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戦禍の中の愛情

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第三章

「聞いた話だとな」
「そうなの」
「あそこも随分やられたが」 
 オストミルもというのだ。
「けれどな」
「お家は無事なのね」
「幸いにな」
「そのことは嬉しいわ」
 妻は素直にその気持ちを述べた。
「よかったわ」
「そうだな、けれどな」
「それでもよね」
「ああ、ベリイは」
「どうかしら」
「いて欲しいが」 
 心からだ、一家で思うばかりだった。
 そして家に戻ると家は無事だった、周りは壊れた家も多かったがそれでも一家の家は無事であった。
 妻はこのことにほっとした、しかしここでも言った。
「やっぱりベリイはね」
「いないか」
「無事ならいいけれど」
「そうだな」
「あっ、お母さん見て」
「あそこ見て」
 上の娘のターリャと舌の娘にアレクサンデラがだった。二人共母親似だ。
 家の向こうを指差した、すると。
「ワンワンワン!」
「ベリイよ!」
「ベリイが来たよ!」
「こっちに来るよ!」
「物凄い速さで!」
「おい、間違いないぞ」
 夫もその犬、白で下半身に黒いものが混ざっているハスキー犬を見て言った。
「あれはベリイだ」
「そうね」
 妻も見て言った。
「あの子は」
「無事だったんだな」
「そうね」
「よかったな」
 夫は心から言った。
「ベリイも無事で」
「そうね、まだ戦争は続くけれど」
「希望があるんだ、終わったら」 
 戦争がというのだ。
「また幸せに暮らせる」
「その時まで頑張ることね」
「今はな」
 夫は妻に言った、そうしてだった。
 一家は家での暮らしに戻った、そこはベリイも一緒だった。戦争はまだ続くが彼等は幸せな生活に戻ることが出来た、そのうえでウクライナ全体に幸せが戻ることを願った。


戦禍の中の愛情   完


                    2022・8・27 
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