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線路沿いで保護されて

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第一章

               線路沿いで保護されて
ペンシルバニア州フィラデルフィアでボランティアで動物の保護活動をしているニナ=ラブはこの時通報を受けて街の線路の方に行った、そして。
 そこにいる一匹の黒毛で腹が白い雌のピットブルを見てブロンドの縮れた長い髪を後ろで束ねた黒い目の顔を曇らせて言った、見ればふくよかなスタイルだ。
「あの娘ね」
「そうだね」
「あの娘だね」
「間違いないわね」
 その通りと言うのだった、ニナも。
「通報の通りよ、けれど」
「僕達を怖がってるね」
「簡単に近寄りそうもないね」
「こちらが近寄ったら逃げるわ」
「そうした感じだね」
「ええ、しかも保護に手間取ると」
 ニナは線路を見て言った。
「列車が来るから」
「それに撥ねられてもしたら」
「そうなったら元も子もないし」
「それじゃあね」
「今すぐにでも」
「それなら」
 ここでだ、ニナは決断した。そうして言った。
「施設からビリーナに来てもらいましょう」
「ああ、あの娘に」
「あの娘はどんな犬にも好かれるし」
「初対面の犬にも懐かれるね」
「それじゃあね」
「ええ、すぐに来てもらいましょう」 
 こう言ってだった。
 すぐに団体で飼育している白い大きな雌に来てもらった、その犬ビリーナは線路沿いで一匹でいる犬の傍に来ると。
 ピットブルは静かにビリーナに近付き一緒に遊びはじめた、ニナはそれを見てすぐにピットブルを保護した、すると。
「首輪があるだね」
「そうだね」
「誰かが捨てたんだね」
「酷いことをするものよ」
「それもこんなところに捨てるなんて」
 線路を見つつだ、ニナは眉を曇らせた。
「自分がされたらどう思うか」
「全くだよ」
「けれどこれで安心だ」
「すぐに獣医さんに診てもらいましょう」
「そして新しい家族に迎えてもらいましょう」
「そうしてもらうから。安心してね」
「クゥ~~~ン・・・・・・」
 ピットブルはニナに優しい声をかけられても不安そうに鳴いた、そして。
 獣医に診てもらって異常なしとわかってだった、すぐに里親が募集され心ある家族に迎えられたが。
 ジーナと名付けられた彼女は施設を後にする時ニナとスタッフ達そしてビリーナに別れを告げる様に鳴いた。
「ワン」
「ワンワン」
 ビリーナが応えた、そしてだった。
 新しい家に入り幸せになった、ニナは線路沿いにいても無事でよかったと思いながら彼女の幸せを喜んだ。
 この話をネットで知っていたロザンゼルスでニナと同じ様に動物の保護活動をしているスゼット=ホール短い赤髪にグリーンの目の彼女は今スタッフ達にこの話をした、丁度彼女達も線路沿いにいてだった。
 一匹の黒い大きめの折れた耳の犬を見ていた、そのうえで言った。
「今の私達とあの犬は同じよ」
「そうだね、けれど犬はいない」
「あの子を引き付けてくれる様な犬は」
「じゃあどうするか」
「それが問題だね」
「ケージがあるから」
 スゼットはそれを見て話した。 
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