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ドリトル先生のダイヤモンド婚式 

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第四幕その八

「あったわね」
「その方がずっと多いね」
「これまでの間ね」
「子供も孫も曾孫も生まれて」
「電化製品や車がお家に入って来て」
「いい人に出会えて」
「自分達のお家も建てられて」
 その楽しいこと嬉しいことのお話もするお二人でした。
「旅行に行ったり」
「美味しいものを食べて」
「昔はなかったものを食べたりして」
「どれだけ楽しかったか」
「ファミコンなんてものでも遊べたし」
「今はパソコンもスマートフォンもあって」
「ええ、あの頃からね」
 お静さんは昭和三十年代のお話もしました。
「随分発展したしね」
「まるで別世界だよ」 
 ご主人が応えました。
「今から見るとね」
「そうよね」
「あの頃は世の中がこうなるなんて」
「夢にも思わなかったわね」
「そうだったよ」
 まさにというのです。
「本当に」
「そうだったわね」
「うん、その間色々素晴らしいものにも出会えて」
「よかったわね」
「そうだったよ、だからね」
 それでというのです。
「困ったことも多かったけれど」
「それ以上になのね」
「素晴らしいことに出会えているよ」
「幸せに思っているかしら」
「最高にね」
 まさにというのです。
「この六十年の間は」
「不満はあるかしら」
「特にないよ」
「私もそうよ」
 奥さんも言ってきました。
「六十年次から次に授かりものがあって」
「それでなのね」
「ええ、もうね」
 それこそというのです。
「不満はね」
「ないのね」
「そうよ」 
 こうお静さんに言うのでした。
「私達はね」
「幸せに思っていて不満もない」
「そうよ」
「それは何よりね」 
 笑顔で、です。お静さんはここまで聞いて言いました。
「本当に。そのお二人のダイアモンド婚式の時は」
「もうすぐだよ」
「その日はね」
「その時に私からも贈りものをするわね」
「別にいいよ」
「気持ちだけで充分よ」
 お二人はお静さんに謙虚な声で答えました。
「お祝いしてくれるだけで」
「それだけでね」
「そうはいかないわ、お二人とは結婚する前からじゃない」 
 その頃からというのです。
「お付き合いだから」
「それでなんだ」
「贈りものをしてくれるの」
「そうよ、だからね」
 それでというのです。
「楽しみにしておいてね」
「それじゃあ」
「無碍に断るのも失礼だし」
「そうさせてもらうわね」
「僕からもです」
 先生も言ってきました。 
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