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魔理沙が幻想郷全部入り

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霊夢は森の中を歩いていた。しかし一向に森を抜ける様子は無い。

私の隣にいる魔理沙も言葉を失って呆然としている。
女性は私の前に立つと静かに頭を下げて言った。私はまだ彼女の名前を知らなかったが、何故かすぐに分かった。彼女が自分の運命の相手だということを。
こうして……私たちは家族になったのだ。

***
それからの毎日は幸せだった。魔理沙はいつも一緒にいてくれたし、私といるときは優しくしてくれた。でも私は知っていた。私が好きなのはあくまで霧雨魔理沙であって博麗霊夢では無いことを。だから私は博麗霊夢に会うことにした。でも、どこに行けば彼女に会えるのか分からない。魔理沙に相談しても適当にあしらわれるだけで何も答えてくれなかった。
そんなある日。学校からの帰り道、魔理沙は言った。
明日、一緒に神社へ行くぞ。そして霊夢を探すんだ。お前はきっと博麗霊夢にも気に入られるはずだ。だから頑張ろうぜ。……次の日。
魔理沙に言われた通り神社に来たものの、そこにいたのは見知らぬ女の子だった。その日から、神社へ通い詰めることにした。しかし一向に霊夢が現れる気配はない。魔理沙が言うには博麗神社は忘れられるたびに寂れていっているという。ならば霊夢が忘れ去られるまえにもう一度思い出させればいいのではないかと考えた。そこで魔理沙に頼んで、皆でゲームをして遊んだり、お祭りを開いてみたりした。しかし、なかなかうまくいかない。そんな中、魔理沙が家出をした。魔理沙を追いかけて幻想郷へ向かったけど、霊夢の手がかりは掴めずじまいだった。仕方なく、幻想郷でしばらく過ごすことになった。
幻想郷での暮らしはとても楽しかった。友達もたくさん出来た。しかし、いつまでもこのままではいけないと私は思う。幻想郷で暮らすのもいいけどやっぱり私は霊夢を探しに行きたいと思う。でも魔理沙に反対された。それでも食い下がると、ついに折れて私と一緒に探すと言ってくれた。でも、私のせいで魔理沙が死んでしまうかもしれない。それに魔理沙と二人きりの生活は辛かったから、ちょうど良かったと思う。魔理沙との別れは本当に辛いものだった。でも、またいつか必ず会えると信じている。だから今は我慢しようと思う。

***
美奈が語り終えると、あたりはしんと静まり返ってしまった。
美奈が語った内容は衝撃的ではあったが、どこか嘘臭いように感じられた。だからだろうか、美奈の話を信じようとしない者がほとんどであった。
ただ一人を除いて。
「美奈……お前……」
美奈の話を聞いた魔理沙は今にも泣き出しそうな顔で美奈に歩み寄ると、そっと抱き寄せた。「美奈……お前は……お前ってやつは……」
「魔理沙……」
美奈の目からも涙が溢れ出した。
「美奈……寂しい思いをさせてすまなかったな」
「魔理沙……私はもう大丈夫よ。魔理沙がいてくれるから」
二人はお互いの体を抱きしめ合うと、声を上げて泣いた。その様子を見て他の者たちは何も言えずに黙って見守るしかなかった。
***
「さて、感動の再会も済ませたところで本題に入りましょうか」
紫は仕切り直すようにして話を始めた。
「えっと、確か私をここに呼んだ理由を聞こうと思ったんだけど」
「そうよ。私も聞きたかったわ」
霊夢の言葉に反応したのは、いつの間にか現れた紫ではなかったもう一人の人物だった。
「誰だ?あんた」
霊夢の質問に対し、「八雲藍だ」と名乗るとその者は人差し指を一本立てて説明し始めた。
「私は八雲紫様に仕える式神の一人だ」
「式は分かるけど、その『仕える』っていうのは何よ」
「分かりやすく言えば、紫様に忠誠を誓っているということだ」
「ふーん……それで?そんな偉い人がどうしてここにいるわけ?」
霊夢は興味なさげにそう訊ねると、藍は少し間をあけてから答えた。
「実は……ここだけの話だが、霊夢と魔理沙の二人がいなくなったせいで幻想郷は大変なことになっている」
「……どういうことよ?」
「つまりだな……霊夢たちがいないせいで幻想郷のバランスが崩れてしまったのだ」
「バランス?」
「ああ。簡単に説明すると、例えば妖怪の数が増えすぎたとする。するとどうなる?」
「どうなるって……」
「妖怪たちはお互いに殺し合いを始めるだろう」
「まあ、そうでしょうね」
「そうなれば、人間たちにとって非常に困った事態になる」
「そうね」
「だから私たちは幻想郷を守るために奔走していたのだが……」
「ちょっと待て。じゃあ何で幻想郷は滅茶苦茶になってないんだよ」
「それは……」
「それは私が結界を張って守っていたからだ」
「何のために?」
「この世界を外から隔離するためだ」
「何だって?」
「いいか、よく聞け。この世界は外の世界と繋がっている。もし仮にこの世界に何か異変が起きた場合、外の世界の人間がこの世界に入ってくる可能性があるのだ」
「え?じゃあ私と魔理沙は……」
「そうだ。この世界で何かが起きれば、それはすぐに外の世界に伝わってしまう」
「でも私達には関係無いじゃない」
「いいや、あるぞ。この世界が壊れたら外の人間は誰もこの世界に来ることが出来なくなる」
「じゃあ私たちがこの世界から出ていったら、外の人たちが危ないんじゃ」
「そういうことになるな」
「なら、早く帰らないと!!」
美奈は慌てたが、それを制止したのは魔理沙だった。
「待て、落ち着け。ここは幻想郷だ。幻想郷でなら、たとえどんな事が起こっても外には一切影響は出ない」
「え?」
「だから、安心しろ。お前の居るべき場所はここなんだ」
「そう、なの?」
「ああ、そうだよ」「魔理沙がそう言うなら信じるわ」
「それでは、これで話は終わりね」
「まだだ。最後に一つだけ聞かせろ」
「何?」
「何で美奈を騙して連れてきた?」
「……何のことかしら?」
「とぼけるな。美奈が言ってただろ?霊夢に会いたいと」
「……それがどうかしたの?」
「お前は美奈の願いを叶えただけだと言うつもりか?」
「もちろん、その通りよ」
「ふざけるな!!何が目的なんだ!?」
「……別に何も」
「……なんだと」
「私は、小暮美奈の本当の望みを教えてあげただけ」
「それが、これだと」
「そうよ」
「……っ」
魔理沙は怒りに満ちた目を向けるが、紫は涼しげな態度でそれを受け流した。
そんな時、霊夢が静かに口を開いた。
「……魔理沙、もういいわ。ありがとう。でも、私は帰りたいの。お願い……私を助けてくれないかしら?」
「霊夢……分かった。一緒に行こうぜ」
魔理沙は微笑みながら手を差し伸べた。しかし、その手を取ろうとはしなかった。
「魔理沙、私は一人でも行くわ。だから先に帰ってちょうだい」
霊夢は笑顔で言うと、一人神社を出て行ってしまった。
残された者たちはしばらくの間、呆然と立ち尽くしていた。
霊夢は森の中を歩いていた。しかし一向に森を抜ける様子は無い。
その時だった。
後ろから足音が聞こえてくる。誰か来たようだ。しかし、振り向いても誰もいなかった。気のせいだったのかな?霊夢は歩き出そうとしたが、今度は前方から別の音が聞こえてきた。
霊夢は再び振り返ったが、やはりそこには誰もいない。しかし今度は前方の地面から小さな光が現れた。
やがて光が消え、中から現れたのは妖精だった。霊夢はその姿に見覚えがあった。
「あなたは、いつも神社の縁側でお茶を飲んでいる子よね」
霊夢は優しく問いかけるが、妖精は何も答えずに飛び去ってしまう。追いかけようとしたが、目の前の地面に再び光が灯る。今度こそ現れるのだろうと警戒していたが、そこから出てきたのは全く予想していない人物だった。
「あれ……ここはどこだぜ?」
霧雨魔理沙は周りを見渡した後、霊夢に気づくと目を丸くする。
どうしてこんなところに魔理沙がいるのか不思議だったが、今は考えている暇はない。
魔理沙が近くにいることで先ほどの妖精は姿を現さないのではないかと考えた霊夢は、すぐさま駆け寄って声をかけた。
しかし、反応がない。もう一度声をかけてみたが、魔理沙の目は虚ろで意識があるのかさえ怪しかった。霊夢は仕方なく魔理沙を背負い、その場を離れることにする。
しばらく歩いたところで、またもや前方に光が見えた。霊夢は無視しようとしたが、魔理沙を背負っている以上避けて通ることは不可能である。霊夢は諦めて進むことにした。
しかし霊夢の予想に反して、そこにあったのは一人の女性だった。
その女性は霊夢に気がつくと、笑みを浮かべて話しかけてきた。突然の出来事に戸惑っていると、女性の顔は霊夢の顔へと変わっていく。霊夢は思わず後退りしてしまうが、逃げることは出来なかった。女性の手がゆっくりと霊夢の肩に伸びていく。
そしてその手が霊夢の体を掴んでしまった。霊夢が目を覚ますと、そこは神社の寝室だった。いつの間に眠ってしまったのだろうかと考えていると、部屋の入り口の方から聞き慣れた少女の声が聞こえた。
魔理沙だ。どうやら魔理沙は霊夢を探していたらしい。ようやく見つけたかと思うと、寝ていた自分の上に霊夢の姿が映る。魔理沙はそれを見た途端、血相を変えて飛び起きた。
何が起こったんだと尋ねる魔理沙に、霊夢は一部始終を話した。 
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