星河の覇皇
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第八十一部第三章 無関心でいられる訳その三十一
「自由があろうとも」
「それ以上にですね」
「暴力が支配しますね」
「それではですね」
「市民生活なぞないですね」
「ある筈がありません」
到底というのだ。
「それでは」
「左様ですね」
「そうした社会では最早」
「法律も正義もなく」
「倫理もないですね」
「暴力を持ち振るう者がやりたい放題なだけですね」
「そうなります、暴力は肯定してはならない力です」
金は否定を以て述べた。
「武力と似ている様ですが」
「それでもですね」
「そこには法律も倫理もない」
「正しきものはないですね」
「ただ強い力を持つ者が己の感情や欲望のままに振るう」
「そうした力ですね」
「そうです、政府が持つ力は暴力ではなく」
これはあくまで政府が暴政や悪政を行う状態にない場合だ、間違ってもナチスやソ連の使っていた力ではない、独裁者が恣意的に使う力は武力ではないのだ。
「武力です」
「そうなりますね」
「警察が持つ力も同じですね」
「武力ですね」
「この力ですね」
「抑止力のある力ですね」
「そうです、法律や倫理そして理性が備わった」
金はスタッフ達に話した。
「そうした力であり」
「むしろ暴力を倒すものですね」
「そして止めるものでもある」
「それが武力ですね」
「警察が持つ力ですね」
「私はそう考えています、よく家庭内暴力を行う輩がいますが」
DVである、男がよく起こす。自分の妻や子供に暴力を振るい虐待を行うこの世に生きる価値のない輩はこの時代にも存在している。
「こうした力ではないです」
「よくある話ですね」
「何処でも」
「自分の家族に暴力を振るうなぞ」
「それもまだ小さな子供になら余計にです」
「あってはならないことですね」
「醜悪な話です」
金は全否定を込めて言った。
「それは」
「全くですね」
「暴力自体が醜悪ですが」
「その中でもですね」
「最も醜悪な暴力ですね」
「自分の小さな子供への暴力は」
「連合は児童虐待には厳罰で挑んでいます」
それで子供を死なせたなら死刑が普通だ、それも車裂きや車輪刑といった残酷な刑罰で処刑される。
「そしてそれはです」
「正しいですね」
「そうあるべきですね」
「自分の子供を殺したのですから」
「しかも何の力も持たない子供を」
「生きている価値がありません」
まさにという口調だった。
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