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フェアリーテイルに最強のハンターがきたようです

作者:ブラバ
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第9章 解散編
  第43話 解散

ナツたちがスタークとの会合を果たしているころ、フェアリーテイルの地下。ルーメンイストワールの前でも別の人物同士が会合を果たしていた。
アレンはマカロフに対して、自身のこれからの行動とフェアリーテイルの脱退の旨を伝えるために。そしてマカロフはアレンにルーメンイストワールの正体と自身のこれからの行動、そしてフェアリーテイル解体の旨を伝えた。
互いに理由も含め、語らいを進めていた。
「まさか、互いが互いに似たようなことを考えてあるとはな…」
「…まあ、きっとこれが正解なんだと思うぜ…」
マカロフの消えいるような声に、同じくアレンも小さく呟いてみせる。
アレンからマカロフに語られた話は、大きく3つ。
・虚化の制御のために1人で修行を積みたいこと。
・先の黒龍含め強大な敵との戦闘にフェアリーテイルを巻き込みたくないこと。
・ゼレフとのけじめをつけること。
この3つであった。
そして、マカロフからアレンへと語られた話も3つ。
・アルバレス帝国が、ルーメンイストワール…妖精の心臓を狙っていること。
・アルバレス帝国の力は絶大で、フェアリーテイルを存続させれば必ず激しい戦いになること。
・フェアリーテイルの子どもたちを守りたいこと。
この3つであり、アレンが脱退を申し入れた理由とマカロフがギルドを解散させる理由の着地点はどちらも「フェアリーテイルの子ども達を、仲間を守りたい」というものであった。
故に、互いが互いの意思に反対することはなく、逆に尊重する形となったのだ。
「マスターはみんなに訳を話すのか?」
「そうゆうお前さんはどうするんじゃ?」
アレンから発せられた質問を、マカロフはそのまま返すように口を開く。
「…話せねーよな…やっぱ…いや、というより、話しても話さなくてもあいつらが止めてくれるのは目に見えてる…『そんなの関係ねえ』…ってな…」
アレンの言葉に、特に返答をしなかったマカロフであったが、その表情から肯定の意を表する。
「だが、理由はともあれ、解散宣言だけは伝えなきゃならないはずだ…」
「…わかっておるわ…ガキどもを守るためじゃ…心を鬼にするつもりじゃ…」
マカロフは、内に秘めた決意を漏らすようにして言葉を放った。
「…そうか…なら、俺は脱退については、置手紙かなんかで伝えるかな…」
アレンはそんなマカロフの決意を感じ取ったのか、まるですべてを託すかのように口を開いた。
「…お主はそれでよいのか?」
「…あいつらの顔を見て、更に制止させられた日にゃ…決意が揺らぎそうだからな…」
アレンは自信を嘲笑するかのように笑いを漏らす。
「そうか…わしはお主を止めはせん…じゃが、一つだけ条件がある…」
「奇遇だな…俺も同じことを考えてた…」
マカロフの言葉に、アレンが同意見だとばかりに息を漏らす。そして…、
「「死ぬなよ…ッ!」」
2人は一呼吸置いた後、全く同じタイミングで、同じセリフを吐いて見せた。
マカロフとアレンが会合を終え、互いの今後の動きなどを伝えていると、ギルドの地下に見知らぬ男が入ってくる。評議院の格好をしたその青年の姿に、アレンは怪訝な表情を浮かべるが、マカロフが事の経緯を話す。その男の名前はメストと言い、フェアリーテイルと評議院の二重スパイを請け負っていたとのことであった。先のアルバレス帝国が妖精の心臓を狙っているという情報も、メストから齎されたものであった。
「…なるほど、つまり自身の記憶操作の魔法で3年間もの間、評議院にまぎれこんでいたというわけか…」
「ええ、そういうことです…アレンさん」
アレンはメストから齎された情報を噛みしめるようにして聞いていた。そしてあることに気付く。
「…んで、自分の記憶も消したもんだから、評議院に潜入していたはずが、天狼島の昇格試験時に、フェアリーテイルに潜入するに至ったってわけか…ちょっとアホだな…」
「…それは本当に自分でも実感している…」
アレンの言葉に、メストは情けない様子を見せる。だが、それはすぐに真剣な面持ちとなる。
「…マスターもアレンさんも、本気なんですね?」
「…西の大陸アルバレス、そして三天黒龍…あまりにも危険すぎる…」
メストの言葉に、マカロフは淡々と答える。
「マスターはアルバレス帝国への交渉へ…そして俺は三天黒龍を斃しに行く…」
アレンも同様に言葉を発するが、メスト表情は更に曇ることになる。
「無茶ですよ…マスター、アレンさん…。一人の人間が国を、三天黒龍を相手にするなんて…死にに行くようなものです…ッ!」
メストは恩人であるマカロフと、直接の関りがあったわけではないが、英雄と称されるアレンの決断に、涙を流し感情を露にする。
「「家族の命を背負ってんだ…!それが、親ってもんだろう…」」
意図せずに同じ言葉を放った2人に、メストは大きく目を見開く。そして、その目をゆっくりと閉じる。
「…わかりました…。それならもう何も言いません…」
そんなメストの様子に、マカロフはゆっくりと口を開いた。
「メストよ…アルバレスの、三天黒龍の脅威が去れば…わしらは必ずここへ戻ってくる…」
「…だから、その時はまた、フェアリーテイルを一緒に立ち上げよう…」
マカロフの言葉に、アレンも続けて声を発する。アレンはメストの肩に手を添えると、微笑して見せた。
「ッ!わかりました。必ず、必ず戻ってきてください…。マスター、アレンさん!」
メストは力強くそう答えた。そしてその後暫くして、アレンが思い出したように言葉を発した。
「…そうだ…、メスト、お前に頼みたいことがあるんだ」
アレンの頼みを聞いたメストは、少し驚いた様子を見せる。マカロフも同様だったようだが、メストはその願いを受け入れる形で承諾した。

マグノリアの街に帰ってきて早々、レヴィ達からアレンがフェアリーテイルを脱退したとの報告を受け、ナツ達は足早にギルドへと向かい、その扉を壊すかの如く開いて酒場に入る。
その音を聞き、酒場内にいるフェアリーテイルのメンバーが一斉に扉へと視線を移す。そんな様相をものともせず、ナツが怒号を上げるように口を開いた。
「おいっ!!アレンがフェアリーテイルを辞めたってどういうことだ!!!」
「マスターはおられるかっ!!!」
ナツの声に続けるようにして、エルザも声を張り上げる。
「俺たちも今さっき知ったんだ!もう何が何だか…」
「エルザ…これを…今朝カウンターに置いてあったアレンからの手紙よ…」
マックスがナツの質問に答えるように口を開くと、ミラが一枚の手紙をエルザへと差し出す。その手紙を読み進めたエルザは、目を大きく見開いたかと思うと、怪訝な表情を浮かべ、視線を移さず、その手紙をナツへ手渡す。
「ミラ…マスターは今どこに?」
「まだ帰ってないわ…」
エルザとミラそんな風に会話をしていると、同じく手紙に目を通したナツ達が怒ったように声を上げる。
「アレンの奴ッ!一人で三天黒龍を倒すつもりか!」
「私たちを巻き込みたくないって…」
「…一人で全部背負い込みやがって…ッ!」
カグラ、グレイがも同じように、且つ悔しそうに言葉を漏らす。
「ッ!この手紙が置かれていたのは今日の朝だろ!?ならまだ近くに、街にいるかもしれねえ!」
「もうすでに家や街の中は探し回ったわ…。恐らく、もう街の外よ…」
ナツの言葉に、ミラが悲しそうに答えた。
「ッ!!くそっ!!」
ナツは苦虫を噛んだような表情を浮かべ、ギルドから勢いよく飛び出していく。
「ちょ、ちょっと、ナツッ!」
「ナツー!」
ルーシィとハッピーがそんなナツを追いかけるようにして後をつける。そんな様相を見守っていたエルザが、力を込めていた拳をゆっくりと解きながら、ミラへと向き直った。
「アレンのこともそうだが…皆に此度の依頼でのことを話しておきたい…」
ギルドの皆は、アレンがフェアリーテイルを辞めたという衝撃的な事実を突きつけられたというのにも関わらず、すぐさま冷静さを取り戻したエルザに少し驚きを見せる。だが、エルザがアレンをどれだけ想い、慕っているのかを知っていた。故に、アレンが心配ではないのではなく、エルザをそうまでさせる話しであるということを理解する。
「…先の依頼、竜の情報を求める情報だが、依頼主はウルキオラと同じ破面、それも十刃だった…」
エルザの言葉に、ギルド内の喧騒は一瞬にして収まりを見せる。
「なっ…まじかよ…」
「よく無事だったわね…エルザ…」
エルフマン、ミラが、心底驚いた様子で小さく呟いた。
「ああ。ウルキオラとは違い、攻撃的でなく、且つ高圧的な奴でもなかった。奴に戦闘の意思がなかったおかげで、傷一つなく帰ってこれた…」
「…だが、本題はそれだけじゃねーだろ?アレンの捜索中に話さなきゃならねーほどだ…。何か他にもあるんじゃねえのか?」
ラクサスの言葉を聞き、エルザはこの依頼で得た情報を一つひとつ皆に話した。
・スタークという男と、リリネットという少女に会ったこと。
・そのうちスタークという男は、ウルキオラをも超える第1十刃であること。
・その2人は、アレンとゼレフ、三天黒龍の情報を求めたこと。そして、アレン以外の除法については伝えたこと。
・先の2人はアレン含めフェアリーテイルに攻撃するつもりはないこと。
・2人の目的が煌黒龍の討伐であること。故にアレンと目的が似ていること。
次々に発せられるエルザの言葉に、皆はゆっくりと唾を飲み込みながら聞き入った。
「…だが、ウルキオラと同種で、元とはいえ、仲間だったんだろ?」
「手放しで信用するには、早計だな…」
ラクサスとウルが怪訝な表情を浮かばながら、口を開く。
「ああ、それは私も同じ意見だ…。だが、些少の信頼は持ってもいいかもしれない」
「…どういうこと?」
エルザの言葉に、ミラは不満ありげに言葉を発した。元とは言え、アレンが右目を失った元凶でもあり、剰え虚化という手段をとったウルキオラの仲間であるスタークに対し、皆が不穏な気持ちを持たないわけはなかった。もちろん、それはエルザも、先の依頼にともに行ったナツ達も同様である。
エルザは、ミラの言葉を受け、一つの小包を皆に見せる。
「エルザ、それは?」
「…今回の依頼の報酬…いにしえの秘薬だ…ッ!」
ミラからの質問に答えるようにして、エルザは小さく呟いた。そして、その言葉を聞いた皆の顔に、これでもかという程の衝撃が生まれる。
「ま、まじか…それ本物なのか…」
ラクサスが酷く狼狽したように声を発する。ミラやウルなどに至っては、目を見開いたまま固まっている様子であった。
「…間違いない…見間違えるものか…私が10年前、アレンからもらったいにしえの秘薬。全く同じものだ…」
エルザは当時の、過去の記憶を思い出すかのようにして言葉を発した。それと同時に、後ろで控えるようにして立っていたジェラールがゆっくりと口を開いた。
「スタークは、『俺たちからの誠意だ』といってこれを渡してきた…。奴は本当にアレンや俺たちと敵対するつもりはないらしい。なぜあの2人が煌黒龍を追うのかはわからん。もしゼレフの言葉を全部信用するのであるとすれば、恐らくはスタークは煌黒龍を倒すことで、元の世界に、ウルキオラと共にいた世界に帰れるからなのではと考えている」
ジェラールの言葉を聞いたラクサスが、何かを思い出したように小さく口を開く。
「…アレンやヒノエ、ミノトも同じなのかもしれねえな…」
ラクサスは、その言葉の詳細を口にしたわけではなかったが、その場にいる全員が何を言わんとしているのか理解できた。一瞬、暗い雰囲気を醸し出した酒場であったが、エルザが意を決したように口を開く。
「つまり、これでアレンの右目は元に戻る!そして、アレンがフェアリーテイルを辞めることは容認できん!!引きずってでも連れ戻す!!!」
エルザの、今までにない怒号に、ギルド内は「当たり前だ!!」とけたたましい声が鳴り響いた。

アレンは、ナツ達がフェアリーテイルに帰ってくる日の、早朝、まだ誰もいないギルドの酒場に入り、一枚の手紙をカウンターへと置いた。
内容は、今後暴走の可能性のある虚化の制御とその力を使いこなすための修行に加え、三天黒龍の討伐、そしてフェアリーテイルのメンバーを巻き込みたくはないという内容を書き記した。そして、末尾に『すべてが終わったら、必ずギルドに帰る』と書き残した。
その手紙を置いた後、アレンはヒノエとミノトが住んでいる家へと出向き、ことの経緯を話した。当初、2人もアレンの旅についていくと言葉を漏らしたが、アレンから「必ず生きて帰ります。だから、それまでフェアリーテイルを見守ってほしいんです」という要望を受け、それを半ば強制的に承諾させられる形で決着がついた。だが、その後に発せられたアレンの言葉に、2人は疑問の声を上げる。
「フェアリーテイルが解散…?」
「では、見守るも何もないではないですか…」
アレンから齎されたフェアリーテイル解散という言葉に、2人は酷く困惑している様子であった。だが、マカロフがなぜその決断に至ったのかを聞かされた2人は、どこか納得した様子を見せる。
「なるほど…確かに、マカロフさんの気持ちを考えると、それが最も理にかなった選択なのかもしれませんね…」
「…それに関しては、アレンさんも承諾したと考えてよろしいのでしょうか?」
ヒノエとミノトが、真剣な面持ちで口を開く。
「ええ、その通りです…。そして、フェアリーテイルは必ずもう一度復活を果たす…必ず集結する…。だから、それまでこの街を2人に頼みたいんです…」
アレンは、2人に小さく頭を下げる。そんなアレンの様子を見た2人は小さく目を見開く。そして、その目をゆっくちと戻したかと思うと、ヒノエが静かに言葉を発した。
「一つ…聞かせてください…アレンさん…」
ヒノエの言葉に、アレンもまた、真剣な面持ちを向ける。
「あなたは、三天黒龍を倒したのち、一体どうされるおつもりなのでしょう?」
「…私達とともに、カムラの里に帰るのか…それとも…」
ヒノエとミノトは、アレンの心情を探るようにして口を開いた。ヒノエとミノトは、この世界に来た際、女神から三天黒龍を倒した暁には、カムラの里、引いては元の世界に返してもらえるという約束をしていた。それは、アレンも同様であることが、この世界で再会を果たした際に聞いていた。だが、2人は、アレンがそれを手放しで喜ぶとは思っていなかったのである。ヒノエとミノト、アレンがカムラの里から去った日は1か月程度の差であったが、この世界に来た時期は10年という大きなずれがあった。ヒノエとミノトはまだこの世界、引いてはフェアリーテイルに加入して半年にも満たない。故に、そこまで未練があるわけではない。だが、アレンは違う。10年もの間、この世界で、フェアリーテイルで人生を歩んできたのだ。カムラの里で過ごした時間からすれば短いものではあるが、80年前後の寿命である人間にとって、10年間という歳月は短いとはいいがたい。それに、この10年でアレンはこの世界に大切なものを沢山要している。三天黒龍を倒したから帰ります、と即決できるとは思っていなかったのだ。アレンの気持ちも、フェアリーテイルの気持ちもどちらをとっても、それはわかりきっていたことだった。
そんなヒノエとミノトの考えを察してか、アレンは小さく苦笑すると、一つため息をついて口を開いた。
「そうですね…悩ましいですが…俺にとってはカムラの里が真の帰るべき場所ですよ…」
アレンは作り笑いを浮かべ、2人へとそれを向けた。

ヒノエとミノトは、アレンとの話を終えると、アレンを見送り、互いにリビングの椅子へと腰かける。暫く沈黙が続いていたが、ミノトが言いにくそうに口を開く。
「…姉さま…。どう思われますか?」
「そうね…半分本当で、半分嘘ってところかしら…」
ヒノエは、ミノトの質問に対し、先ほどのアレンの言葉を思い出しながらどこか虚空を見つめるようにして言葉を発した。
「…姉さまはそれでよろしいのですか?」
「あら、その言葉、そのままミノトにお返しするわ」
ヒノエとミノトは、互いにじっと見つめ合う。2人は互いに気付いているのだ。ヒノエが、ミノトが、いつからか、アレンに親心として愛ではなく、一人の女としての愛を抱いていることを。故に、先ほどのアレンの言葉が本当の意味でどっちつかずであったことに不安を抱いていた。
ヒノエは、ゆっくりと椅子から立ち上がり、窓へとその身を近づける。少しずつ太陽が昇り始め、空が明るくなっている様子が伺えた。
「…私は、アレンさんの気持ちを尊重しますわ…たとえそれが…」
ヒノエは、言葉を最後まで紡ぐことなく、その明るくなっていく空を見つめ続けた。

アレンはマグノリアの街を後にし、評議院の元へと訪れた。先のファースト・ディマイス・ウォーの詳細も含め、フェアリーテイル脱退を上級魔導士たちに話す為であった。
評議院はアレンの急な訪問に幾ばくか不安を抱いていたが、その理由を聞いて驚きを抱いたことは言うまでもない。
特に、ウルキオラの種族や階級、力に関してはこれでもかと冷や汗を流すに至った。仮にウルキオラの全力が、評議院も映像として捉えていた刀剣解放第二階層であるのであれば、今のアレンの全力とほぼ拮抗しているということもあり、実質上、ウルキオラを制止、討伐することができるのはアレンの身であると結論付けた。しかし、同時にウルキオラの目的が黒滅竜ミラボレアスの討伐であるという話もあったため、うまく利用できる可能性も考慮すべきという案も出た。
そして、更に付け加えれば、ウルキオラによって齎された虚の力を制御できれば、先の第二階層のウルキオラをも凌ぐ力を得られる可能性も高いことから、評議院はゼレフやウルキオラ、バルファルク、三天黒龍等の討伐依頼を正式にアレンに出すこととなった。
アレンが評議院はから去ると、会議室に残された上級魔導士たちは、得も言われぬ恐怖を抱いていた。
「…これほどの災厄が…強者が次々に現れるとは…」
「世界の破滅…その序章、ということか…」
ミケロとオーグが自身の思いを打ち明けるようにして言葉を漏らす。
「…アルバレス帝国との緊張が高まりつつあるのも…」
「もしかしたら、何か関係しているのかも、しれませんね…」
「アルバレスの皇帝が、先の誰かと内通しているという可能性もあるな…」
ベルノ、ホッグ、クロフォードが続けて言葉を発する。その後少しの沈黙の後、ベルノが言いにくそうに声を発する。
「失言であることは承知の上ですが、世界を滅ぼすほどの力を持った三天黒龍やウルキオラなどはもとより、それを撃ち滅ぼせるアレンさんもまた、危険ではありませんか?」
ベルノの言葉に、その場にいるもの全員が俯き、考えるような様子を見せる。
「確かに、お主の言うことは理解できる。アレンさんのことだ…。私欲で世界をどうこうしようという思いがないのはわかってはいるが…何があるかわからないのもまた事実…」
「三天黒龍討伐後、世界が破滅から救われた暁には、アレンさんを我ら若しくは公的な機関が囲むという手段を取るのがよいのでは?」
「…なるほど、柵を持たせようというわけか…」
ミケロ、オーグ、ホッグが頭を悩ませながら口を開く。すると、クロフォードが何かを思い出したかのように目を見開いた。
「であれば、一つ良い案がある」
クロフォードの言葉に、皆は唾を飲み込み、期待を抱く。
「フィオーレ王国のヒスイ王女が、アレン殿をお慕いしているそうだ…。ヒスイ王女とアレン殿をくっつけ、アレン殿をフィオーレの王、もしくは騎士、婿とするのはどうか?」
クロフォードの意見に、他の者は驚きを隠せない様子であった。
「うむ…悪くない案ではあるが…。アレンさんが承諾しないことには…」
「ヒスイ王女はアレン殿を好いておられるのだろう?王国と評議院、双方から支持するとすれば、アレン殿が嫌悪感を抱かぬ限り、承諾するのではないか?」
「国民から反対意見が出ることもないだろう…。それほどまでにアレンは皆に好かれておる」
オーグ、ホッグ、ミケロが光を見つけたかのように軽やかに口を開く。そんな様子を見ていたベルノが、結論付けるかのように口を開いた。
「それを絶対としないながらも、全力で事の準備を進めていくのがよさそうですね…」
ベルノの言葉に、皆は先の作戦の決定と実行を強く心に決めた。
…このあまりにもぶっ飛んだ話を、アレンがフェアリーテイルが知ることになるのは、まだ先の話…。

エルザがスタークの件含め、ギルドの皆に話を終えた後、脱退したアレンの行方を追うため、フェアリーテイル総出でマグノリアの街の捜索を開始した。その際、ヒノエとミノトに相対し、早朝にアレンが訪ねてきた話を聞いたエルザ達は、「何か言っていなかったか!?」と問い詰めたが、皆の様相からまだマカロフから正式に話を聞いていないことを察した2人は、旅に出ると言っていたという話以外、特に口を割ることはなかった。
既にマグノリアの街を後にしていたアレンを、街中で見つけることなどできるはずもなく、日が落ちること、皆はトボトボと言った様子でギルドへと帰還を果たした。
アレンとマカロフを除いたフェアリーテイルのメンバーが集まる酒場は、重苦しい雰囲気に包まれていたが、とある人物の登場により、それは一気に吹き飛ぶことになる。
「…どうやら、みなあつまっておるようじゃな…」
その声を聴き、皆が振り返るようにしてその人物を見つめる。
「マスターッ!」
「大変だ!アレンの奴が…!」「知っておる」
ゆっくりと歩みを進めるマカロフに、エルザとナツが声を張り上げるが、それを遮るようにしてマカロフは言葉を放った。
「知ってるって…まさか…」
「容認したのか!アレンの脱退を…」
ウルティア、カグラが酷く驚いた様子を見せる。
「…容認しようがしまいが…遅かれ早かれアレンはフェアリーテイルの一員ではなくなる」
マカロフの言葉に、皆は更なる驚きを見せたが、少しずつ怒りが滲んだ表情を見せる。
「フェアリーテイルの一員じゃなくなるって…どういうことだマスター!!」
「まさか…アレンを破門させるつもりだったのっ!!」
「どういうことだ!じっちゃん!!」
グレイ、リサーナ、ナツがこれでもかと声を張り上げ、マカロフに詰め寄る。他の皆も異議ありと言った様相でマカロフを睨みつける。マカロフはそんな様相に呆れたようにため息をつくと、小さく口を開いた。
「いや、アレンは、というのは語弊があったな…この場にいる全員がフェアリーテイル一因ではなくなる…ミラ、ヒノエ、ミノトよ…依頼の請負と処理を行っておるお主たちならわかっておるじゃろ…」
マカロフから発せられた言葉に、酷く狼狽する様子を見せているメンバーであったが、先の3人だけは、どこか納得したような表情を見せる。
「…どういうことだ?」
ラクサスは、低く唸るようにして言葉を発する。そして…
「今日限りをもって、フェアリーテイルを…解散とする…」
マカロフの言葉に、酒場は暫く静寂が支配した。マカロフが何を言っているのか、皆理解できなかったのである。そして、少しずつ先の言葉をかみ砕き、皆の顔が、口が、ワナワナと震えだす。
「じょ、冗談じゃねーぞっ!!」
「なんで解散なんだ!!」
「明日からどうやって飯食っていけばいいんだ!!」
ナツ、ジェラール、マカオが震える声で異議を唱える。
「黙れい!!!わしが解散と言ったら解散なんじゃ!!今後一切、フェアリーテイルの名を口にすることは許さん!!」
マカロフは、そんな皆の反対を押し切るように、魔力を解放して威圧する。その高圧的なマカロフの姿に、皆は酷く怯えたように、そして悔しさを滲ませるようにして表情を曇らせていた。
「…これからは、おのが道を、おのが手で切り開いて行け…」
マカロフは、小さく握り拳を作りながら、そう呟いた。

フェアリーテイルの解散という内容は、瞬く間にマグノリアの街、そして王国へと広がっていき、その内容に王国全土が衝撃を受けたのは言うまでもない。王国、大陸最強の魔導士ギルドの解体。それは日夜話題となり、その後の主要メンバーの経緯など含め、大騒ぎを生んだ。
加えて、その解体前日に、最強の魔導士といわれるアレン・イーグルがフェアリーテイルを脱退していた事実も広がりを見せることになり、先のファースト・ディマイス・ウォーの戦いもあったため、もし先の戦いの強敵たちが街に王国に牙を剝いた際にどうなってしまうのかと、王国中が大混乱に陥ったのは言うまでもないだろう。

そして、一度解散という結末を迎えたフェアリーテイルが、四凶大戦の中でも最凶最悪、そして最大と称される戦いを前に集結を果たすのだが、それはまだ遠い未来の話…。 
 

 
後書き
 
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