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リュカ伝の外伝

作者:あちゃ
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リュカ'sキッチン レシピその5「三段論法・小籠包」

(グランバニア城・メインキッチン)
ビアンカSIDE

「無利子、無担保、無期限が原則だ!」
凄い事を言う男が居たもんだ……
私の最愛の夫という事は秘密にしておきたい。

「それじゃ20万(ゴールド)をくれてやるのと同じじゃねーか! 返済される保証が何所にも無い!」
「……ほ、保証はあるよぉ~」
自信なさげ。

「じゃぁその保証を見せろ。今すぐ、この場で!」
ウルフ君の言い分は尤もである……
リュカはキョトンとした顔でこちらを見てる……わ、私に如何しろと?

「か……(ニック・ジャガー)は……し、信用……出来るわ……………多分(ボソッ)」
「そうだ! アイツは信用できるよ。僕の妻が認めるんだからね」
リュカはサムズアップで私の言葉を後押しする。でもね……それを証明しろとウルフ君は言ってるのよ。

「どの辺が信用できるのか言ってみろ!」
「……………?」
またこっちを見るリュカ……私を見るな!

「か……(ニック・ジャガー)は……き、巨乳好きよ!」
「だから何だ!」
全くその通りだわ!

「僕は王様までやってるくらいだから信用できる。僕も巨乳が大好きだ。だから巨乳好きのニック・ジャガーも信用できる! どうだ解ったか?」
「そんな三段論法が罷り通ると思うなよ!」

「アイツの彼女……ニャアちゃんを見ろ」
「“ニャア”? 変な渾名!」
ポン(ウルポン)に言われたく無いわよ! 原型が微塵も無いじゃない(笑)」
中々言うわね、ニャアちゃん。

「くっ……ムカつく女だな」
「でも巨乳だ! そんな彼女の彼氏は巨乳が好きだ。従って巨乳好きは信用できる!」
如何(どう)すればそんなに自分の言葉に自信が持てるの?

「だ~か~ら~……巨乳好き(イコール)信用できるって論法が成立しねーんだよ! お前の息子は信用できる人間だが、嫁は真っ平らじゃねーか! グランバニアの大平原女じゃねーか!」
「う~ん……長いな。ポン(ウルポン)の呼びやすさに敵わない。『渾名命名オブ・ザ・イヤー』にノミネートもしないぞ」
“グランバニアの大平原女”は渾名じゃないわよ。只の悪口よ。

「『渾名命名オブ・ザ・イヤー』なんか今は如何(どう)でもいいんだよ……っていうか、それ面白そうだな。何時(いつ)開催すんの?」
興味を持つな! 開催しねーよ。

「うん。『渾名命名オブ・ザ・イヤー』の開催は未定だが、ティミーは生粋の巨乳好きだぞ。偶然お嫁ちゃんが育ちきらなかっただけで、巨乳っ()の妹を追い回していたんだし、紛う事無き巨乳好き秘密結社の一員だ」

「何その秘密結社。楽しそう……如何(どう)やって入るの?」
「お前はロリコン教の信者な疑惑があるから、同秘密結社のは入団できない」
8歳の娘に手を出したからねぇ……まぁ当時、彼自身は12歳だったけど。

「え、なに? 俺に金を出させたいの、それとも出させたくないの? 出させたいのなら、もっとヨイショしなきゃダメだろ」
「え~……(すげ)ーヨイショしてんじゃん!」
ど~こ~が~よ~!

「お前の常識でモノを言うな!」
「常識なんて人それぞれじゃん」
でもリュカのはちょっと……

「それより常識って言うのならさぁ……お前、僕の娘に手を出してんじゃん。しかも一人は既に……」
「ぐっ……何だよ急に!!!」
ちょっと……コック達は知らない事よ!

「いの一番にさぁ……『義理のお義父様の頼みなら尽力するか』って、なるべきじゃぁないのかなぁ???」
「や、止めろ……こんな所で話題に出すな……」
事情を知らないコック・メイド・兵士等は、それぞれ小声で何かを言い合ってる。

「世の義息(ムスコ)は、産まれる子供の祖父の為に、色々気を使うんじゃないのかなぁ???」
まさかこの話題に触れられるとは思ってなかったヘタレ野郎は、汗をかいてキョロキョロと視線を動かしている。
事情を知ってるユニとジョディーは顔を見合わせて一言……「ダメ男が」

「わ、分かった……無利子、無担保、無期限で20万(ゴールド)貸すよ……」
「うん。やっと分かってくれたか義息(ムスコ)よ」
そう言って座ってるウルフ君の右肩をリュカは右手で叩き満面の笑顔だ。
肩を叩かれた方は地獄に居る様な表情。

「あ~……この場に居るコック・メイド・兵士諸君。ウルフ宰相が入室してから、今までの会話等の一部は、他言してはダメだよ。『一部』と言ったが、どの部分か判らない者は気付かず他言するだろう……その時は“他言して聞いてしまった者”・“更に他者に伝えた者”・更には“三親等までの家族”諸々、銃殺刑に処す! ここに国王として明言したからね……慈悲は無いよ(笑)」
うわぁ……最悪だ。

「お前何でさっさと金出す事を了承しなかったんだよ!」
ウルフ君が座ってる椅子の脚を蹴る上級メイド。
「そうです閣下! お陰で被害が広がりました!」
事情を知ってるユニとジョディーから非難の声が……

「あ、あの……俺、絶対に返しますから!」
がっくり項垂れるウルフ君にニックが一生懸命声をかける。
いや、もうその事で落ち込んでるんじゃないからね。

「ほ、ほら……俺……き、巨乳好きじゃないですかぁ! だ、だから返しますから!!」
いい子ね……
でも何度も言うけど、その話題はもう終わったのよ。

「……じゃぁ聞くが、“ビアンカさん”・“リュリュさん”・“お前の彼女(ニャア)”の乳なら、どれが一番好みだ!?」
……関係なくない?

「勿論ビアンカ様です!!」
即答。
え、彼女が傍に居るのに?

「よし、信じてやる」
何で?
「な。だから言ったろ」
だから何で?

っていうか、精神的ダメージから回復しちゃってるのが腹立つわね。
思ってたよりも鋼の精神?
なんて思ってたら、私の腕から離れたホイミンが、フヨフヨとウルフ君に近付く。

そして手(?)の一本を彼の頭に乗せ摩っている。
ホイミンなりに慰めてるのかな……
なんて思ってたら突然頭の上の手(?)を振りかぶって……

(ゴスンッ!!)
と振り下ろして、椅子に座ってたウルフ君を前のめりに殴り倒し、床へと口吻を強要させた。
如何した急に?

満足したのか、私の下に戻ってくる間に、殴り倒した手(?)にホイミをかけてた。
先刻(さっき)リュカがスカラをかけてたから、結構痛かったのね……っていうか、そこまでして急に殴った意味は何!?

「何だホイミン……先刻(さっき)ビアンカに包丁が飛んでいった事、根に持ってるのか?」
リュカの言葉に手(?)で頭を掻いて照れてる様な仕草をする。
それを見て笑いながら……

アイツ(ウルフ)ホイミンの会心の一撃で完全に気絶してるから、(つい)でにホイミしてやってよ(笑)」
確かにピクリとも動かない……生きてる?

「ぷっ……ははははっ! 確かにそうだね」
如何(どう)やらホイミンとの会話は続いてた様で、リュカは楽しそうに笑った。
リュカとリュリュ以外にホイミンの言葉が明確に解る者が居ない為、通訳を希望する視線がリュカに集まる。すると……

「ホイミンがね『その小僧もホイミが使えるから、回復してやる義理はない。それに今ソイツに必要なのは、外傷を治す魔法より、精神的ダメージを治す方法だ。自分の女の乳にでも縋り付けば良い』だってさ(笑)」

た、確かにその通りだけど……
意外に口が悪かったのね。

ビアンカSIDE END



 
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