのも楽しいですが……今、ご説明しますね♪』

綾小路「……頼む。」

坂柳『皆さんと言うのは、一之瀬さんたちの事です♪その皆さんで明日カラオケに参ろうという話しになりましたので清隆くんをお誘いした次第です。』

有栖が電話してきた本当の理由は俺をカラオケに誘う話しだったようだ。

だが、俺は参加するとは一言も言ってないのにも関わらず電話切ろうとしたところを鑑みれば……俺は強制的に参加させようとしてるようだ。

綾小路「俺は参加するとは言ってないんだが……」

坂柳『何もご予定が無いのでしたら清隆くんには是非とも来て頂きたい所存です♪皆さんも清隆くんが来るのを楽しみにしておりますし♪」

綾小路「いや、だがな…」

坂柳『清隆くんが来ないってなってしまったら皆さんきっと悲しまれますわ……来て頂けますよね?』

綾小路「……」


有栖からあまり聞き覚えのない猫なで声を出しながら俺に問い掛けてきた。


甘えれば、何でも俺が首肯くと思ってるのだろうか?


残念だが……今回の俺は意志が固い。明日はゆっくりすると決めたんだ。絶対断…


坂柳『清隆くん……ダメですか?』

綾小路「……参加します。」

坂柳『ふふ♪本当ですか?嬉しいです♪では、明日の11時に前回皆さんで行ったカラオケ店に現地集合ということで♪』

綾小路「……はい。」

坂柳『それでは明日楽しみにしてますね♪お休みなさい、清隆くん//////♪』


ブツッ……ツー……ツー……ツー……ツー……


有栖が電話を切った後、俺は暫く放心していた……何故俺は条件反射のように参加するって言ったんだろうなぁ…


いや、もしかすると……俺の春休みはこうなる運命だったのかもなー…とそんな風に自分が遠い目になったのを感じた。


こうして俺の最後の休みも呆気なく埋まってしまったのだった。

AM10:30


俺は今、有栖に指定されたカラオケ店に向かっている。約束した時間は11時。待ち合わせ場所に向かうのは少し早いかもしれないが、相手は有栖たちだし丁度良いかもしれない。


有栖たちを待たすのは流石に悪いからな……と言っても今日何人来るかは全く知らないが…。


とにかく、今日はもう腹を括ろう。本当はゆっくりしたかった気持ちはあるが……それは全部今、忘れよう。


さぁ、もうすぐ待ち合わせのカラオケ店が見え……ん?あれは……


櫛田『お~い!清隆くーん♪こっちこっち~!』

堀北『遅い。女性を待たせるなんて相変わらずね、清隆くん?』

軽井沢『ほんとそれ!男なんだから女の子より早くに来てないとダメでしょ、清隆?』

椎名『お二人とも。清隆くんは待ち合わせ時間にきちんと間に合ってますよ?あまり、厳しい事は言わないであげて下さい。』

伊吹『はぁー……なんであたしがこんなとこに…』

佐藤『清隆くんが来た……嬉しい//////♪』

松下『良かったね~佐藤さん。』

長谷部『きよぽんが最後なんて珍しいね~?待ち合わせ場所に一番に来てるのに。ねぇー愛里?』

佐倉『う、うん……でも待つのも悪くないかも…//////』

坂柳『ふふ♪お待ちしてましたわ、清隆くん//////♪』

神室『はぁー……ねむっ。』

星之宮『あらあら~?漸く主役の登場ね♪先生も来てくれて嬉しいわ~♪』

一之瀬『清隆くーん!おはよう~♪』

茶柱『……』


目に飛び込んで来たのはカラオケ店の前で待つ女性陣。


桔梗や帆波たちに名前を呼ばれて思わず、急いで女性陣の元に向かった。


綾小路「遅れてすまない。もしかして俺は時間を間違えたのか?」

一之瀬「ううん、間違ってないよ?時間通りどころかむしろ早いくらいだよ?謝らないで、清隆くん!」

椎名「そうですよ。清隆くんが遅いわけじゃありませんので安心して下さい。」

俺は直ぐ様、謝った(主に恵と鈴音に向かって)その後、帆波たちに時間の確認をした。どうやら話しを聞く限り俺が間違えた訳では無いようで安心した。

しかし……俺以外の全員がとっくに集まっているとは考えもしなかった。

全員俺を待っていた(?)と思うと少し心苦しいな…

坂柳「ごきげんよう、清隆くん♪来て頂いて嬉しい限りですわ♪」

綾小路「あぁ。……約束したからな。」

有栖は俺に満面の笑顔で挨拶してきた。その妖艶な微笑みは今の俺にとって小悪魔にしか見えなかった。

まるで俺が断ることは有り得ないと確信していたかのような笑みだ。

まぁ、実際そうなったから何も言えないが…

星之宮「さぁさぁ~皆揃ったことだし~早くお店に入るわよ~♪」

茶柱「大声を出すな、知恵。」

坂柳「そうですね。時間は少々早いですが中に入りましょうか♪行きますよ、真澄さん!」

神室「朝から元気ね、あんた……」

櫛田「さんせーい♪」

堀北「当然ね。」

軽井沢「予約した時間より早く来てもお店に入れるしね~♪あたしたちも入ろ!」

佐藤 松下「「お~♪」」

椎名「さぁ、伊吹さん!私たちも行きましょう♪」

伊吹「ちょ、ちょっと!あたしは一人で歩けるわよ!」


星之宮先生を筆頭に有栖たちは店に入って行った。


何で先生方まで居るんだろうか?いや、それを言ったら伊吹がここに居るのも可笑しいが…一体どうなってるんだ?


それにしても……女性14人に対して男は俺一人……肩身が狭いんだが…


長谷部「きーよぽん?ぼーっとしてどしたん?早く入ろうよ~♪」

一之瀬「みんな入っちゃったよ~?早く行こ♪」

綾小路「あ、あぁ……今、行く。」

佐倉「波瑠加ちゃん~!そんなにくっついたら清隆くん困っちゃうよ?」

長谷部「じゃあ、愛里もきよぽんにくっつきなって~♪」

佐倉「えぇっ~//////!?」

俺が立ち止まっていたのが不思議に思ったのか、波瑠加たちが声を掛けてきた。

波瑠加と帆波は俺にぴったりとくっついてきた。相変わらず、この二人は距離が近いな……

綾小路「いや……そんなにくっつかなくても…」

長谷部「いいから、いいから♪」

佐倉「あうぅ~…//////」

一之瀬「にゃはは//////♪」


色々と聞きたい事が山程あったが……今はなんでもいいか。とりあえず、早く入るか…


俺は波瑠加たち3人にぴったりとくっつかれながら、店に入った。










カラオケ店内。


店員『……15名様でご予約の綾小路様ですね?こちらのお部屋になります。ごゆっくりどうぞ~♪』


俺たちは受け付けを済まして、指定された部屋に向かった。


俺の名前で予約されていて少し驚いた。何処までも用意周到だな……有栖は。いや、有栖たちか……


星之宮「皆とカラオケなんて先生テンション上がっちゃうわ~♪」

茶柱「いい年してテンション上げるな、みっともない…」

一之瀬「にゃはは♪いつにも増して元気ですね~?」

長谷部「でも、星之宮先生っていつもこんな感じじゃない?」

佐倉「あはは…確かに。」

軽井沢「ねぇねぇ!なに歌う?」

松下「そうだね~やっぱり最初はテンション上がる曲とか?」

佐藤「この曲とかいいんじゃないかな?」

坂柳「皆さんとカラオケに来るのもお久しぶりですね。ねぇ、真澄さん?」

神室「はいはい……そうね。」

椎名「伊吹さん!せっかくですから一緒にデュエットしましょうよ♪」

伊吹「はぁ?なんでそうなんのよ……てか、いい加減腕離してほしいんだけど!」


予約されていた部屋はパーティールームだった。まぁ、15人だから当然だと思う。


以前も訪れてるが、ここの設備は本当に凄い。マイクも4本常備されていて、ゴージャスな造りと中の広さには毎回脱帽する。


部屋に着いた女性陣は続々と中に入っていく。その際、俺はホテルのドアマンの如く扉を開けて先に女性陣を迎え入れた。真澄と伊吹は有栖とひよりに無理矢理入れられていたが……


堀北「ちょっと、清隆くん。貴方も早く入ってくれない?」

櫛田「そんな風に言うのは良くないんじゃない、堀北さん?清隆くんは先に私たちを入れてくれてるんだから。」

堀北「あら?それ以外、他に言い方あるかしら?」

綾小路「悪い……今、入る。」

俺は鈴音たちを入れた後、自分も入ってドアを閉めた。

いつも通り鈴音は機嫌が悪そうだな……そんなに長々と外で待たせてしまったのか?

次は1時間前くらいに待ち合わせ場所に着いておこう……うん。

坂柳「さて、どう座りましょうか?清隆くんは一番真ん中なのは決まってますけど♪」

綾小路「俺は真ん中なのか?出来れば端が良いんだが…」

「「「「「「それは絶対ダメ(です)!!!!!!」」」」」」

そんなに強く否定しなくても良くないか?

まぁ、実際座る場所は何処だっていいんだが……真ん中か…一番身動き取りづらい場所だな。

綾小路「あー……分かった。真ん中に座る。」

坂柳「よろしいです♪さて、他の皆さんは何処に座ります?私は清隆くんの隣と決まっていますが♪」

軽井沢「ちょっ!なんで坂柳さんが清隆の隣なのよ!」

堀北「そうよ。それはいくらなんでも勝手が過ぎるんじゃないかしら?」

坂柳「ふふ♪早い者勝ちですわ♪」

椎名「そういうことなら、私も清隆くんの隣ということでお願いします♪」

櫛田「ちょっと待ってよ~!私も清隆くんの隣がいい!」

佐藤「わ、私も~……とかなんとか言ってみたり…//////」

長谷部「ここは公平にじゃんけんで決めよーよ!」

佐倉「私は清隆くんの近くならどこでも…//////」

一之瀬「私も出来れば清隆くんの隣が良いなぁ…//////」

神室「私は席なんてどーでもいいんだけど…」

伊吹「右に同じ。」

何故かは分からないが、急に誰が俺の隣に座るか論争が始まった……

なんで、そんなに躍起になってるんだ?真澄の言う通りどうでもいいだろ…。

星之宮「そんなに隣に座りたいなら皆で座ればいいんじゃな~い?」

一之瀬「えっと……それはどういうことですか、星之宮先生?」

櫛田「それが出来ないから皆で話し合ってるんですけど…」

星之宮「例えば~ローテーション作って隣に座る順番とか決めちゃえばいいのよ♪そうすれば、皆で公平に綾小路くんの隣に座れるんじゃなーい?」

星之宮先生がニヤニヤした笑みを浮かべながら、提案を出してきた。

座る順番とかローテーションとかなんて言われてもな……そんなの組むわけないだろ。

一々座る場所を移動するなんて面倒なこと……恵たちが納得するわけ…

櫛田「なるほど!それなら皆平等だね~♪」

軽井沢「まぁ、確かにそれなら…(清隆の隣に座れるならなんだっていいし//////)」

長谷部「ローテーションなら公平にきよぽんの隣に座れるってわけか……先生やるぅ~♪」

一之瀬「にゃはは♪流石は星之宮先生~頼りになります♪」

星之宮「えーそれほどでもないわよぉ~♪」

綾小路「……」

なんでこの人の案が採用されるんだ?

皆、冷静に考えてみてくれ。そんなこと態々しなくてもいいだろ。

いや、する必要ないだろ……

坂柳「では、早速ローテーションを決めましょうか。最初は私と椎名さんが清隆くんの隣と言うことで♪」

軽井沢「だから、どうして坂柳さんが最初なのよ!」

坂柳「まぁまぁ♪ちゃんと順番は廻ってくるんですからいいじゃないですか♪」

軽井沢「くっ……!」

星之宮「じゃあ、最初はその二人が綾小路くんの隣ってことにして他の皆の順番はじゃんけんで決めるわよ~♪」


星之宮先生が主導の下、女性陣はじゃんけんし始めた。その間、ひよりと有栖に俺の座る位置である真ん中に移動させられた。


なんか、あれよあれよと言う内に勝手に進められてしまったな……


そんな面倒なことしなくてもいいと思うんだがな……まぁ、余計な事は何も言わないおこう。


軽井沢「やっと終わった~……」

櫛田「疲れたね~……」

一之瀬「にゃ~……」

どうやらペアと順番が決まり終わったようだ。

じゃんけんに疲れたのか、女性陣は早速ぐったりとしていた。ペアと順番はこうなったらしい。

1番→有栖、ひより。

2番→波瑠加、愛里。

3番→恵、麻耶。

4番→帆波、桔梗。

5番→真澄、松下。

6番→鈴音、伊吹。

7番→茶柱、星之宮。

ちなみに俺の右側が有栖たちで左側がひよりたちとなった。

尚、3曲終えたら席を移動するルールも追加されたようだ。何故、先生方や伊吹たちもペアに参加させられたのか気になったが……

坂柳「では、順番も決まったことですしカラオケをはじめましょうか♪誰から歌いますか?」

軽井沢「はいはーい!最初はあたしらから歌いまーす♪二人とも準備して~」

佐藤 松下「「はーい♪」」

堀北「最初からうるさくなりそうね…」

長谷部「じゃあ、次は私たち歌お!愛里♪」

佐倉「うん♪」

櫛田「あ!新曲来てるよ、帆波ちゃん!これ一緒に歌おうよ♪」

一之瀬「いいね~♪星之宮先生もデュエットしましょうよ♪」

星之宮「まっかせなさぁーい♪先生もアゲアゲでいっちゃうから♪サエちゃんもテンション上げてね~?」

茶柱「煩い……私は大人しくお前たちの歌でも聴いてる。」

神室「……私も今日は聴く専で。」

伊吹「……あたしも。」

軽井沢「じゃあ歌いまーす♪」

綾小路「……」

ここに入ってから色々、揉めたりしたが漸く無事にカラオケがスタートした。

出来ればこのまま何事もなく、終わることを俺は祈った。

~♪~♪~♪~♪~♪

最初に恵たちが盛り上げてくれたお陰でこの空間も良い雰囲気となった。

今は、波瑠加と愛里が絶賛歌い中だ。

俺の両隣には有栖とひよりが腕を絡ませながら座っている。周りの視線が非常に痛い……と言うか恐い…。

綾小路「……少し距離が近すぎないか?」

坂柳「ふふ♪何せこの人数ですからね。詰めて座らないといけないんですよ、清隆くん//////♪」

椎名「そうです。これは不可抗力なんですよ、清隆くん♪」

綾小路「いや、だからって腕まで組む必要は…」

坂柳「まぁまぁ、細かいことは良いじゃないですか♪(あぁ、清隆くんの体温をこんなにも近くで感じ取れるなんて最高です…//////それに彼の匂いはとても安心します//////♪)」

椎名「あまり気にしすぎるのも良くないと思いますよ♪(流石にここまで密着すると緊張しますね…//////?心臓の鼓動がいつもより早いです//////)」

俺をからかうように二人はそう言った。

詰めすぎにも程があるだろ……俺の腕を絡める必要もないと思うんだが…

綾小路「とりあえず一回、離してくれないか?ジュースが飲みたいんだが…」

椎名「むー……」

坂柳「あら?それは仕方ないですね♪」

ひよりの『むー』なんて台詞初めて聞いたな…非常に可愛いらしいが。

とりあえず、一度喉を潤したい。この状態は緊張して喉が渇く……

すると……有栖が驚きの行動に出た。

綾小路「俺のグラスなんか持ってどうしたんだ?」

坂柳「両腕が塞がってる清隆くんに私が飲ませて差し上げようと思いまして//////♪」


「「「「「「「「「「!!!!!!!!!!」」」」」」」」」


その瞬間、一気に静まり還った。丁度波瑠加たちが歌い終わったからという理由だけでは無さそうだ……


有栖はそんなことを気にするでもなく、俺のメロンソーダが入ったグラスをこちらに向けてきた……器用に俺の腕を絡ませたまま。


綾小路「腕を離してくれれば自分で飲むから大丈夫なんだが…」

坂柳「もう私がグラスを持ってしまっているので、そのまま飲んでしまった方が早いです♪さぁ、どうぞ♪」

綾小路「むぐっ……」

有栖は満面の笑顔で、グラスを押し付けて俺に無理矢理ストローを咥えさせてきた。

凄い飲みにくいんだが……主に周りの視線が恐くて…

だが……ここまで来たら、もう諦めて飲んでしまうか。うん、そうしよう。俺メロンソーダを喉に流し込んだ。

坂柳「美味しいですか?、清隆くん?」

綾小路「……美味しいです。」

坂柳「ふふ♪良かったです//////♪……では3曲終えたようなので、名残惜しいですが場所変わりますね♪」

有栖は満足したように微笑みながら、一番端の方へ移動していった。

ひよりも渋々と言った様子で端に移動していった。

最後にとんでもないことしていった気がするんだが……いや、していったな…。お陰で周りから刺すような視線が痛い……

長谷部「……きーよぽん?随分と坂柳さんに甘いんだね~?」

佐倉「清隆くん……」

そして、次に俺の隣にやって来たのは波瑠加と愛里だ。

波瑠加は俺に身を乗り出さんばかりに問い詰めてきた。

綾小路「別に甘い訳では無いと思うが…」

佐倉「き、清隆くんはもう少し断る事を覚えた方が良いと思います!お節介かもしれないけど…」

綾小路「あ、あぁ……善処する。」

長谷部「お~!よく言ったね~愛里♪本当は私がきよぽんにガツンと言おうと思ったけど~……偉い!」

佐倉「えへへ//////♪」

愛里に説教された……まさか愛里にそんなことを言われるとは。

愛里も随分と成長したな……何だか考え深い。

長谷部「じゃあ、その勢いできよぽんの腕を組もっか♪はい、私みたいにこうやって//////♪」

佐倉「ふぇっ//////?ちょ、波瑠加ちゃん//////!?」

綾小路「……」


今度は波瑠加たちに両腕を捕らわれてしまった……二人の柔らかくて大きいものが、俺に押し付けられた。


ヤバい……これは凄くヤバい。


愛里は遠慮がちに腕を組んでるが、それが逆に何かイケない事をしてる気分になる。


~♪~♪~♪~♪~♪


長谷部「おっとと……もう3曲終わっちゃったかぁ~ざーんねん。はい、愛里行くよ~♪(あーあ……愛里と攻めようと思ったのになー//////♪私たちも坂柳さんたちに遅れを取らないように頑張らないとね~♪)」

佐倉「ぷしゅ~……//////(あわわ…清隆くんと腕組んじゃったよぉ~////////////私もうダメ~…//////)」

波瑠加は倒れそうになっていた愛里を連れて、端の方に移動していった。

危なかった……あの状態が続いていたら、いくら俺でも耐えられなかった。色んな意味で…

少し落ち着こう。気を鎮めて…

軽井沢「きーよーたーかー?さっきから随分とお楽しみだったようねー?この女たらし!」

佐藤「うぅ…」

落ち着いて居られなかった……次の隣に来たのは恵たちだ。

恵は明らかに不機嫌そうだ。麻耶は悲しそうな表情を浮かべているが…

綾小路「……別に楽しんでいた訳では無いぞ?」

軽井沢「ふーん……本当あんたって女の子に甘いわよね~?てか、甘すぎよバカ!」

綾小路「……そうか?」

女たらし呼ばわりに加えて、バカってお前な……

軽井沢「そんな清隆には今からあたしと佐藤さんと一緒に歌って貰うから//////!曲もう入れてるし。ほら、立って!」

佐藤「や、やった//////!」

恵は俺の隣に来るタイミングで曲を入れていたらしい……用意周到だな。

そして、恵は俺の腕をガッチリと掴んで歌わせようと強要してきた。

綾小路「俺も歌うのか?出来れば、真澄たちのように聴く専で…」

軽井沢「へぇー……坂柳さんたちの事は拒まない癖にあたしたちと歌うのは拒むんだ……へぇー?」

佐藤「清隆くん……一緒に歌ってくれないの?」

恵は俺を睨みつけながらジト目でそう言った。そう言われると俺は何も言い返せない……

ここは二人に付き合うのがベストだな、うん。

綾小路「あー歌う歌う……歌わせて頂きます。」

佐藤「やったー!ありがと、清隆くん//////♪」

軽井沢「ふん、当たり前よ//////!じゃあ、佐藤さん。前の方に移動しよ!」

佐藤「うん♪」


俺は恵と麻耶に腕を引かれながら、テレビの前まで移動させられた。


俺は今日、歌わされるだろうと思って前もって覚悟はしていたが……こんな前で立って歌わされるとはな…。


しかも、俺はセンターで部屋に常備されてるマイクスタンドの前に立たされている。


~♪~♪~♪~♪~♪


星之宮「きゃ~//////♪もう、綾小路くんが歌ってくれるの~?楽しみ~♪ね、サエちゃん!」

茶柱「わ、私に振るな//////!」

松下「私、綾小路くんの歌を生で聴くの初めてかも!」

櫛田「あ!そっか。松下さんは清隆くんと一緒にカラオケ来るのは初めてだもんね?」

一之瀬「清隆くんの歌を生で聴くのと動画とでは全然違うよ~?にゃはは//////♪」

椎名「見てください、伊吹さん!清隆くんが今から歌いますよ?聴いてて下さいね♪清隆くんは本当にお上手ですから//////!」

伊吹「はぁ?なんであたしがあんな奴の歌なんか聴かなきゃイケないのよ…ったく。」

神室「ふーん……もう歌うんだ?めずらし。」

軽井沢「じゃあ、いくよ~♪(よし!最初に清隆と歌う事はキープ出来た//////♪坂柳さんには一本取られたかもだけど、絶対負けない!あたしだって清隆と楽しんでやるんだから//////!!!)」

佐藤「はーい♪(清隆くんとまたデュエット出来るなんて……ありがとー軽井沢さん//////♪そして、カラオケは最高!)」

なんか、物凄く歌いづらいんだが……ひよりや帆波たちによってハードルも上がってるし…

まぁ、今更歌わない訳には行かないから頑張るとするか。

綾小路「ふぅ……」


俺は今、トイレで手を洗っている。流石に女性陣の相手をずっとするのは身が持たないからな……ここに避難してきたという訳だ。


先程、俺は女性陣からの視線に緊張しながら、恵たちと歌った。歌い終わった後、松下と伊吹は顔が赤かったのが気になったが…


まぁ、そんなことより続けざまに曲が流れて3曲連続で恵たちとデュエットすることになったのが結構キツかったな。


さて、そろそろ戻るか……本当は、ほんの少しでも気を落ち着かせてから戻りたいがそうも言ってられないからな…。俺はトイレを出た。


神室「……遅いんだけど。」

綾小路「待ってたのか?」

神室「仕方ないでしょ。あんたが逃げないように監視しろって言われてんだから。……早く戻るわよ。」

トイレを出ると真澄がそこに居た。有栖の命令で俺の後をついてきたようだ。俺はそんなに信用無いのだろうか?

逃げたいなんて気持ちは……無いこともないが…逃げた瞬間、俺の高校人生は幕を閉じるからな。

俺は真澄の隣を歩いて一緒に戻った。










櫛田「あ!おかえり~清隆くん♪早くこっち来て~♪」

一之瀬「にゃはは♪待ってたよ~清隆くん♪」

星之宮「ほら、綾小路くんも食べて食べて~♪」

部屋に戻ると何やら良い匂いが充満していた。どうやら、星之宮先生が勝手に料理を注文していたようだ。俺がトイレに行っている間に料理が来たようだな。

テーブルの上にはピザ、フライドポテト、唐揚げ、サラダ等並んでいた。

綾小路「……凄い量ですね?」

星之宮「うふふ♪こんなに人数が居るんだもの、当然でしょ?これはサエちゃんと私の奢りだから遠慮せずに食べてね♪」

軽井沢「やったー!先生太っ腹~♪」

一之瀬「あ、ありがとうございます!先生方。」

茶柱「……おい、なんで私も払うことになってるんだ。」

星之宮「そんなこと言わないでよ~サエちゃん。ここは生徒の為だと思って私たちが一肌脱がないとでしょ?お願いサエちゃん~♪」

茶柱「はぁ……今回だけだぞ。」

星之宮「ありがと、サエちゃん♪じゃ、食べましょうか。」

「「「「「「「いただきまーす♪」」」」」」」

女性陣の号令と共にそれぞれ料理に手を伸ばした。この瞬間、カラオケは一時中断して昼食タイムとなった。カラオケで何か食べるのは初めてだな。

それにしても2つ返事で簡単に奢ると言えるとは……流石は大人だ。ちゃんと先生方にお礼を言わないとな。

俺は自分の場所に戻って腰を下ろした。すると…

櫛田「清隆くんつーかまえた//////♪」

一之瀬「にゃはは♪じゃあ、私も~//////♪」

今度は帆波と桔梗に腕を組まれてしまった……これでは料理ではなく、二人から伝わるとても柔らかい方に気が散ってしまう。

綾小路「あの……二人ともこれだと食べづらいんじゃないか?」

櫛田「片手空いてるからだいじょーぶだよ♪」

一之瀬「私も空いてるから大丈夫だよ~♪」

そういうことを聞いた訳ではないんだけどな……

俺は両腕をとても柔らかいものに包まれているお陰で何も食べれないんだが…

そこまで空腹という訳ではないが目の前の料理は気になる。どうしたものか…

櫛田 一之瀬「き、清隆くん//////!!」

綾小路「ん?」

櫛田 一之瀬「「はい、あーん////////////♪」」


「「「「「「「「「「!!!!!!!!!!」」」」」」」」」」


俺がどうするか考えていたら、俗に言う『あーん』なる物を受けた。帆波はフライドポテト、桔梗は唐揚げを俺の口に近づけていた。


その瞬間、女性陣は俺の方を凝視し始めた。


綾小路「あー……二人とも何してるんだ?」

櫛田「清隆くんこの状態だと、何も食べれないでしょ?だから私たちが食べさせてあげる♪はい、あーんして//////♪」

一之瀬「にゃはは//////♪」

帆波たちは俺に身を乗り出さんばかりに身体を寄せて『あーん』をしてきた。

この状況……回避するのは不可能だな、うん。ここで、もし俺が拒否したらさっきの有栖の件を蒸し返されるに決まってる。

羞恥心を捨てよう……うん。俺は意を決して…

綾小路「あ、あーん……」

一之瀬「はい、清隆くん//////♪美味しい……かな//////?」

綾小路「……美味しいです。」

一之瀬「にゃはは♪それは良かったです//////(にゃーーー!!!清隆くんに『あーん』ってしちゃったよ~//////!スゴい恥ずかしいよ~//////けど、食べて貰えて良かった…//////♪)」

櫛田「次は私だよ!はい//////♪……美味しい、清隆くん?」

綾小路「……美味しいです。」

櫛田「えへへ…良かった//////♪(つ、ついに夢にまで見た『あーん』を清隆くんにしてやったーー//////!ふっふっふ♪まだ堀北はこんなことしたことないだろ?ざまぁみろ、バァーカ♪)」

俺は二人から差し出された物を『あーん』をして順番に食べた。俺が食べると、二人とも嬉しそうな笑顔を浮かべた。

ただ、味は良く解らなかった……緊張によって。

星之宮「あらあら~♪綾小路くんったらやるわね~?」

坂柳「清隆くん……お次は私が『あーん』して差し上げますわ//////!」

椎名「私も是非//////♪」

長谷部「私たちもきよぽんに餌付けした~い//////♪」

佐倉「は、波瑠加ちゃん//////!?」

軽井沢「そ、そう言うことなら……あたしも特別にしてあげる//////!」

佐藤「わ、私も…//////」


俺が帆波たちの『あーん』を受け入れ終わった瞬間、女性陣が我先にと俺に料理を突きだしてきた。


なんで、そんなに必死なんだ?俺の精神を削るのがそんなに楽しいのか?当然俺は断れないので、順番に出された物を受け入れた。


帆波たちはそれを複雑そうな表情で見ていた……










~♪~♪~♪~♪~♪

綾小路「……流石に食べ過ぎたな。」

松下「綾小路くん大丈夫?」

神室「そりゃ、あんだけの量食べさせられたらそうなるでしょ。」

大半の料理が無くなり(ほぼ俺が食べさせられたと言っても過言ではない)少しのインターバルを置いてからカラオケが再開された。

食事が終わると、帆波と桔梗は早々に席を移動させられていた。

理由は今まで俺の隣を座っていた有栖たちより時間が長いからだそうだ。それによって今、隣に居るのは真澄と松下だ。二人とも俺と少し距離を空けて座っている。

綾小路「……返す言葉もない。」

神室「されるがまま、無抵抗で食べ続けるなんてアホとしか言えないわよ(なんで私こんなにイライラしてんだろ?あー……もう!全部綾小路が悪い//////!)」

松下「確かにねー…(綾小路くんっていつもこんな感じなのかな?佐藤さんも大変そう…てか、綾小路くんの生の歌声ヤバかったな~//////♪みんな綾小路くんに夢中になるわけだよ…//////)」

真澄は機嫌が悪そうだな……いつもより俺に対する当たりが強めだ。

例えるならそう……怒ってる恵くらい語気が強い気がする。

~♪~♪~♪~♪~♪

松下「あ!3曲終わったね。じゃあ移動するね。」

神室「……」

二人は3曲分流れ終わると、直ぐに端の方に移動した。

何だかんだ、この二人のお陰で精神的に休めた気がする……今日初めて何も起こらなかったからな。

この調子で…

堀北「……随分とご機嫌ね、清隆くん?」

伊吹「……なんであたしがこいつの隣に来なきゃいけないのよ…さいあく。」

次に隣に来たのはある意味一番厄介な相手……鈴音と伊吹だった。

一息つけたのは一瞬だな…。

綾小路「俺が機嫌が良さそうに見えたのか?」

堀北「えぇ、とっても。あれだけの女の子からあんなことされたらさぞ、嬉しいでしょうね……いやらしい。」

鈴音は俺を冷たい眼で見ながら、そう言った。

嬉しいか嬉しくないかと聴かれたら……嬉しいに決まって…じゃない。やましい気持ちは断じてない。

伊吹「なに、堀北鈴音妬いてんの?」

堀北「冗談は止してくれない、伊吹さん?そう言うんじゃないわ。この女の敵に忠告してあげただけよ。」

伊吹「あっそ。それにしてはヤケにご執心ね?本当はこいつが他の女に取られてんの悔しいんじゃないの?」

堀北「……さっきから随分勝手なこと言ってくれるわね?そもそもなんで貴女がここに居るのかしら?」

伊吹「はぁ?あんたに関係ないでしょ?」

綾小路「……」


犬猿の仲の二人は俺を挟んで舌戦を始めた。言い争いが過熱する中、二人は徐々に俺に距離を詰めてきた(多分二人は気付いてない)


かと言って、二人の仲介をするような勇気は無い。3曲の辛抱だ、俺。とにかく、これ以上刺激しないようにしないとな…。


そんな風に俺が考えていると、思わぬ人物が二人に話し掛けてきた。


星之宮「二人とも~ケンカはダメよ~?楽しい気分が台無しになっちゃうわよ?」

堀北 伊吹「「……」」

俺の隣の隣に座っていた、星之宮先生が二人に注意してくれた。

空気が悪いのを察してくれたのか……

初めてこの人を尊敬した瞬間だな。

茶柱「何を急に教師ヅラしてるんだ、知恵?」

星之宮「ちょっ!ひどぉーいサエちゃん!私だって立派な教師だもん!……ゴホン。二人ともケンカはいけないけど、せっかくカラオケに来たのだから点数勝負でもして白黒つけたら?」

伊吹「へぇー……面白いじゃん。」

堀北「点数勝負?何故、私がそんな下らないことを…」

伊吹「ふーん……負けるのが怖いんだ?」

堀北「……安い挑発ね?でも、いいわ。今日は貴女に乗っかってあげる。」

伊吹「はっ!挑むところ。」

二人は曲を入れて、前の方に移動した。二人の登場に意外な盛り上がりを見せた。

ふぅー……助かった。

もし、あの状況のまま二人が喧嘩を続けていたら……只の地獄だったからな。

星之宮「綾小路くんの隣が空いたから座っちゃお~っと♪いいよね、綾小路くん?」

綾小路「あぁ、どうぞ。」

茶柱「……」

伊吹と鈴音が移動したのを見計らって星之宮先生が俺の隣に座ってきた。

茶柱先生も無言で俺の隣に座った。

綾小路「……星之宮先生、助けて頂いてありがとうございます。」

星之宮「いいのよ~♪お礼言われるほど大したことしてないんだし♪きゃー♪二人ともガンバって~!」

星之宮先生は適当な返事をして、鈴音と伊吹の応援に廻っていた。

この人、本当に元気だな……まぁ、お陰で助かったから今日は何も言わないでおこう。

それより、俺は隣に居るもう一人の先生の視線が気になる。

綾小路「……俺の顔に何かついてますか、茶柱先生?」

茶柱「別に何もついてないぞ、綾小路。ただ、今日のお前の反応が面白くてつい魅入ってしまっただけさ。お前程の男でもこんなに女に振り回されるなんてな……フッ。」

綾小路「からかうのは止めてくれませんか?洒落にならないので……それより、どうして先生がカラオケに参加してるんですか?」

俺は周りに気付かれないよう、茶柱先生に小声で話し掛けた。

茶柱先生は、俺が女性陣に振り回されているのが酷く面白いらしい。俺に悪い笑みを浮かべていた。悪趣味だな……本当。

茶柱「……私は無理矢理、知恵にここに連れて来られたんだ。本当は今日の有休は新学期に備えてゆっくりするつもりだったんだがな…全く。」

綾小路「……それは災難でしたね。」

茶柱「フッ……それはお互い様だろう?知恵は一之瀬に誘われたみたいだが。まぁ、今歌ってる伊吹も椎名に無理矢理連れて来られたようだがな。」

茶柱先生はタメ息交じりにそう話した。

なるほど……これで今日、先生方や伊吹がここに来た理由が解った。伊吹も茶柱先生も無理矢理連れて来られたわけか。

綾小路「……まぁ、俺は今日ここに来て良かったと思いますけどね。」

茶柱「お前がそう言うなんて珍しいな?そんなに一之瀬たちに腕組まれたり、あーんして貰って嬉しかったのか?」

綾小路「そこだけピックアップしないで貰えます?」

茶柱「フッ……それは悪かったな。私はタバコ吸ってくる。私が帰ってきた時、お前に歌って貰うからな。準備しとけよ?」

茶柱先生はまた悪い笑みを浮かべて、タバコを吸いに行った。

なんであの人は俺に歌わせたがるんだろうな……謎だ。

そうこうしてる内に鈴音と伊吹は決着がついていたようだ。結果は鈴音が勝ったようだ。点数は鈴音が93点。伊吹が91点。伊吹も相当上手いんだな……

星之宮「二人とも上手いのね~?せっかくだし、このまま皆で勝負とかやっちゃう~?」

坂柳「点数勝負ですか……面白い試みですね♪では、1位になった人は清隆くんに1つお願い出来る権利を賭けてやりましょう//////♪」

綾小路「おい、何勝手に賭けて…」

櫛田「さんせーい//////♪」

一之瀬「それなら、私も頑張ろうかな…にゃはは//////♪」

椎名「いいですね♪伊吹さんも、やりましょう?そしたら二人で清隆くんをシェアしましょう♪」

伊吹「あ、あたしはそんな権利要らないわよ//////!」

軽井沢「ぜったい、負けないんだから//////!!!」

佐藤「うぅ~勝てるかなぁ//////?」

松下「ガンバレー佐藤さん♪でも、せっかくだし私もやろかっなぁ…//////」

長谷部「よっしゃ、私たちできよぽん独占するよ~愛里//////!」

佐倉「が、頑張ります//////!」

堀北「勝負となれば私も負けるわけにはいかないわね…//////」

神室「まぁ、たまにはそういうのも悪くないかもね…//////」

星之宮「後でサエちゃんも誘って一緒に歌わなきゃ~♪」

綾小路「……」

有栖が勝手に俺を賭けて点数勝負主催し始めた。最初は強く反論しようと思ったのだが……俺の意見など通らないのでもう何も言わなかった。

俺は諦めて女性陣の勝負を遠い目で見届けた。勝負の結果は全員全く同じ点数で同率1位を採る前代未聞の出来事が起きた。

そのお陰で、俺は全員のお願いを聞くことになったのは言うまでもない……

俺の春休み最後はどこまでも波乱に満ちた出来事に包まれてしまった。
 
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