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地味な兄と思ったら

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第一章

                地味な兄と思ったら
 米村恒興はいつも家にいるデザイン系の専門学校を卒業してから在宅ワークでそうしている。そんな彼にだ。
 両親は何も言わないが同居している妹の千紗大学を卒業して今は証券会社で働いている彼女はいつもこんなことを言っていた。
「もっと日に出たら?」
「毎朝運動でランニングしてるよ」
「朝って四時起きじゃない」
 千紗は眼鏡をかけて面長で地味な顔立ちの兄に言った、兄は一七〇程の背で痩せていて黒髪をショートにしていて青白い顔をしている。
「それじゃあよ」
「日に当たっていないっていうんだ」
「そうよ、特に冬はね」
「まあ運動はしてるし」
「人間日に当たるべきよ」
 妹は強い声で言った、黒髪をおかっぱにしていて整っているが実に気の強そうな顔である、一六四程の背で均整の取れたスタイルだ。
「やっぱりね」
「じゃあお昼にもなんだ」
「お外に出てよ」
「身体動かすといいんだ」
「そうよ、在宅ワークはいいわよ」
 仕事自体はというのだ。
「けれどお兄ちゃん基本はでしょ」
「朝起きて走ってね」
「もうずっとお家よね」
「そうだよ」
「全く。もっとお外に出て」
 そうしてとだ、千紗はまた言った。
「日に当たってね、そういえばお兄ちゃん最近忙しいのよね」
「仕事がね」
「在宅でイラストレーターしてるのよね」
「そうなんだ」
「どんな絵なのか知らないけれど」
 千紗はそちらには興味がない、仕事は真面目で趣味はツーリングにテニスに水泳だ。旅行も好きである。
「兎に角日に当たる」
「それが僕には大事なんだね」
「そうよ、忙しくてもね」
「気をつけるよ」
 口ではこう言うがだ。
 兄の生活は変わらなかった、日が出るかどうかという時にランニングをしてその後はシャワーを浴びて朝食を食べてだ。
 それから家から出ず仕事をしている、そんな兄に妹はいつも外に出る様に小言を言うがある日のことだった。 
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