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イベリス

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第六十四話 期末テストその六

「それだけ咲が麻薬の怖さを知る機会を貰ってるってことだ」
「いつも聞いていて」
「その都度麻薬の怖さを知ってな」
 そうしてというのだ。
「気をつける様になるからな」
「いいことなのね」
「そうだ、よく覚えておくんだ」 
 麻薬の怖さをというのだ。
「本当にあんなものはだ」
「手を出したら終わりね」
「人間としてな」 
「煙草は犯罪じゃなくても身体に悪いし」
「吸わない方がよくてな」
 そしてというのだ。
「シンナーや麻薬はな」
「問題外ね」
「犯罪だしな」
「犯罪じゃなくてもやったら駄目ね」
「昔は覚醒剤だって売られていたんだ」
 街で普通にだ。
「しかしそれをやってな」
「中毒になる人出たのね」
「そうなったしな」
「合法でもやらないことね」
「それが一番だ」
「それが麻薬ね」
「そうだ、どんどん身体が壊れていって」
 そうしてというのだ。
「心もな」
「それ何度聞いてもね」
「怖いな」
「本当にね」
「だからしないことだ」
「一回やったら離れられなくなるのよね」
「元タレントさんでもそうした人がいるな」
 父は難しい顔で話した。
「そうだな」
「いるわね、酷いことになってるわね」
 咲もその元タレントが誰か察して答えた。
「ガリガリになって髪の毛も抜けて」
「そうだな」
「昔の写真見て驚いたわ」
「別人だろ」
「そうなってるわね」
「ああなるんだ」
 麻薬中毒になればというのだ。
「だからな」
「麻薬はしないことね」
「ああなってしかも犯罪だ」
「犯罪でなくてもしたら駄目ね」
「廃人になって長生きも出来ないんだ」
 そうなるというのだ。
「それでもしたいなんてな」
「思わないわ」
「それでいいんだ、本当にしたらな」
「駄目なものね」
「元プロ野球選手でもいたがな」
「あの人もね」
「絶対に長生き出来ないぞ」 
 この元プロ野球選手もというのだ。
「お父さんが思うにな」
「どうしてもそうなるのね」
「そうだ」
「スポーツ選手でもそうなるのね」 
 咲は青い顔になって言った。
「そうなのね」
「そうなんだ」
「ううん、長生きしたいから」
「じゃあしないな」
「余計にね」 
 前からその考えはなかったがだった。
「私もね」
「そうするといいぞ、煙草吸っていいこともなくてな」
「シンナーも麻薬も」
「お父さんの中学時代の友達でシンナーしようかと言った奴がいたんだ」
「そんな人いたの」
「お父さんは悪い頭が余計に悪くなるだけだと言ったんだ」
 咲に真顔で話した。 
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