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ドリトル先生のダイヤモンド婚式 

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第八幕その十二

「残念だったわ」
「そうだったんだね」
「それで龍馬さんは軍鶏鍋がお好きでね」
「そうなる前にもね」
「確か軍鶏鍋を作ってね」
「食べる前だったね」
「そうだったらしいわね」
 こう先生に応えました。
「どうも」
「そうだね」
「ええ、それじゃあ今夜は」
「やっぱり龍馬さんのことを思い出すね」 
 どうしてもそうなるというのです。
「そうしながらね」
「食べてなのね」
「温まるよ」
「それはいいことね」
「そうだね、しかし」
「しかし?」
「龍馬さんはやっぱり目立っただろうね」 
 先生はこうも言いました。
「靴を履いていたしね」
「そのこともあったわね」
「独特の縮れ毛で背もそうだったからね」
「大きかったから」
「目立ったそうね」
「かなり目立っていたわよ」
 お会いしたお静さんの言葉です。
「本当にね」
「やっぱりそうだね」
「だから余計に目について」
「お静さんはときめいたんだね」
「そうなのよ、人柄はもっとだったから」
「尚更だね」
「ときめいたわ、ただね」 
 ここで、です。お静さんはこうも言いました。
「あの人が刀抜いた話は聞いたことがないわ」
「そうだったんだ」
「強かったのはわかったけれどね、私も」
「北辰一刀流免許皆伝だったからね」
「身体つきにも出ていたしオーラもあったから」
「お静さんにもわかったんだ」
「ええ、けれどね」
 それでもというのです。
「そうした場面はなかったわ」
「幕末って物騒だったのに」
「もう切った張ったでね」
「それで大変だったけれど」
「龍馬さんは刀抜かなかったんだ」
「立派な刀を持っていたけれどね」
 皆にもお話します。
「それでもね」
「刀抜かなかったんだ」
「龍馬さんは」
「強かったのに」
「それでもだったのね」
「拳銃、短筒を持っていたから何かあれば」
 その時はというのです。
「使おうとしたけれどそうした場面もね」
「なかったんだ」
「あの大変な時代でも」
「龍馬さんも命狙われていたのに」
「実際それで最期を遂げたのに」
「そうだったんだ」
「しかも不用心だったけれどね」 
 当時から見ればです。
「自分からはなかったわ」
「そうだったんだね」
「何か意外だね」
「あんな大変な時代でそうだったなんて」
「本当に切った張っただったのに」
「そのことも覚えてるわ、本当にときめいた人だったけれど」
 それでもというのです。
「残念なことになったし」
「尚更だね」
「忘れられないわ、今度お会いしたら私の方から言いたいわ」
 先生にも言ってでした、そのうえで。
 お静さんは先生と日笠さんのことやその他のこともお話していきました、ですが先生は結局日笠さんのことはまだ気付かないのでした。 
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