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綾小路くんがハーレムを構築する話

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清隆くんのお宅訪問 長谷部編

3月初旬の朝。


ブー……ブー……ブー……ブー……ブー…ポチっ。


長谷部「あー……もう~うるさいなぁ~!あと5分くらい寝かせてよねー。」

半分切れ気味になりながら、スマホのアラームを止めて、渋々私は起きた。

ふわぁ~……眠い。私は欠伸をしながら、洗面所へ向かった。

まぁ、昨日は愛里と夜遅くまで、電話してたし……仕方ないか。

昨日の愛里が嬉しそうに話していたし、上手くいったみたいで何より!

ふぅーとりあえず……良かった良かった。

まぁ、愛里の話しによると……勉強教えてくれて分かりやすかったよ~とか、また勉強教えて貰う約束取り付けられたよ~っていう内容で、何ともほんわかした気分になったけど。

私的には愛里がこの期に乗じてグイグイアタックして、距離縮めて欲しかったんだけどねー……せっかく二人きりだったわけだし。

まぁ、何はともあれ今回はあの引っ込み思案の愛里にしては頑張ったよね!

私は愛里を労いつつ、寝ぐせのついた髪を整えた。

そして……

長谷部「私はどうしよっかなぁ……」


いつのまにか私は独り言のようにつぶやいていた……それもそうだよね。


今日は私の番だしね~。


んーでも、私さー……正直今日の事なーんも考えていなかったんだよね~……あはは♪

だってだって!しょうがなくない?昨日は愛里に協力するので精一杯だったし……あ!だからといって愛里のせいってわけじゃ全然ないんだけど!


長谷部「きよぽんと二人で過ごせる日ねぇ……?グループでほとんど毎日一緒にいるしー何か今更な気がするしなぁ…」


私は普段あんまり考え事しない方なんだけど……改めてきよぽんの事を考えてみる。


最初のきよぽんの印象は影薄くて地味目って感じの男の子だったなぁ~きよぽんには悪いけど♪


ペーパーシャッフルの試験の前に初めてきよぽんと話した時は『綾小路くんって喋るんだ?』って失礼なこと言っちゃったし……


それでも私たちのために勉強会開いてくれたのは素直に嬉しかったし、あのメンツなら楽しめそうだったから半ば強引にグループを作った。愛里が入るときはちょっと意地悪しちゃったけど♪


それから、きよぽんをリーダーにしたグループで一緒に居て結構経つけど……


長谷部「きよぽんってよく分からないよね~……」


だってあの堀北さんと入学した頃から仲良いっていうか頼りにされてるっぽいし~…後は各クラスのリーダーで有名人の坂柳さんや一之瀬さんといつのまにか知り合いだったみたいだし~……


あれれ?こうやって考えてみると……きよぽんの交友関係女の子ばっかじゃない?


む~プレイボーイめ……


まぁ、確かにきよぽんは物静かで冷静だし、タメとは思えないくらい大人って感じで頼りになるよね~……モテる理由も解るわ。それに……結構イケメンだし//////


長谷部「…ってあれれ?私の中できよぽんの評価高くない//////?」


何かきよぽんの事考えてたら、色々知りたくなってきたなぁ……って別に変な意味じゃないよ//////?


純粋に興味があるっていうか…単純にきよぽんと二人で話しをしてみたいっていうか…まぁ、そんな感じ?


でも……


長谷部「もしも、今日きよぽんを私の部屋に呼ぶねー♪ってなった場合……愛里はなんて思うかな?」


愛里は今時珍しいくらいの純粋で可愛いくて大人しい女の子で私の唯一の親友。


まぁ、秘密裏に逢ったりするわけじゃなければ大丈夫だと思うけど……


でも……自分が好きな男の子が女の子と二人きりで逢ったら善くは思わないよねー……当たり前だけど。


そういえば、昨日電話で話してた時もその事について何も触れて来なかったなー……


愛里の性格からしたら聴きづらい事だし、遠慮したのかも……まぁ、聴かれたら聴かれたで私もなんて答えればいいか戸惑ってたけどさ。


長谷部「あ!ヤバッ……もう、学校に行く時間じゃん!」


色々考えていたら、学校に行く時間になってたらしいので、私は急いで制服に着替えた。


あーーー全く考えまとまってないのに~……柄にもなく変に色々考えるんじゃなかった~。


まぁ、今日の事はあまり考えないようにしようっと……


きよぽんの事知りたい気持ちはあるけど……あ、変な意味じゃないからね/////?


きよぽんとはいつでもグループで話せるし、二人きりじゃないとダメってわけじゃないんだから……うん。


よし!そうしよう。私は自分で自分を納得させて学校に向かった。


昼休み。


ガヤガヤ……


長谷部「うわぁ~今日も学食は人でいっぱいだね~。人酔いしそう…」

私たちはいつも通りきよぽんグループでお昼を食べに学食に来た。

いやぁ~いつも通り混んでるねーほんと。

幸村「波瑠加。ここには何度も来てるんだから、いい加減慣れたらどうだ?」

三宅「いや、いつも人多いよな。俺は正直慣れない……」

綾小路「俺もだ。」

佐倉「わ、私も……」

長谷部「だってよ~?ゆきむー♪みんなも人混み慣れないんならしょうがないよね~?」

幸村「う……それなら仕方ないな。」

長谷部「あはは♪ゆきむーに初めて論破したかも~」

幸村「波瑠加……うるさいぞ。」

綾小路「話しを割ってすまないが……あっちの奥の席が空いたっぽいから先に俺が席を取っとく。」


私がゆきむーをからかっていたら、いつのまにかきよぽんは日替り定食を頼んでいた。そして、きよぽんは率先して席を確保しに行ってくれた。


私たちのために……む~流石だね~きよぽん。周りをよく見てらっしゃる。


こういう気配りがモテる理由か……って何で私プロファイルしてるん//////?


佐倉「おーい波瑠加ちゃん!早く何食べるか決めようよ!」

長谷部「あ……ごめんごめん~今、行く。」

私がその場でぼーっと立ち止まっているのを見兼ねて愛里が話しかけて来た。

とにかく、きよぽんを意識しないようにしなきゃ……って考えれば考えるほどドツボにハマるやつだな……これ。

あくまで自然体にいつも通りフラットに行こう!

私は頭を切り替えて愛里のもとに向かった。











長谷部「ごめんごめん~みんな~お待たせ~。」

幸村「遅いぞ、波瑠加。早く食べないと昼休み終わるぞ。」

三宅「あんま急かすなよ、啓誠。」

綾小路「波瑠加、愛里。俺の隣空いてるぞ?」

佐倉「う、うん……清隆くん、ありがとう//////。」

長谷部「お~流石きよぽん。ありがと♪」

きよぽんはいつも通り愛里と私のために席を空けておいてくれた。

5人席のテーブルに座るときはいつも私たちは3人で並んで座ってる。

真ん中がきよぽんなのも定位置となっている……

私はきよぽんにお礼を述べてから、きよぽんの右隣に座り、愛里は左隣に座った。

綾小路「あぁ、いつものことだろ?それより啓誠の言う通り早く食べた方がいい。」

長谷部「だいじょーぶだいじょーぶ……ってきよぽんたち食べるの早くない?」

私たちが昼食を持って来た頃にはきよぽんは完食していて、ゆきむーとみやっちはもうほとんど食べ終わっていた……

綾小路「そうか?いつもこんなもんだろ?」

長谷部「えー……そうだっけ?愛里?」

佐倉「う、うん。清隆くんは食べるのいつも早いよ!」

私は愛里に軽い気持ちで聞いてみたら、自信満々に言った……

流石……いつもきよぽんを見てるだけあるねー。

まぁ、私はきよぽん限定じゃなくて、みやっちたち含めて愛里に聞いたんだけどね……可愛いからいいか♪

長谷部「愛里は流石だね~(きよぽん関連の事は)それじゃ……ゆきむーたちは先に教室戻っててもいいよー。」

私たち急いで食べたくないし~何より食べてる所観られるのもちょっとね……

昼休みギリギリまで、愛里とのんびり食べようと思ってみんなに言った。

幸村「そうか?それなら俺は先に戻って午後の授業の予習をしておく。」

三宅「そう言うことなら、先に俺も戻ってる。清隆はどうする?」


ゆきむーは相変わらず勉強の虫だねー……みやっちも続いて席を立った。


ていうか二人とも……少しは私たちを待つとか考えないんかい!……って私は心の中で思ってしまった。


いや、自分から言ったわけだから……まぁ、別にいいんだけどさ。


後はきよぽんか。まぁ、この流れならきよぽんも先に教室戻るんだろうな……


愛里に悪いことしちゃったかも……


綾小路「俺は……もう少しここに居る。食べて直ぐに動くのはあまり良くないからな。」

長谷部「!」

きよぽんは意外にもここに残るらしい……私は結構驚いてしまった。

三宅「そうか、じゃあ先に俺たちは戻ってる。また後でなー波瑠加、愛里。」

佐倉「うん、また後でね!明人くん、啓誠くん。」

長谷部「うん……後でね、ゆきむー、みやっちー。」


みやっちたちが先に教室に戻って行ったのを確認して、私はチラッときよぽんを見る……


いつも通り無表情で気だるげな感じで座っていた。


にしても意外だな~。きよぽんも食べ終わっているなら、先に教室戻ってても良かったんだけど……そんなにお腹苦しいんかな?


私はきよぽんの様子が気になったので声を描けようとしたら、きよぽんは急に立ち上がった……


長谷部「あらら、きよぽん?急に立ち上がって、どうしたん?」

佐倉「どうかしたの、清隆くん?や、やっぱり……先に教室に戻っちゃうの?」

きよぽんの行動に疑問を持った私が訪ねたら、続いて愛里は寂しそう言った。

愛里の悲しげな表情を察してか、きよぽんは易しくこう言った。

綾小路「うん?いや、そっちの席に移動しようとしただけなんだが……」

佐倉「そ、そうなの?……良かったぁ。」


きよぽんはみやっちたちが座っていた側の席を指差しながら言った。


なーんだ……それだけか。


愛里は安心したようで、笑顔で言った。うん、相変わらず可愛いね♪


良かったねー愛里。


でも、ごめんね、愛里♪私はちょっと……きよぽんにイタズラしてみたくなっちゃった♪


長谷部「えー?別に~席移動しなくても良くない~?」

綾小路「いや、俺はもう食べ終わっているし、食事の邪魔だろ?愛里と波瑠加が並んで座った方が……」

長谷部「別に邪魔じゃないよ~?いつもこの並びでご飯食べてるんだしー。ねー愛里?」

佐倉「うん!それに……私は清隆くんに移動して欲しくないなぁ//////」

綾小路「そうか?なら、いいんだが…」

長谷部「そうそう♪そ・れ・にせっかく両手に花のこの状態を逃すのはもったいないぞーきよぽん♪」


私はからかうように言った。きよぽんの困った表情見たさにけしかけたんだけどー


結局最後まで、きよぽんは無表情かぁー。


つまんないの~……もっとオタオタしたきよぽんとかみて見たかったのに。


そしたら、きよぽんは……


綾小路「両手に花か……まぁ、それは納得だな。二人とも綺麗だからな。」

長谷部「へ//////?」

佐倉「えっ//////?」

綾小路「うん?何か変な事言ったか?」

きよぽんは座り直しながらそう言った……

え、ちょっ……それ、まぢ//////?

長谷部「え、えーと……別に変なこと
は言ってないけどさ//////ねぇ、愛里?」

佐倉「……ぷしゅ~//////」

長谷部「わぁーー愛里!大丈夫?気をしっかり!」

佐倉「あわわ……だ、大丈夫~//////」

綾小路「?」


愛里は真っ赤になっていて、今にもイスから倒れそうな勢いだったので、急いで愛里を支えに行った。


当の本人であるきよぽんは不思議そうな表情していた……


いやいや……きよぽん今の状況解ってる?


こうなってるのは君の発言のせいなんだぞー!


綾小路「愛里大丈夫か?何か飲み物でも、持ってくるか?」

きよぽん……心配の仕方が違うんですけどね。

まぁ、一旦きよぽんにはこの場を離れてもらった方が愛里には丁度いいか……

長谷部「うん、よろしく。私は愛里の介抱しとくからさ。」

綾小路「分かった、買ってくる。」


きよぽんは自販機の方に向かっていった。


ふぅー……なんと言うか、びっくりした~。


私はからかうつもりで言ったのに……ストレートに綺麗なんていうから//////


なんか今になって恥ずかしくなってきた……//////


きよぽんはたぶん他意はないし、きっと思った事をそのまま言ったと思うから余計に破壊力が……//////


愛里を確認すると、顔真っ赤になっていて今にも気絶しそうになっていた……


まぁ、この場合愛里ほどじゃないけど……気持ちは解るかも……


長谷部「とにかく、今はきよぽん帰ってくるまで、愛里をどうにかしなきゃねー…」


この後、きよぽんが帰ってくるまで愛里は意識は戻ったんだけど……


教室に戻るまでの間きよぽんの顔見るたび真っ赤になって気絶しそうになってしまい、フォローが大変だった。


結局最後まで、きよぽんは心配しながら、不思議そうに私たちをみていた……


PM6:00。


長谷部「お!あったあった~。」


私は今、一人でケヤキモールのスーパーに居た。


その理由は……


今日もグループの皆とどっか行こうと考えていたら、みやっちが部活のミーティングで今日は無理って言われ、ゆきむーは新しい参考書が必要だからと足早に帰ってしまった。


私ときよぽんと愛里だけでもどっか行こうと思ったけど(私はきよぽんを観察したかったので)今日の愛里では身が持たないため、断念することにした。


きよぽんにも今日は集まらないことを伝えたら『分かった。』と言って去っていった。


私と愛里はさっきまでケヤキモールで一緒にブラブラしてたんだけど……私は砂糖を切らしていたのを思い出して、ケヤキモールのスーパーに寄ってから帰ると愛里に伝えた。


でも、愛里は優しいから『波瑠加ちゃん、私も手伝おうか?』って言ってくれたけど、流石にそれは悪いから大丈夫と伝えて先に帰ってもらった。


これが今の状況。


長谷部「まぁ、本当はきよぽんだけでも連れて色々探りたかったけど……まぁ、しょうがないっか。」

それに私たちはきよぽんといつでもグループで一緒いられるしー……

あれ?なんでこんなにきよぽんの事考えてんだろ、私//////

いやいや……これは気のせいだね、うん。

私はすぐに頭を切り替えて買い物に集中した。

長谷部「さてと、砂糖は籠に入れたし後は……駄菓子だね~♪これは欠かせない!」


私は駄菓子コーナーで自分の好きなお菓子を大量に籠に入れて、レジに向かった。


やっぱ、この学校の最大の魅力はなんと言っても寮の上にお金に困らないことだよね~♪


しかも、一人だから何したって文句は言われないし、何より自由!これは最高だよね、うん。


私は浮かれ気分で歩いていたら、ここで思いもよらぬ人物と遭遇した……



『ん?波瑠加?』



ビクッ……。


この声は……まさか…


長谷部「!!!。き、きよぽん?」


私は声のした方をゆっくりと振り向くとそこには……きよぽんがいた。


綾小路「こんなところで会うなんて、奇偶だな。」

長谷部「あはは。ほんとだね~きよぽんも買い物?」

綾小路「あぁ、俺はコーヒーを切らしてたから買いに来たんだ。」

きよぽんはコーヒーの素を数種類持っていた。

長谷部「そうなんだ。きよぽんいつもこの時間に買い物とかしてるん?」

綾小路「いや、今日は偶々だ。さっきまでカフェで本を読んでいたからな。その帰りで寄っただけだ。」

長谷部「ふーん、そうなんだ。」

きよぽん一人でカフェにいたのかな?だったら、やっぱ誘えば良かったかなー……いや、今日の愛里の様子では体がいくつあっても耐えられないな、うん。

綾小路「そういう波瑠加も買い物か?」

長谷部「え?あ、えっとーうん、まぁねーあはは……」

綾小路「?」


まずい……この状況は非常にまずい。


私はきよぽんと話す直前に咄嗟に籠を後ろに隠していた。


そりゃあそうでしょ……この籠の中見られるのは恥ずいもん//////!!!


こんな大量のお菓子一人で食べてるなんて思われたら嫌じゃん//////?なんで寄りによってこんな場所できよぽんと逢っちゃうんだよ~。


きよぽんのバカ~。


綾小路「波瑠加?大丈夫か?」

長谷部「え?だ、大丈夫だよ!それより会計済ませにレジ行こ!」

綾小路「ああ、そうだな。」

私は籠を上手く後ろに隠したまま、きよぽんの背中を押してレジに向かった。

綾小路「波瑠加。そんなに押さなくても一人で歩けるんだが……」

長谷部「いいから、いいから♪」


私はきよぽんを押して歩きながらある異変に気付いた……


悪い意味で私たちは色々目立っていたらしく、買い物をしている主婦やら学校の女子生徒たちなど多くの人に見られていた。


その多くはきよぽん目当てで、見ていたみたいで私の事を羨ましそう(主に女子生徒たち)に見ていた。


ふふん♪これは……優越感ってやつ?


羨ましいかい、皆の衆♪?でも……ごめん…本当は凄く恥ずかしい//////


だってこの状況さー……周りから見たらイチャイチャしてるようにしか映らないんじゃ//////?


いやいや//////考えすぎ考えすぎ……。


結局私は優越感に浸る余裕は無く、その場から立ち去りたい一心でレジに行った。








帰り道。


綾小路「……この時間はあんなにレジが混むんだな。想定外だった。」

長谷部「あはは。きよぽんもセルフレジにすれば良かったじゃん!」

綾小路「今度からそうする。」


私たちは今、一緒に帰ってる。まぁ、帰る方向同じだし?こうなるのは普通だよね?


そして気配り上手なきよぽんは私の荷物をさりげなく持ってくれた。


こういう細かな優しさがモテてる理由かもね~。本人は気付いてないっぽいけど……


長谷部「きよぽんは普段この時間には買い物しない感じ?」

綾小路「あぁ。買い物はコンビニで済ますことが多いな。実際、ケヤキモールのスーパーに寄ったのは久しぶりだ。」

長谷部「そうなの?」

綾小路「あぁ、そういう波瑠加はこの時間に買い物することが多いのか?」

長谷部「うん、まぁね。この時間だと混んでるけど、同級生にあんまし会わなくて済むから楽なんだよねー。」

綾小路「そうなのか?」

長谷部「うん、学校以外の場所で誰かに会うのは嫌だし~…」

綾小路「それは……まぁ、分かる。」

長谷部「お!きよぽんもそういうタイプ?」

綾小路「タイプかどうか分からないが、そういう気持ちは俺にもよく解る。」

長谷部「だよね~?きよぽんならそう言うと思った♪」

綾小路「……本当に思ったのか?」

長谷部「嫌だなーきよぽん♪本当に思ったって♪」


私はきよぽんと同じようなタイプと分かって少し嬉しかった。


私たちは些細な会話をしながら並んで寮に向かった。





寮内。


綾小路「荷物ここまでいいのか?」

長谷部「うん♪持ってくれてありがとうね~きよぽん♪」


私たちはエレベーターに乗ったところで、私はきよぽんに感謝を伝えて、荷物を受け取った。


はぁ~……今日エコバッグ持ってきといてよかった~。おかげでバレずに済んだよ。


それにしても……こうやってきよぽんと二人きりで帰るの初めてだったんじゃない?


まぁ、他愛ない会話のやり取りだったし偶然も重なっての今の状況だけど……結構楽しかったかも!




チン……。


きよぽんの部屋の階に着いた。


綾小路「じゃあな、波瑠加。」

長谷部「あ……ちょっと待って!」

きよぽんは一言そう言ってから、降りようとしてたんだけど……

私がきよぽんの袖を掴んで引き止めたから立ち止まった。

綾小路「ん?どうした?」

長谷部「あ……えっと…//////」

綾小路「?」


どうして私はきよぽんを引き止めたのだろう?自分でもよく分からなかった。


いや……多分、それは嘘。


引き止めた理由は……きっとまだ、きよぽんと一緒に居たいって思ってるからだと思う。


今日は私の番だからってきよぽんと過ごすとか考えてなかったのに……


だけど……この状況を逃すのは惜しいと思った。だから私は……


長谷部「あ、あのさ……//////きよぽんさーこの後、部屋で何かやることある感じ?」

綾小路「この後?まぁ、特にやることも無いぞ?」

長谷部「本当?じゃあさーちょっとだけでいいから話し相手になってくれない?」

綾小路「話し相手?」

長谷部「うん、私の部屋でコーヒー飲みながら?色々きよぽんに聞いてみたいこともあるしからさ~?」

綾小路「……波瑠加の部屋で?」

長谷部「あ、えっと、嫌なら無理にとは言わないんだけど……あはは//////」


私はきよぽんを自分の部屋に誘ってしまった。


自分的には気楽な感じで言ったはずなんだけど……妙に照れる//////


なんでこんなにドキドキしてるの?私//////


断られたら断られたらで、グループにいるときに観察出来ればいいしね!うん……


綾小路「俺で良ければ構わないが……」

長谷部「え!ほ、ほんとー//////きよぽん?」

私が頭でごちゃごちゃ考えていたら、きよぽんは案外あっさりと承諾を貰えた。

綾小路「あぁ。それより俺なんかが波瑠加の部屋に行ってもいいのか?」

長谷部「うん、もちOKだよ♪それじゃ、行こ行こ!」


まだ、きよぽんと話せると分かったら柄にもなく、嬉しく思っている自分に驚いた。


愛里には悪いけど……ちょっとだけ……


今日だけきよぽんを貸してね!必ずいい情報手に入れるから。


私はそう考えながら、きよぽんと私の部屋に向かった。


私の部屋。


ガチャッ……


綾小路「お邪魔します。」

長谷部「どうぞ、どうぞ~♪」

きよぽんはそう言った後、靴を律儀に並べて入っていった。

几帳面ですなー。

綾小路「荷物ここに置くぞ?」

長谷部「うん♪ありがとね~きよぽん♪今、コーヒー淹れるよー。適当に座っててー。」

綾小路「分かった。」


私はコーヒーを準備するためにキッチンに向かう。


私の部屋に寄っていくことになった後、きよぽんはまたさりげなく、私の荷物を持ってくれた。


部屋まで直ぐだし、大丈夫だって言ったんだけど……


『いや、こういうのは男の役目だろ?これくらいさせてくれ。」何て言うだもん//////


密室で二人きりな上にそんなこと言われたら……キュンとくるよねー//////


おっとと……今はコーヒー用意することに集中しないとねー。


私は二人分のマグカップを持ってきよぽんのもとに行った。


長谷部「はい、コーヒーどうぞ~きよぽん♪」

綾小路「あぁ、ありがとう。」

きよぽんにお礼を言われるのも悪くないですなー♪

長谷部「あ!忘れてた……」

綾小路「ん?どうかしたのか?」

長谷部「うん……これこれ!やっぱり、これが無いとね~」

私はさっき買ってきた砂糖をきよぽんに見せつけながら、言った。

そして、ティースプーンで砂糖を大量に容れてから飲んだ。

長谷部「うーん、おいしい♪……ってきよぽんどしたの?」

きよぽんはコーヒーを飲んでいる私をガン見していたので、きよぽんに尋ねた。

ていうか……あんまり見詰めないで欲しいんだけど//////

綾小路「波瑠加……いつもの事だが、よくそれで飲めるな?」

あ、それで見てたのね。びっくりした……

長谷部「仕方ないじゃーん?こっちの方がおいしいんだもーん♪」

綾小路「……そうか。」

長谷部「そうだよ~♪きよぽんも試してみるかい?」

綾小路「いや……遠慮しとく。」

長谷部「あはは♪冗談冗談!きよぽんってあんまり甘いの得意じゃないんでしょ?」

綾小路「そう見えるか?」

長谷部「見えるっていうかー。いつもコーヒーはブラックばっかじゃん?だからそうなのかなーみたいな?」

綾小路「まぁ、コーヒーに限って言えばそうだと思うが……嫌いではないぞ?」

長谷部「へぇ~…じゃあさ、きよぽんって何が好きなん?あ、食べ物とかって意味ね?」

私は上手いこときよぽんに質問することに成功した。

まぁ、元々色々知りたかったし?

愛里にもいい情報になるしね~♪一石二鳥っしょ!

流石、私は話しの振り方が相変わらず上手いね~♪

綾小路「好きな食べ物か……これと言って思いつかないな…ちょっと待ってくれ。」

きよぽんは結構真剣に考えていた……そんなに悩むことかなぁ?

長谷部「そんなに難しく考えなくていいんだぞ~きよぽん?」

綾小路「そういう波瑠加は何が好きなんだ?」

私はきよぽんに逆に質問返しされた……

まぁ、こっちから聞いてるんだし?私も言わなきゃフェアじゃないよね?

長谷部「私?私は甘いお菓子とケーキが好き!」

綾小路「甘いものが好きなんだな。甘いものか……1つ思い付いたかもしれない。」

長谷部「お!なになに~」

私の好きなものがヒントになったのか、きよぽんはようやく思い付いたようだった。

さてさて~きよぽんは何が好きなのかなぁ?

綾小路「……アイス。」

長谷部「へ?アイス?」

綾小路「あぁ。前に食べた時衝撃だった。」

きよぽんは坦々とコーヒーを飲みながら言った。

私は驚きのあまり数秒止まってしまった……

まさかの……アイス?

長谷部「ぷっくく……なにそれ~意外すぎでしょ~あはは♪」


私は笑ってしまった。もちろん馬鹿にするとかじゃなく、その……


可愛すぎでしょー……//////!


だって、アイスだよ?


綾小路「そんなに可笑しいのか?」

きよぽんは私が笑ってる様子を不思議そうに見ていた。

長谷部「あ、ごめんごめん!別に馬鹿にしてるわけじゃないよ?ただ、意外すぎてさ~」

綾小路「そうか?」

長谷部「うん!そっかぁ~きよぽんはアイスが好きなのかぁ……ぷっくく、あはは♪」

綾小路「……完全に馬鹿にしてないか?」

長谷部「だから、違うってば~♪ただ、きよぽんは可愛いなぁって思ってるだけだよ~?」

綾小路「その褒め方はあまり嬉しくないんだが……」

長谷部「まぁまぁ♪堅いこと言わずにさ!次の質問に行きまーす♪」


私は何だか楽しくなってきた♪


こんな風に話す機会無かったのもあるけど……のっけからこんなにギャップ有りすぎな答えが返ってくるんだもん♪


そりゃあテンションも上がるよね?


綾小路「随分楽しそうだな?」

長谷部「えー?そんなことないよ~♪えっと次はねー……趣味とか?」

なんか、在り来りな質問になっちゃった……まぁ、いっか♪

綾小路「趣味か……本を読むのは好きだな。後は映画鑑賞に行くのも好きだ。」

長谷部「おー……そっちは普通なんだー。つまんないの~……」

私はテーブルに頬杖つきながら、きよぽんにわざとらしく残念そうに言った。

まぁ、本が好きなのはある程度知ってたしー?納得。

いつも休み時間に難しそうな本読んでるしねー。

綾小路「……俺に面白さを求めるのは間違ってると思うぞ?」

長谷部「え~……もっと私を楽しませてよ~♪」

綾小路「あのな……」

きよぽんは困った様子だったので、ここらで折れることにした。

きよぽんをからかうのもたまにはいいかもね~♪

長谷部「あはは♪冗談冗談。……それにしてもさー……きよぽんって結構喋るんだね?」

綾小路「……これだけ色々聞かれたら俺だって答えるし、普通に喋るぞ?」

長谷部「でも、普段はきよぽんからあんまし話し振らないじゃん?」

綾小路「……まぁ、そうかもな。そういうのは苦手だ。」

長谷部「うん、知ってる♪でもさ、たまにはきよぽんから、皆に話しかけたりするのもいいんじゃない?」

綾小路「……機会があればな。」

きよぽんは少しバツが悪そうな感じで受け答えた。

まぁ、こういうのは自分のタイミング次第だし?きよぽんには難しいかな~?

長谷部「んじゃーその時に期待しとくね?きよぽん♪」

綾小路「……期待されても困るんだが。」

長谷部「まぁまぁ♪気楽にいこうよ、きよぽん!」

綾小路「そうさせて貰う。俺からも1つ波瑠加に言いたい事があるんだが……いいか?」

長谷部「え!なになに~?」


え、一体何だろう?


まぁ、きよぽんのことだから十中八九当たり障りのない事だと思うけどー……


私は適当な感じで受け答えしながら、きよぽんに言った。


そうしたら……


綾小路「波瑠加が、いつもグループの中心に居てくれて助かってる。ありがとう。」

長谷部「へ//////?」


私は突然のことにまたもポカーンとしてしまった。


今のは……きよぽんにお礼言われたのかな?


え?なんでなんでー//////?


お、落ち着いて私!何か言わなきゃ……


長谷部「ちょっとちょっと~きゅ、急にどうしたの~きよぽん//////?」」

綾小路「二人っきりの今だから言っとこうと思ってな。皆の前だと流石にな……」

長谷部「いやいや、だからって急にそんな畏まらなくても……」


私はまだちょっと動揺してる……


お礼言われるのもそうだけど……きよぽんが急に二人っきりだからとか言うから//////


なんか今になって緊張するじゃん//////!


綾小路「波瑠加が居てくれるから、俺と愛里はこのグループで上手くやれてるからな。」

長谷部「そ、そう……?」

綾小路「俺はさっきも話した通り自分から話したりするのは苦手だし、正直表立って何かするのも向いてない自覚がある。俺がこのグループのリーダーなのも未だに納得してないしな。」

長谷部「……」

綾小路「それでも……波瑠加がこのグループを引っ張ってくれてるから、俺は凄く助かってる。」

長谷部「……//////」

綾小路「それだから今、礼を言おうと思ったんだ。」

長谷部「……//////」

綾小路「……波瑠加?」

長谷部「は、はい//////?」

綾小路「さっきから黙ってばかりだが、大丈夫か?」

長谷部「え、えっと……大丈夫だけど一瞬待って//////!」

綾小路「?」


私は一旦、頭の中を整理しようと思った。きよぽん私のことそんな風に思ってくれてたんだ……ふーん。


ヤバい……普通に嬉しい//////。


てか、きよぽんズルくない//////?


こんなこと言われて嬉しくない女の子いないよね?相変わらず破壊力有りすぎだよ~きよぽん//////


綾小路「大丈夫か?」

長谷部「う、うん。あ、えっと……急にお礼言われたからびっくりしただけだよ!」

綾小路「すまない、迷惑だったか?」

長谷部「いやいや、きよぽん!迷惑なんかじゃないって!むしろ……嬉しいよ~//////?」

綾小路「……顔赤いぞ?熱でもあるのか?」

長谷部「だ、大丈夫だよー//////!気のせい気のせい!」

顔赤いのはきよぽんのせいだよ//////!

私はきよぽんに顔を見られないように顔を逸らした。

綾小路「……本当に大丈夫か?」

長谷部「大丈夫だって~あはは……//////」

綾小路「それならいいんだが……。もう、こんな時間か……そろそろ時間も遅いから帰るとする。」

長谷部「え?」


え?もう?と思ったけど……時計を確認すると8時を過ぎていた。


いつの間にかそんなに時間経ってたんだ……気付かなかった。


きよぽんは立ち上がって玄関に向かったので、私も慌ててきよぽんの後を追った。


綾小路「体調が悪いなら、別に玄関まで来なくても良かったんだぞ?」

きよぽんはこの期に及んで私が体調崩したと勘違いしているらしい……

誰のせいで、こうなってると思っているんだよ!

全く……

長谷部「だから大丈夫だってば~。ていうか、私に見送られたくないっての~きよぽん?」

綾小路「そういうわけじゃないんだが……それじゃ、またな波瑠加。戸締まりしっかりな?」

長谷部「うん、また明日ね~きよぽん!」


いつも通り私は元気よく、きよぽんに手を振って言った。


きよぽんは周りに誰もいないことを確認してから出ていった。


私はきよぽんが出ていった後、一直線にベッドに向かった。


長谷部「はぁ~。最後にとんでもないこと言うだけ言って、帰るなんて……きよぽんめ~//////!」


でも、きよぽんが私の事をそういう風に思ってくれていたことを聴けたのは良かったかも。


それにきよぽんから色々聴けて良かったし、凄く楽しかった!


趣味とか好きな食べ物の話しとか?ってか……アイスが好きとか可愛すぎっしょ♪愛里にも教えて上げないとね~♪


この情報は流石に一之瀬さんたちも知らないっしょ!ふふーん♪一之瀬さんたちには負けないようにしないとね!


ライバルは強力だし?きよぽん狙ってる女子も多いと思うけど……きよぽんは私と愛里のものだから他の皆には渡さないんだから!


覚悟しててね~きよぽん♪









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シリ
 
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