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DQ3 そして現実へ…  (リュカ伝その2)

作者:あちゃ
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高等なる罠

<幽霊船>

アルル達は今、ロマリア沖を彷徨う幽霊船に乗り込んだ…
ロマリア港を出港したのが3日前。
船乗りの骨に導かれるアルル達の目の前に、不気味な姿を現した。


幽霊船内には、幽霊以外にもモンスターが蔓延っている為、接舷した味方の船にモンスターが入り込まないようにするため、パーティーを2つに分ける事に…
幽霊船探索メンバーは、アルル・ティミー・ウルフ・マリー・ビアンカ・リュカの6人となり、カンダタとハツキはモニカ達と船を守る事となる。

当初リュカは、
「めんどくせー!僕はお船を守る係に徹するよ!」
と、残留を望んだのだが、
「アナタの娘さんの我が儘に付き合うのですよ!しかもアナタまで推奨したではないですか!!責任を取って下さい!」
と、パーティーリーダーに叱られ、渋々幽霊船へと赴く事に…

「そう言えばビアンカは、もうお化けは怖くないの?」
「………何時の話をしてるのよ!」
「ついこの間…猫さんパンツを見ちゃった時」
「もう!………まだ怖いから手を繋いでてね♡」
場の雰囲気を無視しイチャイチャする夫婦に、イライラする実の息子と娘…そして義理の娘と息子。
無理矢理来させたのだから、我慢するしかないだろう…


襲い来るモンスターを駆逐しながら、船内を探索すると各所に現れる幽霊達。
下甲板で巨大なオールを漕ぐ水夫の霊達は、皆が重罪人として奴隷へと身分を貶められた者達ばかり。
大半が自身の過ちを後悔し、奴隷という境遇を嘆く者ばかりなのだが、その中に自分の事よりも愛する女の事を気にし続ける男が居る。

彼の名は『エリック』…愛する『オリビア』と引き裂かれた哀れな男…
「多分、僕はもう君には会えない…誰かオリビアに伝えて欲しい…愛していると…この船底に隠した思い出のペンダントと共に…誰か伝えてくれ…僕とオリビアの愛の思い出を…」

エリックの霊は譫言の様に、同じ台詞を延々繰り返しオールを漕ぐのみ…
彼がこの世に残した思念は、とても強い物らしく、それ以外の事は何も話さないのだ。
「お父さん…私達の探す物は、エリックさんとオリビアさんの『愛の思い出』よ!きっと何処かに、奴隷達の寝床があるはず…其処に行きましょう!」
マリーは自信満々に歩み出す!
そしてウルフも、ナイトの様に彼女へ付き従う…

最も若い二人の成長は如実で、ウルフの剣技はそこら辺の戦士以上になり、マリーもウルフに教えられ『メラ』『ヒャド』『ギラ』『バギ』も唱えられる様になっていた!
「何でマリーは攻撃魔法しか使えないんだ!?」
「…一応試したそうですよ。回復系や補助系も…でもダメだったみたいです」
「…確かリュリュは攻撃魔法を憶えられないんだよなぁ…体質か!?」
彼女の父と兄が小声で話してる…
其処にビアンカが一言…
「性格よ!」
誰もが納得した様だ…


船内を探索する事数10分…
一行が目指していた奴隷達の寝床らしき部屋を発見!
さほど広くない部屋を探し回ると、片隅に小さな隙間があり、其処にキレイなペンダントが隠されていた。
「やった!!これよこれ!これが『愛の思い出』よ!これでオリビアのヒスも収まるはずよ!」
見つけたペンダントを手に、喜びはしゃぐマリー…

そんな彼女を見つめ、誰もが思う事がある。
「…なぁマリー…『オリビアのヒス』って何?」
彼女の兄が、皆を代表して質問する。

「…あ!………っと…え~とぉ…や、やだぁ~、お兄様のえっちぃ!!」
「え!?あ…ご、ごめん!そんなつもりじゃ………」
顔を真っ赤にしてモジモジ俯くマリーを見て、思わず謝ってしまったティミー。
そしてそっと父に聞く…
「父さん…さっきの…何がエッチだったのでしょうか…?」
「知らね!僕と世間一般のエッチ度には、大きな隔たりがあるらしい…だから知らね!」
それ以上、確認する事が出来なくなるティミー…


「きゃー!ダレかタスケてー!!」
不意に部屋の外から悲鳴が聞こえてきた!
アルル達は慌てて悲鳴のする方へとかけだした。

其処にはフードを頭に被り女の子らしき存在と、その女の子 (?)に襲いかかる振りをしている腐った死体が2体。
女の子らしきのは顔が見えないが多分モンスター…
そして腐った死体も、『あうあう』言いながら、結局襲いはしない…

「なぁティミー…アレ、何やってるんだと思う?」
「さぁ…僕には分かりませんが…父さんの方が詳しいのでは?モンスターや女の子の事なら得意分野でしょう!」
目の前で起こっている事を眺めながら、訝しげに相談する親子。

「襲われるぅ~!タスケて~!」
尚も奇妙なコントを続けるモンスター達。
女の子らしき者は、チラチラ此方を見ながら助けに入る様仕向けている………つもりの様だ。
「ねぇリュカさん…どうすれば良いんでしょうか?歴戦の冒険者として、良い対処法があるのでは?」

「………放っとかね、こんな奴等!?」
そんなアルル達の会話が聞こえたらしく、女の子らしき者は腐った死体を押し退けてアルル達に近付き叫んだ。
「ちょっと、助けなさいよ!か弱い女の子が、凶悪なモンスターに襲われてるんだからね!」
先程までは距離があった為、顔までは見えなかったのだが、近付いてきた事により、女の子らしき者の正体は『ミニデーモン』である事が発覚した。

「お前もモンスターだろが!見逃してやるから、あっち行って友達と遊んでろ!」
リュカは『しっしっ!』とばかりに、ミニデーモンに対し手を振るが…
「さ、流石は勇者一行だな!俺様の完璧な作戦を見破るとは…」
と、驚愕の表情で立ち尽くしている。

「どうしようティミー…お前突っ込み得意だろ!突っ込んでやれよ!」
「嫌ですよ僕だって!こんなバカに関わりたくない!」
リュカ達がヒソヒソと相談していると、開き直ったミニデーモンが手下の腐った死体2匹に号令をかけた!
「えぇい、バレてしまっては仕方ない!お前達、やっておしまい!!」
この瞬間、リュカの心の中で彼等の渾名が決定された…『ド○ンジョ』『ボヤッ○ー』『ト○ズラー』と…



 
 

 
後書き
お~しおきだべさぁ~! 
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