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ドラゴンボールZ~孫悟空の娘~

作者:setuna
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第83話

 
前書き
セルジュニア初登場。

セルジュニアの戦闘力ってセルの半分くらいのイメージ。 

 
レッドリボン軍基地に降り立った直後に悟林は気を軽く解放して周囲の兵隊を吹き飛ばした。

普通の地球人からすれば突然の暴風に為す術なく吹き飛ばされてしまう。

「さあて、さっさと壊滅させますか」

「スーパーヒーローが悪人の好き勝手を許すと思うかな?」

ガンマ2号が悟林の前に立ち塞がる。

「邪魔だよ」

潜在能力を解放し、ガンマ2号を殴り飛ばそうとするがガンマ2号は回転しながらかわすと悟林の脳天に踵落としを叩き落とした。

「痛ぁっ!?」

効果音の文字を浮かばせながらの踵落としをまともに喰らった悟林は勢い良く地面に叩き落とされた。

「姉さん!?」

神の気を纏っていないとは言え、潜在能力を解放した姉をあっさりと叩き落としたガンマ2号に悟飯が驚く。

「痛たたた…」

「僕は結構本気でやったんだけどなぁ…」

少し痛がる程度ですぐに起き上がった悟林にガンマ2号も驚いていた。

「悟飯さん!ここは俺達に任せてパンちゃんを!」

「こいつは僕達がやる!」

「なっ!?止めろお前達!そいつはお前達が敵う相手じゃないぞ!!」

潜在能力を解放した悟林を一蹴した相手にフュージョンもせずに挑もうとするトランクスと悟天に悟飯は慌てて止めようとする。

「「はあっ!!」」

トランクスと悟天はアップグレードしたドラゴンボールの力で強化された超サイヤ人に変身する。

超化の金色のオーラに橙色のオーラが被さるような2色の超サイヤ人の姿。

「そ、その変身は!?」

「へへ!姉ちゃんがドラゴンボールで願ってくれたんだよ!まあ、ご褒美とか言いつつ目的は自分の修行相手の確保だろうけどね」

これから先、姉とのコミュニケーション(修行)の激しさを考えると少しげんなりする悟天。

「とにかく、ここは俺達に任せてパンちゃんを!」

トランクスが剣を抜いて構える。

2人の急激なパワーアップに驚きながらも悟飯はパンを救いに向かう。

そこをガンマ1号が妨害しようとするが、変装を脱ぎ捨てたピッコロが止める。

「ピッコロさん!?」

「遅いぞ悟飯!どこで道草を食っていた!?」

突然現れた師の姿に悟飯が驚く。

「す、すみません!地球にセルが現れて…」

「何!?セルだと!?…いや、セルのことは後にしよう。まずは目の前のこいつを倒さなくては…お前は早くパンの元に向かえ!」

セルが地球に現れていたことにピッコロは驚くが、同時に良く見れば悟飯がダメージを受けていることに気付き、セルと闘ったのだろうと察することが出来た。

しかし今はパンを安心させるべきだと潜在能力を解放してガンマ1号を迎え撃つ。

体が黄色に染まったピッコロは自身と同化したネイルと神の存在を感じながらガンマ1号に殴り掛かるが、ガンマ1号はそれを受け流して回し蹴りをピッコロの頬に叩き込む。

「ぐっ!?」

「…予想を遥かに上回るパワーを持っているようだが、孫悟林に敗北した後、私はドクターからアップデートされた。今の私は2号とも互角に闘えるレベルとなった。」

「なるほどな、だが勝負はこれからだ」

ピッコロは口許の血を拭うと再びガンマ1号に向かっていった。

「パーンっ!!」

全速力でパンの元に向かう。

「パパっ!」

駆け寄ってきた娘を強く抱き締める悟飯。

「遅くなってごめんよパン」

「うん…ありがとうパパ…仕事があるから来ないかなって思っちゃった」

その言葉に悟飯は思わず顔を顰める。

自分は娘の危機にも仕事を優先すると思われていたことに…姉や師に怒られるのは当然かと思う。

「パン、帰ったら一緒に遊ぼう」

仕事は確かに大切だが、家族もまた大切だ。

ちゃんと家族との時間を作ろうと決意した悟飯であった。

そしてトランクスと悟天と闘っているガンマ2号は軽い性格とは裏腹に恐ろしい程の強さを誇っていた。

トランクスの気を乗せた剣を片手で受け止め、悟天のラッシュも捌いている。

「へえ、ピッコロ大魔王よりずっと強いじゃないか。流石は悪の秘密組織のボスの息子と仲間かな?」

「さっきから悪の秘密組織って何のことだ!?」

トランクスが剣を巧みに振るいながらガンマ2号に尋ねた。

「何って、お前達は地球を乗っ取ろうとしている悪人だろう」

「「はあ!?」」

ガンマ2号の言葉に2人は愕然となる。

寧ろ地球の害になりそうな敵に対して自分達は地球を守っている側なのだ。

「ちょ、ちょっと待ってよ!僕達は別に地球を乗っ取ろうなんてしないよ!」

「言い訳は見苦しいぞ!」

取り敢えず話し合いをしようとした悟天を蹴り飛ばすガンマ2号。

「悟天!…話を聞く気は無いようだな…」

「言い訳は聞かないぞ」

「良いだろう、だったら俺も容赦はしない。これから見せるのが本当の力だ!はあああ…!!」

気を高めると逆立った髪が更に逆立ち、オーラには金色のスパークが混じる。

「……本当の力と言いながら大して変わってないじゃないか」

「どうかな?」

ガンマ2号の言葉に超サイヤ人2に変身したトランクスは不敵に笑う。

その顔は正に父親のベジータに似ていた。

次の瞬間、ガンマ2号の顔面にトランクスの拳が突き刺さる。

「ぐっ!?」

よろめいたガンマ2号。

その隙にがら空きとなった腹に連続で拳を叩き込み、最後に蹴り飛ばすとかめはめ波の体勢を取る。

「かめはめ波ーーーっ!!」

放たれた気功波がガンマ2号に直撃する。

「やったー!流石トランクス君!伊達に姉ちゃんの修行相手をさせられてないね!」

「お前はもっと厳しくしてもらえるように頼んどくよ」

勝利を確信した悟天がトランクスを褒めるが、煙が晴れるとコスチュームが多少破けており、多少ダメージを受けているガンマ2号の姿が現れた。

「くっ、良くもコスチュームを…」

「流石だな、本気で撃ったかめはめ波を耐えるなんて…お前程の奴がどうしてレッドリボン軍なんかに従ってるんだ?悟林さんから聞いたけどレッドリボン軍は地球最悪の軍隊じゃないか」

ガンマ2号からは悪人らしさを感じない。

寧ろ善寄りの存在だと薄々気付いていた。

「レッドリボン軍の目的は地球の悪人を倒して平和な世界を創ることだ」

「…そのためなら子供のパンちゃんまで巻き込んで誘拐するのか?」

「痛いとこ突くなぁ…僕だってそんなアイデアは認めてないさ」

「悪いけど、俺達もお前達の勝手な都合で殺されるわけにはいかない。全力で抵抗させてもらうぞ…悟天!お前も見てないで手伝え!!」

離れて傍観していた悟天を叱咤してガンマ2号に向かっていく。

そしてピッコロはガンマ1号と闘っていたが、アップデートしたガンマ1号には潜在能力を解放しても敵わず、一方的にやられていた。

「くっ!まさかここまでとはな…」

「流石はドクターだ。以前とは比べ物にならない程のパワーだ」

「交代だよピッコロさん。」

周りの邪魔者をぶっ飛ばしてきた悟林が笑みを浮かべて神の気を纏った。

「…っ!」

以前闘った時とは比較にならない程の威圧感にガンマ1号の表情が険しくなる。

「さあて、楽しい闘いを始めようじゃない」

究極神化を果たした悟林はガンマ1号に殴り掛かり、ガンマ1号は何とかその拳を腕で受け止めるが、あまりの威力に腕が痺れる。

「あの時はまるで本気を出していなかったようだな!」

ガンマ1号は蹴りを繰り出すが、悟林はそれをかわして距離を取ると構えを取る。

「ギャリック砲!!」

「チィッ!!」

ガンマ1号が光線銃を構えてビームを発射する。

気功波とビームが激突するが、ガンマ1号の表情は険しい。

「やっぱりこんな程度だろうね。はあああっ!!」

更に気を高めるとギャリック砲がビームを押し返し、ガンマ1号はビームを切るとそれをかわすが、既に悟林は距離を詰めていた。

「アップデートしても…敵わないと言うのか…!?」

ガンマ1号の学習能力がまるで追い付かない。

悟林の拳をギリギリでかわしてもすぐに肘打ちに切り替えられて頬にめり込んで吹き飛ばされ、更に組んだ拳を叩き付けられて地面に激突したガンマ1号に無慈悲な一撃を放とうとする。

「避けられるもんなら避けてみなよ。スーパーヒーローさん、ただし避けたらこの辺り一帯は消し飛ぶだろうけどね」

「なっ!?」

両腕を広げて気を高めながら両腕を前に突き出して気功波を放とうとする。

「喰らえっ!!ファイナルフラーッシュッ!!」

ベジータから教わったファイナルフラッシュの極大の気功波が地上のガンマ1号に迫る。

「くっ!フィールドオープン!!」

ガンマ1号はバリヤーを展開してファイナルフラッシュを受け止め、その余波により敵味方も吹き飛びそうになるが何とか堪える。

煙が晴れるとコスチュームがボロボロになりながらも立っているガンマ1号が悟林を睨みながら見上げていた。

「へえ、流石に頑丈だね。じゃあ、もっとパワーを上げてくよ…簡単に壊れないでよね」

地上に降りるとガンマ1号に殴り掛かる悟林だったが、地中から飛び出してきた謎の物体に顎を蹴り上げられて吹き飛ばされてしまう。

「!?」

「痛~っ…舌噛んだ…」

ガンマ1号が驚き、悟林が涙目になりながら前を見るとセルのミニチュアのような生物が悟林を指差しながら笑っていた。

「っ!?何だあのセルに似たチビは…」

ピッコロもセルに似た生物に驚きが隠せない。

すると地中から次々とセルに似た生物が飛び出してきた。

「うげえっ!気持ち悪い!やだあれっ!!」

「セルに似ているな…」

悟天が引きながら見下ろしているとトランクスもあの生物が力の大会で共闘したセルに似ていることに気付いた。

「セル…?セルマックスの簡易量産型か…?」

ガンマ2号がヘドの方を見るとヘドの方も困惑しているようだ。

そんな様子を離れて見ていたセルは不吉な笑みを浮かべる。

「これだけではつまらんからな。もっと素晴らしくスリルに満ちた一時を提供してやろう。行け、セルジュニア達よ!派手に暴れろ、何なら殺しても構わんぞ」

地中から出てきた10体のセルジュニア達は蒼い炎のようなオーラを纒い、顔の模様と瞳の色が蒼に変わる。

「っ!?あれは…ブルーセル!?」

力の大会で見たセルが到達した超サイヤ人ブルーとゴールデンフリーザに匹敵する姿。

その姿に至れる敵が10体。

「キキ…キャーーーーッ!!」

奇声を上げたセルジュニアが飛び出し、他のセルジュニアも悟林達やガンマ1号・2号達に襲い掛かる。

「へえ、面白くなってきたじゃない。こう言うサプライズは大歓迎だよセル」

セルジュニア達をけしかけてきた存在に気付いた悟林は楽しい一時になりそうだと好戦的な笑みを浮かべる。

「いかん!悟天!トランクス!悟飯とパンを援護しろ!!」

ここでピッコロは自分の考えがパンを危険に晒したことを後悔する。

あの人造人間達以外はパンでも何とかなると思って悟飯の覚醒を促そうと思っていたが、完全に失敗だった。

トランクスと悟天が2人の元に向かう前にセルジュニア達が立ち塞がる。

「くそおっ!退けぇ!!」

「悟天!フルパワーで行くぞ!!」

トランクスと悟天はフルパワーでセルジュニアに突撃する。

そして悟飯の前にもセルジュニアが立ち塞がった。

悟林、トランクス、ピッコロ、悟天の援護は望めそうにない。

悟飯はフルパワーを発揮してセルジュニアを睨んだ。

「パパ…」

「大丈夫だよパン…ここはパパが何とかするから」

自分に言い聞かせるように悟飯は娘を守るためにセルジュニアに突撃した。

セルジュニア達の乱入により、闘いは混沌を極めていた。

見た目とは裏腹に恐ろしい強さを誇るセルジュニア達は完璧なまでの連携でトランクスと悟天を追い詰めていく。

「くっ!こいつ!小さい癖に何て強さだ!」

「お前は最近デートに夢中で修行をサボってるからだろ!!」

実は最近の悟天は親友と姉の交際に感化されて女の子とのデートで修行の質が落ちていたので同じドラゴンボールで強化された超サイヤ人2でありながらある程度互角の打ち合いをするトランクスに対して悟天は若干押されていた。

しかも女の子への接し方などのコーチはヤムチャだったりして悟林の頭を悟飯とは別の意味で悩ませている。

「仕方ないじゃん!もう男のサイヤ人で独り身なのは僕だけなんだしさ!」

「お前…」

切実そうな悟天を哀れむように見つめるトランクス。

そんなトランクスを蹴り飛ばそうとするセルジュニアだが、何とか気付いて両腕を交差して防御した。

「っ…馬鹿な話をしてる場合じゃないな!行くぞ悟天!」

「OK!!」

話を中断して2人は何とかセルジュニアを倒そうとする。

悟林はセルジュニアを2体同時に相手にしながらも余裕の表情を浮かべながら楽しそうに笑っていた。

「ふーん、流石はチビのセル…思ってたより大分強いじゃない」

セルとの闘いの準備運動相手には申し分ない。

ガンマ1号と2号も突然現れたセルジュニアに困惑しながら必死に迎撃する。

しかし、元々恐ろしく強い神の領域に到達し、進化したセルから誕生した個体であるセルジュニアは容易く2人の背後を取った。

「馬ー鹿」

「こっちだよーん」

「「なっ!?」」

振り返った直後にセルジュニア2体の蹴りが炸裂し、ガンマ1号・2号は基地に叩き付けられる。

「「キキキキッ!!」」

叩き付けられた2人にセルジュニアが嘲笑う。

「大丈夫か1号」

「何とかな…残りのエネルギーは?」

「80%程かな…」

「俺は70%を下回ったが…だが、これだけ残っていれば充分だ。奴らが何者かはどうでもいい…だが、奴らは悪だ」

「そうだな…笑っているあいつらに僕達の力を見せてやろう。」

ガンマ1号・2号は再びセルジュニアに闘いを挑む。

戦闘力が高いガンマ2号が前に出てガンマ1号が光線銃で2体のセルジュニアの動きを抑制しながらガンマ2号が殴り掛かり、少しずつだが確実にダメージを与えていた。

そしてピッコロはセルジュニア相手に防戦一方であり、焦っていた。

セルがこの地球におり、そして目の前には神の領域に至った化け物がいる。

悟林が2体も同時に相手をしているが、このままではパンが危険だ。

しかし、潜在能力を解放してもセルジュニアには及ばない。

ピッコロの放った連続エネルギー弾をセルジュニアは軽々と避けて真上を取ると両手で四角形を作り、天津飯の気功砲をピッコロに叩き込んだ。

「ぐわああああっ!!」

気の奔流をまともに喰らったピッコロが絶叫する。

「ピッコロさん!」

その姿に悟飯は慌てるがセルジュニアが立ち塞がって妨害する。

「く、くそっ!!」

悟飯が殴り掛かるが、セルジュニアは殴り掛かった悟飯の腕を足場にして強烈な回し蹴りをお見舞いする。

「遅いよー」

「う…くっそおっ!!」

すぐに起き上がって気を高めてセルジュニアにラッシュを繰り出すがセルジュニアは余裕の表情で悟飯の攻撃を捌いて逆に顎を蹴り上げてがら空きになった腹に飛び蹴りを叩き込んだ。

セルジュニアはパンに近付くと髪を引っ張る。

「痛っ!!痛いっ!!」

「止めろーーーっ!!」

愛娘を傷付けているセルジュニアに激怒して飛び掛かる悟飯だが、力の差を埋める程ではない。

セルジュニアは小さい姿をしているが恐ろしく強い。

パワーもスピードも力の大会で共闘した時のセル並みだった。

「楽しんでもらっているようで何よりだ」

「セル!?」

セルジュニアに吹き飛ばされた悟飯の後ろにはセルが佇んでいた。

「どうした孫悟飯?あの時と同じように貴様の真価を発揮したらどうだ?見ろ、孫悟林はともかくパワーアップしたこの時代のトランクスと貴様の弟でやっと互角の闘いだ。そしてピッコロは手も足も出ずに殺されるだけだな」

「くっ!!」

「そして貴様の大事な娘もだ」

「っ!!」

ハッとなってセルジュニアの方を見るとパンがセルジュニアに殴られて動かなくなっていた。

「き、貴様ーーーっ!!」

怒りに任せてセルジュニアを殴り飛ばし、全力の魔閃光をセルジュニアに叩き込む。

しかし、直撃したセルジュニアは意に介さずそのまま悟飯に直進した。

「な、何っ!?」

気功波から飛び出したセルジュニアの膝蹴りが悟飯の頬に直撃し、吹き飛ぶ。

セルはそんな悟飯を蹴り飛ばして壁に叩き付けた。

「貴様は何もかもが中途半端だ。だから貴様に秘められた絶大な力を引き出せんのだ…怒るのならもっと思い切り怒ってみろ!!」

セルはもう我慢の限界であった。

生き返ってからのセルの目標は悟林とあの時のような悟飯への復讐であった。

しかし、強くなるための時間を与えてみてもあの時のような気迫を取り戻すどころか腑抜けている始末。

力とは戦士の存在意義。

何故それを腐らせるような真似をするのかは闘うために造られた人造人間であるセルには理解出来ない。

これならば力の大会前に身の程知らずにも殺意を向けてきた頃の方がまだマシだった。

セルが目で合図するとセルジュニアが気絶しているパンの首を掴んで持ち上げた。

「や、止めろ!何をするつもりだっ!?くっ…!」

起き上がろうとするが、ダメージで動けない。

「反省しろ孫悟飯。貴様が弱いせいで娘は死ぬのだ」

「キーーーーッ!!」

セルジュニアがパンを殺そうと心臓を貫こうと腕を動かしたが、咄嗟にそれに気付いたガンマ1号と2号が狙撃し、セルジュニアはパンを放り捨ててかわした。

「止めろっ!子供に手を上げるんじゃない!!」

「流石にそれ以上は許せないな」

「ど、どうして…」

「我々はスーパーヒーローだ」

「正義を為すため、力のない人々を守るために僕達はドクターによって造られた。」

「ふん、スーパーヒーローか…ドクター・ゲロの孫が造った人造人間が…下らないことを言うじゃないか…だが、仕方のないことかもしれんな。このセルと言う完璧にして最強の人造人間が誕生した時点で誰がどんな人造人間を造ろうとも欠陥品で終わってしまう」

助けてくれた2人の人造人間に困惑する悟飯だが、2人の言葉にセルは嘲笑する。

「セル…ドクターの祖父が造った人造人間…お前は悪の組織にドクター・ゲロが正義のために送り込んで敗北したと聞いている」

「ククク…それは連中がドクター・ヘドを利用するための嘘に過ぎんよ。私が正義の味方に見えるかね?私は寧ろ人間達の恐怖に引き攣った顔を見ている方が好きなのだがね」

それを聞いたガンマ1号・2号の表情が険しくなる。

「なるほど、ならばお前を倒してドクターを連れてここから脱出する!」

「行くぞ1号!!」

セルに突撃するガンマ1号・2号だが、セルは二身の拳を使って分裂するとブルーセルへと変身し、2人を一蹴りで沈めた。

「……っ!?」

あの2人を容易く沈めたセルに悟飯は絶句する。

やはりセルは力の大会の時よりも遥かにパワーアップしていたのだ。

「ふむ、やはりこの程度か…さてセルジュニアよ、さっさとその鬱陶しい小娘を始末しろ…孫悟飯、親である貴様には特別にどのような殺し方が良いか考えさせてやるぞ」

「ぐっ!!貴様…」

セルの嘲笑に悟飯が怒りを露にした時、凄まじい気の柱が立ち上った。

次の瞬間、気弾が放たれ、セルジュニアは回避が間に合わずに消し飛ばされてしまう。

「ん?」

セルが思わず振り返ると外で闘っている全員が動きを止めて橙色のオーラを見つめていた。

そのオーラの色はトランクスと悟天の纏っているオーラの一部と似ていた。

「良くも好き放題してくれたものだな貴様ら…」

「ほう、ピッコロか?」

橙色のオーラを纏っていたのはピッコロであった。

元々大柄だった体がより屈強な肉体となっている。

体色は橙色になって胸板は厚くなり、肩も大きく盛り上がり、手足は丸太のようで顔付きも獰猛な闘士を思わせる物に変貌している。

ピッコロの前にセルジュニアが現れ、笑いながら襲い掛かろうとしたが、ピッコロはそれを片手でセルジュニアの拳を止めるとセルジュニアを逆に拳による一撃で粉砕した。

「おおー、神龍のおまけって凄いね」

ピッコロのパワーアップのおまけに感嘆する悟林に2体のセルジュニアが飛び掛かるが、更に気を高めて回し蹴りと肘打ちを打ち込んで粉砕した。

「体は温まってきたし…そろそろ本気でやろうかな?」

気を解放してフルパワーとなった悟林は獰猛な笑みを浮かべて狩る対象を見つめた。

「ピッコロも私の想像以上に腕を上げていたようだな…面白い」

ピッコロに興味が湧いたのかセルはピッコロの元へ飛んでいく。

「セル…あのチビ共と言いセルマックスと言い、貴様に関わる連中ばかりで嫌になるぜ」

「ふん、セルマックスか…あんな欠陥品共を造るような男の人造人間ではどうやってもこの私を超えるような作品になるとは思えんがね…ククク…随分と怖い顔をしているなピッコロよ?昔の非力な自分を思い出したかな?」

「ああ、そうだな。あの時は曲がりなりにも味方だったから抑えていたが、貴様は別の次元とは言え悟飯を殺し、そして悟林が死ぬきっかけを作った。」

ピッコロの拳が怒りで震え、そしてそれに呼応するように大気を震わせる。

「おいおい、孫悟林に関しては奴が勝手に自滅しただけだ。あの時の力不足の貴様らの責任を私に擦り付けないでもらいたいな…それにもう孫悟林は生き返っている。何時までも些細なことに拘っているのはどうかと思うがね」

次の瞬間、ピッコロの拳がセルに迫る。

咄嗟に両腕を交差して受け止めて両腕に走る痺れに笑みを浮かべた。

「ああ、そうだな。あの時の俺達は弱かった…だから今はこの時を感謝してるぜ…!貴様をこの手で叩きのめせるこの時をな…!!」

憤怒の表情でセルを睨むピッコロにセルは満足そうに笑った。

「良いだろう、今の貴様は私の相手に相応しい…その姿の貴様は何と言うのかな?」

自分が闘う相手に相応しいと認めたピッコロの今の姿を知りたいと思ったのかセルは尋ねる。

ピッコロは少しの沈黙の後に名乗る。

「……オレンジピッコロと言ったところか」

ゴールデンフリーザやブルーセルのように体の色が変化するのだからこれで良いのかもしれない。

「フッ…オレンジピッコロか……来い…私のレベルにどこまで近付けたかテストしてやろう」

ブルーセルのオーラを纏い、ピッコロに突撃するセル。

同時にピッコロもオーラを迸らせながら拳を振り上げ、互いの拳が激突した。

悟林は2人の気の高まりを感じながらガンマ1号・2号が相手にしていたセルジュニア達と闘っていた。

「良いなぁ、ピッコロさん。私もセルと闘いたかったんだけどなぁ…まあ、そうは言ってられないんだけどね…」

セルジュニアもかなりの脅威なので倒しておくに越したことはないだろう。

しかしこの場にいた全員は気付いていなかった。

この場に現れたセルジュニアは倒した数も含めて10体。

現在この場にいるセルジュニアは倒した数を含めて9体。

残りの1体はどこに消えたのだろうか?

そのセルジュニアは逃げていたマゼンタの後を追い、ラボに潜入してセルマックスのいるカプセルを見つめていた。

自分の親に当たるセルと自分達に近い存在を感じ取るセルジュニアはワクワクした表情で近くで頭を吹き飛ばされて倒れているマゼンタが操作していたパネルを弄り、ボタンを押そうとする。

「や、止めろ…」

少し離れた場所で顔が大きく腫れて倒れているヘドが止めようとするが、セルジュニアは無視してボタンを押し、ラボ全体が激震に襲われたのであった。 
 

 
後書き
この作品では

超1強化=ゴッド

超2強化=ブルー

超3強化=身勝手“兆”

大体こんくらいのパワーアップですかね、ドラゴンボールのオーラで超サイヤ人のオーラを覆っているような感じなので気の無駄な放出を抑えて擬似的な神の気のような状態にしてる感じ…ただ超2も超3も伸び代があるのでそれぞれフルパワー状態ならブルー進化やフルパワー身勝手にも匹敵する感じです。 
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