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チートゲーマーへの反抗〜虹と明星〜

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L3話 流れ出るWolf【オオカミ】の性

 
前書き
ちなみに曲名が記されてから、FINと記されるまでは挿入歌が劇中にて流れております。

 

 





「いい加減にしてくれ!どうしてそこまで……学校のために死ぬというのか!?」


男の怒号が飛ぶ……しかしその妻は揺るぎない目で夫に語る。


「ええ。全てはあの子たち……恋(れん)のためよ。」
「恋はまだ子どもだ!君が真意を語らずして、君を正しいなどと思えるはずがない!」


男は動揺を隠せない……その頭を掻きむしり、懐にしまっていた封筒を彼女の前に叩きつける———検査結果と記されているモノだ。


「花……君は生まれつき体が弱い。その体で無理をしすぎた——その結果、この年齢にしてステージ3の乳ガンだ。」
「……」
「学校創立をやめろとはこの際言わない。しかし治療だけは受けてくれ!このままでは余命宣告も秒読みだ!!」
「いいえ。やらないわ。」


キッパリと断る「花」と呼ばれる彼女……その強い言葉を紡いでいく。


「私の命はもう長くない……あの子を産んだ時に、そう神様に言われた気がしたの——そしてあの子が神様が宿らせてくれた子だとも。私は恋のためにやれる事をやってるの……あの子が見る未来の礎を作るのよ。」
「くそっ……なぜ——分かってくれないんだ……!」


男はひどく怒り……いや、何かに怯えるようにその部屋を去っていく———



一筋の涙を隠して。






「許してくれ……こんな弱い私を。」






〜〜〜〜〜





時は流れた———成長した恋……葉月恋は、父と母を飾られた家族写真にて回顧する。


「結局…お母様は何がしたかったのでしょうか——」
「「………」」


迷える恋……その心を抱きながら、飼っている大型犬チビとメイドのサヤを見つめる———複雑な心境は顔に現れそうになるが、彼女は何とか心を押し殺す。


「サヤ、行ってきます。」
「いってらっしゃいませ、お嬢様。」
「チビも。」
「ワゥ!」


母が繋いだ結ヶ丘高等学校……その一期生入学式の朝の話である。





————※————





「ココア…!」


提供されたココア——マンマルがプリントされたカップを啜る可可。


「あぁチョコワタルシミ…!」
「逆……だろ。」
「まだ才さん居たんだ…」


俺 伊口才は2つ隣の席で、同じくココアを嗜んでいる「好青年に見える好々爺」である……さて、俺は彼女らの話を流しながら、やるべき事をやる———え?お前名医だろって?そんなのオートメーション化してるので問題なしなので。


ざて、俺も同じくココアに砂糖10個を入れて啜る……いや、ツッコミは不要だ。先に進めよう。

かのんは誰にも聞かれないようにコソッと話を始める。


「あのね?私やっぱりスクールアイドルには……!」
「そんなことナイです!スクールアイドルは誰だってなれます。」

かのんの気遣い虚しく、可可は普通のトーンで話をする。よって澁谷母と妹のありあが、驚きを示す。


「アイドル!?」
「お姉ちゃんが!?」
「うるさいなぁ!話聞かないで!!」


家の中でのJK…まぁ、これくらい内弁慶なのも愛嬌があってよろしい。

しかし、かのんの後ろめたい事情など可可は知ったことではない。


「かのんサンの歌はスバラシイです!朝会った時、『コノ人だー!』って思いマシた!」
「私の雰囲気見たらわかるでしょ?アイドルってガラじゃないんだからさ…!」
「ソンなコトありません!かのんさんとってもカワイイです!」


ココアのマグカップを置いて、クスクスと笑う俺。


「くくく……どストレートに——可愛い……かw」
「才さんも黙っててよ!」
「……?」


俺の方を見た可可……首を傾げてかのんに尋ねる。


「アノ人はかのんさんのお兄さんですか?」
「えっ!?違う違う!——あの人は伊口才さん。隣でお医者さんやってる人で、このカフェの常連さん。あと速人くんたちの師匠。」
「あぁ…!———ところで1つイイですか?」
「?」


打って変わって、人にバレないようにかのんに話を持ちかける。


「ハヤトさんがかのんさんから生まれた剣で変身したのは……本当の話デスよね?」
「!?——そ、それは……」


流石にこの話は表立っては話せない…というより、話しても信じてもらえない可能性がある。

少し迷ったかのんだが、ここは思いきって答える。


「本当の話。未だに信じられないけど、その剣が速人くんの手元にあるから……」
「……!」


何か決心したように可可はかのんの瞳を見つめると、自分のリュックからゴソゴソと何かを取り出し始める。

そして……30cm程度のソレをテーブルに置く。


「これって……!」
「可可がかなり前から持っていたモノです。ハヤトさんの持つ剣がこれに似ている気がシマした。」


速人の所持している火炎剣烈火とほぼ同じ……異なるのはエンブレムが流れ出る水のような青である点。これはまさに———


「水勢剣流水…」
「才さん?」
「いいところに持ってきたな、可可。」
「……?」


ミニチュアのようなその剣を握る俺…するとその剣の刀身はみるみる伸びて———100cmほどにその大きさを変える。


【水勢剣流水!】


「「伸びた…!」」
「これが2本目か———さて、そろそろ出てきたらどうだ?」


俺はどこともない虚空に向かって話し始める……一瞬戸惑うかのんと可可だったが、すぐにその理由は明らかとなる。

ひょこっと影が2つ、カフェの扉を開ける。


「やっぱりバレてたか…流石師匠。」
「速人くんと那由多くん!?どうしてここにいるって……!?」
「こ、これには〜事情が色々あって——」


那由多が誤魔化そうと奮闘……無論、虚しいものだ。

対照的に、そんな未練を既に捨てていた速人はスパッと回答する。


「さっき学校で物凄い「精神の力」が見えた——それこそ湧き出る滝のような…だ。でもその正体も今わかったよ。」
「マサカ……!」


可可が口を抑えて、これから知らされる驚きを示す……仕草と顔がちょっと可愛い。

速人はこの俺を見つめ、その考えを白日の下に晒す——BRAVE DRAGONと描かれた小さく赤い本を俺に提示して。


「この本を俺のポケットに入れたのは師匠だったんだな?」
「「「えっ…!?」」」
「可可のリュックに背負っていたミニチュアの剣が伸びるのも……その剣の扱いがわかってるのも、その理由になる。」


流石……知恵者か。

俺はマグカップを丁寧に置き、速人の目を見つめ返す。


「……そうだ。お前には力を手に入れる運命にある——そして、かのんと可可を追ってここに来たのも、また運命だ。」
「「「「え…?」」」」


俺の言葉に拍子抜ける一同……俺は視線を彼方へと逸らし、昔話のように語り始める。


「太古の昔、人々は1人の巫女の下に治っていた……その歌と踊りによって人々の英気や心を癒した———これを模って偶像【アイドル】が作られた。それは知っているな?」
「はい。その巫女がアイドルの原型で、スクールアイドルはそれをより原点回帰したモノ——スクールアイドルの歴史にはこう記されてイマシタ。」


俺の疑問に、スクールアイドル好きの可可は難なく答える……ここまではこの界隈においては常識だ——ここからは、そういうわけにはいかないだろうが。


「しかし、それだけでは人を守れない——人間が怪人化する現象は太古から実在していたそうだ。そこで知恵と屈強さを併せ持つ強力な者を、巫女の下に据えた……その名を『仮面ライダー』という。」
「仮面ライダー?…って、あの鎧を纏う技術のこと?」
「そうだ、かのん———スクールアイドルがあるところに怪人がなぜか多発するという……速人、那由多。もしこの2人がスクールアイドルをやると言うのなら……わかるな?」


俺は男2人に視線を向ける……ここで覚悟のない目であれば、仮面ライダーになる資格はない———否、そんな性根を持つ弟子たちなど俺にはいない。

———が、ここでかのんが俺の前に迫る。


「ちょ、ちょっと待って!話が早すぎるよ!」
「……そうか?」
「才さん、私はスクールアイドルをやるなんて決めてないし……私は——
「『人前で歌が歌えない』———俺が知らないと思ったか?」
「っっ!」


自分と親しい人間しか知らない事情……知らないだろう俺に言い当てられて、驚くかのん。

しかし今は、彼女の気持ちなど知った話ではない———話を続ける。


「俺が敢えて言おう——自分の心が本当に求めているのは何か……決める時が来たんじゃないのか?」
「うぅぅぅ///———才さんのバカ!そんなの自分がよくわかってる!!言わないでよ!!!」
「おい!」


ガシャン!


那由多の静止も虚しく、かのんは家を飛び出して行ってしまう。


「全く……師匠の説教は心抉るぜ。」ガシャン
「かのんさん、ハヤトさん…!私『たち』も追いマショウ!」
「え、ちょ、ごわぁぁぁぁ!!」


速人がいち早くかのんを追う……それに続いて、可可が遅れて飛び出る———那由多を巻き込んで。(こいつ何時も巻き込まれてんなぁ。)

静粛の戻ったカフェで、俺は澁谷母に向かって一言謝っておく。


「すまん。また説教してしまったぜ……」
「いえいえwもうあの子が生まれてからずっとの話だから……w」
「だが——これでいいと確信している。」


甘くないココアを飲み干す。




————※————




「「かのん(さん)〜!?」」


出遅れた可可と那由多は、かのんと速人を見失ってしまう。


「ドコに行ったのですか…?」
「さぁ…?この辺りじゃないのか——?」


那由多がキョロキョロと周りを確かめる———





ゾワッ




「!?!?」



刹那、冷ややかな空気が那由多の背中へと伝わる……明らかに嫌な雰囲気を醸し出す。

しかし彼以外の人間にはわからないようだ。


「何だこの感じ……何か来るのか?」
「ドウしました?」
「———どうする…?」


ここに可可を置いておくのは都合が悪い……二手に別れさせたい。しかし問題はどこを仮目標に進ませるか。

長考する時間などないし、考えればドツボにハマる那由多に残されたのは天啓のみ———信じて言う。


「近くに公園がある。そこに行ったかもしれねぇ……2つあるから、お前はあっちの公園に行ってくれ!」
「え、ワカリマシタ…!」


可可は那由多に背を向けて走り去っていった——


「さて……何が来る?」


那由多の野生の勘……それは現実のものとなる。


キャー!うわぁァァァ!


「……!」


那由多は再び目にする———異形の怪物。

ちょうどショベルのような剛腕を左に装備した赤いロボット……名をガットンバグスターというとか。そんな名前を気にする暇は逃げ惑う人々にはない。


『システム起動。レベル20。』
「あ…?トゥエン……何っつった?——って、今はそんなの気にしてる場合じゃねぇ!」


那由多は———かのエルシャム王を名乗る小原魁に渡された……青でコーティングされた特殊な拳銃を取り出す。

ショットライザーと言ったか……その銃でガットンを2、3発撃つ——鋼の体に対しては、当然効果はない。


『ターゲット変更。』
「やっぱりコレを使わなきゃいけねぇのか…!」


那由多のもう一方の手に握られた直方体……ウルフのプログライズキー。普通なら使い方を教えてもらっているはずだが……教えてもらってない。そもそも教えてもらっても、忘れているだろうが——


【ショットライザー!】


銃型ドライバーを腰に装着する那由多。

とりあえずスイッチらしきものを押して、こじ開けられそうな箇所を開けようとする。


【BULLET!】


「え、開かない!?——いや!俺の直感はこう開けろっつってる!」
『ウィーンガシャンウィーンガシャン』
「うおおおおお!——アイツにできて……俺にできないことが……あるかよぉぉぉぉ!!!!」


ガットンは迫ってくる……

もはや那由多の開け方が間違っているとかどうとか———そんなの彼の頭にはなかった。彼には速人のような柔軟かつ卓抜な頭脳はない。しかしそれに見合う力……相手をごり押す力がある。

スマートに戦わない……これもまた戦闘の極意だ。


野生の本能こそ———全てを守る力となりうる。


メキメキ……カチャ!


開いた。



「行くぜ!」


【Authorize!】

【Kamen Rider...Kamen Rider...】


ベルトから銃の部分を切り離し、ガットンにその銃口を向ける———


「変身!」


【ショットライズ!】

【シューティングウルフ!】


ショットライザーが放たれた弾丸……その弾はガットンを強襲すると思いきや、那由多の方へと向かう———彼は本能の赴くままに、その弾丸を……ぶん殴る!

その瞬間、装甲が展開され———狼のような容貌の戦士へと姿を変える。


【The elevation increases as the bullet is fired.】


狼の凶暴性と同時に猪突猛進さ……何より熱い想いを秘めたライダー——


仮面ライダーバルカン シューティングウルフ。



「テメェを……超える!」





〜〜〜〜〜





「待てってかのん!」
「離して速人くん!」


街中で駆ける女を追いかける男という、嫌な構図になっていた。とうとう昔馴染みの公園に辿り着いたところで、速人はかのんの肩に手をかける。

最初は抵抗していたかのんだが、しばらくして気分が落ち着いてきたのか速人にその胸の内を話し始める。


「私って何で歌えないんだろ……緊張なんかしてないのに、人の前に出るとまるで呪いでもかかったみたいに歌えないの!」
「それは……」
「もうウンザリなの!私が歌えないことで他の人が落ち込むのも!何より自分が不甲斐なくて……!!!」


かのんが叫ぶ苦しみ。これを理解できるのは速人の左目……精神を見透かす目しかあるまい。この苦しみが———速人の心をも抉る。

でも……


「俺はお前の歌が好きだ。」
「え…?」
「お前の苦しみは痛いほどわかる……お前は他人のことを結べる優しくて活発な娘だ。だからみんなに迷惑をかけたくない——でも、お前のために歌ったことはないんじゃないか?」
「私のために……?」
「スクールアイドルは自分もみんなも喜ばせられるモノだ——可可を見ていればそれが嫌ほどわかる。」
「でも……」


かのんは再び顔を背ける———が、そこに勇気あるカタコトの声が響く。


「だったら……可可はかのんさんが歌えるようになるまで待ちマス!」
「可可ちゃん———!」
「約束シマス!かのんさんが歌えるようになるまで諦めないって……約束シマス!!」


可可はその期待に溢れた言葉を続ける————


「かのんさんは歌がスキです!こんな可可を一人でも応援してクレました!!可可はそんなかのんさんだからこそ、一緒にスクールアイドルがしたいデス!!」
「でもそのまま一生歌えなかったら……」


もう大空へと飛びそうな時に、かのんが発したネガティヴ。

だが……見えた。見えた。見えた。

速人の目に———その未来を見通す目に、最高最善の未来が。


「———歌えるさ。」
「えっ?」
「実はお前には言ってなかったんだけどさ、つい最近までお前の未来が見えなかったんだよ———でも今、はっきり見えた。」


速人はかのんの心が生み出した聖剣 火炎剣烈火を100cmサイズに顕現させる。その勇気の証のような剣を、彼も含め3人が囲う中央に突き刺す。


「この剣はかのん、お前のキモチから生まれた剣だ——さっき師匠はこう言うつもりだった……『お前たちの側でその歌を聴き、それを守れ。』」
「側で……?」
「俺はお前の歌を聴いていたいし、それを守りたい———俺がお前たちの導いてやる……だから。」


唾を飲み込む……言い切るんだ。


「俺のためにも……お前のためにも……全てのために、スクールアイドルという舞台でもう一度歌ってくれ!!」


基本的に冷たい。そう言われてきた速人が見せた熱さ……その言葉は———返される。



白い羽が……舞い降りる。





「速人くん———私やっぱり……!」




『歌が好きだ!!!!』






未来予報ハレルヤ(歌:Liella!)





〜〜〜〜〜〜




「オラっ!」
『ビビビビ!』
「すげぇ威力……!」


一発の弾丸がガットンに放たれ、先ほどとは比べ物にならないダメージが入る。

仮面ライダーバルカン……獰猛な狼の如く砲弾とはこのことか。


『ビビビビ!』
「連弾喰らえゴラァ!」
『ウィーンガシャンウィーンガシャン』
「つっても、頑丈さは相変わらずか———ん?コイツは……!」


彼のベルトに下げられていたミニチュア……いや、先ほど見た水勢剣流水。

おそらくポケットに入れられたのだろう———早速その水の剣を真の姿へと変貌させる。


【水勢剣流水!】


「はぁっ!」


ショットライザーをベルト部分に戻し、念じながらその剣で突こうとする……と、突如としてその剣先から超高圧の聖なる水が噴き出る。

清めの水を思いっきり食らってしまうガットン。異変はすぐに起こる。


『ガガガ…システム一部故障。動作速度5割低下。』
「あ…?動きが鈍くなんのか———なら狙わせてもらうぜ!」


水勢剣による唐竹割りが見事炸裂する。

機械は水没に弱い……水勢剣の高圧水流に、那由多の剛力はガットンにとっては相性が悪すぎる。

電流見えるガットンに那由多は蹴りを入れて、距離を取らせる。


「そろそろ必殺か——師匠はキックこそ華って言ったが……速人のマネはしねぇよ。」
『ググギ…』
「これは……こうか?」


【BULLET!】

【ウルフ! ふむふむ。】


バルカンは水勢剣にウルフのプログライズキーを読み込ませる……皆が知る歴史ではそんなことできないのかもしれないが——そんなことは知らない。

水勢剣からリゾート地を彷彿とさせる待機音が響き始める。


【習得一閃!】


水勢剣で一閃を描くバルカン。その一閃はバルカンを象徴する狼、神聖な水塊で形成された狼がガットンを強襲する。

狼はその水塊の顎でガットンを噛み砕き……その体を水で侵食していく。

火花を上げ、機能をさらに低下させる。


『システムエラー……制御不可……』
「行くぜ……」


【BULLET!】

【シューティングブラスト!】


バルカンは照準を定め———トドメの弾丸……必殺を放つ。

その弾丸は狼のオーラを顕現させ、ガットンの体を飲み込み———木っ端微塵にその機械仕掛けを崩壊させる。


食い残されたのは怪人の素体となる人間のみであった。



「ふぅ……いけた———」






————※————






———FIN



奏でられた歌は街中に響いた……かのんの歌声が。

速人も可可も感嘆の声を上げざるを得ない———もし鳳凰という瑞獣が居るのなら、こんな歌声を奏でるのかもしれない。

とりあえず…


「かのんさんスバラシイデス…!」
「流石。」


歌うことに熱中していたかのん。彼ら2人の言葉によって我に戻る。


「もしかして私……歌えた!?!?」


嬉しくて…嬉しくて……叫びたい!


「やったー!!!!」



【Hyper Time!】



時が…静止する。

その場にいるかのん、可可、千砂都そして速人を除いて。


当然何が起こったか4人とも飲み込めない。


「えっ!?えっ!?」
「时间停止!?」
「そんなバカな……」


不動なる星が……降臨する。


「おめでとう———かのん。」
「えっ……?」
「「黄金の戦士!?」」


ゲームキャラのような2つの虹彩、全身を覆う黄金と黄金のドレッドヘア、神聖さを感じさせる星のようなツノ……

千砂都が話していた黄金の戦士——かつて、千砂都とかのんが瞬きの中で垣間見た戦士。

だが不審であることに変わりないので、速人は2人を守る形をとる。


「お前…誰だ!?」
「仮面ライダーエグゼイド...ムテキゲーマー。究極の救済をする者だ。」
「究極の救済…?」


難解かつ突拍子もない名乗りに、拍子抜けするかのん。

しかしそんなことは知ったことではない。


「しかしこれでいい気になるな——お前たちの話はここから始まったんだということを忘れるな。」
「始まった?一体何を…?」
「お前たちが経験した楽しさ…嬉しさ…絶望。これからもそれは襲い続ける——それは決して偶然起こることではない。この世で起こる全ての出来事は必然だ。」
「「「……?」」」
「では———また会おう。」


エグゼイドと名乗る者は去っていく——

予想外の声が響く。


「待ってクダサイ!——天帝(Tiāndì)!」
「「!?」」
「アナタは可可の……」



時は———動き出す。






 
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