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人生コンティニューしたらスクールアイドルを守るチートゲーマーになった

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66話 葬られたSpector






「どこに...............!」
「才!!」
「魁.......稜は!?」
「いやまだ見つかってない。姉さんが果南ちゃんやダイヤさんにも頼んで捜索してもらってるんだが—————」
「どうやら山奥っぽいな........もう出て行ってから3時間以上経っている。山奥まで鞠莉たちに捜索させるのは酷だから、俺たちで行こう。」


いつもと違い自信なさげな雰囲気を漂わせる魁。王者の風格はひどく弱まっていた。


「俺がアイツをもっと制止できてればこんなことには..............」
「———————俺さ、稜にはもう少し自分勝手に生きて欲しいんだ。」
「え?」
「アイツはみんなみたいに自分の目的を持ててないんだ。それは1番アイツがわかってる。だから自分のために戦って欲しいんだ。他人のために戦う力ほど脆いものはないからな。」


今思えばその原因は俺にあるのかもしれない。幼い時に........俺がそのことにいち早く気付いていたなら。アイツがここまで自分を拗らせることはなかったのかもしれない。個性を持てないことを焦ったアイツは誰にも相談できず1人で抱え込んだ———————


そして今回も肝心のところで大事なことは............


「幼い時...........そうか。もしかしたら!!」
「どうした?」
「稜とは小さい時に秘密基地の廃屋を拠点に遊んでたんだ!!もしかしたらそこに.........!!」
「なるほど——————行ってみよう!!」
「ああ!!」









〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜








「オイ魁!あれ!」
「あれって.........まさか!」


俺たちの秘密基地近くにやってきた俺たち2人はその奥にある、少しばかり広い草原へと進んだ。

すると目に入ったのはポイ捨てされたように無造作に置かれていた———————スペクター眼魂とディープスラッシャーだった。


「何でこれが...........」
『来ると思っていたぞ—————』
「なっ.........!」


奥側の方から現れたのは、昨日見たばかりだというのにその邪々しい姿———————アークゼロだった。


「アーク!!ここで一体何があった!?!?稜はどうした『魁!!』
「スペクター眼魂とディープスラッシャーが置かれていた..........もうその意味はわかってるんだろ?」
「ぐっ................」
『深天稜は滅びた———————無力な人類が無意味にもワタシに抵抗してた結論は既に決まっている。』
「貴様.........!稜がお前になんか————才?」


俺は魁の怒声を制止するように合図を挙げた。俺が普段からなかなかそんなことをしないのですぐに話すのをやめてくれた。


「確かに稜はお前に敗北した........戦いの上ではな。でも—————アイツの意志は消えたりなんかしない。俺たちが生きている限り...........アイツの意志は死なない!!」
『一体何を言っている........?人間の防衛機制が発動したか......?』
「今————ここでお前を倒す。俺の友を.......戦友の仇を取らせてもらう!!」



≪ ハイパームテキ!≫



「ハイパー大変身!!」



≪パッカーン! ムー!テー!キー!≫


≪ハイパームテキエグゼーイド!!≫



「魁!その眼魂と剣を離すなよ!!」
「ああ.............!」
『————————』


≪アタッシュカリバー!≫


≪ガシャコンキースラッシャー!≫



ベルトから武器を生成............あれは厄介な能力だ。これで奴から武器が手から離れることはまずない。手数には困らないわけだ。今のところムテキゲーマーは武器とかがなければ物理攻撃しかできない。だから1番の対処法は手数のゴリ押しか物理攻撃無効だ。だからアークゼロとは相性が悪い。

とはいえ、奴に物理攻撃が通じないわけではない!


「はぁっ!!」
『ぐっ..........!やっ!!』
「!」


アークゼロの肩から斜めにキースラッシャーを入刀。続けて脇腹からも一閃する。今まで受けてきた攻撃とは訳が違うのか、危険物を処理するかの如くアークゼロは上からアタッシュカリバーを振り下ろすが俺の体は光の粒子のように消え、すぐ横に移動する。


瞬時で近づいてアックスモードでその胸部装甲を傷つける。だが想定したほどにはダメージを負っていないようだった。


「結構タフだな........しかも動きも早い。スピードとディフェンスを兼ね備えた奴なんてそうそういないぞ。」
『人類はワタシが滅ぼす。そのための強化だ。』
「ああ..........殺せるかもしれないな。数人の《《肉体》》くらいは。」
『?』
「いいか?たとえお前がどんなに人を滅ぼそうとも、その意志を継ぐ者は必ず現れる。たとえ俺が何もしなかったとしてもそれはやがてお前を完全に抹消するほどになる。そして今—————稜の想いを受け継ぐのは俺たちだ!!」
『!!』



視認できない超光速移動でアークゼロの懐に迫り、キースラッシャーの一撃を喰らわせる。武器生成の兆候が見られたので、ガンモードで乱射して徹底的に講じるであろう一手を封じていく。

さらに爆炎に潜り込みつつもアークゼロに接近し、左ストレートパンチを腹部装甲に直撃させ、大きくブッ飛ばす。今度のは結構強めに放った一撃故、アークゼロのボディからは火花が出ていた。


奴には事象に対するその場での最適な結論を導き出すという能力がある。これは非常に厄介ではあるが、実現できなければ意味がない。


だが..............



『前提を書き換え、結論を予測............』
「させるか.........!?」


すぐに行動しようと動き出したところに、ちょうど俺の脾腹付近に紫色の矢が命中する。もちろんダメージはないがそちらに気が取られてしまい、結論を予測されてしまう。その出どころは森の茂みに隠れていた滅だった。


『滅、結論は予測された。ここに用は無い。』
「はっ.........!」
「オイちょっと待てっ———————!」


だがアークゼロたちは夏の早朝に発生しそうな霧を隠れ蓑にして、何処かへと消えてしまった。戦いが終わったのを見計らった魁は俺が変身状態であるというのを構わずに近づいてくる。


「才!取り逃したか............」
「いや—————逆を言えばスペクターとの交戦でかなり手負いだったってことだ。やっぱりアイツは凄いよ。仮面ライダーとしても..........人間としても。」
「クソッ!もっと俺に力があったら—————この世界にいる全員を絶対に守れる力が俺には..............」



いやズレている—————たとえどんなに強くなろうとこの運命は変えられないだろう。人間の信念ってのはそうそう変わるもんじゃ無い。稜は迷いこそしていたが常に芯は持っていた。たとえ世界中を束ねる支配者が現れたとしても—————ねじ曲げられないんだ。



「魁、稜は仮面ライダーだ。自分の運命くらい自分で決められる。この結果は誰のせいでも無いさ。」
「でも.........!」
「全てアイツが決めたことだ。俺たちに止める権利なんてねぇよ。」
「あぁ........それもそうか。」


魁の掌に置かれていたスペクター眼魂を手に取り、見つめる。

俺は自他に影響を及ぼさない限り、他人の事情に深入りするのは避けてきた。だが稜の父さん—————深天大地は内浦への影響は確実にある。

俺たちがそれを継がなくてはらない以上、稜の意志は死なない。しかし会うことのできない悲しさ———————筆舌し難い呆気なさ。川の流れのように当たり前みたいに俺たちを通り過ぎていく事実。これはどれほど恐ろしいだろうか........

1番古い男友達が罷った事実.........悲しまない奴がどこにいるのか



「——————でも俺はやっぱりもう少し居て欲しかった。せっかく数年ぶりに会えたんだ.......もう少し遊びたかったのに。」
「才.............」






俺たちの夏休みは最悪な形で始まってしまった。






——————————※——————————







「そんな........稜さん———————」
「冗談ナシで受け取っていいわね.......?」
「ああ。」


稜の捜索に協力してくれた3年生組に事のあらましを伝えた。稜が倒されたこと。アークが地上進出したこと。そして———————仲間割れしかかっていたことも。


「そんなの..........受け入れられる訳ないじゃん」
「果南ちゃん—————」


果南は海の見えるベランダに向いて、俺たちに背を向ける。途中嗚咽のようなノイズが言葉にかかっていた。

稜と1番付き合いが長かったのは果南だ。同年代である男友達。千歌・曜・俺の関係でも、俺・魁の関係でも、果南・鞠莉・ダイヤの関係のいずれでも稜はフィクサーだった。

果南とダイヤに鞠莉が加わった。これは皆知っていると思うが、実はダイヤと果南をくっつけたのは他でもない稜だ。これは深天大地と黒澤父が友人だったことに起因すると最近分かったが。


口に出すことはなかったが、彼こそAqours誕生の土台を作った張本人なのだ。


そんな彼が本当にいなくなったことに揺るがぬ者はいない。しかしそれでも解決しなくてはならないことがある。



「稜が失踪したこと...........アイツらに話したか?」
「いいえ。話しておりませんわ—————」
「才.........まさか.......!」
「このことは——————下級生Aqoursには話さないでおこうと思う。」
「才————いい加減にしろ!!」


今までしんみりとしていた雰囲気が突如、魁の怒声によってピリリとしたスパイシーな空気へと変換される。


「秘密が.......俺たちをこの最悪な結果を導いてきたんだろう!?稜自身も含め俺たちに取り巻く全ての秘密が稜を死に追いやった『魁!!』
「お前—————いつから俺が稜が死んだと言ったんだ?」
「どういうこと才!?」


背を向けていた果南はすぐに振り返り、その赤くなった目頭を顧みずに俺に聞きに来る。


「考えてもみろ、倒されたかもしれないが稜の遺体は見つかってないんだ。それも肉片すらな。生きているとは言い難いが.........死んでいると断定するのもおかしい話だ。」
「え......?どういうこと?もうちょっと単刀直入に言ってよ。」
「これ以上簡単にできるか。」
「じゃあ..........」


魁は稜が遺して形見のスペクター眼魂を取り出す。


「その眼魂に稜が封印されているかどうかは調べてみないとわからないが............死んでいるわけではなく、失踪した—————こういうことだ。」
「「「—————————」」」
「下級生に知らせるかはお前らに任せる。俺はお前ら3人の過去の経験を生かして判断してほしい。」
「「「......................」」」


暫くの静寂な空間が俺を中心に展開される。少し罪悪感を覚えた俺は周りを窺う。すると鞠莉が俺を睨むように見返してきた。


「そんな言い草じゃ.........選択肢が1つしか選べないじゃない。」
「..................」
「わかりましたわ。賭け事は嫌いですが—————稜さんが何処かで生きていることを信じましょう。」
「そうだね。それしか.........私たちにはできないよ。」
「—————ありがとう。」



この時俺は気づかなかった—————いや、気付いていても傍観するしかできなかったろう。稜がいなくなってしまったことで、これが3年生組にとって大きな喪失であったこと。

そしてその事が選択肢を《《たった1つ》》に狭めてしまった——————





——————————※———————————






「やっぱりダメだ。このスペクター眼魂には何も入っていない。」
「そうか.............どこへ行ったんだよ稜————」



部活と共に行われた今日の訓練が終わった日の夜、魁と虎太郎の付き添いの元、早速スペクター眼魂の解析を行なったが特に変わったところはなかった。したがってスペクター眼魂に稜の身体が避難しているという線は消えた。



「稜の持っていた眼魂はどうなったんだ?」
「魁、どうだった?」
「いや、そこら中探したがその眼魂とディープスラッシャーしか........」
「そうか........となると、アークゼロが回収したと見るべきだな。ひょっとするとディープスペクター眼魂に稜のデータが内蔵されているかもしれない。」
「確か、眼魂を15個集めるとどんな願いでも叶うって言ってたよな。」
「ああ。グレートアイが叶えてくれるんだが————」
「でも東京の街を元通りにするのはできなかった。」
「そうなんだよな〜」



確かあの時グレートアイは『同等の力を持つ者が邪魔をしているので不可能』と言っていた。これはアークのことを指しているのだろう。グレートアイの力はアークには及ばない..........ということはアークを消すなどという願いも無理だということになる。



「しかしこのタイミングで眼魂回収って、一体何するつもりなんだ———?」
「さぁ..........?そもそもグレートアイの出自も全くわからないし————」
「ルーが作ったんだよ。」
「そうそうルーが作っ..........え!?」
「虎太郎、何で知って........?」
「言ってなかったか?俺はアークルを通じてルーの意思と会話できるんだ。」
「言ってねぇよ!!」
「まぁまぁ、魁。今騒いでも仕方ない。じゃあそこの所説明してくれるか虎太郎?」


俺の要請を聞き入れた虎太郎は言われたであろう言葉を代弁し始める。


語られたのはアークとルーの均衡。人間の文明を進歩させてきたことに関する役割。アークルや闇のキバの鎧の出自。その他俺たちが知りたいことのほとんどを教えてくれた。



「なるほど........ルーはオーマジオウが作った説か————アークが支配した末を見てきたからあえて干渉したのか.........」
「そして人間たちがアークに対抗するためにルーはつい最近、グレートアイを作った......か。」
「聞いた時に俺はオーマジオウの筋が結構驚きだったけど。」
「まぁ.........あの人は————見守る《《だけ》》の人だから。」
「でも結局はグレートアイはアークを倒せないってことだろ?」
「制限はあれど逆にいえば、ある程度は対抗できるってことだ。」



ルーってのも聞いたところアークの悲劇を止めるために作られたのだろう。オーマジオウの時間改変は成功こそしたが、それでも世界の均衡は崩れたままだ。それでもここまで最悪の事態が免れる事ができているのはルーのお陰だ。


後は俺たちの手で止めるしかないんだ.............


とりあえず今打てる手はアークが現れたらすぐさま報復。これしかできない。しかし当分はアークゼロは表立って活動はしない。滅や迅に実行部隊として働いてもらうだろう。


やはりあそこでどんな手を使ってでも壊しておくべきだったかもしれない............



 
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