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ドラゴンボールZ~孫悟空の娘~

作者:setuna
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SUPER HERO編
  第80話

 
前書き
取り敢えずこの作品ではSUPER HERO→グラノラ編で行きます。

後、作者には服装のセンスなど皆無です。 

 
悟林は自室で服選びに悩んでいた。

人生初のデートと言うこともあるが、それ以前に基本的に父親の悟空と同じく寝る時や農作業以外では基本的に道着であるために私服のセンスは壊滅的と言っても過言ではない。

それでも流石にグレートサイヤマンの服装みたいのは絶対にしないが。

ブルマから押し付けられた衣類を見て悩んでいる姿をチチは泣きながら見つめていた。

「おお~…悟林が服で悩んでるべ…女の子してるべな~…」

そんな娘の姿に感動しているのは母親のチチであり、今まで女子らしいことなど皆無だった娘のこういう変化は大歓迎だった。

「うーん、あ…この服…」

押し付けられた衣類にはかつて未来トランクスが過去に来た時に着ていた服が上下あり、更にカプセルコーポレーションのマークが付いているジャケットもあった。

「懐かしいな…そうだ、これにしよう。トランクスさんのセンスなら間違いないでしょ!」

悟林はお洒落の知識に乏しいが、未来トランクスの服装は格好良かったと思っているので懐かしさを感じながら服を着た。

ついでに指貫グローブを着けて完了。

「よし、これで行こう。駄目だったらその時だ」

早速待ち合わせ場所に行こうとした時、スマホに弟の悟飯から着信が来た。

嫌な予感を感じながら対応すると腑抜けた声が聞こえてきた。

「何の用?」

『あっ!通じたっ!姉さんに電話しても圏外だったりで出ないから安心したよ』

「何の用なの?私はこれから出掛ける予定があるからお前の下らないお願いは聞けないよ」

『…出掛けるってどこに?』

「遊園地だよ…前に約束してたデートしに行くの」

『ええーーーーっ!?』

「うるさ…」

悟飯の驚愕の叫びに悟林は顔を歪ませる。

『ほ、本当に…デート?』

「そうだよ、それでお前は私に何の用なの?まだ少し時間はあるけど?」

『あ、そうだった。姉さん、パンのお迎えを頼めないかな?』

「はあ?何で私がパンちゃんのお迎え?確かに私はパンちゃんの伯母だけど普通それは父親のお前がやるべきでしょ…ビーデルさんは?」

『ビーデルさんは格闘技教室の大会があるから行けないんだ。だから姉さん、頼めないかな?』

「ならお前が行きなよ…お前、今何してるの?」

『虫のレポートだよ!この前の南の島で凄い蟻を発見しちゃって。その蟻は危険が迫るとちょっと皮下って変身するんだ。超サイヤ人みたいじゃないかな!?』

「果てしなくどうでもいい。悟飯、お前なら全力で走ればすぐに幼稚園に行けるでしょ?お前が行きなさい、父親でしょうが!!」

正直パンからすれば自分は厳しく怖い伯母で正直あまり一緒にいたい人物ではないだろう。

それくらいは悟飯も知っているはずだが、それ以前に悟飯の自宅と幼稚園の距離など悟飯が全力疾走すれば短時間で到着出来るはずだ。

『え?でもレポートがいいとこで…それに姉さんなら僕よりもっと早く着くでしょ?』

「お前は娘と仕事のどっちが大切なんだよ!?…今からお前の家に行く」

『え?』

「お前のその腑抜けた根性を私が叩き直してやる。お姉ちゃん直々の修行だよ。有り難く思うんだね、馬鹿モヤシ悟飯ちゃん?」

指の関節を鳴らしながら言うと悟飯の声が慌て始める。

『あ、あの!姉さんはトランクスとデートがあるんでしょ!?始めてのデートで遅刻は駄目なんじゃないかな!?』

「安心しなさい。お前の教育をして来たって言えば大丈夫だから…トランクス君も分かってくれるよ。だから安心してぶっ飛ばされなさい」

通話を切ると上機嫌なチチに声をかける。

「お母さん、私はトランクス君のとこに行く前にちょっと悟飯ちゃんを半殺しにしてくるから」

「おー、気をつけて行くだぞー」

娘の初デートの件で上機嫌で鼻歌を歌っていたチチは出掛ける直前の娘の物騒な発言を聞き逃していた。

数十秒後。

「ま、待って姉さん!話せば分かるから!冷静に話し合おう!!と言うかそれ、トランクスさんの着ていた奴だよね?懐かしいなぁ…」

「私は至って冷静だよ。この愚弟…私は服装のセンスに自信ないからね…と言うか話を逸らすな!そもそもデート控えてる姉に娘のお迎え任せる普通!?」

「姉さんはパンとトランクスのどっちが大事なんだ!?」

「…そりゃあ、これから一緒になるかもしれないトランクス君を優先したいかな…私は確かにパンちゃんの伯母だけど、必要以上に関わる気はないよ。お前は父親なんだからちゃんと父親をしなさい!!私達がパンちゃんくらいの時はお父さんは修行しながらちゃんと面倒見てたでしょ!!」

悟飯の自宅で鈍い音が何度も響き渡るのであった。

少し時間を戻して、場所は険しい岩山のただ中にある湖でピッコロが悟飯の娘であるパンに稽古をつけていた。

「だあーっ!!」

「っ!」

腕を組んだまま放ったピッコロの蹴りをかわしたパンが飛び蹴りを放つ。

やはり悟飯の娘だけあって筋は良く、ピッコロが稽古前にハンデとして取り入れていた両手は使わないと言うのを破ることになった。

攻撃を受け流されたパンは吹っ飛ばされて近くの岩に突っ込む。

立ち込める土煙の中、埃まみれとなったパンが顔を顰めながら出てきた。

「大丈夫か?」

内心では心配しながら、ピッコロは無表情を装ってパンに声をかけた。

「平気平気」

サイヤ人らしいタフさを持つパン。

嘘ではないと判断したピッコロが頷く。

「よし、今朝はここまでだ。」

パンの面倒を見るようになってからそれなりになる。

流石は悟空の孫で悟林の姪、そして悟飯の娘と言ったところか。

この幼さでピッコロも驚くほどの才能を見せており、それから2人は木陰の岩の上に座り、ピッコロに稽古をつけてもらう前に偶然会った悟林に持たされた水筒を2つ取り出して緑の水筒をピッコロに手渡した。

ピッコロは早速水筒の中身を呷る。

「む?これは北エリアの雪融け水か…悟林だな?」

水筒の中身は氷も含めてピッコロの好物である北エリアの雪融け水…悟林が常にピッコロへの手土産に持ってくる物だ。

カプセルに保存していたのを貰ってきたのか。

「うん、伯母ちゃんがピッコロさんのとこに行くなら持っていけって」

「そうか、あいつらしいな。中々良いぞ、悟飯…と言うかお前の父親よりも筋が良いくらいだ。」

パンはピッコロの言葉に水筒から口を放してピッコロをチラリと見ると、そうして岩から降りて向こうに走る。

「だったら手から飛び出す気功波とか教えてよ。伯母ちゃんが使ってるあれとか」

パンはピッコロに振り返ると魔閃光の構えからかめはめ波に移行する悟林の大技にして魔閃光とかめはめ波の合わせ技である魔閃かめはめ波のポーズを取った。

「あれはお前には多分出来ん。あれは悟林のセンスがあって出来る物だ…と言うより、何故お前がその技を知っている?」

あれは悟林が本当の強敵相手でなければあまり使わない技だ。

つまり闘わないパンが見る機会などないはずなのだが。

「伯母ちゃんがパパと喧嘩して半殺しにする時に使ってた」

「…あいつら姉弟は仲が良いのか悪いのか分からんな…とにかく気功波は基本を完璧に出来てからだ。まだ空も飛べん癖に」

赤ん坊の頃は出来ていたのだが、成長してからは舞空術が出来なくなっていた。

「難しいんだよー」

「難しいのは当然だ。やってみろ」

駄々っ子のように返すパンにピッコロは言う。

パンは不満顔のまま両足を肩幅に開いて両手を腰の位置に動かして握り締める。

早速集中しようとしたが、立ち位置が気になったパンは少し移動して集中する。

気の影響で髪が持ち上がり、足下の石も浮き上がる。

パンの気により、彼女を中心に風の渦が発生し、土煙が舞い上がった。

「力むな、願え。そうすれば気がコントロールしてくれる」

言われた通りにやってみるものの、いくらサイヤ人でもパンはまだ3歳だ。

舞空術はピッコロ達が頻繁に使っているから簡単に見られがちだが、しっかりとした気のコントロール技術が必要なので、まだ幼いパンには厳しいだろう。

「はあ、駄目だ。伯母ちゃんみたいに出来ない」

「当たり前だ。あいつは見た目はともかく激しい修行を続けてきた達人だ。だが、焦ることはない。お前はまだ3歳だ…時間はたっぷりある。それにしても意外だな」

「何が?」

「お前が悟林に憧れているような態度を取るとはな。あいつはお前に厳しくしていたから苦手意識を持っていると思っていたんだが?」

「うん、伯母ちゃんのことは凄く怖いよ。でも強くて格好いいんだもん」

確かに怖さは感じるが、強さへの憧れは別らしい。

「お前にはサイヤ人の血が流れている。一度コツを掴めばすぐだ。現に悟飯も悟林もそうだったからな」

悟飯も悟林も一度コツを掴めばすぐにやってのけたのだ。

だから悟飯の娘であるパンにも出来るはずだ。

「パパか…ねえ、ピッコロさん。」

「何だ?」

「パパってその気になったら祖父ちゃんや伯母ちゃんより強いって本当?」

「祖父ちゃん?悟空のことか…ああ、本当だ。」

「本当かなぁ?パパが伯母ちゃんに何時もぶっ飛ばされてるとこしか見てないから信じらんない」

「あいつの眠っている力は悟林にも負けてはいない。いや、悟林以上だ」

サイヤ人は怒り…感情の高ぶりで強くなる種族だ。

特に悟飯は地球人の穏やかな性質が強いため、理性を失う程に激怒した時の力は他のサイヤ人達とは比較にならない程に凄まじい。

実際、悟飯はセルとの闘いで同じ超サイヤ人2で悟林を超えて見せたのだから。

「本当?」

信じられないと言った顔だ。

何しろパンは悟飯が闘った姿など見たことがない。

なので、強いと言われても信じられないようだ。

「本当だ。あいつの眠っている力は悟空達も一目置いているからな。もう帰れ、遅刻するぞ」

ピッコロは立ち上がるとパンにそう声をかけた。

「じゃ、幼稚園が終わったらまたね」

ピッコロが頷くとパンは超スピードで帰っていった。

そしてピッコロは岩の上に移動し、意識を集中して自分を乗せた岩を浮かばせていた。

高度な気のコントロールのために必要な修行であり、これを行うだけで気功波のエネルギー効率がまるで違う。

その時、ピッコロのスマホの着信音が聞こえ…ナメック星人特有の聴覚でかなり離れているはずのピッコロの自宅に置いてあるスマホの着信音を聞いたピッコロは岩を元に戻すと自宅に戻り、スマホを取ると通話ボタンをタッチする。

「何だビーデル?」

画面には悟飯の妻であるビーデルの顔が映っていた。

『あ、ピッコロさん!おはよう!』

聴力の良いピッコロにはビーデルの声はかなり響くようだ。

『あのさあ、ピッコロさんって午後から暇ってあります?』

「午後?修行で忙しいと言えば忙しいが…今日は悟林がトランクスとデートとやらをするらしくてな。時間はあるぞ」

『本当に?良かった。私、今日教えてる格闘技教室の大会があってね、パンの幼稚園のお迎えに行けないの』

ビーデルの言葉にピッコロは内心溜め息を吐きながらマントとターバンを消すと椅子に座った。

「悟飯はどうした?」

『それが悟飯君、今度発表する研究レポート作りで忙しいって、何日も部屋に籠ってるのよ。電話したのに出ないし』

「あの馬鹿…またか」

仕事に夢中になって周りが見えなくなる傾向がある悟飯は今回もやらかしてしまったらしい。

修行や闘いになると周りが見えなくなる悟空達だが、何かに夢中になると周りが見えなくなるのはサイヤ人の血なのか。

『ピッコロさん、お願い。』

「…分かった」

面倒ではあったが、ピッコロにはパンとの約束もある。

迎えに行くのも悪くないだろう。

『ありがとう!助かったわ!』

ビーデルからすれば普通の声なのだろうが、聴覚が優れているピッコロには超音波に近い。

思わず顔を背ける。

『じゃあ、午後3時にね。美味しいお土産買ってくるから』

「俺は水しか飲まんと言っただろう!」

そう言ったのは一度や二度ではなく、食事だって一緒にする機会があるのだが、何故孫一家は揃いも揃って人の話をまともに聞かないのだろうか。

『あっ、そうか!じゃあ可愛いぬいぐるみでも買ってくるわ』

ビーデルはそう言うと通話を切った。

「何故ぬいぐるみ」

部屋の片隅にある山積みのぬいぐるみ。

全部同じキャラだ。

苦々しげに見た後、ピッコロは早速悟飯達の家に向かうのであった。 
 

 
後書き
ドラゴンボールを使ってのパワーアップに賛否両論だけど、ピッコロさんって同化以外だと劇的パワーアップがこれしかないんだよなぁ…と言うか最近はドラゴンボール強化祭りだから今更な気もするけども 
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