| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

下らない番組と犬

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
< 前ページ 目次
 

第一章

                下らない番組と犬
 今国崎家の一家はリビングでテレビを観ていた、だが三人共楽しくはないという顔で観て言うのだった。
「全く何だこのつまらなさは」
「本当に面白くないわね」
「もう切ろうぜ」
 三人でこう言った。
「全然面白くねえからな」
「どうでもいいバラエティ番組ね」
「こんなの観て誰が面白いって思うんだ」
「何かな」
 息子の洋介はこうも言った。
「テレビよりユーチューブの方が面白いな」
「そうね、もうね」
 母の百合子もそれはと言った。
「今じゃそうよね」
「嘘ばっかりの報道番組とかな」
「こうしたバラエティばかりで」
「野球とかサッカーもネットで観られるだろ」
「今はね」
「だったらな」
 それならと言うのだった。
「もうテレビはな」
「観るものないわね」
「ドラマとアニメ位だな」 
 観るものはというのだ。
「それも面白いものだけな」
「そのドラマやアニメもネットで観られるだろ」
 父の文太はこう言った。
「だからもうな」
「テレビはか」
「観てもな」
「仕方ないか」
「全くだ、こんなにつまらなくなんてな」
 父は苦い顔でこうも言った。
「思わなかったな」
「昔はもっと面白かったんだな」
「前の世紀はそうだった」
 二十世紀はというのだ。
「ゴールデンタイムに特撮やアニメやってたしな」
「それでよかったんだな」
「こんな下らないバラエティとかな」
「ゴールデンタイムになかったか」
「ああ、巨人の試合は巨人が負ける時もあるがな」
 昔は巨人の試合ばかり放送されていた、言うならば邪教のプロパガンダが普通に行われていたのだ。
「しかしな」
「こうした番組は何にもならないな」
「本当に面白くないからな」
 そしてためになることも言わない、それでだった。
 一家はテレビを切った、もう電気代の無駄だとさえ思った。すると。
 気付けばふわりが三人のところに来ていた、そしてテレビの今は何も映っていないテレビの画面を観ているが。
 そのふわりを見てだ、洋介は言った。 
< 前ページ 目次
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧