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少女漫画は現実じゃない

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第二章

「一杯よ、まあ読んでいて面白いから」
「それでなのね」
「いいと思うわ」
 笑って話した、だが。
 二人は同じ高校に入学したがそこでだった。
 ある日桜は隣のクラスになっていた美里のところに来てこんなことを言った。
「あの、大沢君いたの」
「大沢君って誰よ」
「小学生の時のクラスメイト、性格も外見もね」
 その両方がというのだ。
「私にとって完璧にね」
「タイプだったの」
「そうなの、それでも六年の時に転校しちゃって」 
 それでというのだ。
「泣いたけれど」
「悲しくてなのね」
「そうしたらね」
「その大沢君がなの」
「同じ高校だったのよ」
「あら、それって」
「少女漫画みたいな展開よね」
 桜は自分から言った。
「いや、もうこれは」
「そうね、じゃああんたどうするの?」
「どうするって決まってるでしょ」
 桜は美里にうっとりとして言った。
「ここは当たって砕けろよ」
「それでいくのね」
「そう、だから早速ね」
 美里に目をきらきらとさせつつ話した。
「行くわ」
「頑張ってね、ただね」
「ただ?」
「どうなってもね」
「振られてもなのね」
「転んでも泣くなでしょ」
 友人に微笑んで話した。
「こうしたことはね」
「ええ、恋愛はね」
「これも少女漫画の常だけれど」
 失恋はというのだ。
「けれどね」
「そうなってもね」
「少女漫画では泣くけれど」
 失恋の悲しみでというのだ。
「けれどね」
「それでもよね」
「現実ではね」
「泣いたら駄目ね」
「特に人前ではね」
「そうよね、それにね」
「それに?」
「今は失恋から闇堕ちして」
 そうなってというのだ。 
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