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夢幻水滸伝

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第二百五十三話 兎族の仙人その十三

「そやからな」
「どうにもならんと」
「そうらしいけどな」
「この世界に来ても凄いでしょうね、あの人は」
「僕等なんか足下にも及ばん位にな」
 郭は断言した。
「あの人と三浦カズさんは別格や」
「五十代でサッカーの現役選手とは」 
 プロで、である。Jリーグ発足時からの現役である。
「信じられません」
「ほんまにな」
「まるで老黄忠か李靖将軍ですね」
「ほんまにな」
「それで大谷さんもタイプです」
「そうなんか」
「はい、それでプライベートの話はこれ位にして」
 美蓮は笑って自分から述べた。
「この世界でのことを」
「ほんまに今話したいのはそっちやな」
「左様です」
 まさにとだ、美蓮は郭に答えた。
「この世界に来てから今までのことを」
「福建省を統一するまでやな」
「その時のことをです」 
 まさにというのだ。
「お話したいです」
「聞かせてくれるか」
 郭も茶を飲んだ、そうしてから美蓮に答えた。
「これから」
「はい、それでは」
「人生色々でな」
「それはあたしもですね」
「そやからな」
「それでは。しかし思えばです」
 美蓮は過去を振り返る目になって笑って話した。
「これまで何かとありました」
「その人生色々やな」
「こっちの世界でも」
「そやな」
「これからお話させて頂きます」
「頼むわ、ほな今から食事でもな」
 郭は余裕のある笑みで提案した。
「しながらな」
「お話しますか」
「そうしよか」
「食べながらくつろいで、ですね」
「しよか」
「それでは」
「ほな何を食べる」
 郭は美蓮が頷いたのを見て笑って応えた。
「今から」
「いきなり言われましたので」
「ちょっと思いつかんか」
「はい、どうも」
「そうか、実は僕もな」
 郭自身もとだ、彼は少し苦笑いになって話した。兎の顔がそうなった。
「いきなり言うたからな」
「これといってですか」
「思いつかんわ」
「そうですか」
「しかし食べながらな」 
 言った通りにというのだ。
「話そな」
「それでは」
「まあ迷った時は麺やな」
 郭は余裕のある笑みになって述べた。
「とりあえずは」
「我が国らしくですね」
「この世界でも中国いうたら麺や」
「このことは不変ですね」
「そやからな」
「迷ったら麺ですね」
「そや、ほな麺を食べるか」
 それをというのだ。
「そうするか」
「それでは」
「それで麺を食べながらな」
「お話を聞いてくれますね」
「そうしよな、それで麺は何しよか」
「あたしは豚のを」 
 美蓮は笑顔で述べた。
「いただきます」
「そうか、僕は海老でいこか」
「海老ですか」
「それが入った麺をな」
「ではそれぞれ食べながら」
「話そな、酒も出すか」
「そちらもですか」
「それで明るくな」 
 そうしてというのだ。
「話そうな」
「そうさせてもらいます」 
 笑顔で応えてそうしてだった。
 美蓮は麺が来るとそれを食べながら話をはじめた、それは彼女にとっては実に様々なことがあるものだった。


第二百五十三話   完


                    2022・4・8 
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