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ハイプレッシャー・ヒット座衛門

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「うるせえ!」と押し問答になった。

「うるせえ!」と押し問答になった。
「いい加減にしないか。お坊様が来られたぞ!」
会長が怒鳴った。
「わかりました」
反対派も権威には弱い。

ブルブルブル。スクーターの音がした。

「ああそうだ……その方の名前を聞いてよろしいでしょうか?」
俺は僧侶の口コミを検索しようと思った。
「そうですね。『金楽寺』だそうです。なんとも不思議な……」
会長は回覧板を確認する。
「金楽寺だって?!」
俺は嫌な予感がした。
「どうかしたのか?」
「お父さんが言ってた。『謎の奇奇天烈な坊主が来るとお寺がなくなる』って」
「……そうですか。」
「金楽寺っていうと『快楽』の響きがしますね」


お昼、22:00、お寺の大殿。「お前ら~、お茶でも飲もうぜ」「あ、待った。金楽寺に来たよ」「ここまで来たら、お茶とスイカステーキを食べて、甘酒と焼酎にビールを飲んで、スイーツもあるよ」
「……」
お腹をすかせた坊ちゃん達と入れ替わり、坊ちゃん2人を連れて、やってきました。『金楽寺』、このお寺ならば、お茶とスイカステーキが、お菓子が、スイーツがある。
「どうですか、お寺さん? 美味しいですか?」「……うん。美味しい」
「お寺の娘さんたちはどうなりましたか?」
「……坊ちゃん、もう来ているの……?」
また坊主来た。「あ、お前も来てたか」
「いや、来てねエよ。今から帰るからな」
「あ、そうなんですか……」
坊ちゃん来たらスイカが貰えそう。スイカが欲しいんだ。坊ちゃんに。「すいませーん、スイカを貰ってもらえませんか?」
「え、スイカか?」
(坊ちゃんにスイカを食べさせるのは良くないな)
「はい」
坊ちゃんに俺のスイカを渡した。
坊ちゃんは俺のスイカを嬉し気に取ると、そのまま坊ちゃんを追い出して走り出す。ああ、あの時こうしてたら良かった。坊ちゃんと二人で遊びに行くことが出来た。坊ちゃんの楽しみを俺が作ればいいのに。
俺は、俺のスイカを坊ちゃんにあげたかった。坊ちゃんと、一緒にいる時が幸せだった……。
俺は、俺が見付けてやろうという気持ちで坊ちゃんを追い回した。坊ちゃんも俺の心配をしていたのが解ったからね。坊ちゃんも坊ちゃんの可愛い笑顔を見ただけで元気が出た。
坊ちゃんも嬉しいのかな、また俺のスイカを坊ちゃんの手から取ろうとする。その時、また坊ちゃんと坊ちゃんが来た。
「見付けて!」と言う顔を向けると、坊ちゃんも嬉しそうな顔をした。
「見付けたよ。坊ちゃんが、来てくれたー」という声がした。
坊ちゃんにも俺と遊びに来て欲しいのか。俺は坊ちゃんとは遊ばず、そのままでも良かったのに、また俺の事を気遣ってくれたな。これで俺はもう坊ちゃんと会わなくても良くなった。坊ちゃんと一緒なら、もうどこへだって遊びに行ける。坊ちゃん、俺の気持ちは解ってくれたよ。坊ちゃんと一緒にいると楽しいけど、これじゃ駄目なのは解ったからね。
坊ちゃんがやって来た。坊ちゃんは少し機嫌が悪そうだった。
「お坊ちゃん、こんにちは。何かあったんですか? あ、それと、坊ちゃんのスイカ美味しい!」
「食べるわ、食べね、坊ちゃんが食べてくれると嬉しいもの」
坊ちゃん美味しそうに食べてる。
俺も坊ちゃんに食べさせたいのだって、やっぱり好きなんだな。
「坊ちゃん、坊ちゃんが食べたいって言うから、スイカを食べさせてもらいました」坊ちゃんは、坊ちゃんをスイカの皮で覆ってくれた。坊ちゃんのスイカの皮、坊ちゃんのスイカの皮は、坊ちゃんも坊ちゃん達も大好きなのだった。坊ちゃんのスイカの皮を食べやすくしたら、やっぱり坊ちゃん美味しいのでは?
坊ちゃんのスイカの皮、坊ちゃんのスイカの皮、坊ちゃんと一緒に味わったらどうかな? 何だか、坊ちゃんも俺もこの作業に慣らされちゃってる。慣れた手付きになってきてないかい? 坊ちゃん、坊ちゃんは俺のスイカの皮が好きだよね。
「……好き。」
「坊ちゃん、坊ちゃんが食べてみたいって言ったスイカの皮ですよ。ほら、食べて下さい」
「……いただきます」
「あ、待って! 坊ちゃん、坊ちゃん! 坊ちゃん! 待って! 待って! 坊ちゃん! 待って! 待って! 待って! 待って! 待って!」
坊ちゃんが逝ってしまった。
俺はハッと夢から覚めた。坊ちゃんがスイカに当たって死んで一年になる。申し訳ない事をした。
「坊ちゃん、ごめんなさい……」
スイカは美味しい。
俺はスイカが好きだけど、嫌いでもある。
この前、スイカを食べていると、突然、スイカが憎らしくなったのだ。
「お前なんか要らない。お前のせいで、俺は、お前のおかげで、俺は、俺は……うっ……お前さえ居なければ……お前さえいなければ……お前なんて……お前なんか……お前なんか……お前なん……」 
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