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星河の覇皇

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第八十一部第三章 無関心でいられる訳その三十七

「素晴らしい歌とエンターティメントを残して欲しかったです」
「四十代になってからも独自の才能を発揮して」
「そうです、彼ならば出来ました」
 秘書が思うにはだ。
「芸術は特にそう思います」
「天才は夭折すべきでない」
「長生きすべきです。これは悪人以外はです」
「誰でもですね」
「長く生きて」
 そしてというのだ。
「その分です」
「世の中に貢献すべきですね」
「必ず」
 これが秘書の考えだった。
「そうでなければ意味がないです」
「モーツァルトもですね」
「そうです、他の芸術家も」
 夭折した彼等はというのだ。
「よりです」
「長生きして」
「そしてです」
 そのうえでというのだ。
「より多く素晴らしいものを残るべきでした」
「芸術の作品を」
「モーツァルトの作品は多いです」
 幼少の頃から絶え間なく作曲したからだ、だから作曲の質量だけを見ればとても三十五歳の若さで夭折したとは思えない。
「ですが長く生きていれば」
「三十五歳からも」
「よりです」
「多くの作品を残したと」
「思いますから」
 それ故にというのだ。
「人はです」
「長く生きることですか」
「才能を発揮している人もですが」
「普通に働いている人もですね」
「そうであれば」
 長生きすればというのだ。
「いいので」
「芸術家も然りですか」
「はい、多作な天才にしても」
「長く生きていると」
「より多くの作品を残せてそして」
 さらに言うのだった、金に対して。
「政治家も然りでしょう」
「長く生きればですか」
「よいかと。ただ注意すべきは」
 秘書は金にここでこうも言った。
「人はどうしても自分の役目があり」
「人それぞれで、ですね」
「神々が定められた」
 運命論だった、人にはそれぞれ神が定めた役目がありそれから逃れられないというのだ。この考えはキリスト教ではカルヴァン派に強い。
「それが終われば」
「後はですね」
「隠棲すべき場合もです」
「あるというのですね」
「老害になれば」
 この時代でもこの言葉は存在している。
「これ程残念なことはないですから」
「人にとってですね」
「多いですね、そうしたお話も」
「そうですね、歴史上でも今でも」
 金も知っていることだ、老害というものは残念ながら人類社会でどうしても存在しているものなのだ。
「自分ではまだまだと思い」
「働いていますが」
「それがかえってですね」
「世の中にとって迷惑になっている」
「そうした人もいますね」
「中にはマナーが悪く」
 その為にというのだ。 
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