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今ならキーホルダープレゼント殺人事件

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5

「へぇ、そうなんだ……」
「とにかく、彼女に関する情報を集めよう。何かわかるかもしれないからね」
「はい、お願いします!」と亜衣が元気よく言った。
「ええ、任せておいて下さい」
「あ!ちょっと待って……」
突然、麻衣子が声を上げた。
「どうしたんだ?麻衣ちゃん……」と亜衣が尋ねる。
「うん……。今、思い出したんだけど、そのオナガさんという人の家の前に変な落書きがされてたの……」
「落書き?」
「うん。たぶん、そこに行ったら見つかると思うけど……」
「よし、じゃあ、そこへ行ってみよう!」と亜衣は言って、車のスピードを速めた。
亜衣たちは警察署の駐車場に車を停めると、急いで建物の中に入った。そして、受付で事情を説明してから、刑事の部屋へと向かった。
「……なるほど。話はわかりました。でも、本当にそんなことがあったのかね?」
若い刑事が疑わしそうに言った。
「はい、間違いありません!私たち、確かに見たんです」
「その子はマリー・ベルと言う名前か? 十年前に死んだよ。誘拐されて」
「えっ!?」
亜衣たちは顔を見合わせた。
「何だって?」
「だから、十年前の今日、マキシマム堀門の娘が誘拐されたんだよ。犯人はまだ捕まっていないがね……」
「まさか……」
「おいおい、冗談はやめてくれ。あの子はもう死んでるんだよ。解剖の結果、そう出ている。心臓麻痺を起こして亡くなったそうだ。今さら生き返って来るわけがないじゃないか……」
「…………」
亜衣は唇を噛んで黙り込んだ。
「どうした? 納得できないのかい? じゃあ、もっと詳しく調べてあげようか?」
「いいえ……、結構です」
「ふん……。それならいいが……。それで、君たちは何をしたいんだ? 何か捜査に協力してもらえることがあるのか?」
「あります!ぜひ協力させて下さい。私たちはそのマリーさんの友達なんです。どうしても、彼女のことを救い出したいんです」
「ふうん、そうなのか。わかったよ。できる限りのことをしよう。で、その落書きというのはどこにあるのかな?」
「はい、こちらになります……」
亜衣たちは、マリーの家まで案内した。
「ふむ……。ここが、例の落書きのあった場所か……」
「はい、そうです」
「なるほど……。うーん……」
彼は腕組みをして考え込んでいた。
「どうかしましたか? 何か気になることでも……」と麻衣子が尋ねた。
「いやね、この絵……。どこかで見たことがあるような気がするんだよな……」
「本当ですか? どんな絵なんですか?」
「それがね、よくわからないんだ。ただ、絵の中に何か文字のようなものが描かれていることは確かなんだが……」
「見せていただけませんか?」
「ああ、もちろんだ。しかし、少し時間がかかりそうだぞ。もしかすると、明日になるかもしれない」
「構いません。お願いします!」
「よし、わかった。じゃあ、とりあえず今日は帰りなさい」
「はい、ありがとうございます」
亜衣たちが部屋を出ると、刑事が声をかけて来た。
「君たち……、ちょっと待ってくれないか?」
「はい、何でしょう?」
「実はね、僕には娘がいるんだ。今年高校三年生なんだが、受験勉強の邪魔をしたくないから、なかなか会えないんだよ。そこで、もしよかったら、その絵を見せてもらってくれないか? もちろん、無理にとは言わないが……」
「いえ、喜んでお引き受けいたします」と麻衣子が答えた。
「そうか。それは良かった。じゃあ、明日の朝、迎えに来るよ」
亜衣たちは警察署を出て、車に乗ろうとした時、後ろから走って追いかけて来た人物がいた。
「あなた方は探偵さんですね?」と女性が言った。
「えっ? どうしてわかるんですか?」
亜衣は驚いて振り向く。
「やっぱり……」
女性は胸の前で手を合わせて微笑んだ。「私はマリアといいます。マリー・ベルのお姉ちゃんなんですよ」
「ええっ!?」
「驚かれるのも当然だと思います。私も信じられない気持ちでいっぱいですから」
「あ、あの……、どういうことでしょうか?」と麻衣子が尋ねる。「ええ……。ちょっと説明し辛いのですが、先程、署内で大きな声を上げて話されていた会話を耳にして、何事かと思いましたの。それで、すぐにあなた方の車の後を追いかけて行ったというわけです」
「じゃあ、ずっと聞いてたんですか?」
と亜衣が聞く。
「はい、すみませんでした。盗み聞きするつもりはなかったんですけど、つい耳を傾けてしまいました。ごめんなさい」
彼女は深々と頭を下げた。そして、ゆっくりと顔を上げると、「ところで、さっきの話は一体何だったんですか?マリーが十年前に死んだとか言ってましたよね?」
亜衣が説明すると、マリアは大きな溜息をついた。
「マリー……可哀想に……」
亜衣たちは顔を見合わせる。「あの……、マリーさんってそんなに有名な人なんですか?」
と麻衣子が質問した。
「ええ、まあ……」
と言って、しばらく黙り込んだ後に彼女は話し出した。
「私の母はアメリカ人なんです。それで、父と一緒に日本に来たんですが、父が事故で亡くなってしまったため、母と妹はアメリカで暮らしています。ですが、時々日本に帰って来ることがあるんです。その時に必ず寄るところがあるんです。それはマキシマム堀門さんという方が経営する『マキシマム』という名前の喫茶店なんです。そこのコーヒーはとてもおいしいですよ。ぜひ一度行ってみてください。あっ、そうそう……、今ちょうど母の携帯が鳴っているようです。きっと電話が来たんだわ。じゃあ、私はこれで失礼しますね」
彼女が立ち去ろうとすると、また携帯電話が鳴り始めた。「あら? お母さんからだわ。何だろう? もしかしたら、何か事件があったのかしら?」
亜衣たちも彼女の後を追うように歩き出した。
亜衣たちはマリーの家に着いた。ドアを開けると、マリーが玄関に出て来た。
「皆さん、いらっしゃいませ」と言うと、ニッコリ笑って一礼した。「どうぞ、お入りください。今、お紅茶を用意しますから」
リビングに入ると、亜衣たちは椅子に座って彼女を待った。しばらくして、ティーポットとカップを乗せた盆を持ってマリーが入って来た。
「今日はどんな用事で来られたのでしょうか?」と彼女は尋ねた。
「はい、実は私たち探偵なんです」
「えっ? そうなんですか?」
「そうです! 私たちは困っている人の悩みごとや問題を解決するために活動をしているんですよ。ですから、何でも相談していただければ、協力させていただくことができます。ただし、料金が発生しますけれど……」
「わかりました。では、早速お願いしたいことがあります」
「えっ、何かしら?」
「最近、町のあちこちで動物の鳴き声が聞こえるような気がするのです」
「ええ、本当ですか?」
亜衣がマリーの話を真剣に聞いていた時、マリアからもらったメモのことを思い出し、亜衣はバッグの中を探ると手帳を出して確認を始めた。「ちょっと待っててね……。ええっと……。あった!」
亜衣はそれをポケットに入れると、再び話の続きを聞くために姿勢を正す。「どんな感じなのか、詳しく聞かせていただけるかしら?」 
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