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展覧会の絵

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第七話 老婆の肖像その七

「心の奥底からね」
「そうですね。快楽の中にあっても」
「快楽。身体の快楽」
 十字はモニターの映像を観ながら呟く様にして言葉を出す。
「そしてそれに加えてね」
「やはりこれは」
「薬も使っているね」
 その映像の中の彼女を見てだ。十字は看破した。
「間違いなくね」
「ではこの教師もまた」
「あの理事長と一緒だね」
「一族だから予想はしていましたが」
「予想はまた当たったね」
「当たって欲しくない予想でした」
 神父は残念な顔で十字に述べる。そのモニターを観ながら。
「こうした予想は特にです」
「同感だよ。けれどね」
「薬物中毒ですね」
「それもこれはかなりね」
 モニターの中の彼女の表情、そして激しさを見ながらだ。十字はさらに言う。
「進行しているね」
「ではこのままでは」
「危険だね。薬物は偽りの快楽と共にね」
「破滅をもたらすものだからこそ」
「この人は危ない」
 彼女を見ながらの言葉だった。
「破滅が近付いているよ」
「そうですね。それでは」
「薬物への処置も用意しておこう」
 危ないと言いながらもだ。十字の今の表情には感情といったものは見られない。まるで動物を観察する生物学者の様にだ。淡々とさえしている。
 その無表情、無感情のままでだ。さらに言うのだった。
「それでいこうか」
「はい、それでは」
「この人だけじゃないから」
 モニターのだ。彼女だけではないというのだ。
「おそらくはね」
「そうですね。他の女性の方も」
「毒牙にかかっているよ」
「この教師の」
「いや、この教師とは限らないよ」
 モニターの中のだ。彼だけを見ている訳ではなかった。
 十字は彼の他にもだ。この人物の名前を出したのだった。
「そう。薬物はあの場所で見つかったからね」
「ではやはり」
「黒幕。元締めと言うべきかな」
 こう表現してみせたのだった。
「そう。理事長だよ」
「ではこの教師は」
「この人だけかも知れない」
 モニターを観続けながらの言葉だった。
「その辺りはまだわからないけれどね」
「それでもですか」
「うん。この人のことは気にかかるけれど」
 だがそれでもだというのだ。
「まだ調べることが多いね」
「では今はまだですか」
「神は裁きを下されないよ」
 そうしないというのだ。神がだ。
「だから僕もね」
「動かれないですか」
「動けないと言うべきかな。僕は神の僕だから」
「それ故に」
「うん。今は調べるだけだよ」
 裁きの前にだ。そうするだけだというのだ。
「あくまでね」
「左様ですか。それでは」
「理事長の一派は憎むべき悪徳の持ち主だからこそね」
 十字は憎しみを抱いていた。理事長の一派、そして悪に対して。
 だがそれでも感情としては出さずにだ。述べていくだけだった。 
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