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現代版ほら吹き男爵

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第二章

 紅楼夢、中国清代を舞台にしたこの作品を読破してから言った。
「長かったわ、五十巻あって一年で登場人物千人で」
「そんな大長編作品だった?」
「確かに長い作品だけれど」
「山岡荘八さんや吉川英治さん超えてるじゃない」
「読むのに一年って」
「あんた一巻読みはじめたの一学期終わり頃じゃない」
「今十月十五日よ」
 一年という言葉も否定された。
「あの、何で言うかね」
「あんたのそのお話大袈裟に言うのがね」
「もう眉唾で」
「白髪三千丈よ」
「本当だから」
 円加はまたこう言った、眉を顰めさせて。
 だが今回も殆ど誰も鵜呑みにしなかった、それでだ。
 あらためてだ、友人達は言った。
「嘘じゃなくてもね」
「ホラってあるのね」
「それであの娘はホラ」
「そっちね」
 このことを認識した、それでだった。
 皆円加をそうした人だとして付き合う様になった、だが。
 嘘を吐かないことについてはだ、皆言った。
「わかったわ」
「じゃあその通りにするわね」
「その言葉信じるわ」
「間違いないわね」
 彼女の言うことは真実だと頷いた、そしてだった。
 このことは信用して友人として付き合った、そこでわかったのだった。
「嘘吐きじゃなくてもね」
「ホラ吹きはいるのね」
「この前プロレスラーの人で二五〇あるって言ったけれど」
「アンドレさん以上じゃない」
 アンドレ=ザ=ジャイアントである、人間山脈と呼ばれその巨体を活かしたファイトが有名であった。
「そこまでじゃないでしょ」
「どれだけ大きいのよ」
「全く、嘘じゃなくても」
「ホラが過ぎるわよ」
「流石にね」
「そこはちゃんとね」
「わかって」 
 ホラを吹いていることはというのだ。
「そのうえでね」
「お付き合いしないとね」
「嘘は吐いてないけれど」
「ホラは吹いてるって」
「嘘とホラは違う」
 ある友人が言った。 
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