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ドリトル先生のダイヤモンド婚式 

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第六幕その七

「あの人もね」
「そうだね」
「そこが巨人と違うのよ」
 今や毎年勝率一割台でオープン戦も交流戦も二軍もいつも最下位のこのチームとは、というのです。
「あそこは生え抜きの人でないとね」
「巨人の人じゃないね」
「フリーエージェントで入ってもね」 
「巨人の人扱いはされないね」
「そう、あのチームはね」
「おかしな意識があってね」
「チーム自体にね」 
 その為にというのです。
「それでなのよ」
「幾ら活躍してもだね」
「助っ人は助っ人でね」 
 それに過ぎなくてというのです。
「トレートとかフリーエージェントで入ってもね」
「巨人の人じゃないね」
「だから監督にもよ」
「なれないね」
「あのチームではそうよ」 
 まさにというのです。
「絶対によ」
「途中から来た人は監督になれないね」
「コーチにはなれても」
 それでもというのです。
「監督にはよ」
「絶対になれないからね」
「あれはあのチームの伝統でね」
 お静さんは嫌そうに語りました。
「不文律なのよ」
「絶対のだね」
「巨人の人は生え抜きでね」
「生え抜きのスター選手しか監督になれない」
「同じだけ歴史の古い阪神とはそこが違うのよ」
 全くというのです。
「阪神はあのユニフォームを着たらね」
「阪神の人になって」
「監督にもなれるけれど」 
 それでもというのです。
「巨人は違うのよ」
「そこが大きな違いで」
「そしてね」 
 そのうえでというのです。
「今に至るのよ」
「阪神は今や常勝チーム、毎年優勝していてね」
「巨人は常敗、毎年最下位よ」
「そうなったね」
「伝統とやらに胡座をかいてもよ」
「何にもならないね」
「だからああなったのよ」 
 巨人はというのです。
「防御率とエラー、三振、併殺打は十二球団最悪、打率と得点、ホームラン数、盗塁数は十二球団最低」
「どれも毎年だしね」
「そこまで弱くなったのは」
「伝統に胡座をかいて」
「奢り昂ってね」 
 そうなっていてというのです。
「補強ばかりで育成を怠って」
「その補強のお金がなくなって」
「誰も来なくなってね」
「フリーエージェントどころかね」 
 それで毎年補強してきたのにです。
「助っ人もね」
「来なくなってね」
「そのうえで」
「気付けば育成なんて全く出来なくなっていて」
「ドラフトで入ってもいい選手にならなくて」
「いい選手に断られてばかりになって」
「設備の充実も忘れていて」
 そうしたこともとです、お静さんはさらに言うのでした。 
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