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チートゲーマーへの反抗〜虹と明星〜

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L2話 School Idol【偶像】を守る者

 
前書き
Liella!サイドから始めていきましょう…!

今後の予定はちょっと未定ですが……いずれ虹とスパスタは連結しますのは確定でしょう。 

 


ここは10次元……最高位天使たちしか到達できぬ次元。

その玉座に座る者が1人———その側に付く6枚の翼を持つ天使も1人。


『ミハエル。』
「はっ……」


ミハエル———最高位天使の中で1番最初に生まれ、その忠誠心も一段と高く畏れ多い。

そんな彼がそばに侍っているのは、最高位天使【エルロード】の第二の親でもある神 ユオス。

彼は独り言のように呟く。


『魂が…目覚めたようですね。』
「———少し不憫とはいえ……貴方がそこまでする必要はなかったのでは?」


ミハエルは複雑そうに尋ね返す———彼は苦い経験があるようだ。


『君はコイントスを持ちかけられて……彼に知恵比べで負けていましたね。』
「私が知恵で負けることは必定。しかしそれに乗せられた私が愚かでした。」
『愚かではありません——その決断もまた、彼の謀略…君は負けるべくして負けたのですよ。』


ユオスは彼の責任感の強さを抑えようと、擁護する……が、何を思ったか、少し悲しい顔になってしまう。


『君たちエルロードは、私にとって実の弟たちであり…同時に力を与えた子どものような存在——その子どもたちも、ほとんどいなくなりました。』
「天帝様が我々と同じとは出過ぎておりましょう……」
『私もまた君たちより遥か前に、父上と母上から生まれた——母上の愛情の掛け方が異なっただけでしょう。私は君たちより自由であった……それだけのことです。」


ユオスはふと玉座から立ち上がり、今までにあったことを回顧する。


『私は悲しい。愛ゆえに抗い、結果として愛する者を失うとは……摂理ゆえ仕方ないと分かっていても哀れだ。』
「愛ゆえに神に逆らい、刃を向けるとは天使としてあってはならないこと………我が弟妹たちながら、恥ずかしいものです!」
『……』


ユオスは微笑みながら辺りを悠々と、飄々と歩く。


『確かに許されません……しかし、誰であろうともやり直せる。どんな魂も——滅することはありませんから。』
「しかしあの女の執着心は異常です。その狂愛が……あんなことになるとは。」
『ですが、彼らが決着をつけねば終わらないのですよ——父上もそう言っていました。』
「至高の父神さまが……」


天帝さまは……遠い目で上を見る————


『母上の狂気とも言える愛が、善も悪も生み出した……人間にとって善悪の判断など、無意味なことなのかもしれません。』
「………」




————※————







「これが俺の剣……か。」


見事現れた怪人を討ち果たし、幼馴染たちを守った速人。彼に握られた火炎のエンブレムのついた剣——火炎剣烈火がそれを現実だと物語っている。

結局、千砂都とかのんと那由多……彼を含め4人で初登校を迎えることになった。

那由多が速人に尋ねる。


「これ…仮面ライダーってやつじゃないか?人間に装甲を纏わせる方法だしな。」
「うんうん。あの黄金の戦士みたいに…!」
「またその話か…」


再び千砂都の口から発せられた黄金の戦士の話に、速人はちょっとクドさを感じる。

ここでふと、速人は持ち歩いていた100cmの火炎剣を見つめる。


「しかし炎の剣なんて歩き持ってると危ないし……こうするか。」


ハバキのあたりを押すと……ドライバーに納刀されたミニチュアへと姿を変える。

その所業にかのんを含め、一同は再び驚かざるを得ない。


「すごい…何か夢を見てるみたい。」
「でも、この剣ってかのんちゃんの心が生み出したように見えたけど…?」
「ええっ!?そうなの!?」
「うん。だからみんな驚いてたんだよ?」


千砂都が語る先ほどのことに、かのんは覚えがない———教えられたところで信じる気持ちにもなれない。


やがて、結ヶ丘高等学校の敷地内へと入っていく。同時に話を変えて、那由多は話しかける。


「そういえばかのんは歌続けるのか?」
「それは……」


答えが滞るかのん……しかし、それを悟られまいとすぐに口を動かす。


「新しいこと始めるのもいいかなって。」
「じゃあ歌やめるのか!?」
「前言ったでしょ?音楽科に合格しなかったら、最後にするって。」
「そうか———よし、高校に入って心をゼロにして始めようぜ!!」


那由多のポジティブな……悪く言えば、能天気な言葉に速人は複雑な顔をして睨む。

一方千砂都は。


「でも……私はかのんちゃんの歌聴いていたいなぁ。」
「————」


かのんは沈黙する……そこに那由多は口を動かそうとした———

ところが、その口は速人によって抑えられる。


「かのん、ちょっと師匠からの伝言で結ヶ丘で何か確認してこいって言われたから先教室行ってる!」
「え、ちょっ———」


速人は那由多を連れてかのんの元から去る。

それに釣られるように千砂都も——


「じゃあ私もあっちだし……あ!今日からたこ焼き屋のバイトすることにしたから!今度遊びに来て〜!」
「あっ……」


かのんは————誰が図らずも、1人となった。





〜〜〜〜〜




「ちょ、何だよいきなり!」
「いいから来い脳筋。」


速人は那由多を強引に引っ張り、学校の中庭へと連れて来る———離したところで、速人は那由多を睨みつける。


「お前……空気読め野人。」
「あ?何のことだよ!?」


天然バカ…先見の速人であるなら、彼は後知恵というべき存在。
バカっぽい熱さは時に人を傷つける———先ほどのかのんのように……


「かのんが本気で歌を諦めたいと思ってんのか?」
「———そう言ってたろ。」
「だからお前は後知恵なんだ……かのんは歌が好きでたまらない。でも人前で歌えないからという、下らん理由で自分の心を殺してんだよ——わかったか!?」


傷の処置として、肩に巻き付けられたタオルを引っ張って那由多を目の前に持ってくる速人。

その勢いは1発殴らんかと言わんばかりだ。


「おい!傷が開いたら…ん?」
「———どうした?」
「いや……傷が消えてる。」
「ちょっと見せてみろ。」


速人は自分が与えたタオルを強引に巻き取り、彼の怪我を確認すると……なんと、傷どころか血痕や服も元通り。

まるで何事もなかったかのように———

この結果は速人ですら想定外なことであった。


「まさか…時間が巻き戻ったとでもいうのか……?」
「時間が巻き戻った——ま、傷がなくなるならどうでもいいか。」パシパシ
「……」


那由多は図々しい笑顔で速人の肩を叩く。しかし速人の怒りは収まらない——むしろ怒り心頭。


「そうか…怪我人じゃないなら1発肩パンさせろ脳カラ。」
「あぁ!?誰が脳味噌空っぽだゴラァ!!」
「お前は略語理解《だけは》早くて助かるぜ。」
「テメェ——高校デビュー戦で勝つのは俺だ!!」


那由多は挑発に乗っかって、速人にパンチを繰り出す…が、単純な軌道を完璧に見切っていた速人に欠伸しながらかわされる。


「おいおい、まさか高校デビューが今のか?」
「舐めんじゃ…って、おわっ!?」


再び殴ろうとした那由多に悪運……なんと、中庭に放置されていたバケツに足を取られ———ソリになる寸前。

そこに通行人……金色の長髪の女性。

このままだと巻きこんで転ぶ——野郎とレディなら、レディを守れと師匠に言われた。



速人は素早く彼女の手を引き————自分との距離をミリ距離まで詰めさせる……そして。


「ほい」チョン
「どおわぁァァァ!!」


金髪くるくるロングのレディの手に差し出す優しい手とは、対照的にも似通って、チョンと那由多を蹴る……当然、ボウリングの球と化す。


「ぎゃ、ギャラクシー……?」
「よし…!」


不謹慎にも、速人はガッツポーズをちょいと行う。

そしてマヌケな相棒を尻目に、彼は救い出した黄緑の瞳の金髪ロングの娘に視線を向ける。


「いや〜アホがレディにドジるのは万国共通……ウチの馬鹿が迷惑かけた。」
「ま、まぁ、一流のショウビジネスの世界の人間に対する対応は上場ね…!」


彼女はツンとした態度を崩さない……しかし、速人は彼女の心の本質を垣間見えていた。

そこで———少し驚かせてみることにした。


「よろしく……平安名。」
「よろしく………って、え!?何で私の……!?」
「平安名神社ってタオルが若干、カバンからチラ見できた。あと——お前確か、ぐそ」
「くっ…失敬ね!!」


何か機嫌を損ねたのか、彼女は再びツンとした表情に戻って、その場から去ってしまう………


「師匠が言っていた……女心は秋空なんかよりも比じゃなく、コロコロ変わる——その通りだ。」




————※————





ドスっと椅子に座る速人……ここが一年を過ごすクラス———見たところ、男:女が3:7ほど。

ほとんどのクラスメイトが揃う中で、彼は左側の席の方を見る。


「10分ぶり、かのん。」
「げっ、速人君———まさかこれは中学の時と変わんない可能性が……?」
「おいもう1つのフラグを立てるな…!」


さて、彼は右側の席に振り返る———見知った髪型と容貌の少女が1人……互いにそれを認識する。


「あっ!スバラシイメメのハヤトさんと……スバラシイコエノヒト〜!」
「ひぃっ!」
「まさかお前も同じクラスとは———」


バタン!

たわいも無い(?)会話をしていたクラスのドアが乱暴に開けられる……やってきたのは———土で汚れた野人 中川那由多。

彼は……速人の真後ろの席へと乱暴に座る。


「お前…生きてたのか(すっとぼけ)」
「はぁ!?テメェのせいで花壇の土に突っ込んで、こんな有様だぞ!!」
「足滑らしたのはお前だろ。」


そろそろガヤガヤしていたクラスも静まり、典型的なホームルームの時間が始まる……

そして———新入生の関門、自己紹介が始まる。


「じゃあ出席番号で……天羽速人君。よろしくお願いします。」


天羽…あ行の生徒は出席番号は前になることがほとんど。速人の場合は、保育園の時から出席番号は始め。

そう——いつも自己紹介は1番はいつものこと……

そして———ブレザーを後ろの那由多の顔に、ノールックで掛ける。


「ぶはっ!」
「(これまたあのパターンじゃ…!?)」


かのんはもう大体察していた……彼の今までやってきた自己紹介。

天を指差す——— 白いシャツを目立たせて。


「天かける羽のように、あらゆるモノより速い人……それがこの天羽速人。皆に1つ言っておこう———全てにおいて……俺より優れた者はいない。」
『』シーン
「俺と勝負したい奴はかかってこい……どんな勝負でも勝ってやろう———あと、俺の後ろの奴は後知恵だから、ツッコミよろしく。以上。」
「速人!テメェ余計なこと言うんじゃねぇ!!」


最後に速人が投下した爆弾に反応した那由多は轟々しい音を立てて立ち上がる……が、立っているのは彼だけ。

速人はすでに座っていた———悪目立ちした那由多。

先生は言う。


「中川君?どうしました?w」
「あ、いや……これは——って、笑ってんじゃぇ!!」
『www』


那由多の犠牲のおかげで……クラスが一気に和やかになる———恐るべきかな、これは速人の目論見通りなのだ。

彼の先見性はもはや超能力の域に達していると言わざるを得ない……彼の言うことはあながち、嘘では無いのかもしれない。

もし彼を超えるならば———それは才能を与えた、神だけなのかもしれない。


————※————



キーンコーンカーンコーン


「おいかのん!マジで速人を……って、どわっ!!」
「っ!!!!」


フィジカル最強の那由多を吹き飛ばして教室外へと出るかのん。そしてそれを追うように……


「スバラシイコエノヒトー!」
「おおおわぁぁぁ!!!」


可可の猪突猛進に、またしても吹き飛ばされ……先ほどより酷く突き飛ばされた那由多は、可可に突進される形で教室外に共にに出てしまう。

しかし可可は肝心のかのんを見失ってしまう。


「アレ…アレ……?」
「————」
「全く……無様だな。」


流石の打たれ強い那由多でも気絶してしまう——そこに、犬猿の相棒 速人がやってくる。そしてそのまま罵詈を1つ。

那由多に気づかなかった可可も、速人が来たことには気づく。


「あ、ハヤトさん!ちょうどいいところに…!」
「えっと…可可か。どうした?」
「かのんさんの行き先に心当たりアリませんか!?」
「そうだなぁ……1階のクラブ勧誘ポスターの辺りにいると思うぞ。」
「ありがとうゴザイマス!では行ってきマース!!」


速人の助言をすぐに受け入れた可可はすぐさま言う通りに、1階へと降りていく……


「———どういうつもりだ?」
「何だ、今度こそ死んだと思ったんだが……しぶとい奴だな。」
「俺の生命力はゴキブリ並みって師匠が——って、誰がゴキブリだゴラァ!!」
「お前が言ったんだろうが。」


ゴキブリのようにしぶとい野人 中川那由多に尋ねられる速人……彼は真剣な眼差しに戻り、その意図を話し始める。


「かのんには何としても歌を続けてもらう。アイツの憂鬱な顔はもうたくさんだ。」
「それとあの可可ってやつと何の関係が……」
「中庭見てみろ。」


速人の言う通りに、那由多は2階の窓から中庭を覗く。部活勧誘で騒がしい中庭で、特に騒がしい少女が1人……それまた騒がしい標識を持って。


「スクールアイドルに興味アリませんか!?可可は皆さんとスクールアイドルがしたいデス!」


強烈な勧誘をしている可可。その強烈さに若干、周りの人々が引いている……流石にこの反応は万国共通と言わざるを得ないのではないか———が、すぐに可可は「スバラシイコエノヒト…!」と言いながら、その場をダッシュしてしまうのを那由多は見る。


「あ、どっか行った。」
「見つけたな……」


不敵な笑みを浮かべる速人……那由多は再び彼に問う。


「まさかお前……かのんにスクールアイドルを?」
「そうだ。」
「あの学校でアイドルってやつだろ?——やりたがるか…?」
「あぁ。俺の目に狂いはない。」


自信満々に答える速人————




そこに。




「だが———スクールアイドルを守る者もいるだろう?」
「「!?!?」」



突如として2人に発せられた声……その方角には———V系のような衣装を纏う、黒髪金眼の男が1人。背中には金色の剣の柄が見え隠れしている。

そんな彼が……2人に話しかける———誰しもが知る人物だ。


「スクールアイドル……いい話だ。是非始めてほしいモノだ———が、どうしてもスクールアイドルを理由なく恨んだり、狂信的な者たちも現れる…それらを取り締まる男たちも、最近は設置されているのだよ。例えば……その場に現れてしまう《怪人》を退治するとかね。」
「!!!!」


怪人……この言葉が出た瞬間に、那由多は警戒心を極限まで高める。


「テメェ…何者だ!!」
「そうか…キミは知らなかったか———」
「世間知らずの後知恵ですから。」


気遣うように振り向く男に速人は、身内がすんません的なことを言う……男はその対応に慣れているのか、再び那由多の方へと向く。


「ならば教えてやろう……俺は小原魁。エルシャム王国の王にして———この学校のメインスポンサーだ。」
「何!?エルシャム王だと?」
「あぁ——彼女らがスクールアイドルは非常にワンダフルな文化だ……そこで。」


彼は懐から……青い特殊な拳銃と、オオカミが描かれた青色の四角いアイテムを那由多に渡す。


「presents!」
「え…今なんて?」
「かつて地球が大洪水に見舞われた際に、大まかな生物種のプロトタイプを保存したもの——それがプログライズキーだ。」
「プログライズキー?」
「お前たちの活躍には期待しているよ……仮面ライダーセイバー——と、仮面ライダー《バルカン》。」
「「!?!?」」


最後まで驚く彼らを見て———最後に一言呟く。



「また会う日まで……鍛えておいてくれ。」







————※————





「なぁ……何なんだよ仮面ライダーバルカンって。」
「さぁ?その銃で変身できるんじゃねぇか?」

適当にあしらう速人。そんなことはお構いなしに那由多は尋ね続ける。

「じゃあ俺たちどこに行くんだよ。」
「言ったろ……あの2人を追うって。」


指差す速人の言う通り、2人はかのんに迫る可可を目撃し、その後を追う。



〜〜〜〜



「「はぁ…はぁ……」」


何か不毛な追いかけっこをした2人だが、共に体力が切れ、一時中断する——が、可可は情熱ですぐに復活して、カノンに迫る。


「为什么要跑啊!?人家只是和你一起做学园偶像而已啊。和我一起做学园偶像好不好嘛!?」
「ちょ、訳わかんないよ!」


涙目で訴える可可だが、かのんの指摘で我に帰る。


「おっと、これは失礼シマした……つい感動して中国語が———改めてまして、私は可可。唐可可と言います♪」
「澁谷…かのんです。」


若干引き気味のかのんに、可可はスクールアイドルの勧誘を続ける。


「かのんさん!かのんさんの歌はスバラシイデス!だから私と……スクールアイドルを始めまセンか!?」
「す、スクールアイドルって——学校でアイドルってやつだよね?」
「可可はスクールアイドルがやりたくて、文化の中心である日本にキマシた!」
「うーん……」


かのんはその誘いを丁重に断ろうとする。


「ごめんね?私やっぱりこういうのは向いてないっていうか……」
「そんなことアリマセン!スクールアイドルは誰だってなれマス!それにかのんサン、カワイイです!」
「えぇ!?———可愛くはないと思うけど……」


どストレートに可愛いと言われたかのんは恥ずかしさのあまり、顔を背ける。

だが可可は……痛いところを触れる。


「歌が……お好きなんデスよね?」
「……!」
「ゼッタイ好きです!そのスバラシイ歌声を是非スクールアイドルに……!」
「…………はぁ。」


かのんは観念した———何もそれはポジティブな意味ではないが。


「私ね、結ヶ丘の音楽科志望だったんだ。でも……落ちちゃって。音楽は大好き———でもきっと才能ないんだよ私。だから歌えなかった。
「………」


かのんは首にヘッドホンを掛ける。


「だから……歌はおしまい——それでいいんだよ。」
「———かのんさん!!」


去ろうとする彼女を可可は引き止める。

その眼差しはふざけた要素など1つもない……まるで自分のことのよう。


「『オシマイ』なんてあるんですか!?」
「え…?」







「好きなことを頑張るのにオシマイなんてあるんですか!?」




何かが湧き上がる。




————※————




Prrrrrr……


「はいもしもし。」
『よっ、久しぶり———でもないか?』
「お前か……聖剣のことか?今は2本。最近1本できたし、その前にもな。」
『2本か。道は遠いか……』
「どうかな?言うて一瞬かもしれねぇぜ?」
『またかけてくれ。』


電話は切れる———と、間髪入れずに電話が着信する。


「はいもしもし……って、これはこれは。」
『はい——あの子は?』
「良好も良好、好きなことに打ち込んでるよ——会いたいなどとは決して思わぬことだ……お前があの子を大事に思うなら。」
『——わかってます。あの子は運命を持って生まれた…そして、それは必ず果たされる。そうですよね。』
「あぁ。お前の気持ちを完璧に理解など誰にもできないだろうが……同情する。」
『いえ——どんなに邪険にされても……声は聞けていますから。』




電話は切れる————










 
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