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星河の覇皇

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第八十一部第四章 一日のうちにその十三

「それも国の中枢にな」
「だから総統にもなっています」
「多くの平民出身の総統がいます」
「そして兵士は平民です」
「その彼等が満足しているのなら」
「我等が不満を感じていてもな」
 それでもというのだ。
「兵士達が満足しているならいい」
「今回は我々だけでなく彼等も満足しています」
「ならいいですね」
「ではですね」
「この度は」
「そうだ、マウリアのもてなしに満足しなくてはな」
 兵士達も満足しているからだというのだ。
「心から。だが」
「だが?」
「だがといいますと」
「私はマウリアの料理にだけは不満がある」
 准将は少し悪戯っぽく笑ってこうも言った。
「どうもな」
「カレー味しかないからですね」
「実際にカレーが多いですし」
「ご飯にルーをかけた」
「あればかりだからですね」
「カレーは嫌いではないが」
 それでもというのだ。
「常にそうだとな」
「どうしてもですね」
「飽きてしまいますね」
「常にカレー味ですと」
「どうしても」
「そうなる」
 実際にとだ、准将は言った。
「カレーライスばかりだとな」
「鶏肉や野菜、豚肉や羊肉とありますが」
「他にはゆで卵を入れていたり」
「それでもカレーはカレーですね」
「その味ばかりで」
「ご飯にかけたり」
「そればかりなので」
「マウリアの料理は飽きる」
 カレーばかりでというのだ。
「私個人はな」
「そこが、ですね」
「閣下のご不満ですね」
「あえて言われるなら」
「そうなのですね」
「それだけだ、だがその食事もだ」
 カレーばかりと冗談を言ったそれもというのだ。
「我々はな」
「我々で、ですね」
「いつも食べていますね」
「エウロパ軍のシェフが作った料理を」
「それを」
「だからだ」
 それでというのだ。
「今のはわかっていると思うが」
「ほんのジョークですね」
「あえて申し上げた」
「それに過ぎず」
「それで、ですね」
「そういうことだ。そして今我々と同行しているシェフはな」
 給養員である、正確に言うと。
「腕がいいな」
「左様ですね」
「特に肉料理がいいですね」
「昨日のビーフシチューは絶品でした」
「その前のステーキも」
「実にいい、そう思うとな」
 まさにというのだ。 
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