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報い

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第一章

                報い
 その話を聞いてだった。
 城崎弥生は話してくれた幼馴染みである今村弥生に話した。
「わかったわ」
「ええ、貴女がね」
「動くことね」
「そうするわよね」
「仕事だからね。それにね」 
 如月は弥生に決意している顔で語った。
「私と同じだから」
「だから尚更なのね」
「その娘達と会うわ」
「そうしてよね」
「その娘達を救える様にするわ」
「お願いするわね」
「それが私のすべきことだから」
 こう言ってだった、弥生を通じてだった。
 その高校に足を運んだ、その高校は今大騒ぎになっていた。
「それは君の責任だろう」
「学年主任に責任はないんですか?」
「君が担任じゃないか」
「僕気付かなかったですよ」
「気付かなかっただけでも罪だ」
「私の責任だっていうんですか」
「今学校の電話が鳴り止まないじゃないか」
 見れば実際にそうなっていた。
「抗議の電話で」
「いじめのですね」
「そうだ、幸い被害者の娘は助かったがな」
「今入院中です」
「自宅で手首を切ったそうだな」
「幸いお母さんが風呂場でそうしていたのをすぐに発見しまして」
 そうしてというのだ。
「病院に担ぎ込まれて」
「命に別状はないな」
「はい、ただ極度の出血で」
「まだ入院中だな」
「退院は暫く先です」
「命に別条がないことはいいが」
 学年主任である初老の男は言った。
「だが私も今言われてるんだぞ」
「それ言うなら私はもう自宅まで特定されたんですよ」
 若い女の担任はややヒステリックに返した。
「ネットで顔まで晒されて」
「無責任教師としてか」
「もうあることないこと書かれて親も参って」
「君がいじめに気付かなかったからだろうが」
「そんなこと言われてもわかりませんよ」
「わからなかった君が悪い」
「相手は隠すんですよ」
 いじめの加害者の方はというのだ、そして。
 今加害者達はというと。
 松岡葵、桜井遥、朝倉彩香、福元柚佳の四人はというと。
 それぞれ校長室に呼ばれていた、茶色のショートヘアの少女が葵、黒髪のロングは遥、茶色のロングが彩香、黒のツインテールが柚佳である。
 四人は項垂れてだ、校長の話を聞いていた。
「認めるのだね」
「はい・・・・・・」
 四人は禿頭の校長に答えた。
「私達が花田さんをいじめていました」
「おトイレに連れて行って酷いことをしていました」
「殴ったり蹴ったり水をかけていました」
「お財布からお金取っていました」
「机や教科書を破って落書きをしていました」
「体操服切り裂いたりしていました」
「わかった、花田さんのご両親は刑事告訴を考えている」
 校長は四人にこのことを告げた。
「君達は退学も検討されている」
「退学って」
「そんな」
「いじめは犯罪だ、もう君達は高校生だ」
 校長は怒った声で告げてだ。
「だから退学もある」
「だからですか」
「そうだ、覚悟しておくことだ」
 こう四人に言うのだった、そして。 
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