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ドラゴンボールZ~孫悟空の娘~

作者:setuna
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第86話

 
前書き
取り敢えず何とかSUPER HERO編は終了…また間が空くことをお許し下さい。 

 
レッドリボン軍復活を阻止したことを祝ってブルマ主催のガーデンパーティーに招かれ、それぞれが飲食し、雑談を楽しんでいた。

特に悟空とベジータとビルスは凄い勢いでバーベキューで焼かれた肉を頬張っていた。

「はい、トランクス君。」

皿に料理を盛ってトランクスに差し出す悟林。

「ありがとう」

「それ、私が作ったんだ。口に合えばいいけど」

「悟林さんの料理の腕は俺からすれば一番だから大丈夫だよ。」

早速悟林の作った料理を口に運ぶトランクス。

相変わらず美味しい。

彼女の母親のチチの手料理も美味しいけれどこっちの方がもっと美味く感じるのは悟林が自分のために作ってくれたからか。

「どう?」

「美味しいよ悟林さん」

「そっか、嬉しい」

トランクスの言葉に照れながら微笑む悟林にトランクスは思わず見惚れてしまう。

レッドリボン軍復活騒動の闘いがきっかけとなり、距離が縮まった2人は良い雰囲気になっていたが、そこに邪魔者が現れた。

「何だ何だ~?仲良いな2人共!!」

「「ヤムチャさ…酒臭っ!?」」

どうやらかなり酒を飲んだらしいヤムチャが2人に近寄り、酒の臭いに顔を顰める。

「トランクス、お前って本当にやる時はやるんだな~。悟林ちゃんみたいな武道一筋だった女の子を落とすなんて…なあ、トランクス、お前悟林ちゃんと何時結婚するんだ?」

「け、結婚!?ちょっとヤムチャさん!トランクス君はまだ学生なんだからそんなの早いでしょ!?もう、お父さんからも言われたし…恥ずかしい…」

父親の悟空もチチからトランクスとの進展を聞かされていたらしく、少し前に何時トランクスと結婚するのかと聞かれてしまっていたのである。

「ヤ、ヤムチャさん!飲み過ぎですよ!!」

「うるさい!これが飲まずにいられるか!!」

酒瓶から直接飲むヤムチャにトランクスは引き、悟林はより酷くなった酒の臭いに辛そうにしていた。

悟空譲りの嗅覚を持つ悟林には今のヤムチャは辛いようだ。

悟空も一緒に修行する機会が増えたベジータも酒は飲めるものの、飲酒を好む程ではなく基本的に水かスポーツドリンクなどのジュースを好んで飲んでおり、身近な人が深酒をしないので耐性がないのである。

「ヤムチャさん…少し離れて…」

「悟林さん、顔色悪いけど…大丈夫?」

「ごめん、少し距離取るね…」

ヤムチャから少し距離を取る悟林にトランクスは同情し、トランクスは何故ヤムチャの機嫌が悪いのか尋ねた。

「あのー、ヤムチャさん…何でそんなに機嫌が悪いんですか?」

「良く聞いてくれたなトランクス!実は…」

ヤムチャが語り始めるが、案の定付き合っていた彼女にフラレてしまい、再び独り身になってしまって自棄酒をしていたらしい。

「そ、そうですか…」

「ちょっと他の可愛い女の子に目が行っただけなのに…」

「(そりゃあフラレるな)」

酒瓶を抱いて号泣するヤムチャにトランクスは胸中で呟く。

「最近は同じ独り身仲間だった悟天まで可愛い女の子と仲良くなったようだし…何で俺だけ…」

「え?悟天も?」

確かに悟天も彼女を欲しがっていたが、もう射止めたのか。

「ああ、何でもサタンシティで正義の味方のボランティアをしてクリリンの手伝いをしていた時に車を犯罪者に壊された親子を助けたらしいんだよ。途中で超サイヤ人になって逃げた犯罪者をぶっ飛ばしたらその姿に娘さんが悟天に惚れたんだと…写真見せてもらったけど凄い可愛い女の子だったぜ」

「へえー…」

「あ、私聞いたことあるよ。確かパレスちゃんって言うお嬢様だね…悟天から聞いたけど結構世間知らずなとこがあるけど素直な良い子なんだって…まさか、こんなに早く出会いに恵まれるなんてね…」

しかし、山奥暮らしで世間に疎い方である悟天以上に世間知らずとはかなりの箱入り娘なのか。

だが、超サイヤ人となった悟天を見ても驚くどころか逆に惚れるのはかなり肝が据わっているのかもしれない。

それとも天然なのか…とにかく上手く行って欲しいものである。

「ねえ、トランクス君。悪いけど悟天に何かアドバイスしてくれないかな?弟に良縁が出来たなら上手く行って欲しいし…」

「アドバイス…?うーん、まあ…やれるだけは…」

「おい、何で俺を見て言うんだ?」

取り敢えずフラレる要素はヤムチャを見ていれば分かるのでそれを言えば大丈夫だろう。

「まあ、ヤムチャさんを見れば…ねえ?」

「悟林ちゃん!それは俺が駄目男だって聞こえるぞ!?」

「いやだって、長い間お付き合いしてたブルマさんにフラレてそのブルマさんが付き合いが短いベジータさんと結婚したんだからヤムチャさんが問題ありなのは誰が見ても分かるでしょ?」

「ぐはあっ!?」

戦闘に特化したサイヤ人だからか言葉にも情けも容赦も微塵もなく、ヤムチャの繊細なハート(笑)を貫いた。

「ブルマさんだってヤムチャさんはおっちょこちょいで軽くて優柔不断で落ち込みやすくてサボり癖があって浮気性な人だって言ってたし」

「ぐふうっ!?」

元彼女だったブルマからの辛辣な評価にヤムチャは地面に突っ伏した。

「私から見てもヤムチャさんはアウトだと思うよ。そもそもヤムチャさんはナメック星のドラゴンボールで生き返った時にブルマさんにプロポーズすれば良かったんだよ。ヤムチャさん生き返らせるためにナメック星にまで行ったのに怒らせちゃってさ…ヤムチャさんは優柔不断で決断力が欠けてる」

兄弟弟子の愛娘からの辛辣な言葉にヤムチャは涙を流しながら沈黙した。

「まあ、ヤムチャさんがフラレてくれたおかげでトランクス君と会えたからそこは感謝だね。ありがとうヤムチャさん。ブルマさんにフラレてくれて」

「ごふ…っ…」

「おーい!ヤムチャー!そんなとこで何寝てんだ?」

両手に串焼きを大量に持ちながら悟空がヤムチャに歩み寄る。

「悟空…お前、娘の教育はどうなってんだよ…?」

「?」

号泣しているヤムチャの言葉に疑問符を浮かべる悟空。

「お父さん、ヤムチャさん酒臭いからあっちに持ってってくれるかな?」

「ん?へーい」

瞬く間に両手の串焼きが消え、串を片付けると悟空はヤムチャを担いで離れていった。

「はあ、お酒の臭いはやっぱり駄目…気持ち悪くなる」

「はは、悟空さんもお酒飲まないしね。」

何回か孫家にお邪魔したことがあるが、悟空は夕食の時も酒を飲むことがないし、悟飯も基本的には飲まないのであまり飲酒を好まない一家なのだろう。

「…トランクス君はお酒飲みたいと思うの?」

「え?うーん、父さんがあんまり飲もうとしないからな…母さんが深酒して酔い潰れるとこも見てきたからあんまり…でも何時か仕事で飲むこともあるからなぁ…でもそれ以外は飲まないかな…多分」

「そ、そう…君と一緒に暮らすことになったら、君がお酒飲むことがあった時のために私も少しは慣れないといけないんだけど、ちょっと安心かな…ありがと」

「悟林さん…」

「姉さん!」

良い雰囲気になったところで邪魔者2号が現れた。

「………何?」

「お願いがあるんです!僕を鍛えてくれませんか!?」

「………お前を鍛える?何で?」

「セルと闘って分かったんです。今の僕じゃあセルに全く敵わないことに…」

「そりゃあ大した修行をしてないお前に負けるなんてセルもごめんでしょ」

努力しているというのに努力していない奴に負けるのは誰だって納得しないだろう。

「だから僕を鍛えてくれませんか!?パンを怪我させてしまって…僕は自分の弱さを痛感しました。あの力を使いこなせなかったせいで負けてしまった。お願いです姉さん、僕を鍛えて下さい!!」

「却下」

「ええ!?」

悟飯の頼みを却下した悟林。

驚く悟飯だが、悟林からすれば当然の反応だと思う。

「だってお前は平和が続くとすぐ腑抜ける病気なんだから修行なんてしても意味ないでしょ。私は私の修行があるんだからしばらくすれば病気が再発して弱くなるお前と遊んでる暇なんてない。時間の無駄」

悟飯と修行するくらいならトランクスとの修行デートの方が遥かに有意義だ。

特に最近はトランクスも強くなったので今までとは桁違いの手応えを感じている。

「そ、そんな…」

まさか姉から修行の頼みを一蹴されるとは思っていなかった悟飯はショックを受ける。

「ブウのことやザマスのことがあってもすぐに気を抜けるお前はある意味凄いよ。精神と時の部屋が使えるからその気になれば少しの時間でも修行出来たでしょうに。どうしても修行ごっこがしたいならパンちゃんと遊べば?」

今までのことがあり、一切悟飯の言葉を信用していない悟林。

あの獣のような変身…獣化と呼ぼうか…。

獣化には確かに驚かされ、悟飯の自分達とは違う究極の姿は確かに見せてもらったがそれだけである。

悟飯特有の能天気病に散々悩まされてきた悟林はもう悟飯には期待してはいなかった。

「おい悟飯、聞いたぞ?新たな力に目覚めたそうじゃないかその力、俺が引き出してやる!来い!!」

獣化の詳細をピッコロから聞いたベジータが凶悪な笑みを浮かべながら悟飯の首根っこを掴んで引き摺っていく。

「ちょ!ベジータさん!?僕は姉さんに…」

「ほう、俺が相手では不満か?」

「い、いえ…そういう訳では…」

「では構わんだろう。」

そのまま舞空術で悟飯は連行され、悟空も興味があるのかついていった。

何だかんだでベジータは悟飯の潜在能力を買っていたのだ。

その力を一時的とは言え自分達とは違うやり方で到達したのだからベジータが期待するのも無理はない。

「あれって悟飯の意思で変身出来ないんじゃないかなぁ…まあいいか、痛い目に遭うのは悟飯だし」

たまには心身を極限まで追い込ませた方が悟飯には良い薬だ。

「悟飯さん、大丈夫かな?父さんはあまり手加減しないし」

「大丈夫大丈夫、死ななきゃ別に良いよ。これで少しは能天気病がマシになれば良いんだけど」

まあ、悟飯が患っている能天気病がそんな簡単に治るなら自分もピッコロも苦労していないわけだが。

「姉ちゃ~ん」

そのままトランクスと談笑していると上機嫌ですり寄ってくる悟天に対して悟林は笑みを浮かべた。

「あらら、凄い上機嫌じゃない。」

「そりゃそうだよ姉ちゃん様。今まで僕は色んな女の子とデートしてフラレてきたけど今の僕は幸せの絶頂だからね!!」

「羽目を外しすぎてフラレるなよ?」

上機嫌の悟天をトランクスがからかうように言うと悟天は当然とばかりに頷いた。

「当たり前でしょ!僕はようやくスタート地点に立ったんだ。このままゴールするに決まってるでしょ!!」

「まあ、弟の幸せは祝福してあげるよ。ヤムチャさんみたいにならないでよね」

流石に弟のヤムチャ化は防ぎたいので一応念を押す。

「分かってるよー、僕だってパレスちゃんに嫌われたくないもん。ほら見てよ2人共、パレスちゃん可愛いでしょ?」

「「あー、うん。可愛い可愛い」」

スマホのパレスの写真を眼前に押し付けられた2人は悟天の勢いに引きながら答えた。

「…はあ、悟天もとうとう相手を見つけちまったのか…」

悟天達のやり取りを聞いていたヤムチャは持ち直して料理を摘まんでいた。

「俺もそろそろ年だし…結婚してえ…」

「その前にあんたは色んな物を治さないとね」

「ブルマ…」

「あんたっておっちょこちょいで軽くて優柔不断で落ち込みやすくてサボり癖があって浮気性じゃない。いくら顔が良くてもそんなんじゃ女は離れてくわよ」

「…それを言ったらお前もおっちょこちょいで浮気性なとこあったろ。聞いたぞ、昔でかくなった悟空も気にしてたそうじゃないか」

言われ放題だが、ヤムチャだって交際していた時のブルマの態度に思うところがあったようだ。

ブルマも成長した悟空に思うところがあったり、他の男に目が行ったりすることがあるのでそういうのが蓄積していって喧嘩になったりした。

確かに悟林やブルマが言うような所が自分にあったのは仕方なく認めるとして、ブルマにだって問題はあったはずだ。

「ま、まあ昔のことじゃない。今は私も結婚してるし」

昔の自分のことを言われたブルマは視線を彷徨わせる。

「何でブルマが結婚出来て俺は出来ないんだ…世の中おかしいな…いっそのことドラゴンボールで理想の彼女を出してもらおうかなぁ」

「そんなことしたら悟林ちゃんに殴られるわよ。私だって悟林ちゃんに酷い目に遭わされたんだから」

「それはお前の自業自得だろ。何だよドラゴンボールで小皺取りって…悟林ちゃんはこれからブルマのお世話もしなきゃならないからな…お前が義理の母とか大変だろうなぁ。お前に苦労させられた俺が言うんだ。間違いない」

過去のブルマの行動を思い返したヤムチャはこれからブルマの奇行に巻き込まれることになる悟林に同情するのであった。

「何ですってー!?」

「若い頃のお前がしてきたことを思い出してみろよ!」

口喧嘩をする2人。

まるで若い頃のような口喧嘩をする2人に周囲が懐かしい物を見たと言わんばかりに笑っていた。 
 

 
後書き
孫悟飯ビースト

この作品でのビーストは超化などの変身に倣って獣化と書いていきます。

劇場版では圧倒的な強さだったが、セルマックスより強くそれでいて戦闘センスは悟飯を大きく上回るブルーセル2相手には倒しきれず、肉体が負荷に耐えきれずに敗北した。

しかし、セルの方もギリギリだったようで、もう少し変身を保てていれば話は変わっていた。

肉体の鍛練不足を解消しない限り、この形態を使いこなせることはないだろう。

そしてセルも獣化に刺激を受けてブルーセル3を目指し、更にその上を目指すことを決意する。 
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