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フェアリーテイルに最強のハンターがきたようです

作者:ブラバ
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第2章 天狼島編
  第7話 決着

場所は簡易キャンプ。
アレンが去ってしばらくたった後、禍々しい魔力のオーラはこの簡易キャンプ場にも届いていた
「な、なんだ、この魔力は…」
「まさか…ハデスの仕業か…」
フリードとビックスローがいち早く気付き、悪魔の心臓の船を見つめる。
「ね、ねえ、これ、大丈夫だよね…?」
リサーナが両手を胸の前で絡め、心配そうに呟く。
「…絶対、大丈夫だ…アレンがいるんだ、絶対…」
カナが、唱えるように呟く。
そうしていると、今度はまた別の膨大な魔力を感じ取る。
オレンジ色の様相を見せるその魔力は、先ほどの禍々しい魔力を打ち払うようにして天狼島を駆け巡る。
「こ、これって…」
レヴィが目を見開きながら言った。
「ま、間違いねえ…アレンの…魔力だ…」
ビックスローが答える。
まるで、包み込むような、暖かな魔力を感じることができた。
「これだけ離れてるのに…なんて魔力だ…」
カナが惚れ惚れとした様子で呟いた。
すると、その魔力を感じ取ってか、マカロフが目を覚ます。
「こ、これは…」
朦朧としながら、周囲を飛び交う魔力に意識を向ける。そして、理解する。
マカロフは目をカッと開いて、起き上がる。
「こ、この魔力、まさか…アレンなのか!」
「マ、マスター!!」
マカロフが飛び起きたことでレヴィが駆け寄る。
マカロフはレヴィが駆け寄ってきたことを気にも留めず、魔力をもう一度確認する。
確信する。これはアレンの魔力であると。と同時に、首にぶら下げたペンダントが光を取り戻していることに気付く。
「お、おお、これは、まさか…本当に…」
マカロフは、小さく涙を浮かべる。
「ん…んぅ…」
続けて、ミラが小さく目を開く。その様子を見て、マカロフが声を掛ける。
「ミラ!無事か!」
「マ、マスター…?」
ミラはマスターの顔を確認すると、マスターのペンダントに目を向ける。
アレンが死んだと伝えられた際に、エルザが持っていた花の入った瓶…。それと同じ花が散りばめられたペンダントをアレンからマスターがもらっていたという話は聞いていた。だからこそ、その花が示す意味が、光を取り戻している意味が、ミラにも理解ができた。
「…⁉マ、マスター…ペンダントが…花が…光って…」
「ああ、そうじゃ、それに、この魔力、感じとってみぃ!」
ミラは言われた通り、確かめる。目を見開く。
「こ、この…魔力…うそ…はぁ…うぐっ…アレン…の…?」
「ああ、そうだ…」
カナがミラの問いに答えるように、呟く。
ミラが涙を浮かべ、感極まっているのを見て、カナは再度、目尻に涙を浮かべる。
「アレンは…生きていた!そして、ついさっき、このキャンプを襲ってきた敵を蹴散らしたあと、ハデスを倒しに、ナツたちの元に向かった…生きて…いたんだ」
そうして話していると、エバ、ガジル、ソラノ、ユキノも目を覚ます。
それを見ていたマカロフは、意を決して、口を開く。
「ならば…皆支度すませ、船へ向かうぞ…。アレンの…仲間の元に…」
それを聞き、簡易キャンプにいるメンバーは、皆、悪魔の心臓の船へと向かった。

「…まさか、自ら飛び出してくるとは…」
ハデスも、フェアリーテイルのメンバーと同じ感情を抱いていた。
「だが、それならば好都合…我の力で、うぬを地獄へと引きずり込んでくれよう…」
しかし、その考えが、うぬぼれであったことをハデスはすぐに気づくことになる。
一番最初にアレンにとびかかった悪魔、それが、一瞬にして三等分にされたのだ。
「な、なんだと⁉」
斬られた悪魔は、呻き声をあげながら、瓦礫へと逆戻りし、バカッと三等分になる。
(馬鹿な、このネメシスによって生み出された悪魔は、それぞれの魔力尽きぬ限り何度でも蘇るはず…なのに、なぜ…)
「随分驚いた様子だが、答えを言おうか?…その魔力をすべてそぎ落としたんだよ、斬撃と共にな」
「何を馬鹿なことを⁉そんなはずが…」
「信じられねーか?だが、俺の言葉は信じられなくても、てめえの眼なら、信じられるだろう」
そういって、アレンは次々と悪魔を切り伏せてゆく。切られた悪魔は、二度と蘇ることはなく、瓦礫へと、もとに戻っていく。
そんな中、悪魔の一体が、フェアリーテイルのメンバーの元へと向かっていく。そして、その凶悪な魔力でもって、スサノオを攻撃する。が…、バキンッという音とともに砕け散ったのは、悪魔の剣のような腕の方だった。ぐおおおおおっと悲痛の雄叫びをあげている悪魔を、アレンは後ろから切り刻む。
そこで、ハデスは確信する。アレンが魔力を、スサノオを展開したのは、この悪魔の軍勢に立ち向かうためではなかったということを、ただ、仲間の身の安全を守るためだったということを。それだけのために、我がネメシスと同等の魔力をもってして顕在させたということを。そして、こともあろうか、自分へと向かってくるアレンは、二対の剣を両手に抱え、魔力を纏うことなく斬りかかってくる。ハデスにとってそれは、これ以上にない侮辱に他ならなかった。
すでに、黒き悪魔は、残り3体までに減らされ、アレンの剣が自身に及んでくるのは時間の問題であった。
「…けるなよ…」
ハデスは小さく、だが、どす黒い声で呟いた。
「ふざけるなよ!!!!この小童がー-!!!!!!」
ハデスは両手を広げ、術式を展開する。それは、ラクサスに放ったものよりも数段強力な、天照式魔方陣であった。それは、ハデスが悪魔の眼を開眼して初めて扱える、限られた範囲における攻撃力では最強の魔法であった。それをアレンに向けて放つ。
それを見たラクサスが、大声でアレンに知らせる。
「アレン!!天照式の魔方陣だ!しかも、ありえないほどの魔力を帯びてやがる!喰らったら死ぬぞ!!」
ラクサスの悲痛にも似た叫びに、他のフェアリーテイルのメンバーも目を見開き、心配そうにアレンを見つめる。
アレンもその魔法の危険性をすぐに察知し、受け流すことも難しいことを理解する。
放たれた魔法は、中々の速度であったが、アレンが避ける分には問題のない速度であった。しかし、避けたことが大きな間違いであることを、アレンはすぐに気づく。
ハデスが、ニヤッ笑う。
「避けて、よかったのかね、アレンよ」
ハデスに言われるのと同時に、アレン自身も自分で気づく。この魔法の進路には、フェアリーテイルのメンバーがいた。アレンはすぐに魔法を追いかける。あの魔法は、自分が先ほど顕在化したスサノオを打ち砕き、中にいるメンバーへと攻撃が届くほどの威力を持っていると理解したからだ。
(く、くそ!間に合え!!)
「全員、伏せろー――!!」
ラクサスは、魔法がこちらに向かってきていることに気付き、仲間に向かって叫ぶ。
その言葉通りに、皆はその場で頭を抱えて伏せる。
…しばらく経った後、ラクサスやエルザは、そっと目を開け、状況を確認する。アレンの魔力に包まれていることは変わらなかった。一瞬、ほっとする。アレンの魔力が、スサノオの防御力が勝ったのだと。だが、それはすぐに覆されることとなる。
――ピチャッ…ポタッ…
奇妙な、不穏な音が聞こえる。血がしたたり落ちるような音が……。
視線を前へと向ける。目を見開く。
そこには、自分たちを守るようにして、アレンが両手を広げ、こちらを向いている姿が映った。
「ア、 アレン…」
エルザが、今にも消えそうな声で呟く。
――ピチャッ
また同じような不穏な音が聞こえる。
アレンの足下を見る。誰かがひっ…と声をあげる。そう、アレンの足元に、血だまりができていた。アレンはハデスの魔法を背中で受け止め、それによって、背中から血が滴らせているのだ。だが、エルザ達からアレンの背中を見ることはできない。
「ぐはっ…」
アレンが大粒の血を吐き出す。
「「「「「「「「「アレーン!!!!」」」」」」」」」
ラクサス以外のメンバーが悲痛の叫び声をあげる。
「ば、ばかやろうがっ!!!」
ラクサスはアレンへと怒鳴り声をあげる。だが、それはアレンを心配してのことであった。
油断した。完全に油断した。ハデスを、見くびっていた。アレンはそんな風に考えながらハデスへと向き直る。
すると、エルザ達側から、アレンの背中が見えるようになった。絶句する。
背中側の服は完全に消滅し、アレンの背中一面が、真っ赤に染まっていた。それは、アレンの背中の傷が、深いことを意味していた。
「「「あ…っ、ああ…」」」
エルザ、カグラ、ウルティアは声にならない悲鳴を漏らしながら、涙を浮かべる。
「「「「な、なんで…」」」」
ナツ、グレイ、ジェラール、リオンは過呼吸になっているかのように言葉を発した。
「「……っ!!」」
ルーシィとウェンディは、言葉すら出ず、ただ、涙が頬を伝う。
「驚いたな、まさか、あの魔法の速度に追いつき、あまつさえそれを真っ向から受け、チリと化さぬとは…」
ハデスは値踏みするような言い方で、アレンに告げる。
「はぁ、はぁ…」
アレンは生き絶え絶えにハデスを見つめる。アレンの魔力が急激に弱まるのを、誰もが感じ取る。アレンの魔力によって包まれていた範囲は狭まり、スサノオの骸骨部分にはいくつものひび割れが起き、スサノオそのものも、小さく縮小していた。
そんな様子を見ていたハデスは、もう一度、先ほどと同じ魔法を放とうと準備をする。
それを察したアレンは、その場で両手を広げる。まるで、後ろのフェアリーテイルを守るように…。
「な、なにしてんだ!アレン!!今のをもう一度喰らったら、いくらお前でも…おい、聞いてんのか!アレーン!!!」
ナツが、掴みかかるような物言いでアレンに向かって叫ぶ。
他の者もみな、アレンに大声で声を掛ける。
ハデスが、アレンに向けて、腕を伸ばす。
「これで、終わりだー!!!!…ッ!」
そう言いかけたところで、ハデスの動きが止まる。と同時に、ハデスの右目の赤が元の白い色へと戻る。
(なんだ、これは…なぜ魔法が発動せん…ま、まさか…)
アレンはその一瞬を逃さなかった。ハデスの魔力が不安定になるのを察知した瞬間、力を振り絞り、弓矢を取り出す。その弓から放たれた3本の矢は、その全てがハデスの胴体を貫き、射貫く。
「ぐわあああああ!」
矢を喰らったハデスは、2歩、3歩と後ろへ後退する。
追撃するように、アレンは武器をハンマーに変え、背中に大ケガを負っているとは思えないほどのスピードでハデスに詰め寄る。
(ま、まさか、私の心臓が…)
この時、全く同じタイミングで、ハッピー、リリー、シャルルが動力源、もとい、ハデスの心臓を破壊することに成功していたのだ。
「うおおおおおおおおお!!!」
アレンはハデスとの距離を一気に詰め、ハンマーを下から振りかぶる。
「これで…終わりだーーー!」
ゴガッという思い重低音のような音を響かせ、ハデスは、大きく吹き飛ぶ。
と、同時に、フェアリーテイルのメンバーを包んでいた、アレンの魔力が完全に消滅する。
「アレン…」
「や、やった、のか…?」
ナツとエルザが小さく呟く。
大きく吹き飛んだハデスが、船の甲板に墜落する。それと同時に、残っていた3体の悪魔も、悲鳴をあげながら消滅していく。ハデスは、身体を小刻みに震わせながら、その後、動くことはなかった。
「はあ、はあ…」
そして、アレンはゆっくりとエルザ達の方へと振り向き、ふっ…と笑いかけると、その場に倒れこんだ。
 
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