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ハイスクールD×D イッセーと小猫のグルメサバイバル

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第91話 三大勢力会談始まります!遂に出会う、D×DとG×G 中編

 
前書き
  

 
sdie:小猫


 三大勢力の会談中に突如襲撃を受けた私達はそこに現れた旧魔王派のカトレア・レヴィアタン、クルゼレイ・アスモデウス、シャルバ・ベルゼブブの3人と対立しています。今にも戦いが開始されそうです。


「久しいなサーゼクス、偽りの魔王よ。その紅の髪を見るだけで怒りが混み上がってくるよ」
「シャルバ……長らく姿を見せなかった君とこんな所で再会するとはね。情報通り旧魔王派は禍の団に加入していたという訳か」
「ああそうだとも。我々旧魔王派は現悪魔政府……即ちお前達と戦争をすると決めたのだ」


 旧魔王派はテロリスト集団の仲間入りをしていたという訳ですか。恐らくそうだとは思っていましたが……


「念のために聞いておこう、投降する気はないか?」
「あるわけ無いだろう。私達はお前達を滅ぼして新たにこの世界を作り上げるのだからな」
「この世界を滅ぼすつもりか?」
「ああそうだ、我々がこの世界を改革するのだ。その為には邪魔なモノたちには一度消えてもらわなくてはならない、そしてその後に我々の理想郷を作り上げる」


 旧魔王派の目的はこの世界の支配じゃなくて破壊することだったんですね。そして自分たちの理想の世界を作ろうとしているとは。


「本当にそんなことが出来ると思ってるのか?仮に僕達を始末できてもこの世界には様々な種族が生きている。文字通り世界を相手にするんだ、無謀にもほどがあると思うが?」
「我々にはオーフィスが付いている。更に我らにグルメ細胞を授けてくれた同士がいる。この世界のゴミクズどもなど直に片づけられるほどの力が我々にはあるのだよ!」
「オーフィス……!?あの『無限の龍神』が禍の団に付いたというのか!」


 オーフィス……確かこの世界が出来て未だに最強と言われているドラゴンの事ですね。あのドライグすら適わないとされています。


『ふん、かつての俺ならともかく今の宿主であるイッセーならいずれはオーフィスも超えるさ』
「ナチュラルに心を読まないでくださいよ……」


 私の心を読んだドライグがイッセー先輩ならいずれオーフィスを超えると言いました。それを聞いたイッセー先輩は「無茶言うな……」と呆れていました。


「でもイッセー先輩、いまあいつ……」
「ああ、グルメ細胞って言ったな」


 シャルバの口からグルメ細胞と聞いた私はやはり禍の団にはG×GからD×Dにグルメ細胞を持ち込んだ元凶がいると確信しました。


 しかしまずいですね、元凶と無限の龍神が一緒の組織にいるとは思っていませんでした。唯でさえヤバイと言われているオーフィスが万が一グルメ細胞と適合してたりしたら……想像もしたくないです。


「ぐっ、私達の恐れていたことが現実になりましたか。あのオーフィスを味方に付けるとは……」
「待て、オーフィスは当然ヤバいがグルメ細胞ってなんだ?おまえら、オーフィス以外に何か力を得ているのか?」


 ミカエル様は険しい顔をしてオーフィスについて話しますがアザゼル様はグルメ細胞という言葉に目を付けました。


「アザゼル、その言葉の意味など知らなくていいのです。お前達はここで死ぬのですから」
「オーフィスが味方に付き更に強大な力を秘めた細胞を提供してくれた人物の出現……これは世界そのものが我々の改革を望んでいるも同じだろう」


 カトレアとクルゼレイが偉そうにそう言いました。


「カトレア、もしこの世界を改革することが出来たらその時は私と結婚しよう。必ず幸せにするよ」
「ああ嬉しいわ、クルゼレイ。新たな悪魔の種を二人で育んでいきましょう」


 二人はそう言うと人前なのにディ―プなキスをし始めました。恋人同士なのでしょうが私はこんな時に何をやってるんだろうと思いました。


 アザゼル様やミカエル様も呆れたような顔をしていました。セラフォルー様だけ「私もサニー君と……♡」と顔を赤くしてそう呟いていました。


「なんだ、要するにアンタらは『自分たちの思い通りにならなきゃヤダヤダー!僕達の思い通りにならないならぶっ壊してやる!』って考えてるって事か?旧魔王派って子供より我慢が出来ないんだな」


 そこにイッセー先輩の鋭いツッコミが入って場の空気を冷やしました。高笑いをしていたシャルバは「……は?」と嗤うのを止め、二人だけの世界に入っていたバカップルは先輩を睨みつけました。


 でも確かに先輩の言う通り旧魔王派ってやってることはただの癇癪みたいなものですよね。だって自分たちの思い通りにならないからテロリストやりますって我儘にもほどがあるというか……

 
 私以外の人達も同じ思ったのか少し笑いそうになっていました。あのグレイフィア様ですら笑いをこらえていましたしアザゼル様は「イッセーもハッキリ言うじゃねえか!」とゲラゲラ笑っています。


「人間……!下等で愚かな存在の癖に我々を愚弄するのか!?」
「その下等で愚かな存在に呆れられるアンタらはそれ以下って事か」
「黙れ!」


 イッセー先輩は呆れたようにそう言いました。それを聞いたシャルバは更に激高します。


「アンタらは完全にオーフィスやグルメ細胞を渡した人物に頼り切ってる。他人の力を借りるなとは言わないが自分じゃない他所の力を当てにしてる時点でアンタらには世界を変える事なんてできないさ」


 イッセー先輩はハッキリとそう言いました。


「何を根拠にそんな事を言うのだ?我々はパワーアップしたのだぞ?」
「アンタらは食事はしてるのか?G×G……グルメ界は知ってるのだろう?自分で冒険して食材を確保したことがあるのか?」
「そんなことは他の奴らにやらせればいいだろう。私達は旧魔王の血を引くものだぞ、あんな野蛮な場所は私達にはふさわしくないからな」
「ならアンタらは強くなんかなれねえよ。自分の足で行き自分の手で捕獲する、そして誰かと一緒に食べる食事の美味しさと素晴らしさを知らないアンタらじゃなぁ……!」


 イッセー先輩は彼らを睨みつけながら強くなどなれないと言いました。そしてそれは私も同意です。


 確かにグルメ細胞は美味しい食材を食べれば強くなれます、でも私達は知っているんです。


 自分の足で目的の場所に向かうワクワク感、危険な場所を仲間と一緒に突破する一体感、大自然の驚異を身をもって味わう絶望感、それらを乗り越えてようやくお目当ての猛獣や食材を確保する達成感、なによりみんなと一緒に食べる美味しい食事の幸せなひと時……


 その『経験』は言葉では説明できませんが間違いなく私達の力になっているんです。それを知らない彼らに本当の強さなど得られるはずがありません!


「ふんっ!下等な人間などに時間を使ってなどいられるか!来い、お前達!」


 シャルバが指を鳴らすと魔法陣と共に大量の悪魔が現れました。それだけでなく神父や魔法使いも混ざっていました。恐らくはぐれでしょう。


「こいつらもグルメ細胞を宿しているから強いぞ!更にこの空間では魔力や光の力は使えない!じわじわ嬲り殺してくれるわ!」
「はっ、その対策をしていないわけないだろうう!」


 アザゼル様はそう言うと懐から何かの機械を取り出しました。その機械が大きな音を鳴らすと不思議と力が湧き上がってきました。


「な、何をした!?」
「コイツは俺が作った対絶霧用のアンチマシンだ!絶霧で転移させた者にだけ対して自動でバリアを張ってマイナスの効果を打ち消すことが出来る。お前らが俺達を転移させることは分かっていたからな」
「ぐっ、だがこの数を相手にいくらお前達でも勝てはしまいだろう!?サーゼクスが本気を出せば話は別だがここでそんな事をすれば全員を巻き込んでしまうからな!」
「数の問題もコイツで解決だ、そらよ」


 アザゼル様はそう言うとまた機械を鳴らしました。すると今度はこっちの方に魔法陣が出てきて三大勢力の待機していた人達が現れました。


「こ、これは……!?」
「俺達が転移されるのは分かっていたからな、駒王学園の結界に細工をしておいたのさ。それはその結界の中にいる人物を全員この機械のある場所に転移させる効果だ。絶霧の転移は魔王クラスでも容易には抗えない、なら最初から転移された後に対策できるようにしておいたわけさ」


 なるほど、敵が絶霧を使う事は既に分かっているので敢えて絶霧を使われた後に対応できるようにしておいたという訳ですか。流石アザゼル様ですね。


「おい、イッセー。お前あいつらが言っているグルメ細胞とか俺達が知らない秘密を知ってるな」
「ええ、知っています。この戦いが終わったら必ず話しますよ」
「約束だぞ」


 アザゼル様はイッセー先輩にそう言いました。これで三大勢力もグルメ細胞という言葉を知ってしまいました、ですがまずは生き残る事を考えないといけませんね。


「こうなれば全員皆殺しだ!お前達、奴らを殺せ!」
「来やがれ!禍の団!返り討ちにしてやるぜ!」


 アザゼル様の言葉と同時に三大勢力と禍の団が激突しました。


「死ねぇ!」


 魔法使いの放った炎や氷の魔法がこちらに跳んできました。それを対処しようとした人たちの前にイッセー先輩と祐斗先輩が割り込みました。


「いくぞ祐斗!レッグナイフ!」
「任せてイッセー君!飛飯綱!」


 イッセー先輩の放ったレッグナイフと祐斗先輩の放った飛飯綱は途中で一つの斬撃となって目の前を覆いつくしていた敵の魔法を全て吹き飛ばしてしまいました。


「ナイフ!」
「九頭龍閃!」


 そして困惑していた目の前の敵たちを二人の同時攻撃を放ちます、何十人という悪魔、魔法使い、はぐれ神父たちを吹っ飛ばしてしまいました。


「祐斗、いつの間にあのような剣技を……素晴らしい太刀筋です」


 祐斗先輩の師である沖田総司さんも驚いた様子を見せています。


「コイツら……!」
「早すぎる!」


 あまりの速さに対処が遅れた敵たちは慌てて攻撃しようとしましたが、そこに大きな雷が落ちてきて的確に敵のみを痺れさせます。



「万雷・絶!!」

 
 以前よりも遥かに増えた雷が禍の団を打ち破っていきます。朱乃先輩もグルメ細胞で強くなっていますね。


「おお……朱乃、なんと凛々しい姿だ。流石は私の娘だ!」


 禍の団のメンバーを10人くらいまとめてぶっ飛ばしていたバラキエルさんが目から涙を流して朱乃先輩の活躍を褒めていました。


「先輩!」
「小猫ちゃんも来たか、なら一緒にやるぜ!」
「はい!」


 私も参戦してイッセー先輩と一緒に敵たちをやっつけていきます。私のパンチで敵が10人吹っ飛ぶと、今度はイッセー先輩のキックで20人吹っ飛びました。


「これでどうだ!」


 魔法使いたちは力を合わせて大きな防御結界を生み出しました。でも先輩のフォ―クであっさりと破壊されています。


「馬鹿な!?パワーアップした我々の結界が!?」
「再生した指の調子は以前よりも抜群に良いぜ!オラオラァッ!!」


 先輩は防御結界などお構いなしに壊しながら釘パンチで更に30人を吹っ飛ばしました。ふふっ、先輩もパワーアップしていますね。でも私だって負けてはいられません!


 魔法で鉄の壁を作った私はそこに目掛けて拳を叩き込みます。すると鉄の壁は綺麗な円形の形になって弾丸となって放たれます。


「小猫マグナム!!」



 更に連発して鉄の弾を打ち込みます。まともに喰らった悪魔は顔が陥没してしまいました。



「小猫ちゃん、アレをやるぞ!」
「分かりました!私達の愛のタッグマッチを見せてやりましょう!」


 先輩の合図と共に目の前にいたはぐれ神父を掴んで宙に投げ飛ばしました。そして私をイッセー先輩が掴んで同じように投げ飛ばします。


「次は俺の番だ!」


 そして先輩は悪魔を捕まえるとドラゴンバスターの体勢で大きく飛びました。私もはぐれ神父を小猫ドライバーの体勢に捕らえます。


「角度はどうだ?」
「もう少し右にお願いします!」


 そして先輩が私の上に肩車するようにドッキングしました。


「いくぞ!重力を倍加だ!」


 そして倍加の力で私達の重力が重くなっていきます。加速した私達は地面に向かって勢いよく落ちていきます。


「必殺!!『D×Kドッキング』!!」


 地面に小猫ドライバーとドラゴンバスターを合体させたような体制で降り立ちました。技をかけていた敵は勿論周りにいた敵たちも発生した衝撃波で吹っ飛ばされていきます。


「これが俺達の!」
「愛の力です!」


 そして二人で決めポーズをします。えっ、そんな必要は無いだろうって?いえいえ、カッコいいことが重要なのですよ。


「あれが今代の赤龍帝の力か……ふふっ、年甲斐もなくたぎってきてしまうな」
「悪魔とさえつるんでさえいなければスカウトしたものを……勿体ない」


 教会の方々はイッセー先輩の実力を目のあたりにして興味を持ったり敵意を出していたりと色んな反応をしていました。


「私達だって負けていられないわ!」


 するとリアス部長も戦いに参戦しました。


「魔王の妹が出てきたぞ!」
「捕まえて人質にしてしまえ!」


 旧魔王派の悪魔たちが部長に向かっていきますが部長は魔力のビームを放ちました。ガトリング銃のように凄まじい連射で旧魔王派を寄せ付けず一方的に倒しています。


「私はパワータイプだからお兄様みたいに魔力を纏わすなんてできない、ならパワーを究めるだけよ!」


 更に自身の上空に巨大な赤い魔力の塊を生み出して投げつけます。その魔力は禍の団をボーリングのピンのように打ちのめしていきます。


「リアス殿は思い切りがいいな!だが私だってパワーでは負けていないぞ!」


 デュランダルを取り出したゼノヴィアさんは剣を大きく頭上に上げて一気に振り下ろします。


「『月牙天衝・連ね撃ち』!!」


 何と月牙天衝を二連続で放ちました。範囲の広がった月牙天衝は禍の団達に大きなダメージを与えました。


「はっはっは!やはりパワーこそ最強だ!」
「もうゼノヴィアったら相変わらず脳筋なんだから!戦いはスピードよ!」


 イリナさんはそう言うと黒い靴を発動して空を駆け巡ります。そして上空からオーバヘッドキックのような攻撃をすると沢山の斬撃が雨のように降ってきました。


「秘儀・流星群!!」


 月牙天衝で陣形が乱れていた所に波状攻撃とは……しかし結局イリナさんも脳筋ではないのでしょうか?


「くそっ、どうなってるんだ!?魔王や堕天使総督ならともかくあんな若いガキどもにいいようにされるなんて!」
「だったらそこの弱そうな女からぶっ殺してやる!」


 はぐれ神父たちがギャー君の方に向かいました。でもギャー君は怯えた様子を見せずにスタンドを出します。


「僕だってイッセー先輩やみんなと一緒に強くなるんです!お願い、あいつらをやっつけて!『世界(ザ・ワールド)』!!」


 ギャー君の目が赤く輝くとはぐれ神父たちの動きが止まりました。そこにスタンド……『世界』が動きの止まったはぐれ神父たちを殴り倒していきます。


 因みになんで世界と名付けたかというとギャー君の力は究めれば世界すら支配できるとイッセー先輩が言った言葉、『世界』から取ったそうです。


 先輩としては大げさに言ってギャー君を勇気づけようとしたのでしょうが、なぜかギャー君は「ならいつか世界を支配できるくらい強い男になって見せますぅぅぅ!」とやる気を出してしまいました。


 心なしかギャー君のスタンドも世界という名を貰って嬉しそうに怖い笑みを浮かべていたような気がします。


「ははっ!若いってのは恐ろしいな!本当にあれが前まで我儘でしか名をはせていなかったリアス・グレモリーとその眷属たちか!?もはや別人じゃねえか!」
「ゼノヴィアとイリナ、二人は優秀なエクソシストだと報告は受けていましたが……それが謙虚な報告だったと思うくらいの変わりようですね、少なくともここまでとは書かれていなかった。これも兵藤一誠と関わったから彼女達は強くなったのでしょうか?」


 アザゼル様は若さゆえの成長の速度に舌を巻いておりミカエル様はゼノヴィアさんとイリナさんの強さが良い意味での報告通りではないと呟きました。そして短期間でここまで強くなったのはイッセー先輩の影響なのかと言います。


「流石は僕の妹とその眷属たちだ。さあ、彼女達に続け!禍の団を殲滅しろ!!」


 サーゼクス様の激励で士気の上がった悪魔軍は旧魔王派を押していきます。負けじとエクソシストや堕天使勢力も勢いを増していき完全にこちらが有利な状況になりました。


「ふ、ふざけんなよ!俺は簡単に魔王や堕天使総督を殺れるって聞いたから協力したんだぞ!」
「俺は唯で強くなれて自由に暴れられるって聞いたから来たのに……」
「そうだ!これじゃ話と違う!」
「俺はもう降りるぞ!」


 禍の団にいたはぐれ神父や魔法使いから逃げようとする者達が現れ始めました。どうやら彼らは名を簡単に上げる、もしくは簡単に力を貰えると聞いてこの戦いに参戦したようですね。


 でも悪魔と違って旧魔王派に忠誠など誓っていないので状況が悪くなったから逃げだそうとしてるみたいですね。


(まあ逃げるような奴を追いうちする必要は無いですよね……)


 でもその時変化が起こりました。それは逃げようとしていた魔法使いやはぐれ神父が苦しそうに体を抑え始めたのです。


「ぐあっ!?」
「く、苦しい……」


 するとなんとはぐれ神父の一人が急激にやせ細ってしまい灰になってしまいました。更に他の魔法使いやなんと悪魔さえも同じように灰になっていきます。


「そんな!?どうして俺の体が!?」
「話が違うではありませんか、シャルバ様!?実験をするのははぐれ神父や魔法使いたちだけのはずじゃ……」


 悪魔の何人かはシャルバにそう言いましたが彼はつまらなそうに話し始めます。


「最早お前たちなど不要だ。真なる悪魔の世界は我々が作っていく、安心して死ぬがよい」
「そんな……」


 なんて奴なのでしょうか、部下をゴミの様に切り捨てるなんて……


「おい。コイツらの今の状況は一体なんだ?まるでグルメ細胞に負けてエネルギーを全て奪われたような死に方……十分なメシをやらなかったのかよ!?」
「ふはは、お前などに教えるものか。一つ言えるのは今までのは唯の実験でしかない、これからが本当の殺戮ショーの始まりだ」


 シャルバはそう言うと指を鳴らします。すると空間が歪んで何かが出てきました。


「カロロ……」


 それは巨大な虎でした、ただ普通の虎と違うのは顔が三つある恐ろしい姿をしていることです。


「あれは猛獣!?旧魔王派は猛獣も従えていたのか!?」
「イッセー、あの猛獣は見た事が無いですわ。名前は何といいますの?」
「……分からない」
「えっ?」
「俺はあの猛獣を知らない……」


 祐斗先輩が猛獣の出現に驚き朱乃先輩はあの猛獣が何なのかをイッセー先輩に聞きました。私も知らない猛獣なのでイッセー先輩の答えを待ちましたが先輩すら知らないと言います。


「でも本能が……俺の中にあるグルメ細胞がざわついている……アレはまさか……」
「はっ!なんのキメラかは知らないがそんな奴俺の炎で焼き殺してやる!」


 するとサーゼクス様の眷属の一人であるスルト・セカンドさんが猛獣に突っ込んでいき巨大な火球で攻撃しました。


 彼は北欧神話に登場する炎の巨人スルトコピー体でコピーとはいえ世界樹ユグドラシルに火をつけると予言されるスルトと同等の力を持っています。普通ならあれで灰も残らないのですが……


「がはっ!?」
「セカンド!?」


 炎の中から多少焼けていたけど生きていた猛獣が現れてセカンドさんを舌で弾きました。その一撃でセカンドさんの右足と左腕が取れてしまいボロボロになってしまいました。


 セカンドさんを助ける為にマグレガーさんが空を覆いつくすほどの魔法陣で凄まじい攻撃をします。でもそんな攻撃を受けても猛獣はこっちに突っ込んできました。


「離れるんだ、マグレガー!」
「総司さん!?」


 マグレガーさんに襲い掛かろうとした猛獣でしたが、そこに沖田さんが割り込んで体から妖怪を出します。


 沖田さんは生前に病気から生きながらえる為に魔の儀式を行いその影響で体が妖怪の巣のような状態になっています。


 100体近くの妖怪が現れましたが瞬く間に3つも顔に捕食されてしまいました。沖田さんはその隙にマグレガーさんを連れて引きました。


 すると空間が割れて大きな光る魚が現れました。あれはサーゼクス様の眷属の一人であるバハムートです!


 体から光弾を放ちその巨体で体当たりしましたが、猛獣はそれを受け止めてバハムートをなぎ倒してしまいました。


「させん!」


 そのままバハムートを食べようとした猛獣でしたが炎駒さんの強烈な後ろ蹴りをくらい怯みました。そこにベオウルフさんが突っ込んで怒涛の攻撃を浴びせます。


 でもそれをまともに受けても猛獣は倒れませんでした。反撃として鋭い爪を振るいましたがベオウルフさんはそれを驚異の速度で回避しました。


「そんな攻撃当たんないっスよ……えっ?」


 自身気にそう言うベオウルフさんでしたが、遅れて自分の目の前に落ちてきた物体を見て驚きました。なぜならそれは自身の右腕だったからです。


「俺がよけきれないなんて……!?」


 失った右腕から血が溢れるように出て彼は膝を突きました。トドメを刺そうと猛獣が腕を振るいましたがそこにサーゼクス様が割って入りました。


「滅びよ!」


 サーゼクス様は滅びの魔力を壁のようにして防ぎます。更に猛獣の腕を消し去ってしまいました。


「やった!流石はサーゼクス様だ!」
「いや待て!再生しているぞ!」


 悪魔の兵士が喜びますがなんと猛獣の腕はまるで蜥蜴のように一瞬では生えて再生してしまいました。


「はっはっは!無駄なことだ!その生物は改造を施されており少し肉体を失った程度なら再生するぞ。倒したいのなら一瞬で全身を消滅させるしかない。だがサーゼクス、お前が本気を出したらこの場にいる全員が死ぬからできないなぁ?」
「ぐっ……」


 心底楽しそうにそう話すシャルバにサーゼクス様は悔しそうに歯ぎしりしました。


 サーゼクス様は本気を出すと滅びの魔力そのものになれるらしいです。でも加減が出来ない為私達も巻き込んでしまうようです。まさか敵がこの空間に私達を連れてきたのはそれを封じるためでしょうか?


 そんな彼に向かって猛獣は巨大な火炎を3つの顔から吐き出しました。サーゼクス様は滅びの魔力で防御しました。そこにグレイフィア様が割り込んで猛獣を攻撃しました。


「グレイフィア!よすんだ!」
「しかし私は貴方の女王です!王を傷つけようとするものを許せはしません!」


 グレイフィア様が猛獣に攻撃を続けますが、猛獣はうっとおしいそうに魔法を払いのけてグレイフィア様を前足で潰そうとしました。


「レッグナイフ!」


 そこにイッセー先輩が割り込んで猛獣の前足を切り裂きました。そして怯んだ猛獣に赤龍帝の鎧を纏い釘パンチを放ちました。


「15連×2で30!!ブーステッド・30連釘パンチ!!」


 イッセー先輩の切り札ともいえるブーステッド・釘パンチを猛獣の腹部に当てました。猛獣の体は突き進む衝撃によって浮かび上がり最後の30連撃目で体を倒しました。


「ぜぇ……ぜぇ……くそっ、腕が動かなくなったか」
「イッセー様……ありがとうございます」
「お礼は良いから早く離れてください。油断はできません」
「ですが先程の技の威力は脅威としか言えないほど恐ろしいモノでした。それを真面に受けたのなら死んだのではないでしょうか?」


 グレイフィア様は死んだと言いましたがその瞬間に猛獣が起き上がりました。


「そんな……」
「やっぱりな……アレを受けて生きてるって事はG×Gの人間界じゃなく……『グルメ界』に生息する猛獣って事か」
『ッ!?』


 イッセー先輩の言葉を聞いて私達オカルト研究部は驚愕しました。なぜなら目の前にいるこの猛獣はあのグルメ界に生息している猛獣だったからです。


「おい!さっきから言ってるグルメ界ってなんだ!?あの怪物を知ってるのか!?」
「今は説明している暇がないんです。簡潔に言えばドライグ達二天竜クラスの怪物が何万と普通に生息している場所だと思ってください」
「はぁ!?二天龍クラスが当たり前のようにいる!?しかも何万だって!?どんな魔境だそりゃ!?」
「下手すれば二天龍すら超える化け物だっているでしょうしね……!?」


 先輩はアザゼル様に簡単に説明していましたが、突然背後から凄まじい轟音が響いたので振り返りました。するとヴァスコ・ストラーダさんが大きな猿のような猛獣から攻撃を受けていてそれを受け止めている光景が目に移りました。


「ぐうっ……!?なんという重さだ!?」


 地面が陥没してヴァスコさんの体から血が流れています。流石にダメージを受けなかったわけじゃないとはいえ恐らくグルメ界の猛獣の攻撃を受け止めて生きているなんて……まさに人間最強です。


「ストラーダ猊下!怪物め、その手を離せ!」


 テオドロさんがヴァスコさんを助けようと聖剣でゴリラのような猛獣を攻撃しました。でもちょっと切れ込みが走ったくらいで効いていません。


 猛獣はテオドロさんを叩き潰そうともう片方の腕を振り下ろしました。


「あっ……」
「おおォォォッ!!」


 でもそこにまたイッセー先輩が割り込みました。


「15連!釘パンチ!!」


 振り下ろされた猛獣の拳に15連釘パンチを叩き込みました。猛獣は腕を後方に吹き飛ばされながら後ろに倒れました。


「がぁぁ……!?流石に15連はキツい……ブーステッド・釘パンチした右腕よりはマシだが左腕もしばらく動かないな……」
「あ、あの……」
「早く逃げろ!あいつは倒れただけだ!」


 イッセー先輩の言う通りあの猛獣は倒れただけです。先輩の15連釘パンチでもまともなダメージを与えられないなら確実に反撃してきます。


 たぶん11歳くらいのテオドロさんは声の大きさにビクっとしましたが直ぐに思考を切り替えて他のエクソシストたちに後退を指示しました。


 しかし予想よりも早く猛獣は起き上がってイッセー先輩を攻撃しようとします。そこにヴァスコさんが猛獣に接近して拳を叩き込みました。


「聖拳!!」


 重い打撃音と共に猛獣が吹き飛びました。いやいや、いくらなんでもあり得ないですよ。グルメ細胞を持っていない人間がグルメ界の猛獣を殴り飛ばすなんて!?


 でも猛獣はダメージがそこまでないのか直ぐに起き上がってしまいました。


「ありがとうございます、ヴァスコ・ストラーダさん」
「君もテオドロ猊下を救ってくれた、礼などいい。それよりもあの化け物たちだ」


 イッセー先輩はヴァスコさんにお礼を言いますが彼は目の前の二体の猛獣を睨みつけます。


「はっはっは!貴様らに勝ち目など無いぞ!下劣な人間め、先ほど私達を侮辱した報いを受けるがいい!さあ、下劣なる怪物よ、同じ下劣なそこの人間を殺せ!」


 シャルバはそう言って二体の猛獣にイッセー先輩を攻撃させました。


「イッセー先輩!」


 私は最悪の光景を頭に浮かべて目を閉じてしまいました。でも……


「と、止まった……!?」


 なんと二体の猛獣は動きを止めてしまいました。よく見ると二体の猛獣は箸のような棒で動きを封じられていました。


「なんだ!?何が起こったのだ!?」
「遅くなったな、イッセー」


 シャルバの驚く声と共に私達だけが知る声が聞こえてきました。その声を聴いただけで私達オカルト研究部の全員が希望に満ちた表情をします。


「親父!」


 視線の先には一龍さんや次郎さん、節乃さんや茂松さん、マンサム所長といった最強メンバーが勢ぞろいしていました。


「息子が世話になったな、禍の団とやら。借りは返させてもらうぞ」

 
 

 
後書き
 アーシアです。怖い人たちが攻めてきてとうとうグルメ界の猛獣さんまで現れてしまいました。


 絶体絶命のピンチに遂に一龍さん達が駆けつけてくれました!でもちょっと猛獣さん達に同情しちゃいそうです……


 次回第92話『三大勢力会談始まります!遂に出会う、D×DとG×G 後編』で会いましょうね。次回も美味しく頂きます、えへっ。 
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