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イベリス

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第六十三話 夏が近付く中でその十一

「それで生前のことを思うと」
「苦しめさせるべきですか」
「そうだよ、ただそうしたい人はね」 
 布施餓鬼を行いたい人はというのだ。
「したらいいよ」
「その場合は」
「うん、それも慈悲だろうからね」
「どうしようもなくてそうなった人を助けることも」
「そのこともね」
「慈悲ですか」
「優しさだから」
 それでというのだ。
「助けたいならね」
「助けたらいいんですね」
「餓鬼もね」 
 この存在もというのだ。
「布施餓鬼をしてね」
「そこは人それぞれですか」
「僕はしなくても人にするなとは言わないよ」
 部長は確かな声で答えた。
「助けたいならね」
「助けたらいいんですね」
「過去にどんな酷いことをしても」
 前世でというのだ。
「それでもね」
「そうしたらいいですか」
「うん、その人それぞれだよ」
 このことはというのだ。
「宗教的なことは特にね」
「その人それぞれですね」
「犯罪じゃなかったらね」
「その人がですね」
「それぞれすべきと思ったことをね」
 それをというのだ。
「すればいいよ」
「そうしたものですか」
「僕が思うにね。ただね」
「ただ?」
「犯罪はね」
 こうなることはというのだ。
「やっぱりね」
「したら駄目ですね」
「それは論外だよ、犯罪にならないならね」
「したらいいですね」
「その人それぞれでね、それで本当にあと少しでね」
「テストですね」
「そっちも頑張ろうね、いい結果を出して」
 そうしてというのだ。
「夏休みを快く迎えようね」
「わかりました」 
 咲は部長のこの言葉には微笑んで応えた、そうしてだった。
 部活が終わるとこの日からただの予習復習ではなくテスト勉強に切り替えた、そうして期末テストに気持ちを完全に向けていた。


第六十三話   完


                   2022・5・15 
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