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プリンセスは世間知らず

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第一章

                プリンセスは世間知らず
 リッチェル王国の第四王女エレオノール=ド=リッチェルは豊かな金髪を縦ロールにしていて青く大きな目と白い肌やや面長で頬がすっきりした顔に紅の大きな唇と高い鼻を持っている。背は一六五程で均整の取れたスタイルをしている。
 その彼女が王宮に届いた報告を聞いて周りに怒って言った。
「そのドラゴンを早く征伐なさい」
「あの、ドラゴンですが相手は」
「流石に幾ら何でもです」
「相手にするにはです」
「おいそれとは」
「民を害する輩は誰であろうが許せません」
 エレオノールは毅然として言う、白い絹のドレスがよく似合っている。
「そこまで言うならわたくし自らです」
「あの、流石にそれは」
「姫様無茶です」
「相手はドラゴンですから」
「流石に」
 周りは必死に止めた、だが父である王が笑って言った。
「そうか、行かせてやれ」
「その心意気を受けましょう」
 王妃も笑って言った。
「エレオノールのその気持ちを」
「何人か強い兵達を連れてだ」
「送り出しなさい」
 こう言ってだった。
 エレオノールは自らドラゴン征伐に出ることになった、それで供の兵達が選ばれたが王女の供なので皆女性の兵であった。
 しの隊長である士官のマルゴ=ド=ギース赤い短い髪に緑の目とやや丸い顔を持つ長身の彼女はエレオノールに尋ねた。
「姫様、私達にお任せ下さい」
「ドラゴン退治はですか」
「はい、ですから姫様は」
「なりません、私自らと言ったのです」 
 エレオノールはマルゴに強い声で応えた。
「ですから自ら剣を持ち」
「そうしてですか」
「鎧と盾を持ち馬に乗り」
 そのうえでというのだ。
「戦います」
「そうされますか」
「では出発です」 
 こう言って馬に乗ってだった。
 自ら先頭に立って進みはじめた、民達は鎧兜で武装し白馬に乗る自分達の王女を見て喝采を送った。
「姫様頑張って下さい」
「是非悪いドラゴンをやっつけて下さい」
「王族の方が行かれるとは嬉しいです」
「ご武運を」
「そなた達は吉報を待っているのです」
 エレオノールは自分に声を送ってくる民達に馬上から余裕の笑顔で応えた。
「ドラゴンは必ずや私が退治します」
「期待していますよ」
「恰好いいですよ姫様」
「甲冑姿お似合いですよ」
 民達はそのエレオノールにさらに声を送った、だが。
 供をして後ろに従うマルゴは自分が率いる兵達に項垂れて話した。
「姫様はああ仰っているが」
「はい、実際の戦闘はですね」
「私達が行いますね」
「そうしますね」
「だからこそ腕利きの者達が集められたのだ」
 マルゴは自分と同じ女である彼女達に言った。
「軍の女達の中でもな」
「ご安心を、腕には自信があります」
「我等ならドラゴンにも勝てます」
「姫様にご苦労はかけません」
「我等が戦い勝ちます」
「そうするぞ、しかしだ」
 ここでマルゴはこうも言った。
「姫様は大抵王宮におられるからな」
「はい、何かとですね」
「ご存知ないですね」
「この世のことを」
「そこは覚悟しておいてくれ」
 このことも項垂れて言った、そしてだった。 
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