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ハイスクールD×D イッセーと小猫のグルメサバイバル

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第92話 三大勢力会談始まります!遂に出会う、D×DとG×G 後編

 
前書き
 茂松のオリジナル技、猛獣の生態にオリジナル設定がありますのでお願いします。 

 
side:リアス


 旧魔王派が率いる禍の団の襲撃を受けた私達、最初は押していたけどグルメ界の猛獣が現れてから状況は一変したわ。


 最悪の展開を予想したけどなんと一龍さんが来てくれたの!こんなに頼もしい助っ人は他にいないわ!


「親父!遅かったじゃねえか!」
「すまんなイッセー。ここを探し当てるのに少し時間がかかった」


 喜ぶイッセーに一龍さんは軽いノリでそう答えた。でも絶霧の禁手で作られたこの空間にどうやって入ってきたのかしら?


「アレはイッセーの親父さんか?なんでここにいるんだ?」
「……どうやら彼は僕が思っていた以上の存在だったらしい」
「どういうことですか、サーゼクス?」
「直に分かるよ。彼の実力が……」


 アザゼルとミカエル様は一龍さんの登場に首を傾げていた。今は実力を抑えているのか一般人と変わりないから分からないのね。


 でもお兄様は何かを感じ取っていたようね。流石は超越者と呼ばれるだけの事はあるわ。


「なんだ貴様らは!?どうやってこの空間に入ってきた!」
「なぁに。少し空間のゆがみをワシがぶっ壊した後にルフェイにイッセーのグルメ細胞を探してもらって転移しただけじゃ」
「えへへ、師匠の事なら何でも分かりますからね!」


 困惑するシャルバに一龍さんは空間を壊して入ってきたと話し、それにルフェイがえへんと胸を張ったわ。


 ……いやいやおかしいでしょ!?物理で空間壊すってどういう事よ!


「ふざけるな!そんなことが出来るはずがないだろうが!?」
「現にここに居るのだから出来たんじゃよ。さて……」


 一龍さんはシャルバを無視して二体の猛獣に視線を送った。


「阿修羅タイガーにキングレントラーか……可哀想に、体を改造されて精神すら支配されておる。命をここまで弄ぶとは……お主ら、覚悟はできておるか?」


 一龍さんから凄まじい……それこそプレッシャーだけで相手を殺せるくらいの威圧感が放たれた。


「こ、こいつはどういうことだ!?さっきまで何も感じなかった爺さんからとんでもねぇオーラが出やがった!!まるで星そのものと対峙しているような大きさを感じるぞ!!」
「オーフィスやグレートレッドと同等……いや感じるプレッシャーはそれ以上!?なぜこんな恐ろしい存在がいながら警戒もしなかったんだ、私達は!?」
「気が付かなかったんじゃない、気が付けなかったんだ……これだけの実力を僕達が感じ取れないくらいに自然に収める……やはり只者じゃなかったか!!」


 アザゼル、ミカエル様、そしてお兄様は一龍さんから放たれた星にも見える程の凄まじい威圧感に最大限の警戒をしていた。お兄様なんていつでも本気を出せるようにしているくらいに警戒していたわ。


「さて、まずは阿修羅タイガー達をどうにかするか」
「捕らえるのか?」
「うむ、どういった改造をされているのか調べたいからのう。それにこやつらには罪は無い、もし助けられるのならそれにこしたことはない。悪いのは……」


 一龍さんはイッセーに阿修羅タイガー達を捕えると話す。まあこの子達は操られているだけだしね。


 そして一龍さんは鋭い視線でシャルバたちを睨みつけた。うっ、私達がされている訳ではないのに心臓に針を刺されたかのような恐怖を感じたわ。これは一龍さん滅茶苦茶怒ってるわね。


「お主らのように命を道具にするような奴らだけじゃよ」


 一龍さんに睨まれたシャルバたちはまるで首を絞められたかのように呼吸が出来なくなったみたいね。だってクルゼレイなんて過呼吸起こしてるんだもの。


「貴様ら!いつまでボーっとしているつもりだ!さっさとこの男を殺せ!」


 シャルバは動けなくなっていた阿修羅タイガーとキングレントラーにそう命令する。すると二匹は箸のような棒にヒビを入れ始めた。


「ほう、本気ではないとはいえ阿修羅タイガーとキングレントラーがワシの箸を壊そうとするとは……なら次は少し強度を上げるぞ」


 一龍さんはそう言うと腕を振るいさらに多くの箸で二匹を拘束した。そして威嚇を使って二匹を気絶させる。


「馬鹿な!?赤龍帝対策として感情を消して威嚇は効かないようにしていたはず!?何故気絶するんだ!?」
「少しイッセーを買いかぶっておらんか?無論イッセーならいずれはそこまでのレベルに行くだろうが今はまだ無理じゃ。もっとも……」


 一龍さんはまるで重力そのものになったかのような圧を放ち殺気を振りまいた。


「ワシはイッセーほど優しくはないんでな、主らをこのまま叩き潰してやってもいいんだぞ?」
「あっ……」


 一龍さんの放った殺気にカトレアが気を失ってしまったわ。というかこっちも護衛の悪魔やエクソシストがバタバタと倒れているじゃないの!?一龍さんやり過ぎよ!?ギャスパーも気を失いかけたじゃない!


「ぐうッ!?俺も気を失いかけたぞ……!?」
「ええ、気を持っていなければ危なかったです」
「……」


 流石にお兄様たちは気を失わなかったようね。アザゼルとミカエル様が息を荒くしてるけど、お兄様は真剣な顔で一龍さんを見ているわ。


「イッセー先輩……あの猛獣達は感情が無いのにどうして威嚇で気を失ったんですか?」
「恐怖じゃなく実際に自分達を殺したと思わせたんだ。感情を失っていようと肉体が死んだと思わせ強制的に意識をシャットダウンさせた。親父がその気なら殺気でここにいる精神が弱い奴をまとめて殺す事だってできる。ぜったいしないだろうけどな」


 イッセーが小猫に猛獣達が気絶した理由を話す。人間って思いこみで体に変化を起こす事があるらしいけど一龍さんほどの人が使う殺気は命すら奪えるのね。


「おいシャルバ!このままでは拙いのではないか!?あの老人、明らかに只者じゃないぞ……!?」
「わ、分かっている!だが安心しろ、化け物はまだいるのだ。出て来い!」


 クルゼレイが凄く怯えながらシャルバにそう言うと、シャルバは強がってそう叫んだ。奴の叫びと共に再び空間が歪んで一匹の猛獣が現れた。その猛獣は小さな体をしている一軒弱そうな猛獣だった。


「マミューか。こいつまで操ってるとはな」
「マンサム所長、ヤバイ奴なのか、コイツ?」
「一匹だけなら何ともないがコイツの恐ろしい所は……」


 イッセーがマンサム所長に猛獣の事を聞こうとしたのだけど、突然猛獣が大きな鳴き声を上げた。


「な、なんだ!?」
「マミューは集団で行動していてな、一匹が危険にさらされると……来たようだな」
「んなっ!?」


 私達の周辺の空間が歪むとそこから数えきれないほどのマミューが現れた。視界を全部覆う程の数だなんて……こんなのどうやって対処しろというのよ!!


 ……と普段なら思うのだけど今は全く恐れられないわね。だってそれ以上に強い人たちが集結してるのだから。


「うい~……ここはワシが出るよ」


 そう言って一歩前に出たのは次郎さんだった。お酒の瓶をラッパ飲みしながらフラフラとしている。


「おい爺さん……危険だからさがってろよ。あの金髪の爺さんに任せた方が……」
「お気遣いどうも」


 アザゼルは次郎さんを止めようとしたわ、まあ今の彼は一般人レベルまで力を隠しているから気が付けないのでしょうね。しかも酔っ払ってるから猶更だわ。


 でもねアザゼル、その酔った人も一龍さん並みにヤバい人なのよ。


「なっ……!?まさかこの人も!?」
「若返っている……!?」


 力を解放した次郎さんを見てお兄様がさらに警戒してミカエル様は次郎さんの白髪が黒髪になったことに驚いた。まあ次郎さんなら若返ることが出来ても不思議じゃないわね。


「グルメ界なら酒は絶つがここは違うからな、それにこの世界の酒はG×Gと比べればレベルは下がるが其れはそれで美味いもの。手放すのは嫌じゃ」


 次郎さんは懐からノッキングガン……なのかしら?とにかく何かの道具を取り出して構えた。


「あれは次郎専用の『ノッキングライフル』、しかもハードタイプじゃ。素人には絶対に扱えんほどのじゃじゃ馬じゃ」
「うふふ、次郎ちゃんはやっぱりカッコええのう、惚れ惚れしちゃうわ♡」


 一龍さんは次郎さんの持っているアイテムを説明してくれたわ。そして節乃さんは黒髪になった次郎さんを見て顔を赤らめていた。まあいくつになっても惚れた男のカッコいい所を見れば女性はトキめくわよね。


 次郎さんは迫りくるマミューの群れに突っ込むとまるで千手観音のように見える程の腕の動きでノッキングライフルの針を飛ばしてマミューたちを動けなくさせていく。


「な、何者なんだ、あの人は!?動きが見えない!?」
「魔力も使わずにいくつにも分裂したように見えますね……あれは本当に人間なのでしょうか?」


 総司やマグレガーは次郎さんの人間離れした動きを驚いていた。元新選組1番隊組長と黄金の夜明け団を創設した人物ですら次郎さんの動きは見えないみたいね。


 でも無理もないわよ、だって祐斗の速さに慣れている私達ですら次郎さんの動きは滅茶苦茶にしか見えないからね。普通に分裂してるし……


 次郎さんがノッキングライフルの針をリロードしようとちょっと一息ついたくらいしか全身が見えないしね。


 次郎さんはトドメと言わんばかりに大回転してすさまじい速度でノッキングライフルの針を撃ち続けた。もはや人の形をした竜巻と言わんばかりの動きにアザゼルたちは言葉も出ないみたい。


「んぐ……んぐ……ふうっ、一仕事を終えた後の一杯は格別じゃな」


 次郎さんはお酒を飲みながらそう呟いた。そんな彼の周りには動けなくなったマミューたちの山が横たわっていた。まさに足の踏み場もないとはこのとこね。


「流石伝説のノッキングマスター、仕事が早いな」
「ばっはっは!こりゃワシらの出番はないな!」


 茂松さんは次郎さんの活躍を当然だと言わんばかりにそう呟きマンサム所長はお酒を飲み始めた。まあ確かに過剰戦力って言っても過言ではないんだけど……相変わらずのマイペースさよね。


「凄い動きだった、この私でさえ完全にはとらえることはできないとは……世界は広いな」
「ど、どうして殺さないんだ?まだ生きているじゃないか」


 ヴァスコ・ストラーダさんは次郎さんの超人じみた動きに感銘を受けたようで世界の広さを実感していた。それとは逆にテオドロ・ログレンツィさんはマミューたちを殺さない事に疑問を持っていた。


「流石ノッキングマスター、鮮やかな腕前じゃな」
「イチちゃんが雑過ぎるんじゃよ。阿修羅タイガーとキングレントラーも可哀想に」
「わっはっは!そう言うな!」


 そういえば一龍さんと次郎さんって義理の兄弟だったわね、なんだか楽しそうだわ。


「だったらコイツならどうだ!」


 シャルバの叫びと共にはるか後方に首の長い猛獣が10頭ほど現れたわ。大きな鼻の穴が特徴的ね。


「やれ!」


 シャルバがそう言うと首の長い猛獣達は一斉に鼻から何かを発射してきたわ、あれって鼻息かしら?


「ブレスドラゴン、その鼻から噴出される鼻息は岩山など軽く砕く威力をしている。まともに喰らえば全身の骨が砕かれるぞ。しかもあれだけの数、ミンチになるな」
「そ、それって大ピンチじゃないですかぁ!?」


 マンサム所長の説明にギャスパーが涙目でピンチだと叫んだ。そうね、普通なら絶体絶命であの子みたいに慌てるのが普通なのよね……


「ふふふ……おいたは駄目じゃぞ」


 節乃さんがそう呟くとまるで壁が出来たかのように鼻息の弾丸が止められた。まあこうなるって分かっていたから全然慌てられないのよね。


「い、一体何が起きたんだ!?」
「節乃お婆ちゃんが気圧を操って鼻息の弾丸をかき消したんだ」
「気圧だと?」
「ああ、その気になればこの場にいる全員の頭を吹っ飛ばすことだって出来るだろうぜ」
「なんと恐ろしい……あのような小さなご老人にそんな力が……」


 バラキエルさんが何が起こったのか分からないという風に叫んだのでイッセーが説明をする。G×Gでは老人だからと言って侮ると文字通り命取りになるのよね。


「ほい、いっちょあがりじゃ」


 節乃さんがそう呟くと遠くにいた10頭のブレスドラゴンは白目を向いて倒れていった。多分気圧を操って何かしたのでしょうけどグルメ界の猛獣をいとも簡単に無力化していくのを見ていると本当に先は長いなって思ってしまうわ。


「おのれおのれおのれぇぇぇぇえええッ!!これ以上無様な姿をさらすわけにはいかんのだ!」


 シャルバは狂ったようにそう叫ぶとまた猛獣を出してきたわ。もしかしたら失敗したらまずいのかもしれないわね、まあ敵の心配なんてしないし彼らがここから勝てる可能性なんてゼロだけどね。


「あれはランペイジにトルネードラドンか……」

 
 シャルバが次に呼び出したのは巨大な巨人のような怪物と首が10以上あるドラゴンだった。あれもグルメ界の生物……あんなのが当たり前にいるのがグルメ界なのよね、それに加えていくつもの過酷な環境にも対応しないといけないのがグルメ界……先はまだまだ長いわね。


「うわー、普通なら神話級の怪物を相手してるみたいなものなのに全然危機感が湧いてこないわねー……」
「ああ、まるで恐怖が湧かないな。もし一龍殿達がいなければ今頃心臓が止まってもおかしくないくらいのショックを受けていそうだが……微塵も怖くない」


 イリナとゼノヴィアも慣れちゃったのか怖くないと話していた。


「さて、今度はワシらが行こうか」
「そうだな」


 すると今度は茂松さんとマンサム所長が相手をするみたいね。茂松さんはトルネードラドンに、マンサム所長はランペイジの方に向かったわ。


「グォォォォォッ!!」


 ランペイジはこん棒のような腕をマンサム所長に叩きつけようとした。マンサム所長はジャンプで回避するけど空間にひびが入る程の衝撃が走ったわ。


「ばっはっは!流石グルメ界の猛獣!コロシアムの奴らとは格が違うな!久しぶりに少し本気で行くとするか!」


 マンサム所長は剛腕から凄まじいパンチを放ったわ。


「フライパンチ!」


 その一撃を受けたランペイジは後ずさりする、でも直ぐに同じようにこん棒のような腕を叩きつけてきたわ。


「フライパンサンドイッチ!」


 こん棒のような腕を両方の拳で挟むように止めた。更にそのままこん棒のような腕を粉々に粉砕してしまったわ!相変わらず凄いパワーね!


「ばっはっは!どうした?そんなものか!」


 そのままランペイジを殴り飛ばすマンサム所長、するとその横から何か食い千切るような音が聞こえた。


「ふん!」


 音がした方を見て見ると茂松さんがトルネードラドンの首の一つを腕で引きちぎっているのが見えた。何だか見た目も魔獣みたいな感じになっているわね、少し怖いわ……


「牙狂い(がぐるい)!」


 両手を牙のように見立てて更にもう3つの首を引きちぎった……いやあれは噛み千切ったのかしら?


「ガァァァァッ!!」


 トルネードラドンは首をまとめて回転させて巨大な竜巻を生み出したわ!でも茂松さんは構わずに突っ込んでいった。


「王蛇の(おうじゃのきば)!!」


 茂松さんの後ろに巨大な牙を持った蛇のようなオーラが現れて竜巻をかき消してしまった。凄い威力だわ!


「食いごたえがないな……もっと俺の腹を満たせろ!」


 茂松さんはそう言うと猛獣のような顔になってトルネードラドンに向かっていった。


「なんだかさっきまでと性格が違うわね……」
「茂さんはIGOきっての武闘派だからな、戦闘時には性格が変わるんだ。まああれでもゼブラ兄と比べれば全然優しい方だよ」
「でもマンサム所長は兎も角茂松さんがトルネードラドンを殺したりしないの?また首を引きちぎったけど……」
「トルネードラドンは首が一つでも残っておれば再生するからな。心配いらんよ」


 私はちょっとトルネードラドンが可哀想になって心配したけど一龍さんが問題無いと教えてくれた。


「あり得ない……我々の勝ちは目前だったはず!?それを一体何なんだ!あいつらは悪魔か……!?」


 いや悪魔は貴方たちでしょと突っ込みたくなったが、シャルバたちからすれば悪夢もいい所よね。


「こうなったらもう仕方ない!奴を使うぞ!」
「なッ!?正気かシャルバ!?アレは許可なく使うなとアイツから言われているだろう!そんな勝手な事をしたら……」
「ならどうするというのだ!?このままあの悪魔たちに蹂躙されろというのか!そんな事になるくらいなら私はやってやるぞ!」
「おい、待て……!!」


 シャルバとクルゼレイが何かを言い争っていたけどシャルバが腕を上げて指を鳴らした。すると……


「な、なんだ!?」
「空間が大きく歪みだした……!」


 先程までとは違う歪みを始める空間……このプレッシャーは今まで出てきたグルメ界の妄執すら軽く超えるほど重いわ!?


「ば、化け物……」


 そして現れたのは最早デカイなんて言葉ですら言い表せれないほどの巨体をもった鬼のような生物だった。それを一目見た瞬間、一龍さん達がいるというのに死のイメージが頭を走った。


「なッ、奴はまさか……」
「これは驚いた。コイツまで支配下に置いていたのか……『轟魔』」


 茂松さんとマンサム所長が轟魔と呟いた。あれもグルメ界の生物!?今までの奴とはケタが違うわ!?


「ははっ……!こいつを出してしまった以上人間界もおしまいだな!だが丁度いい!私達が支配する新たな世界を作るために一度は滅ぼさなければならないのだ!やってしまえ!」
「愚かな……このことをアイツが知れば俺達は終わりだぞ……」
「構わん!そもそも私は奴が気に入らなかったのだ!どのみち始末する予定だった、それが早まっただけの事だ!」


 シャルバはそう言うと轟魔に指示を出した。この空間から出したら本当に世界の終わりだわ!?


「おいおい、動き出したぞ!あんな質量で潰されたらそれだけで俺達は終わりだ!」
「全員退避してください!!」


 アザゼルとミカエル様が全員に避難するように指示を出した。一般兵士の悪魔やエクソシストたちはアザゼル達が生み出した魔法陣で逃げていく。


「二人は皆を頼む。僕はあいつを……」
「おい!まさか本気を出すつもりか!?」
「ああ、初めて僕が全力を出さなければならない相手が来た!」
「……」
「頼んだよ!」


 お兄様はそう言って轟魔に向かおうとした。でもそんなお兄様を二本の箸が動きを止める。


「これは……!?」
「慌てるでない、お前さんが本気をだしたら皆消えてしまうんじゃろ?もしその状態で元の世界に戻されても見ろ、駒王町は消滅するぞ」
「うっ……」


 一龍さんの言葉にお兄様は何も言えなくなってしまった。確かにこの空間は絶霧の所持者が支配してるからその気になれば私達を現実世界に戻すことだってできるのよね、もしお兄様が本気を出した瞬間に駒王町に戻されれば……被害は尋常じゃないものになるわ。


「ですがアレを外に出すわけには……」
「分かっておる。奴の相手はワシがする」
「しかし貴方でもあいつは……」
「ワシも本気でやる。流石に四桁を超える奴を相手に悠長にはしておられんからな」


 一龍さんがボソッと何かを呟いたけどなんなのかしら?最後の方は聞こえなかったわ。


 そして一龍さんは宙を飛んで……えっ?普通に飛んでるんだけど?なんで?魔力もないのにどうして?訳が分からないわ?


「イッセー君、一龍さんって武空術が使えるの?」
「いや、そう言う訳じゃないが……本当に何でもありだな」


 祐斗はイッセーにそう質問したけど、彼でさえかなり驚いた様子を見せているわね、彼も一龍さんの全てを知っている訳じゃないのね。


「ゴガァァァァァァッ!!」


 轟魔は一つの山に匹敵する巨大な腕を振り回して一龍さんを攻撃する。その余波だけですさまじい衝撃が私達を襲ってきたわ!



「ぐわぁァァァあああっ!?なんて衝撃だ!この空間が壊れちまうんじゃねえのか!?」
「動けるものは防御をしてください!負傷者は直に下がってください!」
「滅びよ!!」


 アザゼルとミカエル様、そしてお兄様は指示を出したり負傷者を庇ったりしていたわ。私達も出来る事をしないと!


「移り箸」


 無数とも思える箸が生まれて轟魔の全身を挟んでいったわ!あんな山よりはるかに大きな巨体の動きを封じるなんて……!


「少数派の影響がもう出てきているようじゃのう」


 えっ?轟魔が苦しんでいるわ。何をしたのかしら?


「……っておい!?こっちに倒れてくるぞ!」


 イッセーは倒れてくる轟魔を見てすっごく驚いていたわ!だってこのままだと皆ぺちゃんこになってしまうもの!どうすればいいのよー!?


「えっ……」
「止まった……」


 でも轟魔は私達にぶつかる直前にまるで何かに支えられたかのように止まってしまったわ。これも一龍さんが何かしたのかしら?


「以前手合わせをして頂きましたけど本当に限界まで手加減をされていたのがハッキリと分かりますわね……」
「はい、その気になればプレッシャーだけで私達を殺せていました……一龍さん、底が全然見えません」
「まるで星を見ているかのようだ、大きすぎる……」
「お口あんぐり……」


 朱乃、小猫、ゼノヴィア、イリナがそう呟いたわ。前に手合わせをしたけどその時は本当に2%くらいしか実力を出していなかったんだと思うくらい一龍さんの底知れなさが伝わったわ。


 因みにギャスパーは遂に気絶してしまったわ、この子にはまだ刺激が強すぎたみたいね……


「さて……怪我はないかね、三大勢力の諸君」


 一龍さんは私達の元に降りてくると笑顔を浮かべてそう言ったわ。でもお兄様たちは凄く警戒しながら冷や汗を流していた。


「貴方は……貴方たちは一体何者なんだ?」


 辛うじてお兄様がそう呟くことが出来た。


「ワシの名は一龍、異世界G×Gから来たIGOの会長じゃ。よろしく頼むよ、三大勢力の諸君」


 ……とうとう出会ってしまった異世界のトップたち、これから一体どうなってしまうのかしら?


 私は不安を胸に込めてそう思った。


 
 

 
後書き
 イリナだよ。遂に出会っちゃった三大勢力とIGO!異世界のトップたちが一体何を話すのか、そして最終的にはどうなるのか、私には分かんないよ~!


 次回第93話『三大勢力よ、いらっしゃい!初めての異世界旅行、これがグルメ界だ!』で会いましょうね……って本気の魔王様と一龍さんが戦うのッ!?


 あっ、因みにシャルバ達は次郎さんにノッキングされて捕まったよ。随分とあっけなかったね。 
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